駆逐艦雪風の業務日誌   作:りふぃ

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夜明け前

 

「あー……いかんわこれ。あたまがぼーっと……」

「ね、ねぇさん、眠っちゃだめだから」

「別にいいじゃない。だるくてだるくてもー……」

 

第一艦隊が駐留している第二鎮守府。

そのドックに妙高型重巡洋艦姉妹が揃って入渠している。

二隻は艤装もさることながら、生身である本体の損傷が大きく只管長い入渠時間を強いられている。

生身の回復は代償として体力を消耗し、そちらは自然回復を待つしかないので重苦しい倦怠感が長時間続くことになる。

足柄は気だるい口調とは裏腹に頭の中では忙しく今の状況を分析していた。

意識のないままドックに放り込まれていたが、自分と妹で入渠のラインを塞いでいるこの状況はよろしくない。

せめて高速修理溶液があれば良かったのだが、あ号作戦で吐き出した備蓄は全く戻っていなかった。

その為に鋼材が浮いているのに活かしきれない。

 

「不味い……赤城ちゃんだって中破してたし艦載機も相当に落とされてた。戻り次第入居させたいけど私達でラインが塞がってると……」

「で、でも姉さん、本当に死に掛けていたんだよ……」

「私は良いの。それより――」

「良くありませんよ?」

「――あ、はい……すいません」

 

妹の丁寧語に思わず謝る足柄。

こういうときの羽黒は怖い。

かつて経験した、第二艦隊との最後の演習が頭を過ぎる。

大和と二人掛りで大破寸前に追い込まれた羽黒。

同時に鬼畜艦トリオに艦列を抜かれ、後方の赤城が無防備になっていた。

足柄は羽黒の対応を大和に委ね、小賢しい駆逐艦の後背を突こうと反転しかけ……

羽黒の視線に縫いとめられた。

今、羽黒から目を反らしたら沈む。

自分達が装備しているのが演習用の練習弾で在る事も忘れ、本気でそう思った足柄。

結局は羽黒に止めを刺すまで動けず、戦力の不均衡を是正する時間を失って赤城を大破させられたのだ。

圧倒的に不利な戦力差から乱戦に持ち込んだ雪風の采配は見事だが、あの時は自分が羽黒の雰囲気に呑まれなければ赤城の救援に間に合った思う。

演習後に第一艦隊の中で行ったミーティングでは自身の判断ミスとして謝罪した足柄だったが、大和もあの時の羽黒は怖かったと言っていた。

何時かこの妹とは、一対一で戦ってみたいと思う。

それも生き残ってからの話だが。

 

「大丈夫ですよ姉さん。島風ちゃんが急いで報告に行ってくれています」

「……で、鎮守府にいる雪風ちゃん加賀ちゃんを連れてくるって?」

「ん……」

「……両方来たら多分、死ぬわよ? 私達」

「……」

 

足柄も羽黒も、自分達が何故逃げ切れたのかは分かっている。

それはこの海域に敵が居らず、無人の海を最大船速で駆け抜けることが出来たからだ。

もし敵が戻ってきたら間違いなく何処かで捕捉され、大破した自分達は助からなかったろう。

せめて連絡に走った島風に伝えておければ良かったのだが、羽黒の損傷も足柄と大差は無く、意識を取り戻したのは島風の出発した後だった。

足柄は雪風の戦術眼は信じているが、後方にあって戦域の状況を正確に把握しすることは難しい。

雪風が此処で敵の増援阻止を選ばず、現地へ救援に来てしまえば彼我の戦力に絶望的な格差が出来る。

 

「……合流してから大和ちゃんがさ、珍しく嬉しそうだったのよ」

「……はい?」

「何時もおどおどして何かに怯えてるような子が、なんか胸元撫でながら落ち着いて……そう! 女の顔とかしてたわけ。あたしが見るに、アレは絶対雪風ちゃんと進展があったのよ……羽黒、何か心当たり無い?」

「んー……あ! 雪風ちゃん自分のお部屋の鍵とか渡していました。でも雪風ちゃんって最近、部屋の鍵とかしなくなっていたんです。何時かのミーティングで、メンバーは何時でも入ってて良いって言って、今はあそこが第二艦隊の溜まり場になっているんですが……」

「ほー……そりゃあんたらに好感度高いわ。で、大和ちゃんも其処に招かれたってわけだ」

「机の鍵も渡していたみたいですね……遺書の鍵とか言っていたのは流石に驚きましたけど」

「あの雪風ちゃんがねぇ……あぁ、間が悪すぎるぅっ!」

 

頭を抱えた足柄。

大和に変化があったと言う事は、雪風にも変化があったという事だ。

あの小さな駆逐艦は誰とでも等距離を保って自分の中に棲ませなかった。

その頃の雪風ならば判断を間違える事は無いと思う。

しかし雪風の中で大和の存在が大きくなり、なりふり構わず助けに来ようとしてしまえば……

足柄が最悪の予想をしている時、ドックに五十鈴がやってきた。

足柄を此処に放り込んだ張本人は、決まった時間に必ず見舞いにやってくるのだ。

 

