やはり俺に義妹が出来るのはまちがっている。 作:マッキーガイア
放課後、茜色に染まった坂を俺たちは降る。
いつもなら真っ直ぐ家に帰って、ベッドダイブしたい所だが、神田がこの街に来たばかりだと言うので少し遠回りをする。
いつものコンビニ、いつものサイゼ、いつものららぽ、俺にとってはいつもの風景、いつもの場所に対して彼女からしてみればまだ見ぬ桃源郷くらいの心構えらしい。少しはしゃぎすぎじゃありませんかねぇ、少し腰が据えた気がする
「なぁ、お前はこんなのが珍しいのか?」
サイゼで軽くスパゲティをつきつつ問う。すると目の前のハンバーグに目を輝かせた神田はハンバーグに目を離さず問いに答える。
「まぁ、そうですね。お父さんが外食は体に悪いって許してくれませんでしたから。だから、はじめての外食になりますね!」
「ふぅん、言ってくれたらもっと凄いとこに連れてやったのに…まぁ、あんま高いところは無理だけどな」
笑いながら返すと彼女も笑う。
「十分ですよ。兄さんが連れてきた場所ですから、それだけで宝物です。」
「…サイゼが宝物ねぇ」
なんと言う無欲。お兄ちゃん泣きそうだよ
ふと、時計を見ると5時半を超えていた。時間もいいくらいだし、神田もハンバーグを食べ終えたらしい。
「さて、そろそろ行くか、」
俺はソファーから立ち上がる
「ええ、そうですね。……少し待ってください、財布取るので」
「いや、俺が払うよ」
俺がそう言うと少し渋る様な動作を起こす。
「え、でも…」
「払わせてくれ、仮にもお前の兄やってるからな、妹に払わせるわけにもいかねぇーよ」
俺は財布を取り出し、レジに向かった。それに続こうと走り出す神田、そんな雰囲気に少し失っていた青春を思い出した。まぁ、まだ青春終わった覚えもないがな。
因みに支払いは二人で大体1000円で済んだ、流石サイゼクオリティー、俺の期待を裏切らない。
「もう…悪いですよ……今度なにかおごります。」
「そんな事はもっと一丁前になってから言え」
俺は財布にお釣りを入れつつ答えると彼女はむくれっ面になる。そんな顔に苦笑しながら、ふと窓から外を見てみると、赤い建物が見えていた。
「……あー、心、最後にあそこ行かないか?」
神田はむくれた顔を元に戻し、外を覗き見る。ふと、看板に何か英語で書いてあるのに気付いた。
「game center?…」
「あぁ、行ったことあるか?」
「いえ、無いですね。どんな所かも想像できません。」
ゲームセンターを知らないだと?
「すいません、世間には疎くて……テレビや新聞にも目を通させてもらえなかったので…」
「……………そうか、」
なんで、この子はこんな目にあったのだろうか…やはり、周りの環境のせいだろうか、少し、人間に嫌気がさす。
「それで、どんな所なんですか?」
「あ、あぁ……まぁ、なんだろうな。基本的に遊ぶ所って言うしかないな、そう気を入れる必要は無いさ、自然体だ、自然体。」
「……なんか行き慣れてる雰囲気ですね。」
「…まぁな、昔は学校が終わった後、必ず通ってたんだがな、一年くらい前にある事があってから、ぱったりと行かなくなってな」
もはやあの頃が懐かしい、
「じゃあ、行くか。」
「はい!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
神田side
兄さんがはしゃいでる。こんな事を言うのは失礼だと思うけど、言葉に出来ないくらい可愛らしい、
今、私は兄さんがいうgame centerの前にいる、いつもだったらこんな胡散臭い店入ったりはしないけど、兄さんが言うのなら、少し入ってみるのも一興だと思い、結局前でいさ迷っていた。
「あ、ちょっと目に悪いかも知れんから気をつけろ」
兄さんはそう言うと赤い建物の中に入っていった
昨日今日兄さんと過ごしてみてわかった事は信用し得る人物だと言う事だ。兄さんが言うのなら気をつけよう。そう思い私は目を細くして兄さんに続いた。
次の瞬間、目の前に広がる景色に絶句する。
いろんな人が色々な事をしてる。ここまでは理解した。
でも、何をしてるかとか何をやってるかほ一切わからない。ただみんな楽しそうに笑ってる…
笑う事はいい事だ。
だけど私は塗り固められた笑顔は嫌いだ。前の自分に戻ったみたいで、だけどここの笑顔はみんな『楽しそう』を前提とした笑い。
……これは嫌いじゃない。
このカオスはいつになく、綺麗なカオスだった。
ふと兄さんが私の方をみて指を刺す
「何か遊びたいものはあるか?」
「遊びたいもの……ですか、」
