【朗報】修羅場系パーティーに入った俺♀だったが、勇者とフラグの立たない男友達ポジションに落ち着く   作:まさきたま(サンキューカッス)

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47話「奴隷♂オークション」

「どうも初めまして、勇敢な冒険者のみなさん♪」

 

 その女性は、ニコニコと満面の笑みを浮かべ。

 

 カールの腕に抱き付きながら、俺達と挨拶を交わした。

 

「私は諸国を旅するシスター、イリューと申します。よろしくお願いしまーす!」

 

 その顔に、悪意や謀略は感じない。

 

 修道女はただ嬉しそうに、カールに頬擦りして照れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

「……」

 

 デレデレ。もう、カールはデレっデレであった。

 

 やはりカールも男の子、かわいい女の子に誉められたら悪い気はしないらしい。

 

「……カール。寝ずの番、お疲れさま」

「おう、おはようレヴ。あっははは、それがイリューさんと一晩中話をしてて、一夜があっという間だったよ」

「ふーん……」

 

 レヴが声をかけると、カールは機嫌良さそうに笑って返した。

 

 この男、相変わらず危機察知能力が低い。

 

「おはよ、サクラにイリーネ。何かマイカ達、機嫌悪くねぇ?」

「あ、ええっと。機嫌は悪いと思いますわ?」

 

 お前のせいでな。

 

 朝っぱらから好きな男が女にデレデレしてる姿を見せられて、気分が良い訳ないだろう。

 

「……成る程! 貴女が、イリーネさんですね!」

「え? ええ、その通りですわ」

「昨夜は、どうもありがとうございました!!」

「わぷっ!?」

 

 その不和の張本人たるシスターは、俺の名を聞くと目を輝かせて抱き付いてきた。

 

 ……うお、胸でかっ!?

 

「貴女とカールさんが、私を助けてくれたんですよね? うふふ、見た目によらずイリーネさんは勇敢なんですね♪」

「え、あ、いえ。私は貴族として当然の事を……」

「魔導杖をお持ちと言うことは、イリーネさんは魔術師なんですか? なのに賊の一人を仕留めたとか! 凄いです!」

「そ、その、大したことでは無いですわ」

 

 そのシスターは俺の胸に飛び込んでくると、尻尾を振る犬の如くじゃれついてきた。

 

 な、なるほど。さっきまでカールはこんな状態だったのか。

 

 邪気は感じないけど、振りほどくのも悪い気がする。

 

「……カール、あの人が離れてちょっと残念そう?」

「そ、そんな事はないぞ!」

「……じー」

 

 そんな俺達の様子を、何とも言えぬ顔で眺めているカール。

 

 絶対、シスターさんのおっぱい堪能してただろ。

 

「イリーネさんは、どんな魔法が使えるんですか? やっぱり、攻撃魔法ですか?」

「え、ええ。そんな感じです」

「成る程! それとそれと、イリーネさんって好きな人とか居るんですか!?」

「え、えええ!?」

 

 グイグイくる。

 

 俺が、この修道女さんから感じた印象はそれだった。

 

 結構悲惨な目に合わされてた筈なのに、この元気は何だ。存外にメンタル強いのか、この娘。

 

 

「はいはい、イリーネも困ってるでしょぉ? 一旦ご飯にするわよ」

「きゃー♪」

「た、助かりましたわ」

 

 

 助けた少女のあまりのコミュ力にタジタジしていると、サクラが女の子を引き離してくれた。

 

 抱き付かれても別に悪い気はしないのだが、圧の強い人間は得意ではないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やー、焦りましたよ。もういきなりガバッ!! と襲われましたね」

「……仲間は居なかったの? 一人旅?」

「そうですそうです、一人旅なんです。ちょっと仲間と喧嘩別れ? みたいなノリで前の街でパーティー解散しまして」

 

 修道女イリューから話を聞くと、なんとこの娘は一人旅をしていたそうだ。

 

 悪党族の話は聞いていたけど、実際襲われることはないだろうと高を括っていたらしい。

 

