駆逐艦雪風の業務日誌   作:りふぃ

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艦これをすると妄想妖精さんがお仕事をしてくれる。
妄想妖精が動くとSSを書きたくなる。
かいていると艦これが出来ない。
ジレンマ。


遠征

第二次補給作戦。

この鎮守府における戦艦大和の初陣は、第二艦隊の一員として雪風の指揮下で行われた。

目的地は前回向かった大規模物資集積地。

深海棲艦の攻撃さえ排除できれば、物資つめ放題のボーナスステージである。

雪風に無理をするつもりは最初から無かった。

とにかく外の空気を吸ってくるだけでもいい。

砲撃戦などをする機会は……あっても良いが、程ほどが良い。

しかしこの世界は、少なくとも深海棲艦は雪風に優しくなかった。

広域無線には悲鳴と指令が交錯する。

 

『沈む! 沈んじゃうから! なんぞこれなんぞこれなんぞこれぇ!?』

『大和さん落ち着いてください! 沈みません大丈夫です、当たらなければいいのですっ』

『艦隊右翼前方より魚雷、接近です!』

『全艦左舷方向へ回避っ、島風ぇ陣形崩さない! 大和さんと羽黒さんを中に入れて、進行方向に頂点を、駆逐艦三隻で三角形です!』

『うぐっ、了解』

『雪ちゃん雪ちゃん。反撃していい? 魚雷撃ちたいっぽい』

『ダメです! 索敵と攻撃方向の割り出しに全力を注いでください。どうせ撃っても当たりませんっ』

 

前回と同じ行程を予想し、しかし大和の船速を考慮して九日の日程を組んだ遠征部隊。

初めの一日は深海棲艦の襲来も無く穏やかな航海だった。

事態が急変したのは二日目の午後。

常に展開していた羽黒の水上偵察機による索敵を掻い潜り、襲ってきたのは敵の潜水艦部隊だった。

世界の海が深海棲艦に閉ざされる中、一般的に最も恐ろしいとされているのが空母型の航空戦力と、潜水艦型の不意打ちである。

空母型よりも潜水艦型の方が行動範囲が狭く、何の制約があるのかほぼ決まった海域にしか出てこない為、危険海域はほぼ特定されてはいる。

しかし近年、徐々に潜水艦型の行動範囲が拡大傾向にあるとされ、鎮守府は対応を悩ませていた。

雪風達の鎮守府付近から補給所までの航路も、潜水艦の目撃情報等はなかった。

最も、それは今日過去形になったわけだが。

 

『潜水艦とか何処の海だって遭遇する可能性はあるんですっ、犬にでも噛まれたと思ってください大和さん!』

『違う、絶対違います! だって犬は可愛いもの! 41㌢連装砲がちゃんと効くもの!』

『犬さん撃つ気ですか!?』

『雪風ちゃん、魚雷接近です。正面から!』

『左右に散会して回避です。回避先の狙撃が本命ですから警戒を怠らないでください!』

『雪風ー、振り切りたーい』

『今全員で振り切ってます! 島風一人が振り切っても仕方ないんですっ』

『雪ちゃーん反撃ー』

『今は節約してくださいっ。敵の狙いはこっちの無駄撃ちです』

 

深海棲艦の潜水艦は、船速が大して早くない。

魚雷を丁寧に回避し、我慢に我慢を重ねて振り切れば低速の大和を抱えていても逃げ切れる。

雪風が手を焼くのは潜水艦の攻撃ではない。

初陣の相手が潜水艦という、人生の暗礁に突入して混乱する大和と、分かっているくせに掛け合いを要求する島風と夕立である。

この構ってちゃん共め!

最も、その全てに対応している雪風を初めとする第二艦隊の面々は、この程度の相手ははっきり言えば余裕である。

しかも相手は、本気でこちらを沈める殺意で攻撃をしてこない。

 

『敵は魚雷の射程ギリギリでこっちを牽制しています! 踏み込んで撃ってこないのは、こっちの反撃を回避して無駄弾を撃たせたいからです。つまり夕立、自重するっ!』

『えー』

『大和さん、前後左右は私達が警戒します。貴女は陣内の足元を警戒。羽黒さんは艦載機で海上の索敵を続けてくださいっ』

『了解っ』

『分かりました』

 

雪風は指示を飛ばしながら、戦闘開始から此処までの状況を整理する。

魚雷の発射方向は前方から右舷よりが多い。

同時に飛んでくるのは、最大で三隻分。

つまり潜水艦部隊はほぼ三隻であり、こちらの進行方向に展開中。

こちらが進路を進むに併せて右舷側を旋回している。

このまま徐々に攻撃は右側面、右後方と流れて行くだろう。

距離も大体掴めている。

もし旋回しないで距離を詰めて打ち込んでくれるなら、夕立の望むように反撃して押しつぶす。

そうなってくれれば楽なのだが、相手がそのつもりなら最初からそうしているだろう。

おそらくこの潜水艦は哨戒である。

だから生存第一に、しかしこちらの弾薬と神経を削ろうと嫌がらせを掛けてくる。

間違いなく、この後の増援部隊が有利に戦うためである。

 

