氷柱は冷酷だそうです   作:太一

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鬼舞辻

人混みをかき分けて進む

その先には黒い服の男が居る

 

近いようで遠い、手が届きそうで届かない

何とも、もどかしい距離感

 

人が大量に居て、大量の灯りが灯っている街・浅草

 

これだけの人が居れば、鬼が居てもおかしくは無い

1人や2人居なくなっても目立ちはしないからな

周りの人間は、気付くかもしれないが警察に捕まって居るとでも思うだろう

 

普段、背中に背負っている1本の刀は隊服の中に隠している

 

隊服を見る度に思う

 

左半分が白で、右半分が黒

ダボついた長袖

霞柱達とは違い、肘の辺りまでの丈

 

何というか見ていて不快感を覚える隊服だ

他の人達みたいに真っ黒で良いのだが・・・

 

作ってもらっているので、口が裂けてもそんな事は言えないのだが

 


 

「鬼舞辻 無惨!!俺はお前を許さない!!どこに行こうと必ず追い詰める!」

 

街中を屋根から見下ろしていると微かに聞こえた叫び声

“鬼舞辻 無惨”

確か、鬼の始祖だったな

強いとも聞くし、今の叫び声からして逃げられている

だが、別人だったら?

取り敢えず、追うのが先決だ

 

白い帽子を被り、黒いスーツを来た男

 

見た瞬間に体が、心が拒絶反応を表した

意味のわからない汗が身体中から吹き出す感覚

野生の勘とでも言うべきだろうか、赤い瞳が無慈悲に感じた

 

“太陽の呼吸・壱の型・日輪”

 

拳につけた特殊な道具

手首から手の甲までを覆う金属

手の甲の先端には尖った刃のような物がついていおり、刀鍛冶の里、1番の人に作って貰った

女装を求められてしまい、渋々着てまで作って貰った物

 

刀をここで抜けば騒ぎになる

これが最良の選択だ

刀で出した方が威力は断然、良いのだが

 

目には見えない程のスピードで無惨の首を切る

 

だが、首が落ちない

 

こいつ・・・首が急所じゃ無い

 

怪しむべきだった

普通、人間に擬態している事態で鬼殺隊に見つからない可能性は高い

高いけども、1%でもある訳だ

その1%を先程、見つけたばかりだろうにここにずっといる理由

 

恐らくだが、“体自体には急所が無い”

 

こう考えるのが普通だ

 

それを踏まえて考えると藤の花と太陽くらいが対抗策だろう

 

だが、胡蝶の藤の花の毒でも殺せるかどうか・・・

 

「っ!・・・やってくれたな、鬼狩り」

 

しまった、見つかった

今の実力じゃ勝てないのはわかる

では、どうするか

 

決まっている

 

1つでも多くの情報を本部へ持ち帰る為に撤退

 

能力は擬態くらいしか判明していないが、それだけあれば充分だ

 

「砂の呼吸・伍の型・砂塵」

 

霞の呼吸を習得しようとした時に何故か派生した呼吸

 

派生したと言うか、させたと言うか・・・

 

地面に近い位置

 

自分が動ける範囲で1番低い場所

 

そこで1回、無惨の足に狙いを定めて切る

 

だが、2度目は効かないとばかりに飛んで避ける無惨

 

そして、伸びてきた大量の口が付いた肉片

 

ここは屋外だが、今は路地裏で人も少ない

 

建物と建物の間を蹴って避ける

 

ギリギリ目で見える物もあるが、基本空気の揺れを感じて動く

早いからこそ、空気の揺れが大きい

だが、全て避け切れる程の身体能力はない為に、体に無数の数が出来ている

 

致命傷以外は気にしないにしろ、かなり動き辛い

違う動きを一瞬でもしたら、恐らく内臓がでて死ぬ

 

「鬼狩り、中々やるな。お前も鬼になるのも良いかもしれんな」

 

「ならないし、大した興味が無い」

 

お前の弱点がわかった

 

お館様も毎回、口癖のように“無惨は騒ぎを起こしたがらない”

 

そう言っていたので、わざと人混みの方へと出る

鬼殺隊として、人としては最低だろうが、一か八かの賭け

賭け事では何故か負けたことが無い

大事な場面の賭け事で、負けるのは流石にダサいからな

 

攻撃は飛んで来ない

それどころか、無惨の姿が消えている

逃げられたのはどうやらこちらのようだ

 

まだ、違う場所に他の鬼が居るのでは無いのか

そう思って他の場所へと動く

 

3つの死体があり、そのうち1つは人間としての原型を保っていない

1つは無惨の血が大量に使われており、変貌の速度に耐えられなかったようだったが・・・

女性の着物を着ていたのか、近くに着物がある

先程までは、普通の女性だったのだろう

 

まぁ、今の俺には特に関係はない事だけど

 

ここに長居すると捕まる為、浅草から帰った

 


 

「師範!!お帰りなさい」

 

「おい、ここは蝶屋敷なのになんでお前が居る?そして、ここは俺の屋敷じゃ無いし」

 

何故だろう

遂に幻覚と幻聴を覚えているのだろうか

何故、馬鹿な継子がここに居るのか全く良くわからない

 

「師範!!私、恋しちゃいました!!」

 

「わかった、頭が痛くなるから黙っておけ・・・・は?」

 

なんだろう、15歳で年頃の娘だけどそんな感覚は無いと思ってた

 

「私の弟弟子なんですけど』

 

照れくさそうに言う舞

 

水の呼吸を使う隊士で、男

 

それから治療されてる時も長々と惚気話しをされていた

 

「手が大量にある異能の鬼が居て、油断して頭を潰されそうになったんです」

 

異能の鬼

最終選別に紛れていただなんてな

その割には隊士の質がどうしても下がっているんだが

 

「油断大敵と言うから油断するなとあれ程、言っただろう」

 

「今は恋の話しをしてるんですよ?後で聞くから黙って下さい」

 

恋の話しをしたいなら恋柱としろ

そう言いたいが少しくらいは待ってやるか

 

「そしたら、弟弟子の炭治郎が助けてくれたんです。それまでは謎の『長男だから、頑張れる』とか言ってるの笑ってたんですけどね」

 

なる程、つまりは吊り橋効果か

まぁ、以前にも増してやる気が出ている

今まで明るいようで、暗い世界だったこいつに光をともしたんだ

それなりに感謝するか

 

「師範、私この恋を楽しんでも良いですか?」

 

何故、俺に聞く

意味がわからないというか、なんというか・・・

柱でも蛇柱と恋柱が文通する程だし

“蟲柱と水柱は付き合っている”という噂もある訳で

 

「まぁ、鬼殺隊も一応人間だ。恋したって罰は当たらないだろうし」

 

なんで言えば良いのかわからないので適当に言って終わらせる

 

まぁ、この女に好かれた隊士には『ご愁傷様』そういうのが1番だろう

 

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