どうぞ、お楽しみください。
「はっ……はっ…はっ。」
街の中、天晴は駆ける。道行く人混みを潜り抜け、足を止める。
「ふぅ。」
息を整え、前を見る。そこには、カードショップ<ヒストリー>の看板があった。入り口に向かうと、自動ドアが開く。
(今日こそは!)
店内に足を踏み入れると、龍斗が手をひらひらさせていた。
「おはよう。」
「おはようございます。」
天晴は龍斗の元へ向かう。
「今日は誰とバトルするつもりだ?」
「ええっと……その。」
「?」
歯切れの悪い返答に龍斗は不思議な顔をする。
「他の人に何て声をかければいいんですかね?」
「まさか、お前。あれ以来、誰ともバトルしてないのかよ。」
「うっ。……実は…その通り…です。」
「マジかー。」
申し訳なさそうな顔をする天晴を見て、龍斗は呆れ顔になる。
その時、入り口のドアが開き、一人の少女が来店する。氷の様な印象をあたえる目付きの鋭い少女だ。
「おっ!あれは。」
それに気付いた龍斗に名案が浮かぶ。
「おーい!鈴音ー!」
少女が声に気付き、顔を向ける。龍斗は笑顔を浮かべながら手招きする。
「こっち、こっち。」
少女は表情を変えることなく、こちらに歩き出す。
「何か様ですか?」
「おう。実はこいつ、バトル相手がいないらしくてさ。良かったら、どうだろうと思って。」
龍斗が天晴の肩に手を置きながら言う。少女は、じっと天晴の方を見る。
「……いいけど。デッキ調整が終わってからで良い?」
「だってよ。」
「えっ!?あっ、はい。大丈夫です。」
少女は近くにあるテーブルに向かう。それを尻目に天晴は龍斗に抗議する。
「古賀さん!」
「大丈夫、大丈夫。殺される訳じゃあるまいし。……それに、初対面でしかも異性相手に慣れとけば後は怖い者は無いだろ。」
「それは、そうですけど。」
「調整終わったよ。」
いつの間にか、背後に少女が立っていた。
「RBS使えるぞ。」
「分かりました。行くよ?」
「は、はい。」
簡潔に述べ、少女はRBSのテーブルへ向かう。天晴もそれに続く。
「頑張れよ。」
龍斗小さく呟いてそれを見送るのだった。
「「ゲートオープン、解放!」」
天晴と少女はフィールドで対峙する。お互いに準備完了。
「
「えっ。」
「私の名前。」
「ああ。そう言えば、名乗ってませんでした。僕は時川 天晴です。今日は、よろしくお願いします。」
そして、深々とお辞儀する。
「うん。よろしく。先攻はどうする?」
「僕が貰っても良いですか?前の復習がしたいので。」
「わかった。」
「それじゃあ、スタートステップ。」
【ターンプレイヤー】時川 天晴
【ライフ】5
【リザーブ】3+S1
【手札】5
「メインステップ。放浪の創界神 ロロを配置。3枚トラッシュに置いて神託発揮。」
トラッシュに置かれたのは、道化竜 ギンガードラゴン、道化竜 ポルドラ&カスタードラ、クリメイションフレイム。
「ボイドからコア2個をロロに置く。…ターンエンド。」
天晴の後方にて、ロロに光が宿る。
「私のターン。」
【ターンプレイヤー】導木 鈴音
【ライフ】5
【リザーブ】4+S1
【手札】5
「パイオニア シルバーオールを召喚。」
白いシンボルが砕け、中から亀の様なスピリットが現れる。
「召喚時効果。3枚オープン。」
カードが捲られ、導きの少女ヴィーナ、氷女王ヴェルン・フロスト、メタルラージがオープンされる。
「導きの少女ヴィーナと系統:「起幻」を持つヴェルン・フロストを手札に加える。残りは破棄。」
メタルラージがトラッシュに置かれる。鈴音はさらに、手札からカードを出す。
「導きの少女ヴィーナを配置。」
後方に緑色の髪を靡かせた少女が現れる。
「3枚トラッシュに。」
デッキから小氷姫クラーラ、鎧装獣スコール、盾甲機レイド・キャバリアーが破棄される。
「系統:「起幻」を持つコスト3以上が3枚。よって、ボイドからコア3個をヴィーナへ。このまま、ターンエンド。」
(確か、白は防御力が高い。気を引き締めないと。)
バトルスピリッツには6色の色がある。天晴が使う赤。鈴音が使う白。その他に、緑、紫、黄、青の4色。その中でも、攻撃力が高い赤と防御に優れる白は対極に位置するのだ。