『遠征って基本楽なお仕事の筈なのに……』

『雪風が一発狙いで大規模集積地ばっかり狙うからじゃない?』

『だって前回であそこの敵戦力は潰してますし、遠征一回で物資四桁取れるんですよ!? 狙わないで如何しますかっ』

『ですが前回が戦艦で、今回は潜水艦ですよ……?』

『ソナーか爆雷の開発、待ったなしっぽい』

 

降り注ぐ魚雷を掻い潜り、談笑の雰囲気すら漂わせる第二艦隊。

初陣の大和は、コレが普通なのか異常なのか判断がつかない。

しかし雪風が慌てていないのだから、きっと大丈夫なのだろうと内心の不安を吹き払う。

落ち着いてみれば、遥か遠距離から放たれる魚雷などそうそう当たる気がしない。

しかも自分は一人ではなく、全員が油断無く警戒をしているのだ。

接近してくる魚雷は誰かに早期発見され、確実な回避と陣形の再編を繰り返していく。

やがてこの嫌がらせの効果が薄いことを悟ったのだろう。

深海棲艦潜水艦部隊の攻撃は、右舷後方に至る前に完全に途絶えた。

少しずつ距離を離されながらも、追いかけてくる気配を感じはしたが。

 

『今のうちに振り切ります』

『島風! 突撃しまー――』

『輪形陣ですっ。一人で行かない!』

『うー!』

『敵の攻撃が止んだのは此方が隙を見せなかったからです。このまま警戒を密にしていきましょう』

『分かった』

『任せて羽黒』

『羽黒さんのいう事は聞くんですねこの鬼畜艦共めっ』

『当然っぽい?』

『羽黒の言うことを聞かなかったら私達が悪者じゃない』

『……大和さん、これは悪い例です。大和さんは第一艦隊で、雪風みたいにならないでくださいね』

『え、えーと……』

 

背中が煤けている雪風。

慰めてやりたいが陣形を維持する必要があり、傍にいけない。

大和としては、この雰囲気は好ましいと思うのだが。

警戒したまま半日程の航海を経て、夜の訪れと共に姿を消した潜水艦。

あいつらと夜戦をするようになったら。最悪撤退もありえただけに密かに安堵する雪風だった。

最もこの後に本命が来るのは間違いない所であり、その時にはさっきの三隻も来るだろう。

少しシビアな補給作戦になるかもしれない。

先頭を行く雪風は肩越しに大和の姿を確認し、厳しい初陣に臨む仲間に少しだけ同情した。

 

 

§

 

 

「おお?」

「む」

 

目的地に到着した雪風達第二艦隊。

其処には既に先客があり、雪風と大和は顔見知りである。

 

「ご縁ですかねぇ。またお会いできて嬉しいです。長門さん」

「雪風、あの時は会わなかったが、来ていたようだな」

「ご存知でした?」

「其処のそれがお前の名前を呼んでいたじゃないか」

「……恥ずかしさのあまり記憶から抹消していましたよぅ」

 

頬を引きつらす雪風に笑う長門。

最も雪風の背中には大和が、長門の背中には陸奥が張り付いたために双方共にしまらなかった。

 

「陸奥、お前も挨拶しろ」

「だ、だってぇ……」

「大和さんも、謝るなら早いほうがいいですよ?」

「あぅ……」

 

お互いに強い苦手意識を抱いたらしい二人の戦艦が、信頼するものの背中からお互いを除き見る。

最も、陸奥が苦手なのは大和だが、大和が苦手なのは陸奥よりも長門だったろう。

 

「長門さん程の戦艦にお使いとか、少し贅沢じゃありませんか?」

「大和を連れているお前達は、どうなんだ?」

「こっちは大和さんの演習航海と行った所です。でもそちらに必要とは思いませんが……」

「まぁ、な」

 

長門は苦笑して説明する。

 

「あの演習、金剛の奴と賭けをしていたんだ。私達が負けたら、弾薬と燃料調達の遠征に行ってやるってな」

「なるほど」

「お前達は普通に資材調達か? 此処は良いポイントだな。集めやすく量も多い」

「その通りです。帰りの足が鈍ったところを襲われることも多いですが」

「此処はよくあるらしいなぁ。私達は蹴散らすまでだが」

「おぉ? 長門さんはもう深海棲艦と交戦を?」

「いや、索敵に手を抜いたつもりは無いが、見当たらなかった」

「ふ……むぅ……」

 

雪風は難しい顔で黙り込む。

以前此処に駐留していたと思われる部隊は雪風達が排除している。

長門達が敵に会わなかったというのも納得出来る。

しかし雪風達の使った航路には潜水艦が居たのだ。

あれがこの近海を索敵している部隊だとしたら、このまま長門達を帰すのはお互いにとって危険な気がする。

 

