それは忘れてはいけない衛宮士郎の仕事だった。特異点攻略を始めて今までなにも起こらなかった為の油断か慢心か衛宮士郎は自分の使命を忘れていた。平穏とは言い難い場所で更に追い詰められる。故に彼らの行動は迅速だった。
「はあ、はあ、はあ、やっとたどり着いた」
衛宮士郎はそう言いながら管制室の扉を開ける。カルデアの警報がなったときから彼は休むことも足を止めることもなく此処を目指した。藤丸がレイシフトしていることもあり職員は士郎と葛木以外管制室で藤丸のサポートをするため一ヶ所に集中している。だからこそそこを目指した。カルデアの職員の安否を確かめる為士郎は管制室に入った。
「急いで通路を封鎖するんだ。少しでも長く足止めして時間を稼ぐんだ。右側の区画も速く扉を閉めて」
「駄目です。右側の損害が酷く通路の扉を閉められません」
「同じく左側の区画も扉を閉めるには被害が無い区画を閉めるしか方法がありません」
「右側はサーヴァントを配置して被害の拡大を防ぐ。左側はその扉を閉めてくれ」
管制室はDrロマンの指示の元対処していた。慌ただしくなってはいるがダヴィンチが藤丸の安全を、Drロマンがカルデアの防衛戦を指揮していた。
「士郎君無事だったんだね。知っての通り今カルデアは攻撃を受けている。今は対処が追いついている分なんとかもってはいるけどすぐに駄目になるだろう。防衛を手伝ってくれるね?」
当たり前の質問をされ俺は息切れしていた体を無理に落ち着けてDrロマンに言葉を発した。
「もちろんです。これは俺の仕事でもあり、人理修復の要でもある藤丸とカルデアを守る戦いです。作戦を聞き次第すぐに戦います」
俺はDrロマンに向かってこう言った。今回の防衛は決して分からなかった訳ではない。だがその事を考えても後回しにしてしまっていた俺の責任だ。出来る限りの事をする。
「そうか、分かった。なら作戦を伝える。葛木さんには既にメディアを通して作戦を伝えている。葛木さんが今メディアに防衛を任せこちらに向かっている。揃い次第作戦を説明するよ」
そんなことを言っていると管制室の扉が開く。
「すまない遅れた。事情はキャスターから聞いた。作戦を教えてくれ」
葛木先生が扉を開け入ってくる。これでカルデアにいるマスターは管制室に集まった。二人のマスターが集まったことでDrロマンは作戦を説明した。
「以上が今回の防衛戦の作戦内容だ。頼めるかい?」
「ああ、大丈夫だ」
「もちろんだ」
俺と葛木先生は作戦を承諾した。だが葛木先生はDrロマンの作戦に変更を求めた。
「私と衛宮の配置を変えて欲しい」
葛木先生は一言そう発した。俺とDrロマンはすぐに反応したが俺は言葉に詰まった。
「そんなの無茶だ。士郎君の配置場所は被害がひどい右側だ。葛木さんには無謀すぎる」
そう確かに普通に考えれば葛木先生が被害の大きい右側に配置するのは悪手だろう。俺はセイバーとランサーと連携が取れるために右側に配置されていた。だがこの人の言うことに俺は反対できなかった。聖杯戦争で見たあの力を今も持っているとこの時に確信したからだ。
「俺は賛成だ。葛木先生の力は第五次聖杯戦争で知っている。俺とセイバー、ランサーの三人で当たるより葛木先生とキャスター二人の方が人数も少なくできて対処しやすい」
「士郎君。分かった。君の意見を採用しよう。葛木さん。右側を任せても良いですね?」
「無論だ。やるからには出来る限りの事をする」
葛木先生がそう言った後俺達はすぐに行動した。
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俺はセイバーに連絡を取り左側に来てくれと頼んだ。ランサーはキャスターが右側に行くまでの間右側の敵を足止めして、キャスターが付き次第こっちに来るそうだ。俺は左側の区画に着いたときに戦っているセイバーを見つけた。
「セイバー」
俺は一言そう発した。セイバーも俺が来たことに気付き後退する。
「士郎、攻めてきた敵はシャドウサーヴァントです。気を付けてください」
「分かった。作戦は俺とセイバー、ランサーで左側、葛木先生とキャスターで右側の防衛だ」
俺達は互いに知っていること、伝えられた作戦を伝え敵を見る。
「あれは、ネロのシャドウサーヴァントか」
「はい、記録を見たので間違いありません」
セイバーが戦っていた敵、それはローマ皇帝ネロクラウデイウスのシャドウサーヴァントだった。そしてその後ろにはカーミラ、ジークフリート、ジャンヌのシャドウサーヴァントかいた。シャドウサーヴァントの数は4騎。相性で言えばまだましな方だろう。俺はセイバーに視線を向けセイバーも俺を見て頷き目の前のシャドウサーヴァントに向かっていった。俺はその後ろで聖杯戦争の時と同じ感覚を感じながらこう発した。
