君の激情に恋をして   作:考える人

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文字数が安定しないのはあきらめた。


景から見た幼馴染

 

「うん、わかった。先生に伝えておく」

 

『ありがとう。あと今日は夕方から――』

 

「バイトでしょ?大丈夫、その間ルイくんとレイちゃんの面倒は僕が見るから」

 

『ほんとにありがとう。またお礼はするわ』

 

「いいって、そんなの。仕事頑張ってね景」

 

『うん』

 

 そう言って、景との通話が終了する。

 

 景がオーディションを受け、残念ながら落選した次の日。

 高校に到着早々、スマホの着信音が鳴り、相手を確認するとそれは知らない番号。

 迷惑電話かとも思ったがとりあえず出てみると、声の主は景だった。

 

 なんでも景曰く、オーディションには落ちたが、役者としてⅭM撮影を行うことになったらしい。

 

 ヒゲがどうこう、拉致されたがどうこうと、よくわからないことも言っていたが、無事役者としての一歩を踏み出せるようで安心する。

 

 きっとこれからも、仕事で学校を欠席するようなことは増えていくはずだ。

 僕はこのまま高校へと通い、景は役者の道へと進む。

 僕と景の道はここから別れ、交わることもなくなっていく。

 景はスターへと駆け上がり、少しずつ会う時間も減っていくのだろう――

 

 けど、これでいい。

 いいんだ、これで。

 

 

 こうして僕は自分に言い訳をする。

 締め付けるようなこの胸の痛みを、なかったことにして。

 

 

ーーーーーー

 

 

 私、夜凪景にとって光は、間違いなく特別な存在だと言い切れる。

 たった一人の友達であるということもそうだし、いつだって光は傍にいてくれた。

 

 父に捨てられたあの時も、母を亡くしたあの時も、光は離れることなく私を支えてくれた。

 ルイとレイが生まれて、思わず笑ったその喜びを共有したのも、家族以外では光だけだった。

 思えば当然のように光は私の隣にいて、多くの出来事と、それに伴う感情を共有してきた。

 それこそ小学生のころから数えると、10年近くの仲になる。

 

 光にはいつも何かをしてもらってばかりで、申し訳ないとは思っていても、どうしてもその優しさに甘えてしまう。

 私からはほとんど何も返せていない。

 あえて言うなら、私の作った料理をたまに振る舞うくらい。

 

 光に対して恋愛感情はあるのか?と問われれば、あるかもしれないというのが正しい気がする。

 私と光が恋人同士になって、イチャイチャな恋人生活を送るなんてことは微塵も想像できないけれど、光が私の傍からいなくなるというのも想像できない。

 もし光から『結婚しよう』と言われれば、ためらいなく受け入れてしまうんじゃないかと思う。

 

 じゃあ光の方は私のことをどう思っているのだろうか?

 

 自分でいうのもなんだが、私は光以外に友達がいないし、人付き合いが得意とは言い難い。

 いつのことだったか、ストレートに『私といて楽しいの?』と光に聞いたことがある。

 

『……楽しいよ。自分でもびっくりするくらい』

 

 そう言った光は、なぜか悔しげに笑っていたのを覚えている。 

 言葉と表情があまりにもちぐはぐで、けれど、本当の(・・・)光を見た気がしたから。

 

 どうあれ、私たちはお互いが大切な相手だと考えているのは確かで。

 きっとこれからも私の隣には、当然のように光がいるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時の私は、そう思っていた。

 

 

ーーーーーー

 

スタジオ『大黒天』事務所

 

 

 そこには天使がいた。

 

 私が所属するスタジオ『大黒天』の映画監督、黒山さんに言われテレビをつけると、同い年くらいの少女が映画製作の記者会見を行っている。

 テレビに映るその少女に、私も、ルイもレイも、一瞬で夢中になった。

 

「女優、百城千世子。今一番売れてる若手女優だな。お前たちの世代の代表格だ。夜凪、こいつをどう思う?」

 

「一瞬で私たちを夢中にさせた、綺麗…なのに顔が視えない(・・・・・・・・・)

 

 私の言葉に、黒山さんは満足げに笑う。

 

 そう、こんなにも輝いているのに、百城さんは仮面を被っているようで。

 そしてなぜか、その姿が光と重なった。

 

「私この人に会ってみたい」

 

 

 

 




どうあがいても幸せになれそうにないキャラが好き。けど幸せになってほしい。
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