幼馴染に泣きつかれました 作:とくとくとくおくとくとくおくおくおくお
VRMMO『NewWorld Online』
通称『NWO』と呼ばれているネットゲーム? らしい。ゲームなど『マリカー』や『ポケモン』くらいしか触ったことがない俺にとって、無縁とも言える世界の話だ。
しかし、俺には小さい頃から家が隣同士の幼馴染がいる。そいつは基本ネガティブでポンコツなのだが、ゲームだけは得意なのだ。
そんな幼馴染は『NWO』をサービス開始時からずっとプレイしている。
よくこんなモンスターを倒した、レアアイテムをゲットしたという話を楽しそうに語る幼馴染を、俺は微笑ましく見ていた。
そんな『NWO』を始めて数ヶ月が経った頃、その幼馴染が突然俺の部屋に泣きながら突撃してきた。
何があったと慌てていると、幼馴染は俺に縋りついてきて。
「もう限界! 助けて!」
そう言ってきた。
いきなり助けろと言われても、何を助けて欲しいのか分からない。
俺は取り乱していた幼馴染を何とか落ち着けて、訳を聞いた。
「実は……」
何でも、彼女は『NWO』ではキャラを作っていて、ゲームの中の彼女は超強いカリスマ性を秘めた人間らしい。
誰それ? 普段の彼女を見ている俺からすれば、もはや役者レベルの人違いだ。
そんな彼女を慕って様々なプレーヤーが部下になりたいと申し出てきて、今や彼女は巨大ギルドのリーダーらしい。もはや自分がポンコツですとは言えなくなってしまった彼女は、ストレスが限界を超えて俺に助けを求めてきたようだ。
話を聞いた俺は一言。
「いや、ゲーム辞めればよくね?」
「そ、それじゃ駄目なの! 今更私だけ投げ出さないのよ!」
「えぇ……」
どうやら、責任感の強さが尾を引いているようだ。
俺には所詮ゲームになぜ責任感を感じるのか理解できない。それ以外にアドバイスも思いつかない。
俺は投げやり気味に。
「じゃあ、どうするんだ? ぶっちゃけ、俺はゲームのことはよく分からんから、アドバイスを求めても無駄だぞ」
「うん。役立たずってことは分かってる」
「お前立場弁えろよ」
助けてもらう相手に役立たずとはよく言ったものだ。今度こいつの母親にあることないこと吹き込んでやる。
後日母親に叱られるなど思いもしていない幼馴染は、鞄から何かの機械を出してきた。
「これなんだ?」
「『NWO』をプレイできる機器一式」
「はぁ? お前まさか」
「うん。私のギルドに入って!」
□
そんなこんなで俺はゲームの世界に引き摺り込まれたというわけだ。
断りたかったが、あの捨てられた犬のような目で見られるとつい言うことを聞いてしまいたくなってしまうのだ。
自分の甘さに頭を抱えてしまう。
気が進まないまま、ゲームを起動すると意識が吸い込まれる感覚を覚える。そして気がつくと俺は真っ白な空間にいた。
何をすればいいのか分からずキョロキョロとしていると、何やらよく分からない文字が羅列して、周りを様々な武器が浮遊してきた。
「Name……ああ名前か」
俺は少し考えて、今日の朝アイスの食べたのを思い出した。
「そんじゃ、アイスでいっか」
ゲーム上の名前だし、下ネタでもない限り適当でいいだろう。そんな軽い気持ちで『アイス』と打ち込んだ。
「次は初期装備を選ぶのか」
幼馴染はたしか剣を使ってると言っていた。でも接近戦は経験が活きる場だ、素人の俺にはきつい。それにあまり神経を擦り減らすようなバトルはしたくないし、遠距離攻撃でいいか。
「杖を選択っと」
杖だし多分魔法使いなるのだろう。魔法使いなら後ろで適当に魔法撃っておくだけでも役に立つ。
「ステータス?」
要はプレーヤーの能力値ってことか。正直どれにふればいいのか全く分からん。
そういえば幼馴染はよくMPとやらが切れかけて、時々ピンチになると愚痴っていたな。
ということはMPとやらは大事なのか。
「じゃあ、とりあえずMPに全振りしておくか」
俺はボードを操作する。
そうして俺の『NWO』プレイが始まった。