 危機意識大丈夫か。

 

「やー、マジで襲われるんですね。あのままだと私、アジトとかに拉致されて汚い欲望の捌け口に……」

「ああ、危ないところだったぞ。次から気を付けてだな」

「きゃー! 可愛いってのも本当に困りモノですよね、えへへ♪」

「ダメだこの娘、メンタル超強い」

 

 襲われて拉致される寸前だったのに、なんだこの余裕。

 

 マイカの裁縫道具を借りて修道服をなんとか縫い合わせたものの、まだ彼女の服は穴だらけだというのに。

 

「たった一人で何処へ行くつもりでしたの?」

「レッサルですよ。あそこの大聖堂って有名じゃないですか。私はパーティー解散しましたし、冒険者辞めて雇ってもらおうかと思って」

「……あぁ。だったら、ここの大聖堂はやめといた方が良いわよ」

 

 イリューの旅の目的は、レッサルの大聖堂で就職する事だそうだ。

 

 それはまた……、運が悪いというか。

 

「何でですか?」

「ここの大聖堂は、ただの腐れ貴族の搾取組織だ」

「……えー」

 

 わざわざ大聖堂へ就職するため旅してきたイリューには悪いが、敢えて伝えておこう。

 

 あの町の聖堂はカスであると。

 

「とりあえず私らは、賊どもを引き渡し次第この街から去るつもりよ。イリューはどうする?」

「そうですね。一度、自分の目で大聖堂を見てきます。貴殿方の言うように、腐っているのかどうかも含めて」

「じゃ、お別れね。村の中は宿の営業が禁止されてて、大聖堂で宿泊するには500Gかかるけど大丈夫?」

「えっ、何それは」

 

 がびーん、とイリューはショックを受けた顔をした。

 

 そうだよな。常識的に考えて頭おかしいよな。

 

「そんな大金持ってないです……」

「マジでここの連中腐ってるぞ。悪いことは言わねぇ、早いところレッサルを去った方が良い」

 

 まぁ、大聖堂を自分の目で確かめたいなら好きにすればいい。

 

 常識的な人間なら、すぐそのヤバさに気が付くだろう。

 

「その話が本当なら、私の行く当てが……。ここの大聖堂で土下座でも何でもして、なんとか雇ってもらうつもりだったのに」

「……他に当てはないのか?」

「もともと根無し草の冒険者でしたからね。孤児なので親戚もないです」

 

 儚げな表情で、うるうると俺達を見つめてくる修道女。

 

 うーむ、流石に放ってはおけんか。

 

「なぁ、イリュー。俺達が警備(ガード)に賊を突き出している間に、大聖堂を見てきたらどうだ。それで見切りをつけたなら、俺達と一緒に別の街に行くか?」

「良いんですか!?」

 

 カールも同じ気持ちだったようで、イリューを旅に誘う事にした。

 

「是非お願いします、もう襲われるのはこりごりです!」

「そりゃそうだよな。よし、じゃあ街の入り口で待ち合わせようか」

「分っかりました!!」

 

 イリューは二つ返事で、カールの提案に乗ってきた。

 

 危険な魔王討伐の旅に同行させるつもりはないが、他の街へと送り届けるくらいはしてやっても良いだろう。

 

 

 

「……結局、そうなるのね」

「まーた女の子が増えたわね」

 

 

 

 うん。俺は何も見ていない。俺やサクラの加入に好意的だったマイカですら舌打ちしてるけど、俺には関係ない。

 

 このパーティの男女比がエラいことになってきたのも気にしない。俺を男と換算したらセーフ。

 

「カール。後ろから刺されても知りませんわよ?」

「え、何の話?」

 

 俺やサクラと違い、カールに露骨に好意的なのが彼女らの琴線に触れてるんだろうな。

 

 カールに興味のない俺やサクラが、上手く人間関係をケアしていかねばなるまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うわっ。生け捕りにしたのか、賊を」

「うわっ、て何だよ」

 