【ターンプレイヤー】時川 天晴
【ライフ】5
【リザーブ】4+S1
【手札】5
【フィールド】放浪の創界神 ロロ(2)
「道化竜ドヴェルグドラゴンを召喚。神託でロロに1コア追加。」
機械の様な体をした赤のスピリットが降り立つ。
「次に道化竜メルトドラゴンを召喚。」
カードをプレイマットに乗せる。
「あれ?」
しかし、反応しない。
「えっ、故障!?」
「違う。ドヴェルグドラゴンの効果。互いの創界神のシンボルは神シンボルとなり、変更出来ない。」
見かねた鈴音が説明する。
「ってことは…。」
リザーブのコアは2個、メルトドラゴンのコストは3、軽減は2。ドヴェルグドラゴンだけでは召喚出来ない。
「召喚はしないで、ターンエンド。」
【ターンプレイヤー】導木 鈴音
【ライフ】5
【リザーブ】4+S1
【手札】6
【フィールド】パイオニア シルバーオール(1)、導きの少女ヴィーナ(3)
「バーストをセット。」
「!?」
バースト。それは、指定された条件を満たす事で発動出来る能力。ターンに1度、手札からバースト効果を持つカードをバーストエリアに1枚だけ伏せておけるのだ。
「そして、導きの少女ヴィーナの神域。系統:「起幻」を持つカードを召喚/配置/使用する時、その軽減シンボルを満たす。よって、氷女王ヴェルン・フロストを4コスト支払って召喚。」
フィールドに透き通る様にきらびやかな人型のスピリットが出現。
「召喚時効果。ボイドからコア2個をこのスピリットに。神託でヴィーナにも1コア追加。」
「このまま、アタックステップ。ヴェルン・フロストでアタック。」
ヴェルン・フロストが深く息を吸い、勢い良く氷の息吹きを吐き出す。
「ライフで受ける。」
【ライフ】5→4
「ターンエンド。」
【ターンプレイヤー】時川 天晴
【ライフ】4
【リザーブ】5+S1
【手札】5
【フィールド】道化竜ドヴェルグドラゴン(1)、放浪の創界神ロロ(3)
「ゴッドシーカー ロロドラを召喚。神託でコアを増やしつつ、召喚時効果発揮。」
デッキの上から3枚のカードが捲られる。その中から、道化竜トリックスタードラゴンが手札に加わり、残りの2枚、絶甲氷盾、時空龍クロノ・ドラゴンがトラッシュへ送られる。
「手札に加えた、道化竜トリックスタードラゴンを召喚。不足コストはドヴェルグドラゴンより確保。よって、ドヴェルグドラゴンは消滅します。」
フィールド、ドヴェルグドラゴンと入れ替わる様にトリックスタードラゴンが現れる。
「アタックステップ。トリックスタードラゴンをレベル3へ。そのまま、トリックスタードラゴンでアタック。アタック時効果でクロノ・ドラゴンを手札に加えて、回復。」
トリックスタードラゴンが嘶きながら飛翔。真っ直ぐ鈴音に迫る。
「相手の手札が増えた事によりバースト発動。トリックスタードラゴンを手札に戻す。」
「えっ!?」
トリックスタードラゴンが白い光に包まれ、手札へ戻っていく。
「その後、このスピリットをコストを支払わず召喚する。浮遊要塞サルファ・ボトムを召喚。ヴェルン・フロストをレベルダウンして維持コアを確保。」
ヴェルン・フロストが脱力する。フィールドに巨大な鯨が現れ、浮遊。
「バーストでの召喚も召喚なのでヴィーナにコアを追加。」
「くっ……ターンエンド。」
【ターンプレイヤー】導木 鈴音
【ライフ】5
【リザーブ】4+S1
【手札】4
【フィールド】パイオニア シルバーオール(1)、浮遊要塞サルファ・ボトム(1)、氷女王ヴェルン・フロスト(2)、導きの少女ヴィーナ(5)
「ドローステップ。」
カードを引いた鈴音の雰囲気が変わる。ソウルコアをトラッシュに送り、カードを掲げる。そこから白のオーラが吹き出る。
「雪原の要塞、蠢く機械達の氷河。転醒ネクサス、白の世界を配置。」
オーロラがフィールドを包む。鈴音の後方に鉄塔が聳え立つ。
「そして、全てのスピリットを最高レベルにアップ。」
3体のスピリットにコアが振り分けられ力を漲らせる 。
「サルファ・ボトム レベル2でアタック。ターンに1度回復する。」
サルファ・ボトムが嘶きながら、直進。そして、トラッシュのソウルコアが白の世界へ置かれ裏返る。
