お楽しみ下さい。
「あっ。」
ここは天晴が通う中学校。その玄関口で意外な人物と出会う。そこに居たのは、鈴音だった。
「……おはよう。」
「お、おはようございます。」
天晴は慌てて頭を下げる。
「同じ学校だったんですね。」
「みたい。私も驚いてる。」
「そ、そうなんですか。」
鈴音の全く変わらない表情に天晴は心の内で困惑する。
「ここで会ったが百年目ー!勝負だ!郡山 鈴音ー!!」
そこにかん高い声が響き渡る。勢いよく2人の前に現れ、その場でターン。そして、人差し指を鈴音に向けて決めポーズ。そこにいたのは見るからに活発そうな少女。
「はぁ。」
少女を見た瞬間、鈴音があからさまなため息をつく。
「えー。ノリ悪いですよー。そこは、
「フッ。良いだろう、我が好敵手、豊原 魔菜よ。今こそ、長きに渡る我らの宿命に決着を着けようぞ。」
的な感じで返してくれないと。」
対する少女は頬を膨らませ、抗議。
「誰がやるか。」
「ひ、酷い!ワタシとの関係はその程度のものだったの!!」
鈴音は文字通り頭を抱える。天晴はその様子にどうすることも出来ず途方に暮れる。
そして、少女は天晴の方を向くと、決めポーズを取って自己紹介。
「初めまして。ワタシは
魔菜は胸を張り、腕を組む。
「あ……はい。僕は時川 天晴です。よろしくお願いします。」
「うんうん。時川君……時川……時……。よし、君のあだ名はトッキーだ!!」
「ト……トッキー……。」
いきなりのあだ名呼びに天晴は困惑。
「えーっと、嫌でした?」
「いえ。ただ、あだ名で呼ばれるのは初めてなので、びっくりしてただけです。」
「そっか、そっか。」
一安心とばかりに魔菜が胸を撫で下ろす。
「それで、用件は何?」
すっかり蚊帳の外となった鈴音がため息混じりに聞く。
「あっ!そうでした。デッキ新しく組み直したんですよ~。」
「相手をしろと?」
「そうそう。」
「……まぁ、良いけど。」
「よし、それじゃあ、ヒストリーに向けてゴー!」
「これから授業なんだけど。」
鈴音は出ていこうとする魔菜を睥睨。その時、チャイムが鳴る。
「あ、時間だ!」
「それでは放課後ここに集合って事でよろしく~。皆の衆、また会おう!」
魔菜は一方的にそう決めるとあっという間に遠ざかって行くのだった。
「もしかして、僕も入ってます?」
鈴音の方を見る。
「だろうね。」
鈴音は頷く。その表情は見るからに疲れはてていた。
そして、放課後。玄関口に行くと、既に2人が揃っていた。
「全員揃いましたね。それではしゅっぱーつ。」
靴を履き、揃って外へ出る。
「そう言えば、台場は誘わなかったの?」
ふと思い出した様に尋ねる鈴音に対し魔菜は苦笑しながら答える。
「あー。誘ったんですけど、補習で先生に連れてかれました。」
「……そっか。」
「台場……さんってどなたですか?」
話が気になり、天晴は口を挟む。
「同じクラスのカードバトラーです。多分そのうち会えますよ。」
そうこうしている内にヒストリーにたどり着く。魔菜を先頭に中に入るとそこは異様な空気に包まれていた。
「くっ!……俺の負けだ!!」
1人の少年が地面に膝をつく。彼の前には3人組が立っている。中央には紫のバンダナを巻いた少年。右側には赤のパーカーを着た青年。左側には黄色のリボンを付けた少女。
「何事ですかねぇ?これ。」
眺める様に額に手を付けて魔菜が呟く。そこに龍斗がよってくる。
「腕試しだとよ。」
「腕試し?」
「何でも色んなショップを渡り歩いてはその店で片っ端から対戦しているんだと。」
「へぇ~。面白い事してますね。……良いこと思いついた。」