「五十鈴ちゃん、今日は早くない?」

「時間感覚は狂ってない見たいね。結構だわ」

「こんにちわ、五十鈴さん」

「こんにちわ羽黒。あんた達も元気そうで良かったわ」

「元気ないって。身体の修復で気持ち悪いったら……少し治って疲れて体力戻ったらまた少し治ってさー」

「あんなモノに当たるのが悪いわよ。少しは五十鈴を見習いなさい」

「言い返せないわー……五十鈴ちゃんなんであんなに避けれるんだか」

「ぽいぬとは2000㍍で散々撃ち合ってたのよ? その十倍も遠い距離の砲撃なんかにそうそう捕まるもんですか」

「あー……理解したわ。五十鈴ちゃん、うちの中では錬度最強だったのか」

「ふふん……って、そんな事を言いに来たんじゃなかった。朗報よ。大和と赤城が帰ってきたわ!」

「おお!」

「ドックが埋まっているから、先に補給を受けてるけどね」

「……赤城ちゃんの航空戦力を、急いで戻したいんだけどぁ」

「山城さんも、治して差し上げたいのですが……」

 

山城は此処に来る道中で交戦し、小破している。

羽黒にとっては自分がドックを埋めているために入渠できない味方が居る事が心苦しくて仕方ない。

 

「あの条件じゃ、入渠の順番はコレしかなかった、羽黒が気にする事じゃないわ」

「そうそう。それにしても、大和ちゃん達が無事でよかったわ。コレで最悪撤収もできるわね」

「あら、足柄はもう逃げる心算?」

「まっさかー。ただ、反撃に出るなら勝負出来るカードが揃わないとねー」

 

五十鈴としても足柄としても、このまま逃げ帰るのは性に合わない。

それは海戦に負けた悔しさという事もあるのだが、何よりこの鎮守府を維持する事が託された任務なのだから。

 

「大和ちゃん達、どうだった?」

「あの戦いから後、敵と遭遇していないのはこっちと一緒みたいね」

「じゃあ大和ちゃんは戦力として数えられる。問題はこっちね」

「あの二隻がどれ程の速度で此処に来るかによりますが、私と姉さんが微妙……赤城さんは先ず間に合わないと思います」

「一旦入渠始めたら終わるまで出せない。撤収する可能性も考えれば、赤城ちゃんの入渠はもう無理だと思ったほうがいいわ」

 

足柄がドック内から戦力の再調整に腐心している。

何せ現状直接戦う事が出来ないため、他に出来ることがない。

しかし結局の所、本拠地である第一鎮守府から島風が戻らない限りその後の行動を定めようが無かった。

やがて五十鈴が帰り、また二隻だけの長い入渠の時を過ごす足柄と羽黒。

修理溶液の中で祈る足柄達の下へ加賀と島風が到着したのは、その日の夜の事だった。

 

 

§

 

 

第二鎮守府の会議室に、動ける艦娘が集まっていた。

メンバーは第一艦隊から大和、赤城、五十鈴。

第二艦隊からは夕立と島風。

そして第三艦隊の全員と、増援に派遣された加賀と工廠部部長である。

雪風が来なかった事について大和は一言、「そうですか」と語ったのみ。

少なくとも表立ってそれ以上の反応は見せなかった。

もし孤島で大和からあの告白を聞いていなければ、赤城はその内心を誤解したかもしれない。

大和が穏やかに見えるのは雪風に冷めたからではない。

寧ろ拗らせたからこそ落ち着いていられるのだ。

赤城は会議室を見渡す。

以前此処に集まったときは、長門と陸奥もいた。

そして部長からこの鎮守府の実態と加賀の置かれていた境遇を聞き、己の在り方をそれぞれに考えたものである。

あの時は此処に再び集まるなど思ってもいなかった。

運命なんて言葉は信じていないが、不思議なめぐり合わせには嘆息するしかない。

 

「んー……」

 

赤城が物思いにふけっていると、隣の大和が小さく唸った。

大和は困ったように秘書艦の加賀と視線を合わせる。

加賀は首を横に振り、少し考えた大和は一つ頷いた。

 

「えー……それでは、対策会議を始めます。五十鈴さん、こっちの状況を教えてください」

「……現在第一艦隊から足柄と第二艦隊から羽黒が修復中。完全復帰まで、早くて後三日はかかります」

「島風さん、第二艦隊の見解は?」

「うちがあの二隻の戦艦と遭遇したのは、此処からそう離れていないわ。羽黒が死に掛けながら飛ばしてくれた水偵によれば、あいつらこっちに向かってた。あそこから此処まで、探索しつつ多少時間が掛かるにしても……此処を見つけて真っ直ぐ向かえば、明後日には来ちゃうと思う」

「時雨さん、第三艦隊のご意見は?」

「僕達はこの近海で戦闘をしたけれど、それは噂の戦艦部隊じゃない。しかし軽空母とはいえ、この領海に多い空母種だったのが気になるね。その戦艦が呼び戻している可能性があるよ」

