恋姫†OROCHI 外史降臨   作:日立インスパイアザネクス人@妄想厨

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中々話が進まない・・・・・・

前回の冒頭部はいらなそうなので削ってみたのです


刀香の誓い

「でね、白蓮(ぱいれん)ちゃんの所に行く途中で大きな地震があって、その後からあの妖魔達があちこちに現れたの。気づいたら聞いたことのない(えん)が出てきて白蓮ちゃんの所に着くまですっごく時間がかかっちゃったんだよ。あ、でも三河で食べたあまじょっぱいお団子は美味しかったなぁ」

 劉備の義勇軍があるという楼桑村へ向かう道中、俺は劉備のこれまでの経緯を聞き逃さないように聞いていた。ちなみに劉備は今、素肌に俺の制服の上着を着ているだけの状態。劉備の名を聞いた時からタイムスリップをしたと確信したのだが、まさか()の仁君・劉備玄徳が美少女で、しかもその劉備に彼シャツ的なことさせているのはものすごく恐れ多い気がしてならない。男女の差というか、劉備の持つ双丘は俺の上着の内包力を超えてしまい、前を止めようとした時ボタンが弾け飛んでしまったので仕方なく体を抱くように手を回していてそれがかなり色っぽく見えて超最高ですええい何を言っている俺。

 

 彼女の話を聞く限り、俺はとんでもないことに巻き込まれているらしい。

 単純にタイムスリップした時点でとんでもないことだが、この世界は俺の知る歴史と大きくかけ離れてしまっていた。

 まずは劉備を始めとする多くの武将が女性であること。聞けば彼女の師に当たる盧植や学友の公孫賛も女性で、彼女の仲間で俺より年下の女の子が居るという。

 それとこの世界の人達には姓・名・字の他にもう一つ、真名というその人の御霊を表す名がある。家族の様に近しい身内や本人が認めた相手以外が呼ぶことは許されない神聖なものらしい。さっきから劉備が話している『白蓮ちゃん』は公孫賛のことで、知らずにその名を口にした途端に突然劉備が怒気で顔を赤くして斬りかかってきた。結局は未遂に終わり(腕を振り上げた時に劉備のでっかいものがさらけ出されて違う意味で真っ赤になったため)、土下座して弁明したら許してくれたが……もし出会ったのが劉備じゃなかったら正直ゾッとする。

 

 そしてもう一つ、妖魔の存在だ。

 こればかりはお手上げだった。三国志にも三国志演義にも、妖魔なんて化けものは出てこない。劉備の話によれば、妖魔が出てきたのはつい最近らしく、出てくる以前は妖魔なんてただの夢物語で語られるものにすぎないものだった。

 ある日何処からともなく現れ人を襲い全てのものを略奪する。

 行動は人間の賊と変わらないが、その目的は未だ定かではなく依然勢力を広げ続けているそうだ。

「色々あって白蓮ちゃん達とははぐれちゃったけど、愛紗ちゃん達と出会って村に戻って義勇軍を起こしたんだけど……」

 そう言った彼女の顔はみるみる暗くなっていく。愛紗という人達のことを考えているのだろうか。

 会って間もない俺が劉備に抱く印象は、天然でお人好し、それと優しい人。

 あの時通りすがりに過ぎない俺を妖魔から隠そうとするなんて真似、誰が出来ようか?

 ……俺の知る劉備玄徳とは異なるとは言え、やはり劉備の本質は変わらないようだ。

「……そういえば、後どのくらいで楼桑村に着くんだ? 結構歩いたと思うけど」

 何でこんな時に気の利いた言葉一つ出てこないんだろうか。

「……こんなに暗いとどっちに向かってるかわかんなくなっちゃうよね~」

「不安になるようなこと言わないでくれよ」

「大丈夫大丈夫。地面は繋がってるから」

「絶対迷ってるなこれ! さっき居た所に戻って助けを待つ方に一票!」

 しかし劉備は俺の意見を聞き入れず、顔を真っ直ぐ前に向けてずんずん進む。話題が変わって声色が明るい感じになってはいたが、やはり不安は消え去っていないのだろうか。

 俺はそう考え足早になった劉備の小さな背中を追った。

 

 