「長門さん、随伴艦は陸奥さんだけです?」

「あぁ。あれから多少へこんでいるようだったし、気晴らしになればと思ってな。こっちの駆逐、軽巡は遠方に長期航海に出ている時期だったし」

「そうですか……長門さん、そっちの搬入、此方でお手伝いしますから少しお時間もらえますか?」

「手伝ってくれるのは助かるが、どうした?」

「雪風達はこの海域で敵と交戦しているのです。少し情報を交換しましょう」

「分かった」

「島風と夕立は陸奥さんと搬入作業をお願いします。大和さんと羽黒さんは海に出て、警戒と敵が来た場合は封鎖阻止と迎撃をお願いします」

「行けるか? 陸奥」

「わ、わかった」

 

それぞれの僚艦に指示を出し、雪風と長門は一旦二人きりになる。

長門は小さな雪風の肩に手を置き、それまでよりも柔らかい微笑を向けた。

 

「こうして顔を合わせるのは、終戦以来か……艦隊の旗艦をしているんだな。お前の能力に見合った職権を得ているようで、安心した」

「見合っていませんよ……早く羽黒さんに交代して欲しいです。問題児ばっかりなんですようちの艦隊……」

「その割には、楽しそうだ」

「そうですね……雪風は楽しいです。皆で艦列を組んで、もう一度この海を行く事が出来るだけで、本当に楽しいです」

「あぁ。それは、私も同じだ」

 

互いに頷きあう長門と雪風。

こうしているだけで話はつきそうに無いが、搬入作業が終わる前にするべき話は多い。

 

「雪風達が以前この海域に来たとき、深海棲艦は丁寧に哨戒部隊を配置して待ち伏せしていたんです。その時の戦力は、戦艦一、重巡洋艦三、軽巡洋艦二、駆逐艦二隻でした」

「戦艦を旗艦に据えた一部隊と言った所か」

「はい。空母とか居ないでよかったです。ですが、その部隊は戦艦を残してほぼ全滅させているんです」

「そうか。だから私達が来るとき、何も居なかったのかもしれないな」

「かもしれません。しかしそのお陰で、戦力の増強が行われた可能性があります」

 

雪風は来る途中に潜水艦に襲われていることを説明する。

長門は黙って聞いていたが、その潜水艦が牽制攻撃のみで撤退した話を聞くにつれて顔色が険しくなる。

 

「増援を呼びに行ったのは間違いないな」

「あわよくば、雪風達の弾薬を削りたかったはずです。そちらの意図はかわしたつもりですが、大和さんを含めた此方の陣容は把握されました。それに勝てる戦力を増援に向けるはずです」

「そちらも大変だろうが、こっちには対潜能力が無い。此処は潜水艦の危険海域から相当に離れているが、油断だったな」

「あらゆる可能性を想定するのは必要ですが、現実には不可能ですしリスクを全く取らないならば動けなくなります。ですが今回敵に取って、おそらく予想外な要素が一つあるんです」

「此処で私達が合流することだな」

「はい。長門さんと陸奥さんは、索敵をしていたにも関わらず敵に全くあっていない。希望的観測も入りますが、まだ哨戒にかかっていない可能性が高いです」

「……戦闘力なら陸奥は大型の戦艦だ。それを砲撃支援に出さなかったのは、隠匿か」

「はい。既に把握されているであろう、こちらの戦力だけで対応したいと思いました。本当なら、羽黒さんは力仕事お願いしたいんですけどねぇ……」

 

非力な駆逐艦二隻を戦艦のお手伝いにつけても、きっと微力にしかならないだろう。

夕立はともかく、島風には陸奥も手を焼いているのではないか。

先ほどから陸奥の悲鳴や怒号が此処まで聞こえてくる。

それでも何処と無く楽しそうに聞こえるのは、気づかない振りをしてやる長門であった。

 

「海の距離で言えば、うちと長門さんの鎮守府はご近所です。帰りのお荷物お持ちしますので、護衛をお願いできませんか?」

「そう下手にでるな。潜水艦が居ると判っている海域を突破せねばならない現状、駆逐艦であるお前達にはこちらから頭を下げても護衛を頼みたいよ」

「では」

「あぁ」

 

長門と雪風はしっかりと手を握り、互いの意思を確認する。

 

「連合艦隊の結成だ」

「…………すいません長門さん、少し今、泣きそうだったりします」

「我慢をしなくていいぞ? 私も随分感慨深い思いをしている」

「あぁ、もう……歳を取ると涙もろくなりますねぇ」

「お前実は、艦齢長かったからなぁ……」

 

深い息をつき、空を見る。

胸の奥から湧き上がるものを感じるが、雪風は奥歯をかんで飲み干した。

今の気持ちを、涙と共に流すことすら勿体無いとおもったのだ。

 

 

§

 

 

物資搬入作業が大詰めを迎えたとき、羽黒から通信が入る。

 

『深海棲艦発見。重雷装艦と、重巡洋艦がそれぞれ二隻。軽巡洋艦三隻。東方向から距離およそ100㌔』

『潜水艦はいませんか?』

『私が感知できる範囲には、いないと思います』

『了解しました。対応を長門さんと協議します。海に出るまで出口の確保をお願いします』

『了解。戦艦大和、重巡洋艦羽黒、迎撃戦に入ります』

 