「加賀さんは?」

「その戦艦、前に私が戦った姫種と特徴が一致します……この鎮守府は一度陥落しているのだし、もう一度来る用事があるなら私である可能性が高い。なんなら、私が単艦で足止めに入るのも悪くない手よ。半日……いいえ、一昼夜は確実に止めて見せます」

 

赤城の気圧が急に下がるのを皮膚感覚で察するが、とりあえず見ない振りを決め込む加賀。

加賀は此処に来る間に島風から、そして到着後は五十鈴から敵の事を聞いている。

此処に向かってきているのは、自分を倒したあの姫だろう。

恐ろしい強さの戦艦だった。

そして何より、不思議な深海棲艦だった。

二隻の装甲空母が率いる部隊に迎撃され、壊滅していく仲間達。

あの戦艦の姫はその光景に激怒していた。

怒りの矛先は一方的な虐殺を楽しんでいた部下と……こんな出撃に半人前を伴って来た加賀だった。

言い訳のしようもない。

加賀自身分かっていたことだ。

戦艦棲姫は揮下を遠ざけ、加賀を堂々と叩き潰した。

どのような戦いだったかは覚えていない。

ただ、疲れきった加賀の意識を吹き散らした敵艦の主砲は今でも吐き気とともに思い出せる。

 

「単艦で足止めとか絶対に許可出来ません。全軍が動けるなら、撤収したい所なのですが……」

「足柄さんと羽黒さんが動けない現状、直ぐの撤収は難しいわ」

「その通りです。戦う事は避けられない……なら、倒しましょう」

「倒すなら、最初の一戦がそのまま最後の機会になるわ。繰り返し戦えば損傷艦艇が増えていくし、何時この海域の深海棲艦が戻ってくるか分からない」

 

加賀はそう発言して室内を見渡す。

足柄と羽黒を除くメンバーが終結しているが、此処に居る艦娘にも損傷しているものはある。

出撃するにしても艦隊の陣容、そして出撃させる部隊は慎重に選ばなければならないだろう。

協議の結果、出撃するメンバーは大和、加賀、五十鈴、島風、夕立、時雨、矢矧、そして赤城が選ばれた。

居残り組みは入渠中の重巡洋艦姉妹と損傷のある山城である。

損傷艦艇と言うなら中破の赤城も同様なのだが、空母たる彼女には戦闘以外の部分で役に立てる場合があるとは加賀の意見だった。

 

「部長、私の前の飛行甲板を赤城さんに付け替えられますか?」

「ああ。突貫工事とはいえ、元々赤城ちゃんに作ったもんだからな」

「あの……加賀?」

「あ、赤城さん。私、飛行甲板新調したの。だから貴女からお借りしていた方はお返し出来ます」

「そ、それは良いのですが……あの飛行甲板を使うのはまだ二度目。戦力として運用できるかと言われると、あの領域の相手には……」

「赤城さん……貴女にお願いしたいのは、戦う事ではないの」

「それ以外に、私に出来る事は……」

「あるわよ? 私が沈んだときは、私の子達を回収してあげて――」

「……」

「む、無言で拳を上げるのはお止めなさい」

「……」

「沈みません。沈む心算はありませんっ。あくまでリスク管理の一環ですから」

「本当?」

「本当です」

 

加賀の言葉より慌てたときの瞳で嘘は無いと見取った赤城。

一旦は怒りと拳を収めてやる。

ふと大和を見ると唖然と自分を見つめていた。

一つ微笑を返してやると、大和は青い顔をして震え上がった。

 

「また後方待機なのね……不幸だわ」

「僕達が全滅したら、実質戦えるのは山城一隻になるんだよ? その場合は戦艦の君が足柄達を率いて対応を定めなければならない。ただの居残りとは訳が違う」

「そうだけど、縁起でもない事言わないでよ……」

 

山城の後方待機は五十鈴と大和の意見だが、第三艦隊旗艦の時雨も反対はしなかった。

其処に個人的な思いもあるが、今それを口にする心算は無い時雨である。

時雨が内心で安堵の息をついたとき、五十鈴から大和に声が掛かった

 

「ねぇ大和。部隊編成って如何するの?」

「あー……実は少し困ってます。三艦隊全部から欠員が出ていますから、組み換えも……」

 

そう言った大和は、秘書艦の加賀に視線を送る。

部隊編成は本来提督である彼女の権限だが、此処にはいない。

大和は第一艦隊の旗艦としてこの鎮守府を任されているが、鎮守府の席次としては秘書艦が一応の上だった。

普通は第一艦隊旗艦がそのまま秘書艦も兼任するため、こうした捩れは起きないのだが。

加賀は赤城を宥めつつ大和に答える。

 

「私が任されたのは、大和さんが行方不明時の撤退判断よ。貴女が此処にある以上、第一艦隊旗艦の判断に従います」

「うぅ……胃が痛いよぅ」

「……じゃあ、一つ五十鈴に考えがあるわ」

「おぉ?」

「あの敵戦艦の火力は相当なものだった。足柄が一発で死に掛け、赤城だって当たり所によっては沈んでた。そんな艦砲に軽巡以下の装甲なんて誤差よ。五十鈴達は全弾回避が絶対条件になるんだけど、正直今のままだとやりづらいわ」

