今日は金曜日。乗り切れば2日の休みがある。いつも通り、自分とパパのお弁当を作りながらそんな事を考えている。
ひまは高校生2年生の周りより少し元気な女の子!パパのお母さん、つまりおばあちゃんが言ってたんだけど、おばあちゃんの血筋には有名な家の血が流れてるらしくてその血を無くしてはいけないって事で娘の姓を『本間』にしなさいって言ったんだ。だから学校では『本間ひまわり』っていう名前になってるの。ほんとは『社』だけどね!
ドタドタ…
?「ひまわり!弁当できてるかぁ〜?」
パパは『社築』。いっつも夜遅〜くまでお仕事をしてくる頑張り屋さんだ。
ひ「うんバッチリ出来てるよ‼︎だけど、いつもよりお仕事行くの早くない?」
パ「そうなんだよ、今日は朝礼がある事忘れていたんだ。だからもう行かないと遅れてしまうんだ。」
朝からそんなのあるんだ。ひまは難しいこと分かんないや!
ひ「そうなんだ〜。気をつけてお仕事頑張ってきてね‼︎」
パ「あぁ。それじゃ行ってくる!」
ひ「いってらっしゃ〜い!」
お弁当を作って、パパを見送る。ここまでがひまの朝のお仕事。朝早く起きないといけないけど、パパのお仕事に比べたら全然辛くないんだ!
ひ「よしっ。ひまも準備するっか!」
学校の準備を済ませて着替えもしてたら7:30を過ぎちゃった。学校は8:00まで登校だから急がないと遅刻になっちゃう。
ひ「えっと、あれ持った。これ持った。う〜ん…まぁ多分よし!行ってきま〜す‼︎」
家の鍵を閉めて、学校に向かって少し小走りで向かった。
「おはようひまちゃん!」
「朝から元気だねぇ!」
近所の人達にあいさつしながら近道を通って行った。
?「おっ?ひまちゃんやんけ!」
近道を通って広い道に出た時、同級生で仲良しの『笹木咲』ちゃんに会った。
ひ「咲ちゃん!」
笹「もしかしてひまちゃんも寝坊ですか〜?ダメダメですねぇ〜…。」
ひ「違うよ!ひま今日も5:30に起きたもん。パパのお弁当作って、学校の準備ゆっくりしてたら遅れただけだもん!」
笹「えぇ!ひまちゃん5:30起きなの⁉︎それじゃあダメダメなのはウチだけじゃん…。」
ひ「あはは!急がないと学校遅刻しちゃうよ‼︎」
笹「大丈夫やよ〜、ってもうこんな時間やん!あ、待ってよひまちゃ〜ん!」
もう7:50頃だった。学校は目の前だけど急いだほうが良さそう。後ろでひまを呼ぶ咲ちゃんの声が聞こえたけど、無視して校門前まで走った。なんとか遅刻はしなかったけど…。
キーンコーンカーンコーン…
学校のチャイムが鳴る。その時、咲ちゃんが校門前に着いた。
笹「あ〜〜あとちょっとぉぉぉ!!!!」
校門前で先生に止められ叫ぶ咲ちゃんを横目に、1人教室に向かった。まだ先生は教室にいなかった。怒られずに済んだ〜。
そのあと先生と一緒に咲ちゃんも来て、朝のSHRが始まり1時間目、2時間目と進んで行った。
4時間目が終わるチャイムが鳴って、お昼の時間になった。
笹「ひ〜まちゃん、お昼一緒に食べよっ!」
授業が終わると同時に咲ちゃんが来た。
ひ「うん良いよ!」
お昼休みはずっと咲ちゃんとお喋りしてた。朝の話、最近あったおもしろ話、(主に咲ちゃんの)失敗話だとかいっぱいお話ししてた。
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キーンコーンカーンコーン…
学校終わりのチャイムが鳴る。
先「おし、じゃあこれで帰りのSHR終わりな。気をつけて帰れよ。」
SHRが終わると部活に向かう人や帰る人で賑やかになる。ひまは今日の晩ご飯何にしようか考えていた。すると…。
笹「ひまちゃん、じゃあね〜‼︎」
咲ちゃんが颯爽と帰っていった。
ひ「なんか急ぎの用事でもあるんかな?」
そう思いながらひまも帰ろうとしていたら。
先「笹木はいるか⁉︎」
先生が慌てて戻ってきた。
ひ「先生どうしたんですか⁉︎咲ちゃんならさっき帰りましたよ?」
ひまがそう答えると。
先「笹木め、今朝の遅刻の反省用紙に落書き書きやがった!しかも罰として与えた仕事もせずに帰ったとは…。」