そして名案が浮かんだとばかりに魔菜は3人組へと向かう。
「ヘイヘーイ。そこのお三方。」
「あん。何だ?対戦希望か?」
3人組の1人。紫のバンダナを巻いた少年が魔菜を見る。
「その通り。ただし!」
魔菜は手を後方へ向ける。そこには、天晴と鈴音が。
「3on3。三対三のチームバトルといきましょう。」
「えっ!?」
「はぁ、また勝手に。」
鈴音は本日2度目のため息。
「あー……駄目でした……かね?」
「私は良いけど。時川はどうする?」
さすがに申し訳なさそうな表情で魔菜が振り向く。鈴音は天晴の方を見る。
「僕も良いです。参加させてください。」
「なら、決まりですね。」
天晴の返答に魔菜の表情に笑顔が戻る。
「こっちもオーケーだ。お前らの挑戦、受けて立つ。俺は
「それではこちらも、」
互いの自己紹介を終え、6人のカードバトラーが3人一組で並び立つ。
「先鋒は俺だ。」
陸がデッキを構え前に出る。
「なら、こっちは言い出しっぺのワタシがいきましょう。」
魔菜がデッキを手に前へ。
「「ゲートオープン、解放!!」」
そして、2人の呼び声にRBSが起動する。
店内にある巨大なモニター。そこに魔菜と陸の映像が映し出されていた。
「あの、豊原さんって強いんですか?」
天晴が鈴音に聞く。
「魔菜は私より早くから始めてるから、経験値は上だと思う。」
「それはつまり?」
「強いよ。」
「俺のターン。ドロー。」
【ターンプレイヤー】層間 陸
【ライフ】5
【リザーブ】3+S1
【手札】5
「創界神アヌビスを配置。デッキの上から3枚を破棄。」
陸の後方。長刀を携えた武人のごとき神、アヌビスが姿を現す。
デッキが捲れ、カードがオープン。
冥界の処刑人カルノ、ゴッドシーカー 冥神官オヴィラ、冥界の角龍人カスモがトラッシュに送られる。
「神託によりボイドからコア3個をアヌビスの上に置く。さらに、ネクサス、アヌビスの地底神殿を配置する。」
まずは階段が、そして、次に巨大な神殿が迫り上がる。
「これでターンエンド。」
【ターンプレイヤー】豊原 魔菜
【ライフ】5
【リザーブ】4+S1
【手札】5
「メインステップ。こちらも創界神を呼びましょう。創界神デメテールを配置。」
魔菜の後方より、数多の木々が生い茂る。その中心から魔方陣を用いてデメテールが出現。
そして、デッキから魔導女皇アンブロシウス、君想うトリックスター、魔導双剣ジェミナイヴズが破棄。デメテールの神託は系統 起幻:「導魔」のスピリットもしくは転醒ネクサス。よって、デメテールにコア2個が置かれる。
「まだまだいきますよ。ドルイドの少女マリンを召喚。神託でコア追加。」
黄色のシンボルが砕ける。スコップを携え、マリンがその姿を現す。
「そして、デメテールの神技。コア3個をボイドに送り、デッキを2枚破棄。その後、デッキの下から1枚ドロー。ワタシはこれでターンエンドです。」
「黄色のカード!って事は豊原さんは黄属性の使い手なのか。」
モニターを見ながら天晴は呟く。
「戦い方ちゃんと見てた方がいい。見て覚えれば、自分がバトルする時、役立つから。」
「あ……はい!」
鈴音のアドバイスを受け、天晴は改めてモニターに目を向ける。
【ターンプレイヤー】層間 陸
【ライフ】5
【リザーブ】4+S1
【手札】4
【フィールド】創界神アヌビス(3)、アヌビスの地底神殿
「暴走竜バリオウを召喚。レベル2。神託でアヌビスにコア追加。」
赤の甲冑を纏った恐竜が嘶きを上げ、フィールドに降り立つ。
「そして、アタックステップ。バリオウでアタック。行け!」