「あ、なるほど」

「其処で提案なんだけど、軽巡洋艦と駆逐艦はまとめて水雷戦隊を組ませて欲しい」

「んー……矢矧は?」

「五十鈴さんの意見に賛成します。寧ろ望むところですね」

「駆逐艦の皆さんは、如何です?」

「あー……戦うなら五十鈴の下でやれって雪風に言われてる」

「夕立も水雷戦隊したいっぽい」

「僕も異存は無いよ」

 

当事者全員が賛成したため、五十鈴の提案は採用された。

水雷戦隊の旗艦は軽巡洋艦にして発案者の五十鈴と定められる。

矢矧としては残念に思う気持ちもあったが、当の五十鈴から声が掛かった。

 

「基本単縦陣で固まって、砲撃回避の散開は任意。第一雷撃は私が先頭、あんたが最後尾よ」

「はい」

「で、第二雷撃は前後入れ替えてあんたが旗艦よ。後ろは五十鈴が支えてあげる」

「え……?」

「旗艦が変われば艦隊の回避行動の癖も変わるわ。私も二度や三度で捕まる心算はないけれど……五十鈴のお尻を追いかけるだけで、あんたは満足する心算?」

「そんな事はありませんっ。引き受けるわ」

「よろしい。大和もいいわね?」

「水雷戦の事は水雷屋にお任せいたします。それでは他に何か……」

「おぅ、ちょっと良いか」

「なんでしょう、部長」

「うちで加賀ちゃんにほんのりと改修が入った。その副産物に出来た艤装が結構あるんだ。具体的には戦艦装備、46、41㌢砲や水上観測機だな。今から積んでやるから大和ちゃんと山っちゃんはこのまま工廠来てくれや」

「つ、遂に大和も46㌢砲を手にして戦う時が来たのですか!?」

「……後方待機で艤装だけ新しい積み替え? 砲塔にお絵かきでもしてろって? 本っ当に不幸だわ……」

 

喜色を浮かべる大和に、当面使えない新装備の実装にへこむ山城。

時雨は肩を竦めて山城の手を取ると、今だぶつぶつと不幸語りを呟く戦艦を引っ張っていった。

その様子を見つめる大和には、ほんの少しだけ山城が羨ましかった。

 

 

§

 

 

会議室には赤城と加賀だけが残っている。

出撃は明朝と定められたため、今は各々が準備に勤しんでいた。

加賀は大和と並んで主力を担う艦娘の一人。

艤装が複雑化した事もあり、本来忙しい身の上である。

それでも、加賀は赤城と話をして置かなければならなかった。

だから残って欲しいと、表情でそう伝えていた。

 

「ごめんなさいね、赤城さん」

「……何故?」

「私は傷ついている貴女を、戦場に立たせようとしています」

「構いませんよ。寧ろ嬉しいわ。最低、一度は加賀の盾になれますね」

「貴女の仕事は私の子達の補助よ。説明しづらいのだけれど……送ったら乱戦になって降ろしてあげられるか分からない。何れ必ず体得する心算だけれど、私も初めての試みだから予防線が欲しいの」

「貴女は何をする心算なの?」

「戦うだけよ。だから、赤城さんに見ていて欲しい」

「……」

「私を全部見せるから。在った私と、在りえたかも知れない私。そしてこの身体に生まれた私……全部見せるから、見ていて欲しい。赤城さんが見ていてくれれば、私はきっと、折れないから」

「分かりました。見せてもらいます。私の加賀を、存分に」

 

微笑む赤城に笑み返す加賀。

自分は笑えているのだろうか。

笑みは引きつっていないだろうか。

……無理だったらしい。

赤城は一つ息をつき、加賀の座る椅子の後ろに立つ。

そして背中から覆いかぶさるように上半身を抱き寄せた。

 

「怖いのですか?」

「……怖いです」

「あの戦艦は加賀を倒した相手なのよね? 確かに恐ろしく強かったけれど……」

「強いとか、弱いとか……そういう相手ではないの。彼女は……正しいのよ」

「……正しい?」

「私の価値観に対して、です。別の誰かなら……そう、私の前の提督ならば、おそらく彼女を鼻で笑って無視出来るわ」

 

半人前どころか建造したばかりの艦まで率いて出撃させられた加賀。

加賀は全員に逃げて欲しかった。

率直にそう話したし、脱走しても咎めない事は宣言していた。

そして実際に逃げてくれたのは、たったの四隻。

結局二十隻以上の僚艦が加賀について絶望的な戦いに身を投じた。

仲間達が何を思って自分についてきたのか、加賀には分からない。

しかし圧倒的な錬度の差から次々と沈められて行く彼女らを目の当たりにし、その旗艦たる加賀を批難したあの姫は正しい。

その上自軍の僚艦すら退かせ、加賀と今一隻……

自分に魚雷の扱いを教えたあの子とのみ決闘し、その勝利を持って戦火を収めた戦艦棲姫は、強さのみならず在り方によって加賀を打ちのめした相手だった。

あの姫の前に立つのが怖い。

以前加賀は虚無感からいっそ沈んでしまえばと思ったことがある。

最後の出撃に同行した駆逐艦達の顔が思い出せないと知ったときは、罪悪感から死を選ぼうとした事もある。

だが沈むことも死ぬことも怖くない加賀をして、あの姫の前にもう一度立つのは怖かった。

 