雪風は長門に通信内容を伝え、物資の集積状況を確認する。

 

「こちらが燃料3000に弾薬が3000。そちらが順に2000.1500.1500.2500だな」

「まだ予定の七割と言った所ですが、後一時間もすれば砲撃戦の間合いに入ってしまいます。その前にこちらも海に出ておくべきかと」

「賛成だ。欲をかいても碌な事にならん。撤収しよう」

「はい!」

 

それぞれの僚艦を呼び寄せ、停泊させてある貨物船を牽引する。

夕立を先頭に、二隻の貨物船が連結している形である。

最後尾から島風が押してやるが、それでも船速は二十ノットがせいぜいである。

必死に引っ張る夕立を、雪風は生暖かく見守った。

 

「こういうときって旗艦でよかったなぁって思います」

「重いー……重いー」

「だ、大丈夫?」

「陸奥さん、お気になさらず。甘やかすと為にならないので」

「雪風。やはりこちらで引いたほうが良くないか?」

「長門さん達には、荷物もちより大事なお仕事があるじゃないですか」

「まぁ、そうだな。すまん夕立。陸奥、大和達に追いついて、敵部隊を殲滅するぞ」

「了解」

「長門さん達が敵を排除したら、荷物は羽黒さんに持っていただきましょう。重巡洋艦の戦力減はもったいないですが、今回は戦艦が三隻も居ますし潜水艦対策も必要です。駆逐艦の手も空けておきましょう」

 

雪風も島風と共に荷物を押して前進する。

ゆっくりとした速度だが、寧ろ大和達の戦闘が終わるまでは合流しないほうがいい。

貨物船を抱えた駆逐艦など敵から見たら良いマトであり、戦域に合流したら大和達はそれを守らなくてはいけなくなる。

一刻程すると長門から戦闘勝利の連絡が入り、海上で合流した雪風達。

青い顔をして荷物をひっぱる夕立に大和が頬を引きつらせた。

 

「夕立……大丈夫ですか?」

「あたし帰ったら絶対、駆逐艦の労働組合作るっぽい……」

「この程度で滅入っていたら神通さんの訓練は生き残れません。さて、すいませんが羽黒さん。夕立だと一人で引っ張りきれませんので替わっていただけますか?」

「任せてください」

 

夕立に括り付けてあった牽引用のロープを解き、羽黒に結わえなおす。

 

「おも……ん? 意外と軽い?」

「……え?」

 

羽黒は一同が見守る中、二十八ノットで航行を開始してみせる。

側で見ていた戦艦達も、その光景には唖然とした。

 

「ま、まぁ……嬉しい予想外です。撤退しましょう」

「そ、そうだな。羽黒、悪いが頼むぞ」

「はい。帰りましょう」

 

出来れば敵の本格的な増援が来る前に鎮守府近海に帰っておきたい。

そう思う一行だったが、撤退の翌日には深海棲艦の増援部隊を発見した。

当然敵もこちらを捕捉していることだろう。

最大船速で真っ直ぐに向かってくる。

 

「雪風ちゃん、来ました! 敵先頭の波形パターンはイエロー。flagship級です」

「一隻だが戦艦だな。随伴艦も波形赤だ。全員がelite級だぞ」

「あらあら、随伴艦の中にも戦艦が居るように見えるんだけど?」

「え……これ危なくないんですか? ねぇ、ねぇ雪風? 長門さん?」

「嬉しいでしょう大和さん。あれたぶん、大和さん一人を沈める為にそろえたんですよ?」

「流石ね大和。モテモテじゃない」

「うぅ、嬉しくない」

 

撤退を続けながら確認した所、深海棲艦はflagship級戦艦一隻。elite級戦艦が一隻。elite級重巡洋艦三隻、elite級重雷装艦二隻。

そして姿は見えないが、潜水艦が潜んでいる事だろう。

雪風は海路と周辺情報を記憶から引っ張り出す。

すると直ぐ近海に巨大な渦潮の目撃情報が上がっている事を思い出した。

通常海路からは外れているため普通に通る分には問題ないのだが。

 

「長門さん、あの戦力と真正面から撃ち合って、一歩も退かないで勝てますか?」

「勝てるぞ」

「比喩ではなくて、本当に一歩も後退しないで押し返せるか……という意味では?」

「無論。陸奥も大和も居るこの布陣で、あの程度の相手に砲撃戦で押し負ける事は無い」

「なるほど。では海路を外れて大渦を背負って布陣したいのですが、よろしいですか?」

「ふむ……潜水艦対策か」

「はい。海面下の流れが荒い渦を背負えば、背後に回られるのだけは避けられます」

「敵主力が半包囲してきたら?」

「その時は敵中央が薄くなります。こちらは先に密集して待ち構えるわけですから、相手が陣形を変える間に、この陣形のまま突進攻勢をかけて中央を突破、敵背面に展開して逆包囲します。其処で駆逐艦トリオで戦艦トリオの背後を警戒。体勢が入れ替わったとき、潜水艦は今度は私達の前には布陣できなくなるのですから」