あちゃ〜。咲ちゃんらしいなぁ…。
ひ「咲ちゃんがやんなかった仕事、ひまが手伝いますか?」
先「良いのか?それは助かるぞ。じゃあ本間、職員室に来てくれ。」
言われた通り、職員室に向かった。
先「じゃあ、このノートを出席番号順に並べ替えてくれるか?」
なんだ簡単な仕事かと思ったけど、量が多かった。なんだこれ長机一個分くらいあるやんけ。でもやるって言っちゃったしなぁ。
ひ「えっと、これ全部ですか?」
先「あぁ。そこに名簿があるからそれ見てやってくれ。」
やっぱり全部か〜。これは時間がかかりそうだなぁ…。ひまは大量のノートを時間をかけて並び替えてやった。なんか途中訳わかんなくなったけど。
ひ「先生終わりました!」
先「おぉ!ありがとな本間。助かった!」
疲れたけど感謝されるって気持ち良いね!やって良かったって思えるよ。学校を出るともう周りは暗くなって少し寒かった。
ひ「うぅ…、寒いなぁ。今度から手袋とか持ってこよう。」
家に帰る前に買い物をしてから帰ろうっと。今日はあったかいものが良いなぁ…。夕飯を何にしようか考えていたら、いつもの学校近くの商店街に着いていた。
ひ「う〜ん、何にしようかなぁ?」
お魚、お肉、たくさん美味しそうなものがあるけど、今日は時間が無いし簡単に作れるものが良いなぁ。そう思ってたら。
「お嬢ちゃん!今日は野菜が安いでぇ。特に白菜な!」
ひ「ほんまかぁ!じゃあ今日はお鍋やな‼︎」
八百屋さんが言ってた安い白菜を買ってから、他のお店でお鍋の具材を揃えた。
ひ「まぁ、こんなもんで足りるでしょう!」
時刻は6:30を過ぎていた。周りはもう真っ暗に近かった。街灯が付いてきて道は明るくなってたから良かったけどね。商店街からの帰り道はお家の後ろ側を通る、少し遠回りなルートなんだ。それで、お家の裏側の道って街灯が途中からなくてお家までの道がとっても暗いんだ。ひまは毎回怖くってさ〜。とか思ってたら、もうお家までの最後の街頭が見えてきた。
ひ「もうちょっとだぁ〜。」
ん〜、少し多かったかなぁ?いつもより買い物袋が重いから疲れた。
ひ「いっつも思うんだけど、この最後の街頭だけ他より明るくない?」
ほかの街灯はやる気ないみたいに明るくないのに、ここの街頭だけめっちゃ明るい。そしてほかのよりちょっとだけ高い。でかい。なんでやろ?
?「いっ…つ…!」
ひぇ⁉︎びっくりした!街灯の下に誰かいた。全然気づかなかった。どうしたんだろう?ひまは気になって近づいてみた。
良く見てみるとひまくらいの歳の子に見えるけど、高校生くらいの男の子かな?
ひ「お〜い、大丈夫ですか?あれ反応がない…。」
揺すっても起きない。多分気絶してるのかも?誰か分かんないけどこのままだったら、凍え死んじゃうと思ってお家に連れていこうとした。両手で買い物袋を持って、背中にその男の子をおんぶしてお家まで帰った。正直軽くて驚いた。家に着いてから、すぐに暇の部屋のベットに寝かせた。体がとっても冷えてたからストーブとか毛布とか出して温めてみた。でも起きなかったから、ちょっと様子見てご飯を作ることにした。しばらくしてご飯を作り終えたひまは、一応もう一回確認しにいった。すると。
?「んん〜?なんか、暑い。」
と、寝言みたいなことを言って目を開けた。
?「…ん、どこだここ?」
不思議そうにひまの部屋を見回す。
ひ「ここはひまの部屋だよ?」
男の子はひまの声に驚いていた。
?「うぇぇーー!だ、誰ぇ⁉︎」
ひ「そ、そんなに驚かなくたって良いじゃん!」
男の子は驚き過ぎて目がまん丸になってた。
?「い、いや…。スゥーーー、えーと、ここはどこなんですか?」
一旦落ち着いてから今の状況について聞いてきた。
ひ「えっとね。ひまが買い物を終わらせてお家に帰る途中に、街灯の下で気を失ってる君を見つけたの!それでひまがここまで連れてきて様子を見てたの!」
ひまはこれまでの流れを大まかに伝えた。
?「街灯の下で…。てことはさっき助けを呼ぼうとしてたのは…?」
ひ「うん?なんか言った?」
?「い、いやなんでもないっす…!」