 俺達が警備の詰め所に簀巻きの賊を連れて行くと、何故か渋い顔をされた。

 

 お前らの代わりに討伐してやったのに、何だその顔。

 

「いや、まぁ賊の身柄は預かるけども。何でわざわざ、レッサルに連行してくるかなぁ」

「ここが一番近かったからだが。不都合でもあるのか?」

「お前ら、ウチの街に軍事力が無いことを知らんのか?」

 

 警備の人は苦虫を噛み潰したように、舌打ちした。

 

「アホのお上が、争いのためのお金は無駄だとかホザいて軍事費を削り切ったんだよ。レッサルには賊を収監する牢屋もなければ、他の街に移送するだけの人手も器具もない」

「……え、では治安維持はどうしているのです」

「今代の領主に変わってからは、治安維持なんて何もしてないぞ。頭がおかしくなるぜ、まったく」

 

 ……アホだ。正真正銘の、アホ貴族だ。

 

「ここは確かに警備の詰め所だった場所だが、今は警備の役目自体無くなってる。俺の仕事は単なる門番だよ、夜になると門を閉める役目」

「……警備のいない街って、犯罪を起こし放題では?」

「悪人は報告すれば、コリッパの私兵団が捕らえてはくれる。ただ、コリッパの機嫌次第で釈放されたり、惨殺されたりするから法に価値がない」

 

 思った以上に世紀末だった。

 

 施政者の機嫌次第で有罪にも無罪にもなるとか、話にならん。

 

「民が悪さをするのも、みな信心が足らぬため。コリッパは民の信心を高めるために、優秀な統治者だった前領主の像を立て以前の栄華を取り戻そうと画策しているらしい」

「いや、民が悪さするなら取り締まれよ」

「よくそれで、今まで街を保てていましたわね」

「いや、先代のゴリッパ様も宗教に偏執していたが、最低限の政務は全部やってたんだ。だが2年前にゴリッパ様が病死してから、治安は荒れ果てて移住者だらけになり、資金は足りず大聖堂も大赤字になった」

 

 あー。ヤツの父親は一応、最低限の施政者としての仕事はしてたのか。

 

 ここまでひどくなったのは、ドラ息子が後を継いでからって事なのね。

 

「ゴリッパ様の統治には不満は無かったが、息子のコリッパは施政者の器じゃない。父が死んでから、半ば病んでるよアイツ」

「……」

「父の時代は全て上手くいっていたからこそ、今もなお父親にすがろうとしている。その妄執の果てが、馬鹿でかいゴリッパ様の巨大石像って訳さ」

 

 そう苦々し気に吐き捨てる門番は、心底『コリッパ』を嫌っている様に見えた。

 

「俺も近々、レッサルを出ていくつもりだ。ウィン領に暮らしている兄を頼って、住居が確保できれば移り住む」

「……その方が、よろしいでしょう」

「だが、他に伝手の無い貧しい奴はここレッサルで暮らすしかない。……アイツさえマトモなら、こんな思いはしなくて済むんだがな」

 

 まともな指導者だった父ゴリッパとやらは、息子の教育に失敗した。

 

 そのドラ息子の暴走で、多くの民が苦しんでいる。それがこの街、レッサルの現状だ。

 

「レッサルは、終わった街さ。今までは自警団が必死で治安を保っていたみたいだが、それも先日解散させられちまった」

「自警団が、解散した?」

警備(ガード)が居なくなった直後は治安が悪化してな、一時期はスラム街並の治安だった。その有様を見て、正義感の有る街の若い男連中が自警団を組織したんだ」

「……いい連中じゃないか。それが、どうして解散した?」

「それも、コリッパだよ。住人から寄付金を貰って運営してた自警団を『営利組織』だと言い出してな……、普通の商社と同じ扱いにして重税を課したんだ。もとより赤字でギリギリ運営していた自警団は、そんな税金を払いきれず解散。夜逃げしようとしたところをコリッパの私兵団に捕らえられて、メンバーは全員奴隷落ちだそうだ」