「自分のスピリットが効果で回復した事により条件達成。」
「雪原に聳えよ、機械仕掛けの神!白き機神、転醒。」
「転醒した事により、カウント1追加。」
プレイマットの側面が展開し、カウントエリアが出現。そこにコアが1個置かれる。
そして、フィールドが凍り付き、迫り上がる様に現れるのは白き機神。瞳に光を宿し、動き出す。
「転醒時効果発揮。自分のトラッシュに白1色のスピリットカードが3枚以上あるとき、自分は、相手の手札2枚を内容を見ないで破棄する。」
白き機神の目が輝き、白い衝撃波が一直線に天晴の元へ。
「ぐっ!」
その衝撃で手札のトリックスタードラゴンと道化竜ドラゴ・フランケリーがトラッシュに飛ばされる。
「メインアタックは続いてる。サルファ・ボトム、行け。」
「フラッシュタイミング!絶甲氷盾を使用。バトル終了後、アタックステップを終了させる。このアタックはライフで受ける。」
サルファ・ボトムが突撃。天晴のライフを砕く。
【ライフ】4→3
「ターンエンド。」
【ターンプレイヤー】時川 天晴
【ライフ】3
【リザーブ】7+S1
【手札】3
【フィールド】ゴッドシーカー ロロドラ(1)、放浪の創界神ロロ(5)
「ロロの神域発揮。シンボルを赤に変更。そして、」
「時間を越えて、起源へ至れ。時空龍クロノ・ドラゴンをレベル2で召喚。」
トラッシュにソウルコアと普通のコア1個ずつが移動。
そして、空間を割りフィールドに時空龍クロノ・ドラゴンが登場。
「さらに、ロロドラをレベル2にアップ。効果発揮。手札の起幻を持つコスト5以上のスピリットを召喚する時、赤のシンボルを追加出来る。よって、1コストで時砂の竜子サンドラグラスをレベル2で召喚。」
星の様な輝きを放ち、サンドラグラスが召喚される。
「召喚時効果。BP10000以下のスピリット1体を破壊。破壊するのは白き機神。」
腹部の砂時計が輝き、舞い上がった砂が竜巻となって白き機神を襲う。瞳から光を失った白き機神は白のシンボルへと変わる。
「!?」
「根幻回帰。このスピリットが相手の効果でフィールドを離れる時、裏返して配置する。」
「それって……。」
「よって、白き機神を裏返し白の世界を配置。」
白のシンボルは後方の鉄塔へと吸い込まれていく。
「それでも、スピリットは減った。時空龍クロノ・ドラゴンでアタック。効果発揮、1枚ドロー。」
クロノ・ドラゴンが剣を構え、勢い良く駆け出す。
「シルバーオールでブロック。」
行く手を阻む様にシルバーオールは嘶きながら、突進。それを易々と回避するクロノ・ドラゴン。
BPはクロノ・ドラゴンが5000、シルバーオールが4000。
クロノ・ドラゴンは一瞬の隙を突き背後にまわる。そして、剣を振り上げ背中の甲羅ごと叩き斬る。爆発を起こし、シルバーオールは破壊される。
「BPはそっちが上。でもこれで転醒は出来ない。」
「まだだ!時砂の竜子サンドラグラスでアタック。アタック時効果。カウントを1増やす。」
再び砂時計が輝き、舞い上がった砂が今度は天晴のプレイマットへ。展開し、現れたカウントエリアにコアが1個置かれる。
「さらに、カウント1以上の時、起幻を持つスピリットを1体回復させる。回復させるのはクロノ・ドラゴン。」
フィールドで片膝をついていたクロノ・ドラゴンが起き上がる。
「サルファ・ボトムでブロック。ブロック時、回復。」
サンドラグラスにサルファ・ボトムが迫る。サンドラグラスはBP7000対するサルファ・ボトムはBP8000。
「フラッシュタイミング!フォースブライトドロー。BP3000アップ。」
サンドラグラスのBPが10000に上昇。砂の竜巻が複数に分かれ、四方八方からサルファ・ボトムを襲う。そのまま、爆散。
「時空龍クロノ・ドラゴンでもう一度、アタック。」
「氷女王ヴェルン・フロストでブロック。BP11000。」
氷の吐息でクロノ・ドラゴンを氷漬けにし、抱き締める様にクロノ・ドラゴンを砕く。そして、そこから時計を模した魔方陣が出現。トラッシュのソウルコアがクロノ・ドラゴンに置かれる。
「起源の果て、大いなる時の化身よ降り立て。時空龍皇クロノバース・ドラグーンに転醒。」
魔方陣よりクロノバース・ドラグーンが出現し、咆哮。