なんか言ってたような…。まぁ良いや。
ひ「あ!で、ひまはひまわりって言うんだ。君の名前は?」
男の子は少し戸惑ってた。
?「えっと、ラグー…、グ…ザ…。く、『葛葉』‼︎」
男の子は葛葉と言った。
ひ「葛葉…、この辺じゃ聞いたことないなぁ。」
もしかして引っ越してきたのかもしれない。
ぐぅぅ…
葛「ッスゥーーーー。なんか良い匂いしますね。別に腹が減ったわけじゃないっすけど。なんだろう、喉でもなったのかなぁ…。」
必死に隠してたけど、絶対お腹なったやん。
ひ「さっき夜ご飯のお鍋作ってたんだけど、葛葉くん食べる?」
試しに聞いてみた。
葛「いやっ!そんな、悪いっすよ!助けてもらったのに…!」
遠慮してるけど…。
ぐぅぅ…
またなった。
葛「…すいません。もらって良いですか?」
やっと素直になった。
ひ「アハハッ。最初からそういえば良いのに!ちょっと待っててね!」
ひまは出来立てのお鍋を少し分けて、葛葉くんに持って行った。
ひ「はい!どうぞ召し上がれ!」
葛「ありがとうございます。じゃあ、頂きます…。」
静かにお鍋を食べ始めた。一口食べた途端、目を丸くした。
ひ「どうしたん⁉︎もしかして食べれないものあった?」
ひまが心配すると。
葛「いや、違うっす…。これ、うま過ぎて…。」
葛葉くんはとっても良い笑顔だった。パパ以外にひまの料理を食べたのは葛葉くんが初めてだったけど、こんな顔で美味しいとか言われたこと無くて、ちょっと照れた。
ひ「そ、そう。でも良かった〜。」
安心した。葛葉くんは良い人だった。その後、おかわりを要求されひまも一緒にお鍋を半分くらい食べた。
ひ「ふぅ、もうお腹いっぱい…。」
葛「いやぁ、美味かったっす!」
ひ「えへへっ!」
食べた食器を片付けて、ひま達は部屋に戻った。
ひ「葛葉くんはこの後どうするの?」
ひまがそう聞くと、また少し黙り込んだ。
葛「…あ、あの!俺、雑用とかするんでしばらくの間ここにいさせてもらえないでしょうか⁉︎」
突然の要求でひまもは驚いた。
ひ「え、家は?」
葛「当分の間、家に帰れないんです!」
まさかそう来るとは思っていなかった。
ひ「えぇ、でもパパになんて言えば…。」
葛「この部屋に住まさせて下さい!」
ひ「ひまと一緒の部屋⁉︎」
パパにバレたらとんでもなく怒られそう。だけど、葛葉くん良い人そうだしなぁ…。バレなきゃ良いのか?
ひ「じゃあ、これから言うことを守るって言うなら良いよ?」
こうするしかないよね?
葛「…!良いんですか⁉︎絶対守ります‼︎」
ひ「まず、ひまの部屋から出ないこと。そして、パパに見つからないこと。最後に、悪いことはしちゃダメ!良いね⁉︎」
葛「はい!大丈夫っす‼︎」
これで大丈夫かな…。すると下からガチャっという音が聞こえた。
ひ「…⁉︎パパが帰ってきたかもしれない。ちょっと静かにしてて!」
葛葉くんを部屋に居させて、玄関に向かった。どうしたんだろう。鍵無くしたのかなぁ?ひまはガチャガチャしてるドアを開けた。
ひ「パパ〜鍵無くしちゃったの?あれっ、どなたさんですか?」
そこにはパパじゃなくて知らない人がいた。
?「社築という者を知っているか?」
ひ「知ってるよ!だってパパだもん。」
?「社築はまだ帰っておらぬか。分かった、また出直そう。」
そう言うと振り返って帰ろうとした。でもパパはもうすぐ帰って来るからなぁ。
ひ「パパのお友達?パパならもうすぐ帰ってくるからお家の中で待ってて!」
ひまはパパのお友達を引っ張って、家の中に入れた。
?「よ、良いのか?勝手に上がってしまって…。」
ひ「いいのいいの!パパは優しいからね!それにお友達ならだいじょ〜ぶ!!」
多分大丈夫。
ひ「そうだ!おねぇさんの名前は?あっ、ひまは『ひまわり』って言うんだ!」
一応名前を聞いておこう。
?「わしの名は『ドーラ』じゃ。少しの間世話になるぞ、ひまわり殿。」
ドーラ?外国人かなぁ、とか思ってたらまた玄関からガチャって音が聞こえた。
ひ「パパだよドーラさん!」
ガチャ…
ド「1番重要なことをわすれておったわ!社築‼︎」
