美人が多すぎて俺の俺が俺なんだけど   作:

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誤魔化しが下手すぎて俺の俺が俺なんだけど

 

 整理する。

 現在俺の足元には2匹の生物がいる。

 1匹はピカチュウのチューちゃん、もう1匹は種族名イーブイ──これは母親との会話の中で判明した事であるが──のブイブイちゃん。

 

 ──ポケモン。俺は、その世界に来てしまったらしい。

 

 

 

「わっ、ちょっと待てよ、ぶ……ブイブイ」

 

 はしゃいでいるのか、ブイブイちゃんが数メートル先まで走って行き文字通り道草を食う。もしブイブイことイーブイが逃げてしまったら大変だと追いかけるが……ふむ、なるほど、母親がもし飯を出してくれなくなったらあの草はイケそうだな。ちょっと引くほどブイブイちゃんガッついてるし。

 

 俺でも知っているモンスター級の知名度を誇るモンスター、ピカチュウのチューちゃんは俺の足元を付いてきてくれる。可愛い、なるほどこれは確かに可愛い。

 

 正直散歩は予想していたよりもずっと簡単である。もっと暴れたり、途方も無い問題が巻き起こるかと思っていたがそんな事は無い。前世含め初の他生物との散歩であるが、スカッと晴れた天気模様もあってこれは気持ちが良い。

 

 

 さて、この世界にポケモンと言われる生物が存在するところまで分かったところで考える。

 前提として、前世の俺『盛田 真一』には彼らポケモンに関する知識が殆ど無い。精々がピカチュウと呼ばれる黄色いそれを、「見た事がある」という程度だ。このディスアドバンテージは非常に大きい。仮に俺が博士号を取得できるレベルで彼らポケモンに関する知識を蓄えていたとしたら、この世界で生きていくのはかなり楽になっていただろうから。テレビもマトモに付けず、ゲームも全くやらなかった事を後悔するしか無いし、そしてそんな時間は無駄でしか無い。そういうもんだと思って割り切ろう。

 

 前述の通り俺には情報のアドバンテージが殆ど無い。が、それ以外の大きなアドバンテージを一つ得ている。

 「理性」だ。シン少年がの身体が5歳児だと仮定しよう。その中にいる精神の盛田真一はなんと28歳児である。俺は少なくとも23歳分の経験の利がある。

 これは大きいだろう。5歳児ならやりかねない──母親をおばさん呼ばわりするなどの──黒歴史製造を事前に防ぐ事が出来る。人生をもう一度やり直せるチャンスが転がってきたようなものだ。世界は違うし情報の理は無い。日本で得たノウハウは殆ど活かせないかもしれない。ただ、根っこに存在する普遍的な真理のいくつかはこの世界でも活用する事が出来るだろう。失っては、諦めてはいけないモノがどんなカタチをしているのか、なんとなくでも理解できる。

 

 

 

 

 

 『盛田 真一』は後悔の多い……訳では無いが、なんと言うべきか、感慨の無い人生だった。学歴も金銭も友情も恋愛も親愛も、何も得ていない人生だった。

 それが『シン』少年はどうだ?

 5歳児だ、未来はどうにだって開ける。必死に勉強して学歴を得るのも良い。その過程で叱咤激励し合える友人を作る事が出来るかもしれないし、素敵な恋人を作る事が出来るかもしれない。母親にはどうやらかなり愛してもらっているらしい、俺も彼女に沢山の愛を返そう。金銭の心配をする必要は無さそうだけれど、自分が母親ごと養えるような、そんな甲斐性のある大人になろう。

 根暗で運動も勉強も出来なくて口下手で最低限のコミュニケーションすら危ういような、そんな前世の俺では無い。俺は盛田真一では無く、シンなんだ。せめてシン少年がこの身体に戻ってくるまで、この素晴らしい人生を楽しませてもらおう。

 

 

 

 

「うおああああああ痛えええええ!」

 

 

 我なりになかなかカッコつけた事を考えていたら、右足から電流が流れ、左腕に衝撃が襲ってきた。とりあえず足元から見ると、ピカチュウのチューちゃんが思いっきり電気を流しているっぽいし、左肩にはイーブイのブイブイがしがみ付いている。つーか突進してきただろこいつ。

 

 

「なに!? ボーッとしてたから怒ってんの!?」

 

 