「赤城さんは、駆逐艦を盾にして沈めながら進軍する敵を見てどう思いますか?」

「加賀……それは……」

「あの姫はそれをする私を批難したわ。それは、正しいことでしょう?」

 

加賀は自分を犠牲にすることは出来ても、他人を犠牲にする事には耐えられない。

僚艦を盾に任務を続ける事……

赤城もそんな事はしたくない。

したくないが、出来るか出来ないかと問われれば自分は出来るだろう。

それが任務であり、その任務が多くの為に必要なことであるならば、達成する手段として犠牲を許容する自分がいる。

その犠牲の中に加賀がいたとしても揺るがない。

やってしまったら任務が終わった後、間違いなく元の自分には戻れないが。

 

「……何隻沈みました?」

「……私が見ていただけで十六隻」

「無謀な出撃だって、知っていたのでしょう。加賀は、部下に何も言わなかったの?」

「逃がしたかったわよ! 逃げて欲しいって、咎めないし戦没報告はするからってっ……」

「何隻逃げた?」

「……四隻」

「死戦を前に旗艦から戦線離脱を指示されて、随伴率七割以上ね。悪くないわ」

「赤城さん……?」

「加賀……そろそろ目を覚ましなさい」

 

赤城は一旦加賀から離れ、向き合う位置に立った。

眼光鋭く加賀を見下ろす。

その視線に引き寄せられるように加賀も立ち上がった。

それぞれの想いを胸に見つめあう一航戦。

加賀の気質は愛おしい。

そして羨ましくさえある。

しかし第一航空戦隊の旗手として多くの命を背負ってきたモノとして、今の加賀には抱きしめるより背中を張る事が必要だと思う。

 

「二十隻以上の艦隊に、事実上の解隊を宣言したのでしょう? だけど、殆どが逃げなかったのでしょう?」

「えぇ……咎めないとか、虚偽の報告を上げると言っても、私の口約束ですから……」

「だから、信頼を得られなかった?」

「……はい」

「……歯、食いしばれ」

「んぐっ!?」

 

その瞳に烈火の如き怒りを宿し、赤城の右拳が一直線に放たれる。

反射的に首を固め、顎を引きつつ自分の額で受ける加賀。

加賀の思わぬ反撃に右手が熱い。

しかしそれでも収まらぬ怒りに任せて、加賀の胸倉を掴み寄せる。

 

「加賀を信じなかったのは、逃げ出した四隻です。殆どが貴女を信じて残ったのが何故分からないのっ」

「……は?」

「本当に命が惜しいなら、加賀を信じようが信じまいが逃げるでしょう! それでも、それでも貴女の下に多くの僚艦が残ったのはっ……」

 

激情が赤城の心をかき乱し、言葉が胸につかえてしまう。

言いたい事は山程あった。

そして、それ以上に気付いて欲しいことが。

 

「記録上、加賀の最後の出撃に僚艦はいなかった。つまり貴女が第一艦隊の旗艦だった」

「……」

「それは、つまり御輿でしょう? かつての連合艦隊なら長門さん。南雲機動部隊なら、私。だけど御輿は信頼を得られなければ誰も担いでなんてくれませんっ。貴女は担ぎ手に逃げてもいいと言ったそうね……それも許しがたい事だけれど、それは良いわ。最後の最後なのだから、そんな事もあるかもしれない。だけど、貴女がそう宣言した後まで御輿を担ぎ続けたのは……加賀を信じていたのはどちらだと思っているの!?」

「うぅ……」

「皆、加賀を信じて残ったのよ。自分が沈んでも加賀さえ辿り着ければ、必ず勝ってくれるって……そう信じていたからついて来たんじゃないですか!」

 

荒い息を吐き、呼吸を整える赤城。

次第に右手が思い出したように痛みを訴えてくる。

本格的に折れた気もするが、今はそれどころではない。

赤城は自分の手にハンカチを緩く巻く加賀をぼんやりと見ていた。

呼吸と頭を整理しないと喋れない。

沸点が低いというよりも、加賀に対してのみ遠慮と言うものが全く出来ない赤城だった。

 

「責任の感じ方は色々あるわ。だけど、間違えないで。貴女のその後悔は見当違いよ。貴女を最後まで信じて沈んでいった英霊を、悪霊にしないで。貴女が恥ずべきはその信頼に応えられなかったことです。貴女が勝つと信じて命を賭けた僚艦は、貴女が敗北した瞬間に無駄死にになった! 旗艦として貴女が恥じるのはその一点です……」

「……」

 

赤城は加賀の元に残った連中の気持ちが良く分かる。

入渠もろくにさせてもらえない鎮守府で生き残ってもどうせ解体される。

海上で逃げたとしても、深海棲艦から自衛しつつ生き延びれる保障も無い。

こんな鎮守府に先など無いと見限った者も多かったはずだ。

そして、其処に所属する自分達自身も。

しかし個々人の未来が絶望だとしても、あるいは絶望だからこそ、自分達の担ぐ御輿を何処までも高く押し上げたい。

加賀なら必ず勝ってくれる。

加賀がいる限り、自分達は終わりじゃない。

皆、そう思ったからこそ自ら死戦に臨んだのではないか……

 

「あっ!?」

「……赤城さん?」

「……」

「赤城……さん?