 

潜水艦の位置もかなり絞れる。

勝率の高い提案であると認めた長門は、航路を変更して渦潮に向かう。

雪風達も追従し、なんとか敵が展開する前に渦潮正面に布陣を完成させた。

敵正面に対して大和、其の左右を長門、陸奥が固める布陣。

その後方に輸送船を牽引する羽黒が控え、羽黒の後ろに駆逐艦三隻が布陣する。

ほぼ万全の迎撃体勢で待ち構える雪風一向。

其の前面に深海棲艦の追撃部隊が展開し、ついに砲撃戦が始まった。

双方の距離はおよそ20000㍍。

回避スペースでは後方に安全圏を控えた深海棲艦側に利がある。

しかし長門達の砲撃精度は多少の回避行動等ものともしなかった。

一時間足らずの砲撃戦によって三度の突撃を跳ね除けると、敵重巡洋艦一隻と重雷装艦一隻を大破させる事に成功する。

その様子を確認した雪風は、羽黒に指示して移動を開始した。

 

『羽黒さんはこのまま右翼の陸奥さんの外側を通って敵側面に回ってください。雪風達も羽黒さんと貨物船の陰に隠れて移動です』

『荷物引かせたまま移動するの?』

『敵主力は長門さん達を抑えるのに精一杯。雪風達が側面取りを開始しても、其処から兵力は割けないでしょう。来るとすれば潜水艦ですが、対潜能力の高い駆逐艦だけだと潜水艦が来ないかもしれませんし、駆逐艦の火力を考慮して側面取りが無視される可能性もありえます。牽引して移動力が落ちた羽黒さんと、反撃能力の無い貨物船が一緒なら、潜水艦を釣れる確率が上がります』

 

しかも羽黒を無視して側面など取らせたら、戦艦と重巡洋艦で十字砲火網が完成する。

この側面取りを無視することは出来ないと思う雪風だった。

慎重に、しかし敵の視界には入るように移動する羽黒。

この潜水艦釣りは長門と打ち合わせをしていない。

雪風が左翼に視線を投げると、砲撃戦の最中でも余裕の長門と目が合った。

長門が小さく頷くのが見える。

雪風は敬礼を返すと、貨物船と平行して動き出した。

 

『陸奥さん、後ろを失礼します』

『いいんじゃない? 上手くやってよ』

 

大和、長門、陸奥の三隻が申し合わせたようにほんの少し前進し、火線を絞って密にする。

敵先頭集団への圧力を強めたところで、羽黒達は陸奥の外側から飛び出した。

敵陣左側面を狙った突進。

しかしそれが完成する直前、羽黒達の正面から複数の魚雷が殺到する。

以前のそれとは違い、今度は近い。

魚雷回避が得意な島風や自分ですら、回避に余裕はない距離である。

当てることと沈めることを意識した殺意のある魚雷は、雪風の背筋にひりつくような緊張を走らせる。

悪くない感覚だった。

自分以外の船がとても遅く見える。

海面下を走る魚雷も見えるようだった。

あれが敵を感知したとき、ほぼ垂直方向に転進して突き上げて、もしくは突き下ろしてくるのである。

その軌跡を視線で追えば、潜水艦の存在も知覚できる。

目で見えているわけではないそれを、雪風は確かに捉えていた。

隣で夕立と島風が魚雷を撃ったのが解る。

クリアになった意識の中で、雪風は夕立の魚雷が二隻、島風の魚雷が一隻に命中する軌跡を予感した。

この雷撃戦はきっと成功する。

後は……

自分の指示で囮にしてしまった羽黒を、傷一つ付けずに守るだけである。

雪風は交錯する魚雷の中に飛び込むと、小さな身体で羽黒と交差する魚雷の軌道に滑り込んだ。

ほぼ一瞬の出来事である。

一本なら耐えてみせる。

そう思って歯を食いしばった中で雪風は見た。

後一秒とせず、この場所は三本の魚雷が交差する。

第二艦隊の面子全員が冷たい汗を浮かべ、しかし対応には一歩も動けない中で雪風が被弾する。

水しぶきを上げて海面を突き破り、足元から襲い掛かる魚雷。

わき腹と肩に当たる魚雷は避けられなかった。

しかし雪風の反射神経は胸に吸い込まれる一本の軌跡には反応した。

衝撃の中で必死に身を捩る。

それにどれ程の効果があったのかは分からないが……

一本の魚雷は雪風の身体をすり抜けるように空に向かって吸い込まれていった。

 

『雪風!?』

「……」

 

島風の声が聞こえるが、声など出せるわけが無い。

雪風は衝撃でもみくちゃにされながら、視線は一点へ固定していた。

少し遠くの海面で、三つの波紋が吹き上がる。

仲間の魚雷が、潜水艦を捕らえたのだ。

 

『島風……夕立……よ――』

 