バリオウは主たる陸を見て頷くと、魔菜を目指して駆け出す。
「アタック時効果。デッキから1枚ドロー。そして、BP5000以下のスピリットを破壊。」
バリオウはマリンの懐に入ると鋭く長い鈎爪で切り裂く。爆発を起こしマリンが破壊される。
「マリンの破壊時効果。手札を1枚破棄することで疲労状態でフィールドに戻る。」
爆風が晴れるとフィールドに膝をつき、マリンが帰ってくる。
「このアタックはライフで受けます。」
【ライフ】5→4
「ターンエンドだ。」
【ターンプレイヤー】豊原 魔菜
【ライフ】4
【リザーブ】6
【手札】3
【フィールド】ドルイドの少女マリン(S1)、創界神デメテール(0)
「ドルイドの少女ブリジットを召喚。召喚時効果。デッキの上から1枚破棄。」
デッキからゴッドシーカー ドルイドの占い師セイラムがトラッシュへ。
「系統 導魔を持つカードが破棄された時、デッキの下から1枚ドロー。さらに、ネクサス。デメテールの魔導神殿を配置。」
石のサークル。その中心に巨大な樹木が茂る。
「そして、2体のスピリットをレベル2にアップ。デメテールの魔導神殿にもコア1個追加。」
魔菜は顔を真っ正面に向け、宣言。
「アタックステップ。2体のスピリットでアタック。」
マリン、ブリジット。2体のスピリットはそれぞれ魔方陣を出現させ、光の弾を発射。一直線に陸の元へ。
「ライフで受ける。」
【ライフ】5→3
「どうだ!ワタシはこれでターンエンド。」
ライフを2つ砕き、魔菜は得意気な表情を浮かべるのだった。
「なかなかやるな。」
陸が薄く笑みを浮かべる。そして、1枚のカードを掲げる。
【ターンプレイヤー】層間 陸
【ライフ】3
【リザーブ】5
【手札】5
【フィールド】暴走竜バリオウ(1+S1)、創界神アヌビス(4)、アヌビスの地底神殿
「なら俺のキースピリットで再逆転させてもらう。」
「地の底より輝け闇の紅玉。太古の化身、
フィールドに亀裂が入る。大地を突き破り、刀を携えし漆黒の恐竜が姿を現し、咆哮。
「アタックステップ。ディノヴェンジでアタック。」
ディノヴェンジがゆっくりと歩き出す。
「闇解放、発揮。BP12000までスピリット/アルティメットを破壊する。」
ディノヴェンジの刀が炎を纏う。
その瞬間、トラッシュから2枚のカードが浮き上がり、赤い光をディノヴェンジへ一直線に放射。
「この時、トラッシュにあるオヴィラ、カスモの効果。系統、地竜を持つスピリットのBP破壊効果を+2000させる。よってBP14000まで破壊する。」
光を浴び、纏う炎の勢いは徐々に強くなる。そして、刀を振るい、炎の斬撃がマリン、ブリジットを焼き尽くす。
「そして、自分のフィールドとトラッシュが【赤のカード&7枚以上】のとき、アヌビスのコア2個をこのスピリットに置くことで、相手のライフのコア1個をボイドに置く。ディノヴェンジはレベル2にアップ。」
ディノヴェンジの口から火の玉を発射。魔菜のライフを砕く。
【ライフ】4→3
「さらに、レベル2のアタック時。疲労状態のこのスピリットは、BP+5000され、相手の効果を受けない。」
ディノヴェンジが眼下に迫る。その眼は、獲物に狙いを定めた狩人の如く鋭い。その時、バリオウの足元から木々が生えてくる。その木々に閉じ込められ、バリオウがフィールドから姿を消す。
「何!?」
「系統:「導魔」を持つ自分のスピリットが、相手によってフィールドを離れたとき、相手のスピリット1体をデッキの下に戻し、1コスト支払って召喚できる。 」
魔菜が手札から1枚のカードを抜き取り、フィールドに出す。
