耳郎さんと   作:元サッカー部

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歌姫と幼馴染

中学三年 春

閉められたカーテンの隙間から零れる日差しを浴びながら、惰眠を貪る。これは窓側の席に与えられた特権であろう。しかし、それを邪魔する存在が現れる。

 

「森也、起きなよ、ホームルーム、終わったよ。」

耳郎響香。僕の幼馴染だ。しかし、春の日差しが僕にもっと寝ろと囁いている気がする。故にもっと寝ることを主張する。

 

「今すぐ起きないと爆音だけどどうす「おはようございます!」うん、おはよう、お寝坊さん。」

僕は激怒した。必ずかの邪知暴虐な響香を除かねばならぬ。まあ、本当にそんなことすると起こしてくれる人いなくなるから出来ないけど。

 

「バカなこと考えてないで、早く帰るよ。」

 

「バカとは失礼な。これでも響香よりもテストの点はずっといいけど?」

 

「ウルサイ。」

事実を言っただけなのにひどい話である。

 

「早くしてよ、帰ってすぐ勉強するんだから。特訓もしたいし。」

 

「真面目だねぇ。」

 

「準備するのに越したことはないでしょ。」

 

「じゃあまた歌ってねぇ。響香ソロメドレーライブ。」

 

「はいはい、また今度ね。」

響香のソロメドレーライブは僕と響香の二人だけの秘密である。幼稚園の時に響香が歌っているのを聴いたのが始まりだった。家が隣同士だったことも相まって、休みの日にはほぼ毎日どちらかの家でリサイタルを行った。最近も頻度こそ減ったものの、それでも月に2・3回は歌ってもらっている。ちなみにそれとは別でカラオケには行ってお互いに歌っている。

 

 

 

「おっ、二人ともお帰り。」

 

「ただいま、森児兄さん。」

 

「どうも、シンリンカムイ。お疲れ様です。」

 

「今日は夜勤で今はオフだから、シンリンカムイじゃないよ。」

母方の兄の子、つまり僕の従兄にあたる西屋森児はシンリンカムイとしてヒーロー活動をしている。若手実力派らしく周りから今後を支える中心的なヒーローと期待されているらしい。家でいるときはそんな感じないけどね。普通の近所にいるお兄さん的な。

 

「しかし、いつ見てもすごいね。そのガーデニング。」

 

「家の自慢だよね。」

 

「そうだな。花以外にも裏には小さい畑があるしね。」

家庭菜園としてトマトやラディッシュ、ジャガイモに小松菜、変わり種としてビーツやパクチー、バジルも育てている。トマトやラディッシュなどは春まき、小松菜やビーツは秋まきと種をまく時期が違うので基本的に一年中野菜を育てている。

 

「住宅街によくそんなのあるよね。たまに野菜おすそ分けして貰うからありがたいけどさ。」

 

「また持っていくよ、おばさんにもよろしく言っといて。森児兄さん、特訓付き合ってくれない?二人でやるよりプロヒーローが相手の方がいいと思うし。」

僕の家には畑があるが道場もある。しっかりとしたなんとか流とかの流派を守ってる、とかじゃなくて普通に筋トレとか特訓用の。

 

「おっ、二人とも雄英志望だったな。いいとも。先に中入ってて。野菜いくつか回収してくるから。」

 

 

 

 

「それで、僕は何をすればいい?知っての通り、火力はあまりないから、出来ることは限られてくるけど。火力なら森也の方が上だしね。」

 

「どうすんの?」

響香に誘われるがままの特訓なので僕は特に考えていない。考えるのは響香の役目だ。

 

「手数の多い攻撃をしてほしいです。もしくは捕縛。回避の練習とかをしようかと。森也もそれでいい?」

 

「僕は何でも構わないよ。響香先にどうぞ。森也兄さんにはよく稽古つけてもらってるから。」

 

「りょーかい。それじゃ、よろしくお願いします。」

家について特訓を始めたのが16:30。それで今が19:00だから小休憩をはさみつつだったけど最低2時間、森児兄さん(プロヒーロー)を相手に特訓を続けた。

 

「今日はこれくらいでいいかな?そろそろ家を出ないとだから。」

 

「はい、ありがとうございました。」

 

「ありがとね。森児兄さん。夜勤頑張って。」

 

「うん、二人も頑張ってね。」

 

 

 

「どうする、続ける?それとも今日は僕たちもあがる?」

 

「一回だけ一対一しない?」

 