「……ごめんなさい」

「え?」

「ごめんなさい加賀。ごめん……なさいっ」

「いいえ……あ、痛かったけれど。目が覚めたわ。納得するには……もう少し掛かるけれど」

「違う、違うの。貴女は……」

 

赤城はこの時、自身の瞳に溢れる涙を抑えることが出来なかった。

両の腕を加賀に絡め、全力で抱きしめる。

唐突に気付いたのだ。

最後の出撃。

加賀は、その時既に……

 

「もう……皆さんの顔が、見えなかったのね」

「っ……」

 

当事者でもない赤城が直ぐに気付いたこと。

とても大切な事が、加賀には見えなかったのだ。

僚艦一隻一隻の顔が、其処にある表情が。

そして自分の艦隊の雰囲気も……

加賀が最後に率いた艦隊。

殆どが最低資材で回された駆逐艦だったろう。

いったいどんな気持ちで絶望的な出撃に臨んでいたのか。

死の恐怖に震えていたのだろうか。

それとも最後に一花咲かせようと、不思議な活気に溢れていたのか。

赤城は後者だったと思う。

駆逐艦という連中は侮れない古強者である。

かつての戦いの中で最も多く出撃し、長い距離を駆け抜け、最後の最後まで戦ったのは駆逐艦なのだ。

そんな連中の顔を見ることが出来ていれば、何かが変わっていたかもしれない。

だが全ての可能性は加賀に背を向け、一つの戦いは決着した。

加賀は敗北し、その艦隊も全滅したのだろう。

 

「加賀……明日はあの時の貴女の仲間と、何より貴女自身の仇を射ちに行きましょう」

「ええ。これ以上傷はいらない。もう、負けないわ」

「やっと加賀と海を行けるのね……夢のようだわ」

「工廠に行きましょうか。お互いに、準備がありますから」

 

加賀は赤城を伴い、誰もいなくなった会議室を出る。

二つの影が寄り添い歩く。

かつての第一航空戦隊の両翼は、初めて同じ海域で同じ戦いに望むのだ。

静々と歩む姿とは裏腹に、二隻の心は逸る気持ちに手綱を掛けるのに苦労していた。

しばらく歩みを進めたとき、赤城が思い出したように言った。

 

「敵は多数の爆戦を積んでいました。私の紫電改二、良かったら積んでください」

「ありがとうございます。ですが、私も部長と烈風の開発に成功しています。遅れは取りませんよ」

「烈風……? 知らない子ですね」

「待って赤城さん。貴女触ったことの無い艦載機を実戦で降ろせるの?」

「た、多分……」

「……流星は?」

「……九十七艦攻とは、違うのですか?」

「……明日は此処に残りなさい。邪魔になりそう」

「待ってっ。今晩寝ずに覚えます。必ず、加賀の役に立ちますから!」

 

加賀の半眼に耐え切れず、その腕にすがりついて懇願する赤城。

コレが先程自分を叱咤し、殴りつけても道を正そうとしてくれた妹代わりと同一存在なのだろうか。

赤城は変わった。

きっと、自分も変わらなければならないのだろう。

 

「重雷装……航空戦艦……か」

「加賀?」

「何でもありません。急ぎましょう」

 

あの時とは違う。

艤装も仲間も、そして加賀自身も。

初めて戦艦棲姫と戦った時、加賀には勝利どころか自分の命にすら執着する意志を持っていなかった。

しかし今は自分を信じて沈んでくれた仲間達に、手向ける花が欲しい。

彼女らが担いだ御輿として、自分にそうさせるだけの価値があったと証明したい。

失くしたモノの多さ、そして今やっと理解したその貴重さを思い返せば、せめてその位出来なければあの子にも顔向けできない。

今度こそ、負けない。

久しく忘れていた闘志が、加賀の胸を熱くする。

姉代わりの内面の変化を横顔に感じ取った赤城は、自身の心臓が跳ねる音を聞いた。

 

 

§

 

 

第一鎮守府に残った雪風は、司令官と共に情報収集に奔走していた。

第二鎮守府の領海に近い鎮守府に連絡を取り付け、此処二ヶ月の敵勢の動向を探る。

鎮守府は決算期前の互助を除けば、提督や艦娘の個人的な繋がり以上の付き合いが薄い。

加えて深海棲艦の出現プロセスも解明されていない現状、自軍の領海で急に数が増したとしても違和感として捕らえるのは難しかった。

ある日突然深海棲艦の大群が湧いていた。

決して例は多くないが、そんな事だってあるのだから。

しかし今回雪風達は明確な原因を把握した上で被害が増した海域を探している。

それほどの時間をかけずに該当する鎮守府と接触を取ることに成功した。

其処は雪風達の鎮守府と比べ、所属する艦娘の総数は多い所である。

しかしこちらが少数ながら大和型に一航戦という尖った戦力を所有しているのに対し、其処で配備されているのは精々重巡洋艦と軽空母。

雪風の予想した通り資材の収集期に突如として増えた深海棲艦に苦戦し、大きな被害を出していた。

彼女は其処の提督に対して協力を呼びかけ、先ずは二部所での協力体制が成立した。

 