 その少女の顔が若干紅く染まっていたのに気付かなかったのはご愛嬌というものだ。

 

     ◆

 

 似たような場所を何度か通り過ぎてしばらく。ようやく森を抜け出した俺達は人の営みの光を頼りに歩を進め、

「とおちゃ~く♪ それでは―――楼桑村へようこそ♪」

 満面の笑みを浮かべた劉備が声高に言った。

 劉備の歓迎とは裏腹に、村にはピリピリとした空気が漂っていた。

 簡易的なテントが張られ、武器や兵糧を詰んだ荷馬車を屈強な男達が引いていたり、物見台から遠方の様子を窺っていたりと慌ただしい熱を帯びていた。

「あら? 玄徳ちゃんじゃないかって、なんちゅうカッコしてんだい?!」

「あっ、憲和おばさんただいま~。村の方は大丈夫だった?」

「そりゃこっちのセリフさね!? まぁ大事は無かったんだが……ともかく村のことはあたしらでやっとくからさっさと着替えてきな!」

 あ~れ~、と首襟を掴まれて引きずられていく劉備。……実は今のおばさんが裏で義勇軍を指揮してるんじゃなかろーか?

 

 そんなこんながあり俺は劉備の天幕の前に居た。ちなみに返ってきた上着がほのかな桃の花の香りを帯びていて超最高ですええい何を言っている俺。

 天幕には劉備の他に4人の男女が居る。外に居る俺には中の声はよく聞こえないが、恐らく戦果報告を受けているのだろう。

 劉備の話によると、俺と出会う前に義勇軍を率いて妖魔との戦を起こしていたそうだ。通常モードがあんな感じでも、劉備は一応義勇軍の長なのだと改めて驚かされる。

 と、不意に天幕の垂れ布が上がる。目線を移すとガタイの良い年配の男が乱暴に天幕から出て行く姿。その後ろを若い男女が続き、最後に出て行った中で一番年下の少女が頭を下げて出て行った。皆一様に顔を顰めていた。

 

 出て行った人達の背中が見えなくなってから俺は天幕に入る。

 天幕の中にはテーブルやベッド、衣類等が備えており、テントというより部屋といった方がいい様な気がした。目的の少女は天幕の中央、俺に背を向けてテーブルを凝視している。

 俺の気配を察してか、桃色の髪が揺れ、この時初めて俺と劉備は真正面に向き合った。

 緑と白を基調とした肩を出した衣服なのだが、中華というより現代の学校の制服……そうだ、うちの制服に何となく似ているんだ。夏に始まるイベント会場に出現するコスプレイヤーさんのような格好だが、こんなのでもちゃんと戦えるのだろうか?

 振り向いた劉備を見た俺は言葉が詰まる。彼女の顔が憂いに帯びていたから。

「……大丈夫か?」

「……うん、大丈夫――じゃないかなぁ……」

 そう言って困ったように微笑む劉備。それだけで何が話し合われたか察することが出来る。俺の顔を見た劉備がこくりと頷き、やがてポツリポツリと語ってくれた。

 

 先刻、百幾らかの妖魔が村を襲ってきたそうで、劉備たち義勇軍は同数の兵を投入して挑んだ。……元々人数が少なく戦いが出来る人達は義勇軍の半分ほどしかいなかった。そのさらに半分を戦に割り当て、残りを村の防衛に当てたという。

 

 結果は惨敗。

 劉備が率いた者達は劉備を守って死に、他の者は彼女の仲間諸共行方不明。しかも劉備以外義勇兵は誰も戻ってきていなかった。

 だから仲間を連れずにのこのこと帰って来た劉備に負の感情が集中する。

 そも、義勇軍は民間で集まった人達で構成されている、ボランティアで戦をしているような集団だ。

 劉備の人徳と、行方知れずの仲間の武勇あって集まった義勇軍だったため、この敗戦で彼女の実力が疑われ、離隊を願い出るものが少なからず居た。

 

 

 劉備の義勇軍は落日寸前まで陥ったのだ。

 