「投影、開始」
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カルデアの右側の区画、そこには食堂やトレーニングルーム、霊基再臨をするための再臨室が存在する区画である。左側は職員の部屋、機械室等がありどちらも重要な場所だ。再臨室は管制室の近くにあるために無事だったが食堂やトレーニングルームは恐らく駄目になっているだろう。葛木はそう考えながらランサーのいる右側の区画を目指し走っていた。キャスターから事前に魔術をかけて貰っていた為にすぐにランサーに合流することができた。
「ランサー戦況はどうだ?」
「キャスターの交代したから分かんねぇが俺がいたときはロムルス、カリギュラ、セイバー、清姫、アサシンのシャドウサーヴァントがいた。セイバーは何とか仕留めたがそれでもまだ4騎残ってる」
「分かった。すぐにキャスターと合流する」
そう言いながら葛木はキャスターのいる場所を、ランサーは士郎とセイバーのいる右側の区画に向かって走り出した。そのころ戦っているキャスターはというと
「分が悪いわね、何とか戦えているけれど流石にもう持たないわ、魔力も抑えないと宗一郎様が来るまで持たないわ」
そう言いながらキャスターは目の前にいる4騎のシャドウサーヴァントの方を見る。葛木が来るまで持ちこたえるためにキャスターは魔術の詠唱を再開した。キャスターの魔術は遠距離型の為近距離戦は苦手である。シャドウサーヴァントといってもサーヴァントである。詠唱をしているキャスターは無防備になる瞬間がある。その隙を見逃さずシャドウサーヴァント達は一斉にキャスターに襲いかかる。キャスターもその事を理解した上で詠唱をしながら回避に専念していた。ロムルスの凪ぎ払いを避け清姫の炎を詠唱していた魔術で打ち消す。カリギュラはキャスターの魔術によって拘束されている為、今は動けない。キャスターはアサシンを探すが見つからない。アサシンはそのクラス故に気配遮断スキルが備わっている。キャスターが気付いたときには既にアサシンはキャスターの後ろにいた。
「しまっ!?」
そう言い終わる前にアサシンの攻撃がキャスターに襲いかかる。キャスターは通路の壁に叩きつけられた。背中を斬られ血が通路に流れていく。キャスターは意識が朦朧とするなかでアサシンのシャドウサーヴァントを見る。
「まさかあなただったなんてね。佐々木小次郎」
そう言いながらシャドウサーヴァントのアサシンこと佐々木小次郎を見ながらキャスターは言う。サーヴァントは心臓がある部分に霊核がある。それを破壊されると消滅する。アサシンの攻撃は霊核にこそ届きはしなかったが深手を追わせるには十分だった。アサシンがキャスターに近づき剣を上げ止めを刺そうとする。キャスターは目を閉じその攻撃が来るのを待った。がいつまでたってもその攻撃は来ることがなかった。痛みを感じるより先に霊基を維持できなくなり消滅したのかと思い意識が薄れていく中ゆっくりと目を開ける。そこにはアサシンが腰から上の辺りが無くなり消滅するところだった。キャスターはその光景を見てすぐに辺りを見る。しかし意識が薄れたせいもあってか視力が低下していた。もう戦うことが出来ない状態で誰がしたのかは分からなかった。その声を聞くまでは…
「令呪を持って命じる。傷を癒し休めキャスター」
その声と共にキャスターの傷はすぐにふさがった。意識も回復し視力も回復する。がキャスターは意識が回復する前にその人物の名を呼んだ。
「宗一郎様」
呼ばれた葛木はキャスターに近づきそして…
「あとは任せてくれキャスター」
そう言いながら葛木はキャスターの前に立ちシャドウサーヴァントの方を見る。
「次は私が相手だ。全力で行かせて貰うぞ」
そう言いながら葛木は自身にかけられたキャスターの強化魔術の残り時間を確かめて戦闘体制を取る。キャスターが見守るなかでここでも葛木対シャドウサーヴァント達との戦いが始まろうとしていた………
次回「防衛戦」
読んでくださりありがとうございます。今回は初めての戦闘、そしてその、前置きを作るための準備をするために一週間開けさせてもらいました。すみません。戦闘シーンって小説で書くと難しいものです。他の人たちに比べ戦闘シーンの書き方がおかしくなったり、少し分かりづらくなるかもしれませんがよろしくお願い致します。さて次回はカルデア防衛戦です。もしかしたら一週間また空く可能性もありますが出来る限り努力します。それでは皆さんまた次回