「何とか連合の核は組めたと言った所でしょうか?」

「そうですね。次は人を集めます、こーのゆーびとーまれ! って奴ですね」

「しかし、どれだけ集まってくださいますことか……」

「あ号作戦前の連合程には来ないと思います。あの時は納期前、今は納期後ですから。ですが、大本営からノルマ増のお達しも来ておりますし……多少でも余裕がある所はくると思います。資材も最初の全力出撃はうちが負担しますしね。折角、しれぇが集めて下さった資材なのですが……」

「このような時に使えるように溜め込むのです。吐き出す事も出来ない状況よりは余程良いです」

「……ありがとうございます」

 

以前の連合で主戦場となった海域は、どの鎮守府の守備範囲からも離れていた。

その為に代表を選んで指揮系統を絞るのに時間が掛かったが、今回は一つの鎮守府の領海である。

この場合は領海を守護する鎮守府が代表となり、戦力を差し向けてもらう事になる。

代表となる鎮守府は盟主の名誉と引き換えに、手助けしてくれた鎮守府に借りを作ることになるだろう。

勿論、敵勢が急増した理由を調べ、放って置いても良い筈の所へ態々協力を申し出てくれた彼女に対してもである。

彼女は自分達の理由があって放置出来ないだけの話だが、其処まで教えてやる心算は無い。

 

「まぁ、其処で借りを取り立てる心算もありませんがね」

「その通りです。此処は最後まで謙虚な猫を被っておきましょう」

 

雪風と彼女は通常の二倍、しかも面倒な空母部隊を主軸とする深海棲艦を引き受けることとなった運の無い鎮守府の提督と協議し、広く連合を呼びかける。

第一陣の出撃資材をこちらが負担してくれるとあり、近隣を中心とした鎮守府は雪風の予想より多く参加してくれた。

あまり増えすぎるとこっちの財政が破裂するが、なんとか許容範囲内で収まった参加人数。

雪風と彼女は一先ず安堵に息をついた。

連合鎮守府を組む場合、その目的は顔つなぎと撃破実績狙いとなる。

此処で最初の協力者たる彼女が、駆逐艦一隻しか送らない事を不思議に思う所もあった。

しかし雪風は以前にも単艦で連合に参加した事があり、その事を知っている艦娘や提督も当然ながら混ざっている。

彼ら、彼女らの口から雪風が後方支援において成功した実績がある事が語られると、表立って口を挟むものは居なかった。

その代わり、期待される後方支援は以前の様に完璧にこなす必要も出てきてしまうのだが、此処は必要経費と割り切るしかない。

 

「まぁ、駆逐艦一隻で撃破実績なんか上がりませんからねぇ」

「その上資材は私達持ちですからね。連合参加者には本当に都合の良いお財布に見えるでしょう」

 

彼女は自分達が大本営の勅令によって第二鎮守府を預かっていること。

その海域で敵勢が思いの外少なかった為、近海の調査を行ったところ危地にある鎮守府を発見したと説明している。

彼女自身は自分の鎮守府から離れられず、第二鎮守府の維持が勅令である以上は確実な戦力を投入しなければならない。

第二鎮守府に駐留する艦隊の長は、その鎮守府における提督の全権代理。

そのような重責を任せるならば大和しか居ないと言われれば、彼女が最大戦力を投入出来なくても不思議は無い。

そもそも大和、赤城、加賀を揃えて連合に参加などされてしまえば、撃破実績の三割は食われるというのが衆目の予想するところである。

資材を出しつつ駆逐艦一隻で割に合わない献身をしてくれるというのだから、文句等言えようはずが無いのである。

事態は急速に進んだが、概ね雪風の狙った通りの動きを見せている。

そうあるように立ち回ってきた彼女と雪風にしては、努力が真っ当に成果を出しつつある事に一定の満足を覚えていた。

島風の報告から既に二日。

後は雪風が現地に赴き、結成式を経て本格的な深海棲艦狩りが始まる。

最もこうしている間にも敵は大人しくしては居ないため、現地で戦いは続いているのだが。

 

「雪風、一つ良いですか?」

「なんでしょう、しれぇ」

「連合を組むなら、別にこちらの第二鎮守府に招いてしまった方が早く無かったですか?」

「……幾ら敵が強くてもたった二隻、しかも大和さんが居るうちが、対応できませんって余所に泣きついたら流石にしれぇ舐められますよ?」

「うぐっ」

「それに、第二鎮守府の領海を主戦場にして連合したら、うちがよそ様に借りを作る形になります。雪風は貸しを作るのは好きですが、借りを作るのはあまり好きではありません……」

