やはり俺に義妹が出来るのはまちがっている。   作:マッキーガイア

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5話:義妹とあの日

結局帰路に着くのは6時をすぎた頃だった。神田はあの後チンピラどものキン○マを蹴り潰し、

 

『ち○こなんか無ければ良いのよ』

 

と爆弾発言をかました後、こうして無言の威圧で俺を睨みつけ、俺は股間に無駄な緊張感を抱えながら帰っていた。

 

ふと彼女の視線が下の方に行く事に気づくと、俺に向けて口を開く。

 

「……兄さん、ゲーム上手だったんですね。」

 

「まぁな、中学の時はやる事が無くて、ずっと入り浸ってたからな。」

 

「やる事が無くてって…?」

 

「……まぁ、あれだよ。

中学の頃、色々あってな、」

 

俺がそう答えると彼女は心配そうに俺を見つめる。

すると、少し察した様な口ぶりで俺の言葉に返した。

 

「…一緒ですね、」

 

「一緒?…どこがだ。」

 

神田は薄らに微笑む。

 

 

 

「私、昔好きな人がいたんです。」

 

 

 

神田は自嘲したようにそう言った。

それは何処か寂しそうな…そんな雰囲気を醸し出している。

 

「…そうか、さぞかしそいつは幸せだったんだろうな」

 

「ううん、…彼にとっては重みでしか無かったと思います。彼、好きな人が居るって言ってたから、」

 

首に掛けていた十字架を持ち出すと、彼女は少し悔やんだ様に首を垂らす。

 

「彼の目に私は存在しなかったし、存在できなかった。まあ、私みたいなのが誰かを好きになる事自体間違って居るんですが。」

 

「間違っている?」

 

彼女の言葉のニュアンスに違和感を感じる。

 

「ええ、間違ってますよ。」

 

「どう言う意味だよ?」

 

「私は人間の………ううん、女性としての務めを果たせないんですから。」

 

果たせない。意味を持たせた言葉にピースを嵌める。

 

「…お前、」

 

「ええ、」

 

彼女はお腹を摩った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私、産めないんです……子供」

 

 

 

 

 

 

 

風が吹く。

 

…何を言えばいいのか、何と返せばいいのか、

あれもこれも全て俺に返って来た。これは自分の問題じゃない、何を言おうと彼女のそれが治るわけじゃないし、治せるわけもない。

 

「彼は私を恨みました。彼を取り巻く環境が全て、私中心になっていた様なものだったので、」

 

ふと、彼女は十字架を握りしめる。

 

「あの後、、、私の居場所は無くなり。唯一の砦だった物が消えたあの日、

今までの景色の裏側が流れ込む様に、私はその流れに揉まれました。」

 

ふと、彼女は俺に向かって笑いかけた。

 

「…すいません、こんな暗い話しちゃって、空気悪くしちゃいましたよね。」

 

「…いや。大丈夫だ。」

 

「こういうのは先に言っておかなくちゃって思って、私なんかに愛情を持つ前に」

 

大丈夫じゃない、今にもこの世界の不条理を呪いたい。

 

「…じゃあ、早く帰りましょう。まだお母さんに会った事ないので今から会うのが楽しみですね。」

 

「ああ、そうだな。」

 

彼女の声に変えす。不思議と消えていたあの感情は一時的な病気の様な、

 

すると、夜道の電灯の下で、

 

次の瞬間だった。

 

 

 

 

「………っ、…え、、、」

 

 

 

 

彼女は怯えた様に、

 

震えた様に、

 

そう呟いた。

 

 

 

明らかに普通じゃない。

 

何かに怯えている様で、

 

 

ーーーまるでトラウマが目の前にいる様な、

 

 

 

 

過ぎていく気配が消え去る頃には、標準という状況が分からなくなっていた。

 

 

 

いくら聞いても「な、……なんで、」としか答えない。

 

 

 

「ど、どうしたんだよ、、、?」

 

「なんで?なんで、彼が……?」

 

 

 

そういった次の瞬間だった。彼女は怯えたよう俺の両腕を掴み、大声で言う。

 

 

 

「は、早く帰りましょう!!」

 

 

 

 

「え、お、おう、」

 

腕が震えてる。何があったのだろうか?

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

「………へぇ、」

 

 

 

 

電灯の影で瞳が濁りを見せながら光る。

その瞳はあの二人の影を捉えていた。

口元は釣り上がり、楽しそうに笑みを浮かべる。

 

しかし、ふと、片方の影に目を向けると顔を歪めた。

 

「……誰だ?……アレ?……イルノ?….…あんなのが?」

 

 

歪みは少しずつ確実に増えていく。

 

 

「ハハ、アレいらないよ、だって心ちゃんは単体であるべき物なんだ。別の異物が紛れ込んでる。

あはは、いらないおもちゃは捨てなくちゃ、」

 

 

笑い声が出る。

 

 

「ゴミはゴミ箱、おもちゃはおもちゃ箱、

 

ふふ、あれはゴミ箱だ。」

 

 

 

彼女がいなくなる頃にはその影は消えていた。

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