パパは固まってた。まさか家にお友達がいるとは思ってなかったっぽい。
パ「えぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎‼︎い、いやなんで家の中にいるんですか⁉︎まさか泥棒だったりして…。」
ド「待て、違う!お前さんの娘に入れてもらったのじゃ‼︎」
とりあえずひまも行こう。
ひ「あ!パパお帰りなさ〜い!!!」
混乱しているパパに状況を教えてあげた。
ひ「このドーラっていう人がパパのお友達って言ってたからお家で待たせてたの!」
社「…ひまわり、よく聞きなさい。今回は何も害はないけど、もしこれが泥棒とか悪い人だったらどうする?今度からはちゃんと…」
でもパパは嬉しがってなくて、少し怒っていた。
ひ「うぅ、パパぁ〜ごめんなさい〜…。」
パパを怒らせちゃった。
社「よ、よしひまわり!分かればいいんだ。次から気をつけてな…!」
パパは許してくれたらしい。
ひ「うん、ごめんなさい。パパ。」
ちゃんと謝った。
ド「ところで、わしのことまた忘れてたじゃろ?」
社「スゥーーー、いやそんなことないですよ?ちゃんと気付いてました。」
パパとドーラさんが話し始めた。良かったと思ったその時。
社「あぁそういえば…では本題を…スゥ」
バタン…
ド「社築⁉︎」
ひ「パパ⁉︎」
パパが急に倒れた。ドーラさんがすぐに近づいて、パパの様子を確認する。すると。
ド「此奴、寝ておる…。」
ひ「…え?」
パパは寝てたらしい。ドーラさんがパパを部屋に運ぶために、2階のパパの部屋まで案内しひまはドーラさんの寝るところを準備していた。どうやら大事な話があるらしく、今日は泊まって行くらしい。2階からドーラさんが降りて来ると同時に、布団の準備が終わった。
ひ「う〜ん、ちょっと狭いけどここがドーラさんの寝るところね!」
ひまは今日ドーラさんが寝るところの説明をした。
ド「いや十分じゃ。人様の家に勝手に上がり贅沢など言えんよ。それとわしからしたらこのくらいが丁度良いのじゃ。」
ひ「そうなの?なら良かった!ひま、もう眠いから寝るね。おやすみなさい!」
ド「あぁ、おやすみ。」
なんやかんやあったから今日は疲れた。部屋に帰ると葛葉くんはひまのベットでもう寝てた。仕方ないので、ベットの隣に布団を敷いてそこで寝た。
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朝起きた時、誰かが部屋の外に出て行くのが見えた。もしやと思い、ベットを見ると葛葉くんが居ない。ひまは急いで起きて葛葉くんを呼ぶ。
ガチャ
ひ「ちょっと葛葉くん!ひまの部屋からで出ちゃダメだって…ぁ、パパ…。」
遅かった。葛葉くんとパパがばったり会ってた。あ、怒られるやつだ…。
パパが静かにひま達をリビングに来るように言って、先に階段を降りて行った。
ひ「葛葉くん、部屋出ちゃダメって昨日言ったじゃん…。」
葛「いや、マジで、やらかした。いつも通り起きて出ちゃいましたね…。」
まぁ、いつかバレると思ってたし。でも早かったなぁ…。
ひ「ん〜、じゃあ行こっか。」
葛「そうっすね…。」
ひま達もリビングに向かった。先にリビングにいたパパがひま達をテーブルに座らせて、
ひまから質問に答えるように言った。
社「ひまわり、この青年は誰なんだ?」
ひまは少し考えてから話した。
ひ「え〜とねぇ、話すと長くなるんだけど良い?」
パパだけは騙せないから、今日あったことを全部言おうと思って決心した。
社「構わない。仕事は休んだからな、時間はたくさんある。」
ひ「じゃあ…。」
ひまが話しかけたその時。
ガララッ!
ド「人間の『ふとん』というのはこんなにも寝心地がよいのか‼︎」
ドーラさんが目をキラキラさせて、勢い良くリビングのドアを開けてきた。
ド「ん、なんじゃ。みんな集まって?」
みんな、タイミングが良いんだか悪いんだか…。今家にいる全員集合しちゃった。この際、ドーラさんが言ってた大事な話についても聞いてみようかな。なんだか最悪な1日の始まりだけど、楽しくなってきちゃったなぁ…。