「そう、なんでも良いぞ。今日はにいちゃんの奢りだ、」
「むぅー、なんか子供扱いです。」
そう言いつつ、目の前の人形が入っている機械に目が及ぶ、
「ほぅ、UFOキャッチャーか…」
「ゆふぉー…?」
「あー、この人形をあのクレーンで取るともらえるんだ」
兄さんが察した様に言う。なんか兄さんの思うようになってる様でつまんないけど、合ってるから何も言わずに機械に触れた。
「ちょっとまて、最初に100円入れるんだよ。」
横から兄さんはお金を入れる、するとなんだかアームみたいなものが光出した。
「あー、操作方法わかるか?…いや、ここのアームかなり弱いからな、まぁ、一回やってみろ」
そう言い簡単な操作とちょっとしたテクニックを教えてもらいながら操作板に触れるとちょっと動く、
「………」
緊張しながらぬいぐるみの上でアームボタンを押すと、
「よしっ……」
兄さんが呟く。
ぬいぐるみは少しずつ上がりもう直ぐ穴に入る…
次の瞬間だった、
バンッと音がなりぬいぐるみは自由落下、地面に落ちた。何がなんだかわからないでいると隣から声が聞こえる。
「そこの彼女ぉ、すげー可愛いじゃん、俺とお茶でも飲まない?」
二人のチンピラっぽい人達が私が使っていたUFOキャッチャーを揺らしたらしい。
「辞めろよ、みっともないぞ。」
兄さんの言葉に怒りを感じる。
「なんだてめぇ、俺はそこの嬢ちゃんに話してるんだ、彼女がとられんのがそんなに嫌かよ、」
「俺はこいつの兄だ。…マナーのマの字もわからんらしいな」
「あぁん?」
「こんな当たり前な事すら理解出来ないとは馬鹿にも程がある。俺は妹と遊んでるんだ、さっさと出て行け。」
「なんだとテメェ!!」
逆上した、チンピラが兄さんを殴ろうと腕を上げた瞬間、
「おい、山田、辞めておけって、出禁になっても知らねーぞ」
そう言い、もう片方の人が止める。それを言われるとチンピラは悔しそうな顔をして腕を引っ込めた。
「……くそっ、じゃあ、ゲームで勝負だ」
「何?」
突拍子もない言葉に驚く。
「ここはゲームセンターだ。ならゲームで勝負が普通だろ!お前が負けたらその女を貰う。」
「…お前、本人の意思を尊ちょ…」
「いいですよ。」
私がそう言うと兄さんは驚いたように私をみた。
「お前、いいのか?」
「勝てるんでしょ、兄さん。」
私がそう言うと困ったように頭を掻く。しばらく考えて考えがまとまったようだ。
「……分かったよ、やりゃあ良いんだろ。やりゃあ」
そう言うと、兄さんはチンピラ達について行った。
「ほう、久しぶりだな。あれが来るのは…」
後ろで誰かが呟く。
ふと、後ろを振り返ると、何故か赤い帽子に赤いスーツを着用した男が一人佇んでいる。
「…ふむ、お嬢ちゃん。彼の妹かね?」
「え、あ、はい。義理のですが」
「そうか、それは良い事を聞いた。"腐眼の悪魔"はかなりの妹想いだと聞くからな」
「腐眼の?…どう言う意味ですか?」
そう聞くと彼は「聞いていないのかね?」と呟き、ゆっくり兄さんの方を向く。
「……彼はこのゲームセンターの生きる伝説さ、」
「伝説…?」
「…このゲームセンターは出来た当時、荒れていてね。二つの派閥に別れたんだ。
コアゲーマーが集まる"レッドハーブ"と
ライトゲーマーの集まるグリーンハーブ"
三年くらい前は不毛な争いが頻発して、多くのものが出禁になってしまった。」
彼はそう言うと残念そうに顔を伏しす。
「しかし、その争いは一方的で、いつしか、レッドハーブがグリーンハーブを食い荒らし掛けた時…彼が現れた。」
「兄さん…ですか」
「彼が示したのはコアゲーマーの経験の強さでも無く、ライトゲーマーの純粋な心でもない。明らかな圧倒的力だった。
彼が現れた瞬間、グリーンとかレッドとか関係なく全て叩き潰された。
コアゲーマーは自信を失い。ライトゲーマーは楽しむ気持ちを失った。」
「……ん?待ってください。それってバッドエンドじゃ?」
「そして失われた者たちは手を組み、その一人の人間に先制攻撃を企てようとして失敗、呆気なく打ち落され、挙げ句の果てには目玉をも取られた。(ゲームの中で偶に出る特別演出)
彼は圧倒的であるが故にコアゲーマーとライトゲーマーの壁を壊したのだ。
そして約一年前にこのゲームセンターから姿を消した。」
そう言うと彼はすこし死んだ目をした。あ、この人…
「……ちょっと兄さん見てきた方が良いですかね?」
「その方が良い。また逃げられんうちにな」
まぁ、そうですよね!
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