よくやりました……とは、喋れなかった。

身体を支えきれず崩れ落ちる。

力なく首が傾ぎ、その視線が砲撃戦をしているはずの大和と重なる。

こら、何処を見ている。

敵は前にいるのである。

初陣のくせして、敵前で余所見とは良い度胸だ。

雪風の口が微かに動くが、やはり声までは出せなかった。

泣きそうな大和の顔。

きっと昔は自分があの顔をしていたんだろうと思う。

そう思うと少し胸が痛んだ。

雪風がぼんやりと瞳を閉じかける。

今現実から送られてくる信号を切ったら、きっともう浮上は出来ない。

視覚情報、痛覚情報、聴覚情報……

既にどれも遠くなりつつあるが、それは雪風が生きている確かな証拠。

それを自分から手放したらもう戻ってこられない。

そうと承知で瞳を閉じる。

しかし自力では閉じれない耳に、凄まじい怒号が飛び込んできた。

 

『雪風ぇ起きろっ!』

『ふぁっ』

 

倒れ伏し、艦娘としての浮力を失った身体は半分が沈みかけていた。

それでも足掻くように海面に手を着くと、沈んだ体を引き剥がすように突っ張った。

同時に夕立と島風が両脇を支え、雪風の身体を引き上げる。

声の方へ視線を投げると、意地の悪い笑みの長門がいた。

その程度で不沈艦か?

視線でそう語っている。

雪風とて悔しいが、長門にはそう言う資格があるだろう。

長門を沈めた攻撃は、魚雷など玩具に見える破壊兵器であったのだから。

 

「……」

 

何か言い返してやりたい雪風だが、あいにくと隙が見当たらない。

大和と違い、こちらを見ながらも砲撃戦の手は止まっていなのだ。

むしろ大和の手数が減っている分の負担は増えているはずなのだが、それをものともしていなかった。

本当に、ビッグセブンは何をやっても格好良い。

華の無い自分には羨ましくもあり、そういうのも面倒だろうなとも思う。

 

『う……ぐぅ』

『雪ちゃん!? 平気っぽい? 痛くない? 痛くない?』

『痛いに決まってるじゃない! 揺らさないでよっ。羽黒! このまま敵を左側面から撃ち崩して! 夕立、雪風を曳航して!』

『え? 島ちゃんは……』

『決まってるでしょ?』

 

背面展開。

砲撃戦に参加した羽黒を振り切るように加速した島風は、四十ノットの快速を限界に生かして敵艦隊の左側背に回りこむ。

味方戦艦の撃った砲弾がそこそこ近くを掠めて行くが、それは一先ず無視する。

島風は敵背後を横断しつつ10㌢連装高角砲をばら撒き、そのまま敵陣右側面を振り切って長門のいる味方左側面から合流を果たす。

最早四隻まで撃ち減らされた敵艦隊に、島風の奇襲に対応する戦力は残っていなかった。

背後から襲い掛かる小型砲と、左側面から打ち込まれる羽黒の砲撃。

そして正面に布陣する戦艦三隻の集中砲火に晒された深海棲艦は瞬く間に撃ち減らされた。

戦闘開始から二時間。

大和の放った砲撃が最後のflagship級戦艦を轟沈させる。

自分の弾丸が敵を沈めた事を確認するや否や、大和が戦列を離れて向かってくる。

夕立に抱えられた雪風に駆け寄ると、あたふたと周囲を見渡した。

何かしたいのに、何をしていいか分からないのだろう。

 

「お疲れ様です、大和さん。最後、美味しいところを持っていきましたねぇ」

「雪風、大丈夫? その……」

「大破してるんですから……それは、痛いですよ」

「そ、そう……よね。あ、あうぅ……」

「一々泣かない! さぁ、帰りま――」

「皆さん! 敵影発見、艦載機です!」

「なにっ!?」

 

雪風の元に集まりつつあるメンバーの中、一人敵陣の遥か後方まで水上偵察機を飛ばしていたらしい羽黒。

警戒を促しつつ、貨物船を牽引して合流する。

水上偵察機は連続した映像を羽黒に送り続けていた。

其の中で、最も敵が鮮明に移った一瞬の映像を記憶の中から拾い上げる。

 

「……確認出来た数は、艦攻八十三機、艦爆三十九機、艦戦三十一機、認識不明が二十機弱です」

「……凄いな、良く拾ったものだ」

「規模からすると、七十機搭載のヲ級が二隻、四十機搭載のヌ級が一隻の構成ですかねぇ……」

「推定接触時間は十分後。早いです」

「……」

 

時間が無い。

長門と雪風は示し合わせたように頷きあうと、それぞれの口から同じ指示を飛ばす。

 