 問いかけても当然ながら返答は無い。原作の設定など知り得ないが、流石に人間の言葉など通じないだろう。それでもこう、なんと言うか、雰囲気である程度伝わるモノもあるし、無言で佇んでいるには度が過ぎる攻撃だった。5歳児らしく喚きながら歩き出す。左肩にはイーブイが乗っていて、右足1メートル前方にはピカチュウが駆けている。

 

 

「あれ? シン! おはよー! きょうは走ってないの?」

 

 

 前方から歩いてきた少女に声を掛けられる。薄々危惧していた知り合いとのエンカウント・イベントが発生してしまった。名前すら知らない彼女を流さなければいけない。

 

 

「おっ、おう……。ちょっと、疲れちゃって」

「……? なんかつかれてる? げんきないし、チューちゃんもブイブイも心配してそうだし……」

 

 シン少年、マジでどんだけ元気ボーイだったの? いやまぁ5歳児なんてそんなもんだろうけど……。

 家から出て5分程度、そんなに離れていない。この2匹の名前も知っている。見渡す限り、この近辺はそんなに発展している訳じゃない。

 少女はシン少年とかなり近い関係なんだろう。幼なじみとか、そんなところか? そんな子の名前すらインストールされてない弱小脳を必死に回転させ、どうにかこの場をやり過ごさなければいけない。

 

 

「さっきピ……チューちゃんとぶいぶいにさ、一発良いの貰っちゃって」

 

 

 しまった、口調がシンプルにオヤジ臭い気がする。咄嗟に出たフレーズが平成みあるそれだとちょっとかなり凹んでしまう。

 

 

「「ぶいぶい」? シン、イントネーションおかしくない? ねぇ、熱でもあるの?」

 

 同い年(タメ)……くらいか? 少女が近づき、シン少年──つまり俺の額に手を当てる。

 うおおおお! 前世では周囲半径3メートルに近づく事が勇者の証(罰ゲーム)とされていた俺が、女の子にボディー・タッチをされている!!! 興奮するな、いきり立つなよマイ・サン! まだ全年齢でいくぞ!

 

 

「だ、大丈夫だよっ。ありがとう!」

「……そう? なら良いんだけど……。ねっ、わたしもいっしょにお散歩して良い?」

「う、うん、大丈夫だよっ」

 

 さて、問題発生だ。現状の問題を整理すると、2つに大別できる。

 散歩の事と隣の少女の事だ。

 まず当然ながら俺はこの2匹と散歩をした事が無い。つまり散歩コースも知らなければ、彼らの満足する遊びなども知らない。ただただ歩いているだけで良いなら流石の俺でもこなせると思うが、どうにもそれだけではないような気がしてしまう。母親が何かしらの注意喚起をしていた気がするのだが、肝心の中身が分からないためこの散歩が正しいのかどうか分からない。

 

 次に少女の件だが、シンプルな問題である。誰なんだよ一体!

 なんて呼べば良いの? どんな関係性なの? ある程度推測は出来ても確信は持てない。確信は持てない以上下手な事は言えない。何かをやらかして害を被るのが俺なら良いが、もしシン少年に身体と精神を返却した後に何らかの不和が発生してしまったら俺は悔いても悔いきれない。つまり、安定行動を取るしかないのである。その安定行動すら掴めないのは置いといて、無難な対応を続ける。

 

 

「天気良いねぇ」

「そうだね」

「……シン、つまらない?」

「えっ!? ううん、そんな事ないよ!」

「……だって、むずかしそうな顔してるよ……?」

「してないしてないしてないしてない! 天気良すぎてボーッとしてた! ごめん!」

 

 無難な対応なんて一つも取れていない気がするが、町の外れの方まで来てしまったらしい。少女が引き返そうと言ってくれた。

 

「……ねぇ、シン」

「……ん?」

「わたしね……引っ越す事になったの」

 

 

 ……なんか重い話(キツい展開)来ちゃったよ!!!! 昨日済ませといてくれよその話!!!!

 

 

 

 




 オリ設定タグを付けるべきかどうか迷っています。現時点までの執筆状況だと凄く怪しいんですよね。直し含む方向転換もあるかもしれませんし、場面見ながらアンケート機能なども活用して考えていこうと思います。
 昨晩は投稿後なかなか寝付けませんでした。ユニークアクセスが気になったりしてしまって。僕が普段拝読していた小説の著者様方はやはり偉大ですね。

ヒロインにするなら

  • 四天王キクコ
  • ジムリーダーヤナギ
  • おくりび山のおばあちゃん
  • シロナのおばあちゃん
  • ジムリーダーポプラ
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