氷柱は冷酷だそうです 作:太一
「おい、馬鹿女」
そう言って、継ぐ子を見る
聞きたいことがあるのだ
「馬鹿女じゃなくて名前で呼んでください!!」
「お前が名前を教えないんだろうが」
そういえばこの女の名前を聞いていない
こいつの思考回路を理解する事は出来ないが、とにかくこいつの名前を知る事は重要だ
名前は個人を特定する為のものだからな
「もう、またまたー。師範が忘れただけでしょ?良いですよ、もう1度言ってあげます。私は「氷柱!!」
なんか来た
この馬鹿女よりも恐らく重要な事だろう
さっさと行くか
「ちょっ、師範!!私を置いてかないで下さい!!」
いや、勝手についてこいよ
「ついてこない奴は置いていく。俺の継子になるんだから覚えておけ」
「時透達と合同任務・・・面倒だ。却下」
時透 有一郎と無一郎
2人で霞柱で、双子だと言う
俺が鬼に襲われた時に、近くにいたらしい
有一郎の方は指の痺れ
無一郎の方は記憶を喪失した
俺と同い年で、13歳になって入隊して2ヶ月で柱になった天才肌らしい
2人とも見た目は可愛い少女だと聞いたが、大してそこまで可愛く無いな
だって無一郎はずっと毒吐いてるからね
「ねぇ、馬鹿なの君?同じ柱だからって言って良い事と悪い事もわからないの?」
隣で双子の姉は頭を抱えている
何をやってるんだこいつらは
知った事じゃ無いけど、有一郎は俺を見ると心底悲しそうな顔をするのを辞めろ
「良いか、この程度の任務で人員を割くのは無駄だ。よってお前らだけで行け。もしくは俺がいく」
「お館様の言う事が聞けないの?」
「いう事を聞く義理は無い。命を救ってもらっては居るが、大抵の願いは叶えているからな」
無一郎がどんどん近づいてくるが、臆する事はなく水色の瞳を見る
「師範!!」
「なんだ?」
「私の名前は、神崎 舞です!」
「今いう事か、それ」
「今いう事か!?」
上が俺で下が有一郎
有一郎が良い感じに慌てているが知った事じゃ無い
そして、やはり俺の継子は馬鹿だ
結局、あの2人だけで任務に行った
なんでここに来たのかわからない
14歳になり、継子は15歳で最終選抜へと行った
頭は馬鹿だが、水の呼吸との相性が良いのか何故か太刀筋は良い
器用な事に俺のお面の紐をじわじわと苦しめて居たからな
「心配ですか?」
蝶のように華麗にこちらへと飛んできた少女
蟲柱・胡蝶 しのぶ
「・・・胡蝶。気持ち悪い冗談はやめてくれ」
あの馬鹿女の心配なんて気持ち悪い
無駄に太刀筋がいいのを知っているからな
「冗談じゃ無いですよ。私の所もカナヲが勝手に選別へ行ってしまいましたし・・・」
「あれはお前の継子だったのか、意外と凄いんだな座敷童子」
いつも微笑んでいて、表と裏と書かれたコインで行動を決める
そして、思うのだが座敷童子のようだ
悪い意味では無い
「カナヲに変なあだ名を付けないで下さい。馬鹿にしてるんですか、貴方は」
「いや、あそこは隊士を治療する屋敷だ。だから、座敷童子が居たら怪我の回復も良さそうだし」
「・・・そういう意味なら良いですけど、次からは名前で呼んであげて下さい」
「で、何しにきた?」
この女がなんの用事も無しにここにくる事はない
何しにきたんだこいつは
「定期検診ですよ。貴方、自分の体がかなり特殊な事を忘れているんですか?氷の呼吸の副作用も気になりますし」
合点が言った
最近、どおりで休みが多い訳だ
「了承した。それでは、蝶屋敷へ行こう」
「話が早くて助かります」
「異常はありませんね」
検査の後に言われた
無いなら良い
「ですが、貴方はやはりおかしい」
「やはりおかしいとはなんだ」
満面の笑みで言う事がそれか
言われてる方はかなり悲しいぞ
「現在、氷の呼吸を使う隊士は貴方だけです」
「体が凍っていくからだろ?」
何故か、どういうわけか氷の呼吸の使い手は凍る
全員が凍死していく
炎の呼吸では、焼死などはしない
氷の呼吸は始まりの呼吸とやらとほぼ同等、もしくはそれ以上の威力を持つ
だが、その反面にデメリットが大きい
身の丈に合わない力は、身を滅ぼすというべきなのか
凍死して者が続出
俺は本で読んだ呼吸法を独自に学んだ為に無意識に変えたらしい
「聞いてますか?全く、最近はどうしてこうも人の話を聞かない人が続出するのでしょうか」
「すまないな、胡蝶。ぼっーとしていた」
「謝って済めば神様も仏様も居ませんよ」
「ごもっともだ」
結局、面倒くさくなって途中で逃げた
任務が入ったからよかったな
初めて感謝したよ、任務に
あの日から今日で10日
そして今、俺は走っている
「待て、何故俺を見て泣いた!?」
霞柱・時透 有一郎
彼女は俺を見ていきなり涙を流したのだ
「目にゴミが入ったんだ!」
「逆に何故それで逃げる!?」「時雨 無銘、任務!!浅草ニ鬼ノ出ルト言ウ噂アリ!!即刻、迎エ!」
鴉からの命令が来た
取り敢えず向かうか
馬鹿な継子は置いていくか、面倒くさいし