「艦載機の速度からは逃げられん! 砲撃するぞ、弾幕を張って敵機の接近を阻止しろっ」

「貨物船を中心に輪形陣へ! 戦艦三隻と駆逐艦三隻で交互に入って、正六角形に展開です。全天砲撃体勢! 敵艦載機を撃ち落しますっ」

「それと雪風、お前は中だ」

「え……?」

「今のお前が持ち場を維持できるとは思えん。集中攻撃の的になるぞ」

「雪風に艦載機が集中するなら、こちらの火線も集中できます。初めから其のつもりで行動すれば――」

「阿呆、旗艦が最初に沈む作戦を許可出来るか」

「うぐ……」

「こうしてお前と向き合っていると、お前には見えないモノが見えるものだ」

「……それは?」

「お前の後ろで、心配しているお前の艦隊だ」

「……」

 

雪風は振り返ることが出来なかった。

長門が言うような視線を自分の目で見てしまったら、雪風はきっと意志を通せなくなる。

言いたい事はある。

次に沈むとしたら、それはどんな仲間よりまず自分でありたい。

長門や第二艦隊の仲間達とは相容れないかもしれないが、雪風自身はそう思っていた。

しかし今は……

 

「分かりました。お願いします、長門さん」

「あぁ、任せておけ。雪風の位置には羽黒が入れ」

「了解しました」

 

時間が惜しい。

長々と議論している暇が無い。

雪風が引かずに時間を浪費すれば、陣形すら取れないうちに敵機の空爆を受けるだろう。

そうなっては無意味どころか有害である。

羽黒は自身のロープを解き、雪風に握らせた。

結わえなかったのは、最悪貨物船など捨てて回避行動を取るようにという意思表示だろう。

雪風は悪戯がばれた子供のように羽黒と視線を合わせる。

信じている。

微笑んだ羽黒の目はそう語り、雪風の肩をぽんと叩く。

ようして背を向け、持ち場に向かう羽黒を見送った。

雪風は広域通信を展開する。

 

『敵の狙いは主力戦艦と艦載機との挟撃だったと思われます。しかしこちらが迅速に主力を撃破したために、攻撃が分離したんです! コレは各個撃破の好機、総力戦で行きましょう!』

『おう!』

『頑張るっぽい』

『長門さん、砲撃指令をお願いします』

『任された』

 

味方の士気は上がったか?

後は何か、言うことがあっただろうか。

疲労と損傷でぼんやりする視界の中で、大和が心配そうに見つめている。

そうだった。

後一押し、忘れていた。

 

『大和さん』

『……』

『帰りは雪風の曳航、お願いします』

『っ! 分かりました』

 

やる気になってくれたらしい。

戦闘能力を喪失している雪風に出来るのは士気向上の旗になるだけ。

お飾りであろうとなんだろうと、雪風は鎮守府の司令官に任命された第二艦隊旗艦なのだ。

東の空から無数の点が飛来する。

それはこちらの砲撃射程はるか手前で散開すると、五機一組のグループに展開。

重層する包囲網で雪風達に襲い掛かった。

 

『―――――――!』

 

長門の砲撃命令が轟き、迎撃戦が開始された。

全力砲撃する輪形陣の真ん中にいる雪風である。

砲弾の発射音が反響して耳が痛い。

空爆と弾幕が交錯する空で、敵機が凄まじい勢いで墜落していく。

轟音の中にありながら、雪風は意識を手放した。

 

 

§

 

 

輸送船一隻轟沈。

長門、島風、羽黒中破。

大和、陸奥、夕立小破。

敵空母の攻撃で多大な損失を被った雪風達だが、ついに其の艦載機を十機以下にまで撃ち落した。

七次に渡る波状攻撃に耐え続け、守るべき輸送艦を一隻失いながらもついに敵の攻撃能力を奪ったのだ。

流石に此処から敵空母に攻撃を掛ける余力は無いため、傷み分けになるだろうが。

迎撃戦に参加した面々は、荒い息を吐きながらもその成果に深い満足感を味わった。

とにかく守りきったのだ。

雪風が意識を失い、寄りかかった方の輸送艦だけは。

一向は長門の指揮で撤退を開始した。

先頭を行く長門は、肩越しに後ろの大和を見る。

小さな雪風に肩を貸し、曳航している。

 

「初陣にしては良くやったか」

「私達の初陣よりは、よっぽどだったと思うよ長門姉」

「私達の時は、駆逐艦と軽巡を吹き飛ばしただけだったしなぁ」

 

一度海に出れば、どんな深海棲艦が出てくるかなど誰にも分からない。

もちろん敵戦力の目撃情報や予想は立てるし、十分対応できる範囲で慣らすものだ。

しかし遠征航海で潜水艦に襲われ、戦艦部隊と航空部隊の波状攻撃まで経験した艦娘がどれだけ居るだろう。

よく轟沈を出さなかったと思う。

思いのほかハードになった遠征に、長門は一人息を吐いた。

 

「長門さーん」

「おぉ、起きたか雪風」

 

雪風が指示したのだろう。

大和は長門に追いつくと、雪風に肩を貸したまま併走する。

 

「はい、一番大切なときに気絶とか申し訳ないです……」

「お前はやることをすべてやった……と私は思う。良い指揮だったぞ」

「そうでしょうか……?」

「ああ。久しぶりに楽しい戦闘だった。最近は蹴散らして終わりの掃討ばかりだったしな」

「あ、あはははは」

 