 正直言って見ていられない。けれど、こんな時にかけてやる言葉をおれは持ち合わせていなかった。

 だから、

「―――折り入って頼みがあるんだけど、良いか?」

「何かな?」

 劉備の瞳を見つめていると、いざ言おうとした言葉が喉に引っ込んで目を伏せてしまう。けれどこれだけはちゃんと目を合わせて伝えるのがケジメなのだと俺は思う。生唾を飲み込み目線を上げて、再び劉備の視線と俺の視線が絡み合う。

「俺をここに居させてくれないか?」

「それは、みんな気にしないと思うよ? ここに居る人達って色んな所から集まって来てるから何処から来たかなんてどうでもいいって思ってるみたいだし。それに一刀さんは私の命の恩人だから」

 それはわかってる。

 俺が劉備を救った(ことになっている)ことは村に知れ渡っており多くの人達から感謝を頂いた。―――何処かから「俺達の玄徳ちゃんに悪いクソ虫が……ッ!?」などの怨声は聞こえなかった。聞いてないったら聞いてない!

「それだけじゃないんだ」

「?」

「……俺の話を聞いてくれ」

 

 今度は俺の方がポツポツと語りだした。

 自分の身の上―――この時代の人間ではなく未来から来たこと。

 俺の知る知識―――三国志の世界でこれから起きるであろうこと。

 それらを包み隠さず劉備に話した。俺が話している間、劉備はじっと俺の目を見て沈黙を貫いていた。

 その沈黙は俺が話し終える頃に解かれた。

「そっか……大変だったんだね。でも、何で私に話したの?」

「―――信じてるのか? 誰が聞いたって与太話でしかないだろう?」

「信じるよ」

 即答だとっ。

「目を見てればなんとなく嘘ついてるなぁってわかるんだ。それに今の私に嘘をついて得することなんて無いしね。真面目な顔して本当に突拍子もない作り話をしてきたら吹き出しちゃうかも」

 そう言って劉備は微笑んだ。

 口端が緩んだ顔からは先ほどの見ている方が苦しくなる憂いは感じられない。

「……話は終わってないよね? 聞かせてくれるかな」

「そうだな……」

 ここで言い淀んだら駄目だ。そう自分に言い聞かせ、口を開く。

 

 

 

 

「俺の未来の知識を義勇軍に、君の力にならせてくれないか」

 

「っ! それって―――」

「俺が誰も知らない知識を広めてさ、皆に貢献できるとしたら君の手助けになれると思ったんだ。だから――」

 義勇軍を立て直すために俺を使え、と言って優しい劉備が冷静にいられようか。

「駄目に決まってるよッ! これは私の問題、貴方には助けてもらったけどそれとこれとじゃ話は全然違うでしょ!? どうしてそんなこと言っちゃうの……っ」

 怒りか憂いか。

 俯きふるふると小刻みに揺れる劉備。

 まぁ、そりゃそうだ。そんなことをしたら俺は義勇軍で上位にランクインするかもしれない。たとえば理科の実験などを異世界の力だ、と言って吹聴すれば未知の力に興味を持って兵に志願する人も増え、兵の士気も格段に上がるだろう。

 

 当然美点にもなれば弱点にもなる。

 そもそも俺自身が弱点だ。象徴が無くなればそこで終わり。再び立ち上がることは無いだろう。

 俺がその立場になったなら必然的に狙われる。多分、劉備が懸念してるのはこのこと。それが俺に対して怒りを招いてるのか憂いを孕ませたのかわからないが。

 怒っていれば素直に受け止める。憂いていれば何とかして説く。

 俺は口を開く。

「助けたいと思ったから」

「ぇ……?」

 劉備は俯いたまま反応を示す。

「言葉通りだよ。けど俺はこの乱世で数万の敵と戦えるほど強くないし、数十手先を読むほどの頭脳も持ってないんだ。だから、俺が出来そうなこと、俺自身が象徴になって君を―――劉備玄徳を支えてやりたい」

 我ながら臭いセリフだと思う。

 心に思ったことを言葉にしただけだ、ってやっぱ気障っぽいよな。

 

 俺の提案に打算が無い訳ではない。

 今の俺はこの世界で正真正銘ただ一人。三国志の登場人物でもこの時代の人間でもない。

 世界にぽっと現れた俺にこの世界を一人で生きることなんて出来るのだろうか。

 妖魔という不明瞭な存在から逃げることなんて出来るのだろうか。

 