「恵みを此処に。母なる大地の化身。豊穣の女王神テスモポロスを召喚。レベル3。」
フィールド全体が揺れる。大地が隆起し、巨大な樹が出現。その周囲を魔方陣が取り囲み、徐々に形を変えてゆく。木造の瞼が開き、瞳に輝きが宿る。
歌う様に、声を高らかに上げ、テスモポロスは召喚される。
「テスモポロスでブロック!BP16000。こっちの勝ち。」
ディノヴェンジを阻む様に、フィールドから蔦が纏わりつく。
ディノヴェンジはそう簡単にはやられまいと刀で迎撃するもBPは15000。手数が足りず隙をついたテスモポロスの拳が鳩尾に炸裂。ディノヴェンジは破壊される。
「くっ!ターン……エンド。」
キースピリットが破壊され、苦々しい表情のまま陸はターンの終了を宣言する。
【ターンプレイヤー】豊原 魔菜
【ライフ】3
【リザーブ】4
【手札】3
【フィールド】
豊穣の女王神テスモポロス(3+S1)、創界神デメテール(3)、デメテールの魔導神殿(0)
「メインステップ。2体目のブリジットを召喚。効果で1枚破棄。」
トラッシュに送られたのは系統:「起幻」を持つドルイドの少女マリン。
「デッキの下から1枚ドロー。さらに、トラッシュに系統:「起幻」を持つ黄のカードが増えた為、リザーブのコアをデメテールの魔導神殿に置き、転醒。ドルイドの巫女ジェニファ。カウント+1。」
神殿が黄色のシンボルに変わり、そこから巫女装束のスピリットがフィールドに降り立つ。
「アタックステップ。テスモポロスでアタック!カウント1以上のとき、自分の手札/トラッシュにある系統:「導魔」を持つコスト6/7/8のスピリットカード2枚までを、コストを支払わずに召喚できる。 」
テスモポロスが黄色のオーラを発する。それに共鳴する様に、トラッシュから魔導女皇アンブロシウス、森の魔女エルヴィラがシンボルを砕いて出現。
「トラッシュからスピリットを!?」
フィールドの外。戦いを見ていた天晴は驚愕に目を見開く。
「これがテスモポロスの効果。凄い!」
「成る程。バリオウがマリンを破壊した時、エルヴィラをトラッシュに送っていたのか。」
「その通り!……ターンを続けます。コスト確保の為、テスモポロスはレベル2にダウン。そして、デメテールレベル2の神域。
系統:「導魔」を持つ本来のコストが6/7/8の自分のスピリットすべては、シンボル2つになり、ブロックされない。」
テスモポロスが拳を勢いよく振り下ろす。
「ダブルシンボル!くっ、ライフで受ける。……ぐわぁぁ!」
【ライフ】3→1
「これで最後、エルヴィラでアタック。」
エルヴィラの杖から光弾を発射。眩い光が陸を包み、最後のライフを砕く。
【ライフ】1→0
「winner、ワタシと最強の
人差し指を天高く突き立てる魔菜に呼応する様に、5体のスピリット達が勝利のポーズを取るのだった。
「イエーイ!勝ちました。」
魔菜は2人の元に駆けてくると両手を上げる。鈴音も両手を上げ、ハイタッチを交わす。
「トッキーもほら!」
「あ、はい。」
恐る恐る上げた両手に魔菜の手が重ねられる。
「すまない。負けた。」
その傍ら、陸が智季達に謝罪。
「気にすんなよ。」
「まだまだこれからですよ。」
智季が陸の肩に手を置き、陽子が胸の前で両の手で握り拳をつくる。
「時川。次どっちが行く?」
勝利の余韻もそこそこに中堅戦の話し合いが始まる。
一度目を閉じる。そして、深呼吸の後、天晴はデッキを握りしめ、鈴音を見る。
「……あの、僕に行かせてくれませんか。」
一気に新キャラがたくさん出てきました。うまく活用できる様に頭をひねらせていきたいと思います。