やはり俺に義妹が出来るのはまちがっている。   作:マッキーガイア

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3話:義妹はほのぼのする。

「…やっぱ、昼はマッカンに限る。」

 

ベストプレイスで昼飯を食う安らぎ、臨海部に位置するこの学校は、お昼を境に風向きが変わる。

朝方は海から吹き付ける潮風がまるで元いたところに帰るように陸側から吹く。この時間が俺は嫌いじゃない。

 

「お兄ちゃんがどこに行ったか、知りませんか?」

 

購買部の方からそんな声がする。こんな時になんの様だと少し顔を上げるが、声の主の周りの人を見て、俺は関わるのを辞めた。

俺は人混みが嫌いだ。

あれに進んで入っていく奴の気がしれない。次第にテニスのラケットの音が鼓のように気持ちの良いリズムを刻む。…意識が朦朧としている中で頭を下に向けた。

 

「あー、やっぱここにいた!」

 

目を覚ますと後ろから聞いた事のある声がする。見ればスカートを手で押さえながらこちらを覗く由比ヶ浜と神田の姿があった。

 

「…やっぱりさ、なんでこんな場所でご飯食べてるの?」

 

「察しろよ、マジで……で、なんの様だ?」

 

「なんか、かんちゃんがヒッキーの事探してたから連れて来たの!」

 

なんだそのあだ名、お前も諦めたタチか妹よ、

 

「…久しぶりですね。兄さん…」

 

「いや、さっきあったばっかだろ…」

 

後ろにはふて腐れた様な顔をした神田の顔がある。いつの間にかお兄ちゃんから兄さんに変わっていた事はあまり言わないでやろう、…大勢の人の中でお兄ちゃんはいくらなんでも恥ずかしかろう…

 

「兄さん、ご飯一緒に食べましょうよ」

 

「…いや、もう食っちゃったよ…」

 

片手にパンの袋を見せつける。

 

「…じゃあ…勝手に食べます。」

 

そう言って俺の隣に座り込む神田

 

「じゃあわたしもー、」

 

「……?雪ノ下さんに買い物頼まれてたんじゃ?」

 

「あ!忘れてた!早く行かなきゃ怒られちゃう」

 

いつもの様に雪ノ下に勝負を挑んでいた様だ、まぁ、また負けた様だが…走り去っていく由比ヶ浜を見ながらマッカンを啜った。

 

「…兄さん……お昼は今度から私を呼んでください…」

 

「…ん、なんでだ?」

 

そう聞くと神田は髪の毛を弄る。

 

「なんか、居辛くて…」

 

「相わかった。」

 

彼女の出で立ちからしてあの空間は居辛いのはなんとなく察していた。隣から弁当の開く音が鳴り呟くと少し弱目の風が吹く。

 

 

 

「………此処いいですね。人が頑張ってるところを離れた位置でこんな風に……何か自分が社会的優位な位置にいる様な気分になります。」

 

 

 

 

 

 

 

「………やっぱ、おまえ人間嫌いだろ。」

 

「え、好きですよ」

 

ゼッテー嘘だ。

そんな言葉を飲み込む様にマッカンを飲み干した。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「……で、これはどういう意味かしら比企谷くん」

 

場所、奉仕部部室、

時刻、放課後

6時間目の眠気の強い時間帯を超え目を擦りながら部室に入る。そこには眼光をギラッギラに光らせた雪ノ下が俺を睨みつけていた。

 

「いや、だから入部希望者。」

 

「……一応聞かせてもらうけど、どんな手を使ったのかしら、場合によっては警察を呼ぶことも吝かでは無いわ。」

 

「吝かだわ。そんなに俺を刑務所に入れたいか」

 

「ええ、だから、行ってくれるかしら?」

 

「行くか!!

 

………はぁ、義妹だよ。帰り道一緒だし、先に帰らせるのも怖いから…一緒の部活だったら安心できるしな」

 

「義妹…ね、変な設定を作った物だわ」

 

「いや、本当だし、文句あるんだったらあいつに言え、」

 

「…過保護も行き過ぎると嫌われるわよ、」

 

「分かってるよ。」

 

雪ノ下は神田を見ると少し、ため息を吐く。

 

「まぁ、良いわ。私は雪ノ下雪乃、貴方は…」

 

「神田心です。よろしくお願いします。」

 

「…ええ、よろしく。」

 

そう言うのを眺めると俺はいつもの位置に座り込んだ。

さて、今日はなんのラノベを読もうか…

 

「あ、比企谷くん、今日は4時半までに誰も来なかったら、早めに締めるわよ」

 

「……ん?どうかしたのか?」

 

「いえ、……雪ノ下の分家の方から呼び出しをくらってしまって。少し早めに帰るわ」

 

「ん、わかった。由比ヶ浜にも伝えとく、」

 

「……え、由比ヶ浜さんもこの部活なんですか?」

 

「まぁな、今日は後から来るっつってたが、来なくていいって言っとくわ。」

 

「ええ、よろしく」

 

ケータイを取り出し小文を送ると、『分かった』と返ってくる。

こんなの中学まではあり得なかったからな、少し感動した。

 

「…では、神田さんに奉仕部の存在意義を知ってもらおうかしら。」

 

、、、始まった。

…ふと懐かしい思い出が蘇る。

 

「存在理由ですか…」

 

「じゃあ質問、初心者の釣師が魚を釣る時にまず最初に必要な物は何かしら?」

 

「竿……ですか?」

 

「違うわ、知識よ。

魚を釣るのに知識が無くては意味がないわ、知識もなしに竿なんて渡しても相手にとって、それはただの棒でしかない。」

 

「……それはそうですね。」

 

「ここは万屋では無いわ、あくまで知識を与えるだけ、後は、相手がやるか次第よ。

ようこそ奉仕部へ、歓迎するわ」

 

 

俺の時より幾分かマシな受け答えに少し感心しつつ、なんで俺の時だけ、あんな…

と少し悲しくなった。

 

「まぁ、どうせ暇だがな…」

 

俺はページをめくった。

 

いつもなら一色か材木座あたりが来る時間帯だが今日は来ないらしい、窓から少し涼しい風が入る。まだ空は真っ青で何か忘れた様なそんな雰囲気を醸し出してくれる。でもそんなものは日差しで塞ぎ込み、ある程度の位置で止まった。

ふと俺の顔を覗き込む顔が一つ、

 

「どうしたのかしら、私の方を向いて。」

 

「……ん、いや、今日はいい風が吹くなと思ってよ」

 

「あら、ロマンチストなのね。」

 

「…まぁ、今日だけだがな。」

 

やっぱりこの空間は居心地が良かった

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