 答えはもちろん否。

 何処かで仕事をするにしても、歴史を知っていようがこの時代の常識を知らない俺が仕事を手にするのは困難だ。それに俺の時代の金銭感覚は全く当てにならない。

 祖父の剣術もこの世界で通用するかもわからない。いや、通用するわけがない。あの妖魔達だって、何らかの超常的な力が働いて勝手に倒れただけ。俺にはそんな力が無いことはよくわかってる。自分一人の身を守れずにどう生き抜けというんだ。

 だから俺には後ろ盾が必要だった。

 

 しばらくの間、沈黙の時間が続いた。

 やはり俺の提案は駄目だったか? そう考えながら待っていると俯いていた劉備が顔を上げた。

「……本当に私たちの力になってくれますか?」

 静かな声だった。

 丁寧な敬語に、俺は返答するのに時間がかかった気がする。

「―――ああ」

「私と同じ道を歩んでくれますか?」

 まるで婚礼を挙げるみたいな言い方だ。けど込められた意味は全く違うもの。

 その意味を噛みしめて俺は頷く。

「ああ」

「―――私たちを、助けてくれますか?」

 やっと、顔を窺えた。

 白い肌に残る乾いた跡。出所はまだ雫が残った真っ直ぐ真剣な眼差しを持った碧眼。

「貴方に私たちの命運を背負わせても、良いですか?」

「ああ」

 

 不意に。

 劉備が跪き、俺に拱手をしてきた。

「北郷一刀様」

 今まで彼女と接してきて、一番真剣みを帯びた声。

「私の真名を預けさせてください。姓は劉、名は備、字は玄徳、真名は桃香です」

 真名の重要性は聞き及んでるから、真名を預けるというのは並なことじゃないと理解してる。だから真剣になるのは当然だ。

 同時にこうも思った。

「今から私と貴方は一蓮托生。貴方が死す時は私も共に逝きましょう―――貴方だけに辛い思いをさせたくないから」

 ああ、この娘は本当に優しい娘なんだな。

 そんな優しい娘を俺は泣かせたんだ。

 

 だったら、覚悟を決めろ。

 

 この世界の一人になれ。

 

 懇願する少女の想いを踏みにじるな。

 

   ◆

 

 所変わり。

 

「はぁ……やっぱり失敗だったかなぁ……」

 その少女は後悔していた。

 空が暗くなったと思った瞬間、地震に巻き込まれたら何故か自分の知らない場所に居て、考えても仕方ないから取りあえず近くで召集をかけていた軍に集ってみたは良いものの―――

「禄は少ないし、字が読めないから口で報告しろだとか、気味悪い奴らと闘ったりとか、まともじゃないよねぇここ」

 どんだけ田舎なのかしら、とまた少女はため息を吐く。

「……今回敗けちゃったしね、ここも終わりかな。他の人達も出ていくみたいだし」

 私たちも出ていこっかなー、と呟いた時、しゃがれた男の声が少女を呼び止める。

「どうしたの?」

「いえ大したことじゃねぇんですが、兵糧の数がどうも計算が合わなくて……」

「……」

 ちょっと心当たりがあった。

 少し前にみんなで鍋を突っついていた時に何処からか子供がやってきた。匂いを嗅ぎつけて来たのだろう、折角来てくれたのだからとその子供にも鍋を振舞った。

 すると見る見るうちに鍋は子供の胃袋に収まり、酒も入っていたので食えや飲めやの大騒ぎに発展してしまった。ちなみに少女もその騒動に巻き込まれた。

 足りないのは恐らくその分ではないか?

「……わかった。それは私が明日なんとかしてみる」

「へい」

 そう言って男は持ち場へ帰って行った。

「たしかあの子ってここの棟梁とよく一緒に居たからあっちの関係者かな。頼めば出してくれるかも」

 そういえば、あの子供はあれからどうしたのだろう?

 栓無き事を考えながら少女は夜道を歩いていく。

 




三国志、戦国と続いたので次は円卓†恋姫が出るんじゃないかと妄想する今日この頃

二次創作とニコ動をちょろっと見ただけなので桃香のキャラはこんなんで良いのか不安になりつつあるのです
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