「そうですね。私も好きじゃありません」

「それと大和さんと赤城さんの所在が不明な今、第二鎮守府の領海を連合の主戦場にしてしまえば雪風達の主導で動きにくくなります。連合はあくまで討伐目的、雪風達は全員回収しての生存ですから本来は目的が合いません。幾らうちが主催になるとはいえ、多数意見で大和さん達を見捨てても討伐優先……とか押し切られたら目も当てられないです」

「なるほど……つまり私達の都合の良いように増援阻止をお題目として衆目を其処に集中させ、本当の主戦場での主導権を確保する為の連合なのですね」

「違いますよ? しれぇは第二鎮守府の敵勢に違和感を持って調査し、結果窮地の友軍を見つけただけです。あくまで其処を救援するための連合です。増援阻止とか何のことやら……」

「ふふ。悪い顔していますよ?」

「うちは第二鎮守府の領海を自由に出来る上、偶々其処の深海棲艦を出先で潰せて幸せ。連中の出先になってしまった運の無い鎮守府の皆さんも全滅を間逃れて幸せ。連合に参加してくれる皆さんも、資材こっち持ちで討伐実績を伸ばせて幸せです。だーれも損をしていない……というか、寧ろこれってうちが一番実質には損してるんですよ……」

「実害を被っているのはうちと、敵勢が密集してしまった鎮守府の皆さんですからね」

「雪風としましては……またしれぇとも皆さんとも離れて独り、他人様の資材と損害と討伐計画に奔走しに行くわけですよ……前ほど荒んでないですけど。大和さん達が強敵と戦っていると知っているだけに、もどかしいのです」

「……貴女には、本当に苦労をかけてしまいますね」

「苦労するのは前線の皆さんです。雪風は……主戦場から遠く離れ、あっちでも前線に出ることもせず後方でお勤め……安全に楽できて、本当に良いご身分ですよね」

 

雪風の言葉は冗句というには苦味がきつ過ぎ、彼女はかける言葉が見つからなかった。

夕日が差し込む司令室の窓辺から外を見る雪風。

いつの間にか彼女もその横に立ち、同じ海を見つめていた。

 

「……綺麗な海ですよね」

「はい」

「雪風は、皆さんと此処に帰ってきたいです」

「私も、此処で皆さんにお帰りなさいと言いたい」

「……それでは、雪風は行ってきます」

「はい。資材集めは任せてください」

「お願いします。しれぇが大本営から毟り取ってくれる物資が、実質一個艦隊の稼ぎに相当するのがうちの強みです」

 

司令官と初代秘書艦は互いの目を見て頷きあった。

雪風がもって行くのは自身の標準艤装と、彼女から貰った白い軍帽。

悪目立ちすることなく控えめに、しかし必ず海域を完全制圧しなければならない。

既に大まかな戦闘プランは頭にあるが、それをさりげなく伝えて採用させる話の運びが本当に面倒な雪風だった。

 

 

―――――to be continued

 

 

――極秘資料

 

No4.重巡洋艦羽黒

 

鎮守府で二番目に建造された、妙高型重巡洋艦。

第二艦隊の天使にして旗艦雪風の胃薬。自覚はない。

 

 

・不屈

 

機能1.どんなに不利な戦況でも諦めず、思考を戦闘行為に回せます。

機能2.中、大破。または同判定時に火力値、回避値が上昇します。

機能3.上昇値は耐久の最大値から現在の値を引いた差分になります。

 

・逆境慣れ

 

機能1.戦場の危地に慣れています。

機能2.中、大破。または同判定時に砲戦の命中精度が下がりません。

 

・慈愛

 

機能1.艦娘として生まれた時から持っている性格です。

機能2.自分より耐久、装甲が低い僚艦を可能な限り庇います。

機能3.自身の損傷によって庇うことを躊躇しません。

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき


りふぃです。
遅くなるとか言っていたのはどの口でしょうね……
いや、この後はそうなると思います><
今回其処だけで一週間は掛かると思っていた赤賀パートが二時間で終わったので予想より大幅に投稿時間を短縮できました。
キャラクターの内面に抱えたものを描写するのって物凄い苦手なので、キャラが勝手に話を進めてくれる時は楽が出来て助かります。
自分で深く考えていない部分になるので、読み返すとおかしなことになっていたりするので怖い所にもなりますがorz
大和さんには頑張ってお姉さんしてる赤城さんですが、相手が加賀さんだと容赦も遠慮も大人の対応も出来ません。
やりすぎたって後で後悔して思いっきりへこんで、加賀さんのご機嫌を伺うように上目遣いでおずおずと見上げる赤城さんとか良いと思います。
因みに赤城さんの方が背が高いので上目遣いは猫背になっている証拠ですね!
しかしこの分だと次か、その次辺りで加賀さんを極秘資料に載せられる条件が揃うんですが……
それだけで2~3千字は書けちゃいそうなんですよね。
どうしたもんか。
折角色々考えたんだから全部出力したいんですけどねー><

攻略は現在絶賛停滞中ですw
忍者と綾波と二航戦、後筑摩を育て始めました。
妙高姉さんと那智さんも育てたいんだけどなぁ……

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