「何だよソレは!! 胸糞悪い!」

 

 あぁ。

 

 聞けば聞くほど、腐っていやがる。もう猿仮面被って、コリッパの屋敷を焼き討ちしてやろうか。

 

「今日、街内で自警団メンバーは競りに掛けられるそうだぞ。金に余裕があるなら、解放してやってくれないか」

「……金に余裕はあるけど、流石にそんな無駄遣いは出来ないわよ。そもそも、私達の金がコリッパとやらの懐に入るのが我慢ならないわ」

「だよな。言ってみただけだ」

 

 アホみたいな巨費を投じて、遠目からも分かる程デカい石像を建てるコリッパ。

 

 本気で精霊砲を大聖堂にぶっ放した方が、全て上手くいくんじゃないだろうか。

 

「……どうする?」

「見るに堪えん、さっさと街を出よう。関わり合いになりたくない」

「何とか、出来ませんの? その自警団の方々が、気の毒すぎますわ」

「この地の法は、コリッパだ。いくらイリーネが貴族とは言え、ここで揉め事を起こしたりしたら……。最悪犯罪者として、指名手配される」

 

 う、それはマズい。

 

 犯罪者になれば実家に迷惑をかけてしまうし、今後の旅も苦しくなる。焼き討ちは、流石にまずいか。

 

「私達に出来ることは無いわ、我慢しなさいイリーネ。それにまぁ、何とかなるんじゃない?」

「サクラさん、何とかって何ですの」

「何とかは何とか、よぉ。貴方達は感じないかしら?」

 

 そのあまりの『やるせなさ』に地団太を踏んでいると、サクラは何故か楽しそうな顔で街の中を見ていた。

 

 ……何を見ているんだ?

 

「ねぇ皆、敢えて競りとやらを見に行かない? 私の勘が正しければ、面白いものが見えるわよぉ?」

「面白いもの?」

 

 戸惑った声を出したカールに、サクラは小さくウィンクした。

 

「きっと、スッとするわよぉ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────コリッパ、討つべし!」

 

 サクラの言葉が気になったので、街の中心の広場がよく見える丘へ行くと。

 

 奴隷売り場では民衆の怒号と罵声が飛び交い、私兵団との大乱戦が勃発していた。

 

「あの男を引き摺り降ろせ!!」

「自警団の連中を救え!!!」

「今までの恨みを晴らしてやるんだ!!」

 

 ああ、これは。

 

 ついに起こるべくして、コリッパに対する反乱が起こったのだ。

 

 

「ね、面白いでしょぉ?」

「……サクラ、何故これが分かったんだ?」

「戦争の間際には、特有のピリピリした空気が民を覆うの。昨夜から今日に掛けて一気に空気が張り詰めてたからそろそろかなぁ、ってね」

 

 

 成程、年がら年中ドンパチやってたサクラだからこそ感じ取れるものが有ったらしい。

 

 サクラはレッサルの民が蜂起するのを、肌で予感していたようだ。

 

「あ、奴隷の人達が解放されましたわ」

「そして戦線に加わったわね。これ、もう勝負あったわ」

 

 やがて捕らえられていた自警団メンバーは、蜂起した民衆により解放され、武器を貰い立ち上がった。

 

 自警団メンバーは戦線に加わるや否や、私兵団とやらをビシバシなぎ倒し、舞台上で顔を青くしている派手な服を着た男────おそらくコリッパ目掛けて咆哮している。

 

「練度が段違いね。そもそも、私兵団に勝ち目は薄そう」

「……あの自警団、多分もともと警備(ガード)出身だと思う。動きがプロのそれ」

「あーね、そりゃ私兵団程度じゃ勝ち目ないわ」

 

 2年間、民衆は我慢したのだ。

 

 貴族には向かえば、どんな目に遭うか分からない。魔法で焼き払われても文句は言えない。

 

 だが、今日とうとう堪忍袋の緒が切れたのだろう。

 