「転醒時効果。系統:「起幻」を持たない創界神を破壊。」
クロノバース・ドラグーンの息吹きがヴィーナを襲う。しかし、ヴィーナの展開した魔方陣の壁に阻まれる。
「ヴィーナは系統:「起幻」を持つ創界神ネクサス。破壊されない。」
「でも、回復は出来る。3度目のアタックだ。」
クロノバース・ドラグーンが巨体を上げ、動き出す。
「ヴェルン・フロストの効果発揮。1コスト支払う事で起幻を持つスピリットを回復させる。」
ソウルコアをトラッシュに置き、ヴェルン・フロストが起き上がる。そして、白の世界が再び裏返る。
「再び転醒せよ。白き機神。」
再びフィールドが凍り付き白き機神は姿を現す。
「転醒時効果。手札を2枚破棄。」
天晴の手札から、道化竜メルトドラゴンがトラッシュへ置かれる。
「白き機神でブロック。ブロック時効果。相手のスピリットを1体手札に戻す。クロノバース・ドラグーンを手札に。」
白き機神の衝撃波を受け、クロノバース・ドラグーンはフィールドから消える。
「そんな。……ターン…エンド。」
【ターンプレイヤー】導木 鈴音
【ライフ】5
【リザーブ】4
【手札】4
【フィールド】、白き機神(S1)、氷女王ヴェルン・フロスト(3)、導きの少女ヴィーナ(5)
「ヴェルン・フロストをもう1体召喚。召喚時でコア2個追加。レベル3。」
「アタックステップ。白き機神でアタック。アタック時効果。ロロドラを手札に戻す。」
衝撃波を受け、ロロドラが手札へ戻っていく。
「ライフで受ける。」
【ライフ】3→2
「続けて、ヴェルン・フロストでアタック。コストを支払って、白き機神を回復。」
ヴェルン・フロストの息吹きが迫る。その傍らで静かに白き機神が起き上がっている。
「ライフで受ける。」
【ライフ】2→1
「これで終わり、白き機神でアタック。」
天晴は手札を見る。全てスピリットカード。逆転の手立ては無い。それでも、天晴は顔を上げ、真っ直ぐに鈴音を見る。その様子に鈴音は一瞬、目を見開く。
「ライフで……受ける!」
白き機神の一撃が最後のライフを砕く。
【ライフ】1→0
「私達の……勝ち。」
鈴音の勝利宣言とともに2体のヴェルン・フロストは優雅にお辞儀をし、白き機神は微動だにせず悠然と佇んでいた。
「お疲れ~。」
バトルを終えると、龍斗がやって来た。そして、天晴の肩に手を置く。
「まぁ、プレイングミスは誰にでもある。そっから立て直しただけマシだろ。」
「うっ……はい。」
天晴は鈴音の方へ向かう。
「あ、あの、郡山さん。今日はありがとうございました。いいバトルは出来ませんでしたけど。」
「うん。そうだったね。」
「うぐっ。」
「だから、今度はいいバトルをしよう。楽しみにしとくから。」
「えっ!?……は、はい。ありがとうございます。」
鈴音は踵を返しながら顔だけを天晴に向ける。
「それと、アドバイス。最新弾のパックを買うといいよ。そのデッキと噛み合うカードが入ってるから。」
「はい。分かりました。」
「それじゃ。」
用は済んだとばかりに、鈴音は歩き出す。天晴も龍斗の方へ向かう。
「あの、最新弾のパックってありますか?」
「おう。あるぜ。」
「買います。」
「まいどあり~。」
会計を終え、複数のパックを手に近くのテーブルへ。早速開封を始める天晴をよそに、龍斗は鈴音に近く。
「んで。どうだった、あいつは?」
「まだまだ経験値が足りてないです。……けど、のびしろはあると思います。」
「へぇ、どうして?」
「最後まで諦めてなかったので。カードバトラーに一番大事な事ですから。」
「そうだな。ならあいつは伸びるな。」
龍斗は天晴を見る。
「あ、あ、あーー‼」
パックを開封していた天晴が仰天する。気になった龍斗は天晴の元へ向かう。
「どうした。」
「古賀さん。こ、これ!」
「おお!これは!」
それを見て、龍斗も目を見開く。そう。天晴の手に握られていたのは紛れもなく赤のXレアだった。
書いていて、コアの管理が難しいです。なので、実際に回しながら、書いてます。それでも難しい。カードゲームの小説って大変ですね。
稚拙な文章ですがこれからも頑張っていきたいと思います。
次回もお楽しみに。