長門にとってこの遠征初戦の海路防衛は、おそらく戦闘行為にすら入らないのだろう。

行って、撃って、終わった。

雪風とは能力のスケールが全く違う。

そして大和も、本来は長門達と同じ視線を持つべきなのだ。

きっとそうなったとき、今の情けない大和が懐かしくもなるのだろうが。

 

「そういえば長門さん、是非うちの鎮守府に寄って下さい」

「ん?」

「こっちの輸送船が無事だったんですから、この資材山分けですよぅ。半分うちの鎮守府に収めたら、そのままこの船でお持ち帰りください」

「ふむ、良いのか?」

「この遠征内容報告した時、長門さんを手ぶらで帰したら雪風達が怒られますよ?」

「そうか。いや、助かった。手ぶらで帰ったら金剛の奴に何を言われるか、面倒だったからな」

「雪風が足を引っ張ったって、正直に言えば良いと思います」

「嘘は好かん。それに人のせいにするのも気分が悪い」

 

雪風の顔を伺うと、どうやら本気で言っているらしい。

少し考え込んだ長門は如何声を掛けたものか迷う。

しかし雪風の隣でオロオロとしている大和を見て、諭す相手を見出した。

 

「おい、大和」

「え? あ、はい」

「お前、その駆逐艦離すなよ」

「離しませんよ?」

「あぁ、離すな。そいつは勝手にお前の手も払おうとするだろうが、絶対に逃がすな。そいつが死地に飛び込むときは傍にいろ。お前なら守れるし、お前が傍にいればそいつは無理出来ん。足手まといでも上等だ。こいつはそれくらいの重石があって、丁度良い化け物だからな」

「酷いですよぅ長門さんー」

「はっはっは」

 

長門が初めて見た大和は、自分の鎮守府のモニターだった。

雪風に伴われ、手を引かれながらおどおどと周囲を見渡す姿に情けなさを感じた。

代名詞たる主砲も持たず、副砲も随分とマイナーダウンし、艦載機も積んでいないようだった。

基礎能力は流石に大和型一番艦ではあったものの、闘いの中に身を置く為のメンタルを持っていない。

そんな印象だったのだ。

間違っているとは思わない。

それは長門が再会した妹に対しても感じた印象である。

長門はそんな妹を守るつもりだった。

しかし実際は逆であり、最後の一線では足手まといになりかねない陸奥のお陰で、自分が兵器という化け物にならずに済んでいるのだ。

自分達という鏡があるからこそ分かる関係だった。

この二人は、きっと相性が良い。

性格的に好き嫌いが合うかどうかは分からないが、必ずお互いを必要とする。

比翼の鳥は、あくまでも二羽だ。

お互いを必要としながらも、決して一つには解け合えない。

今は繋がれている其の手が、いつかどちらかの苦痛になるようなことがあれば、その時は……

 

「長門姉?」

「……陸奥。お前、離れるなよ」

「うん? うん」

 

人の事を心配している程、長門に余裕があるわけでもない。

現世によみがえり、艦娘として生きる身。

感情の揺らぎには戸惑うことだらけなのだ。

何時までも共依存では居られない。

かつての戦歴では敵わなくとも、艦娘としては明らかに年長の自分である。

後輩達の良き前例となれるよう、自分を支える絆の一つ一つを大切にしていきたい。

それが長門の、今生の目標なのである。

 

 

§

 

 

――雪風の業務日誌

 

やまとさんとうちのみんなでぶっしをあつめにいきました。

せんすいかんにおそわれたのでにげました。

あっちでながとさんとむつさんにおあいしました。

かえりみちのごえいをしてくれました。

しんかいせいかんにおそわれましたが、ながとさんがやっつけてくれました。

かっこうよかったです。

あつめたぶっしのはんぶんをおれいにしたいです。

おねがいしますしれぇ。

 

 

 

 

――提督評価

 

お疲れ様でした。

私は誤解をしていたのかもしれません。

遠征任務は、直接戦う事の少ない安全な任務だと聞いていたのですが……

収集物資の折半は了解しました。

貴女達を守ってくださった長門さん方には、感謝の言葉もありません。

あちらの提督さんにも、私からお礼を申し上げておきます。

大和さんに曳航される貴女を見た時は、心臓が止まるかと思いました。

本当に、よく帰ってきてくださいました。

ゆっくり休んでくださいね。

 

 

 

 

 

 

 




どうしてこうなった……
最初の予定では帰りに潜水艦をあっさり倒して、大和が座礁して中破。
集めた資材が修理費で消し飛んで提督おこ! の話だったのに……
原因はMMD杯の素晴らしい艦これ動画だと思われます。
あれらを見ながら夜鷹の夢とか聞いていると、お話も勝手にシリアスよりになりますよね!
すいません調子にのりましたorz

夕立さんが55になりました!
ぽいぽい可愛いです。最高です。
でもお前のような駆逐艦がいるか。
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