「あ、コリッパが何やら詠唱を始めましたわ。火属性の魔法ですわね」

「この距離から聞こえるの、イリーネ」

「いえ、精霊が集っているのが見えただけですわ」

 

 ふむ。かなりショボい魔法だな、魔法使いとしてもかなりのヘッポコだぞコリッパとやらは。

 

 ……あー、一応やっとくか。

 

 

「……喝采せよ(プラウディツ)喝采せよ(プラウディツ)

「あ、それって」

 

 

 そう、筋肉天国(マッスルミュ-ジカル)の詠唱だ。あの広場に、魔法無効の結界を展開してやろう。

 

 コリッパのよわよわ魔法とはいえ、誰か火傷したら可哀想だ。

 

「ま、そのくらいの援護ならバレないか」

「これで、正真正銘勝ち目ゼロになったわね」

 

 蜂起した住人により、コリッパは誅殺される。

 

 この街は貴族不在となり、じきに近隣の貴族家から代理の統治者が派遣されてくるだろう。

 

「────古代闘技場よ(アンティーク)いざ咲き誇れ(コロッセオ)

「わ。やっぱり綺麗な魔法」

「うし。これで、もうこの街でやる事はないな。イリューとの待ち合わせ通り、街の入り口に行くか」

 

 俺は丘の上から、突如として魔法が使えなくなって目を白黒させているコリッパを一瞥し、やがて視線を外した。

 

 あの男がどうなろうと、知った事ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうこの街でやる事はない。後は、イリューと合流して街を去るのみ。

 

 ……その、ハズだった。

 

「わ、わあああ!! カールさん、カールさん!」

「お、おお。イリュー、どうした?」

「大聖堂に行ったら何か凄いことになってて、そこら中で火の手が上がってて!! 私も『大聖堂の関係者か!!』って斬りかかられそうになって」

「……ああ、ご愁傷様」

 

 俺達と別れたイリューは、1人で大聖堂に行って、関係者と勘違いされ襲われたらしい。

 

 そして命からがら、逃げ延びたのだとか。

 

「何ですかこの街!! ヤバいですよ、マジヤバです!!」

「ま、まぁそうだな。レッサルはヤバい街だ」

「こんな街で暮らしていけません! 私は、逃げさせてもらいます!!」

 

 イリューは、早くもレッサルに見切りをつけたらしい。

 

 うん、その気持ちはよくわかる。よりによってクーデター起きた日に見学に行ったわけだからな。

 

「しかも、しかも!! カールさん、アレ見てください」

「アレ?」

「アレですよ、アレ!!」

 

 イリューはテンパった表情のまま、街の外を指さした。

 

 そこには……

 

「……げ、アレって」

「悪党族?」

 

 見るからにガラの悪そうな連中が、平野を駆けて数百人単位で接近してきていたのだった。

 

 昨日捕らえた賊と、同じようなファッションだ。

 

「これはきっとアレです、私達が賊を輸送したのを見られてたんです!」

「あー、仲間を取り戻しに攻めてきたわけね。レッサルがろくに軍備されてないのを良いことに」

「ど、どどどどうしましょう!? あ、あんな大勢力、どうすれば良いのでしょう!? 既に街は大混乱なのに、賊まで攻めてきてしまったらもう……」

 

 イリューはアワアワしながら、左右へ首を振って目を回している。

 

 まぁ、賊の本隊が攻めてきたわけだからなぁ。そりゃあ、ビビるだろう。

 

「つまりあの連中は、俺達の撒いた種って事か。じゃあ、俺達でケリを付けてやらねぇとな」

「カール、どうします? 筋肉天国(マッスルミュージカル)を解除すれば、精霊砲を使えるようになりますが」

「ん、別に大丈夫。あのくらいなら────」

 

 徐々にレッサルへと距離を詰めてきている、百を超える悪党の群れを前に。

 

 

「俺一人で十分だ」

 

 

 カールはそう言って不敵に笑い、ゆっくりと剣を抜いた。

 

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