「いいよ。負けないし、手加減とかしないでいいでしょ?」

 

「むしろしたら怒るよ。明日からの起こし方が変わるかもね。」

それは勘弁だね。気持ちよく目覚めたいし。

 

「それじゃ、始めようか。いつでもどうぞ。」

 

「お言葉に甘えて、行くよっ!」

言うや否や突っ込んでくる響香。響香の最大攻撃範囲は半径6メートルと射程が広い。プラグの先に当たらなければ大きな問題はないが、捕縛されたらどうしようもない。故に遠距離を保ちたいが。

 

「腰が引けてるよ!引いてばかりだと起こし方変えるよ!」

この脅しである。真面目にしないと後が怖いから。

「分かったよ。行くよ!草結び!」

畳に手をつき、畳を、というよりは畳の素材のイグサを操作する。相手の足を止めるための技だが、

 

「相変わらず初手はそれだね!もう慣れたっての!」

幾度も共に訓練をしている響香からしたらかわすのは容易であり、足を止めるどころか寧ろ寄ってくる。が、

 

「もらったぁ!」

正面から前方から両耳のプラグが向かってくる。それをかわさず、受け止めて無力化する。

 

「コットンガードッ!」

どこからか現れた綿毛を前方に集めプラグの勢いを落としそして掴む。

 

「そんなのあり!?」

 

「ありだよ!ヒーローはいついかなる場合にも対応って森児兄さん言ってたよ!」

さて、どうしうようか。プラグを掴んだことで響香の攻撃手段はもうないはず。これまでの恨み、晴らさで置くべきか!

 

「なんか変な事考えてない?」

 

「ソンナコトナイヨ?」

 

「嘘だ!」

相変わらず感がいい。

その時、今まで気になったけど、実行したことも響香に聞いたこともなかったが、今ならできるのでは?と思った。

このプラグ、しょっちゅう刺されこっちは痛い思いをするが、響香はどうなのだろうか。

そう思いプラグの先端に指の腹を当て軽く撫でると

 

「ひゃん!?」

聞きなれない可愛らしい声がした。一瞬頭がフリーズしたが、この場には僕と響香しかおらず、僕じゃないなら響香しかいない。しかし、本当に響香なのか、とそう思い響香の方を向くと、顔はリンゴのように真っ赤になり、耳を押さえ少し震えている。もう一度撫でると。

 

「ひゃぁぁ!?」

更に顔は赤くなり、座り込んでしまった。

 

「ちょ!!やめて!!マジで!!」

睨んでいるんだろうが、顔は赤く、僕は立って、響香が座り込んでいることも影響し、上目づかいになっている。正直グッときました。

それが駄目だったんだろうか。緩んだ手からプラグが抜け落ちたが僕は気付かなかった。

 

「ふーふー、覚悟はできてるよね?」

気づけば目の前に響香がいて、顔は赤いものの、羞恥よりは怒りに見える。

 

「最後に言い残すことは?」

 

「明日からもいつも道理接してくれると嬉しいです。」

 

「死ねええぇ!!」

 

 

 

 

気が付いたのは次の日の朝だった。

母さんも家にいるなら起こしてほしいものだ。

夜勤から帰ってきた森児兄さんに心配されたが誤魔化せたと信じたい。




バトルシーン
1話の後書きに書いたように少しだけ戦闘シーン
使った技的には草結び、コットンガードの二つ。
ゲームではほぼ不可能だろうけど 痺れ粉→やどりぎのタネ→コットンガードの害悪戦法をどこかで使いたい。(ヒーロー的にはどうかと思うが。血を流さないからいいかもしれないが?)

1話2話の相違点(設定)
1話
・オリ主鹿児島から転校
これはシンリンカムイの出身地が鹿児島だからです。ですが家は別で、あくまで父と二人暮らしになりました。
・耳郎に一目惚れ
一目惚れと言っていいか微妙(カラオケの方でとるか、帰り道でとるか)だが想像はお任せします。


2話
・むしろシンリンカムイがお世話になっている。
原作でもともと鹿児島出身でどうして静岡あたりでヒーロー活動をしているのか?ということでオリ主の家に転がり込んでいます。
・耳郎と幼馴染
幼稚園の頃からの付き合いです。周りからはカップルとして見られるが、付き合ってはいない模様。

1話2話どちらをシリーズ化するか

  • 1話 転校バージョン
  • 2話 幼馴染バージョン
  • 両方 別々の作品として
  • 既存の作品の続きを書け
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