ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
十万斤饅頭の事がきっかけで、自分達が持つ力の凄さを知った張三姉妹は味を占めてしまい…
『みんな~!今日も来てくれてありがと~!』
『ね~みんな知ってる~?今洛陽の市場で流行っている新しい化粧品!』
『あ~!知ってる知ってる!』
『お肌がしっとりツヤツヤになるのよね』
『『『アレ欲しいよね~~~!』』』
▽
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『『『どうもありがとうございま~す!』』』
▽
『これも!これも!全部あの化粧品だわ!』
『やった~!』
『思った通りになったね~!』
▽
『ねェねェ知ってる?この間発売された新しいお菓子!』
『お餅の中に餡子と果物が入ってるっていうアレね』
『『『アレ食べたいな~~~!』』』
▽
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『『『ご苦労様で~す!』』』
▽
『う~ん!美味し~!』
『ああ~♡こんなに美味しいお菓子が食べきれないほどあるなんて…幸せ~♡』
『天和姉さん、ほどほどにしないと太るわよ』
▽
『そういえば最近流行りの服があるんだってね?』
『状況説明呉服だっけ?』
『色んな種類があるらしいわね』
『『『着てみたいな~~~!』』』
▽
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『『『ありがとうございま~す!』』』
▽
『『どうしよ~!』だって~!面白~い!』
『慌て者の天和姉さんに似合いそうね』
『え~⁉人和ちゃんひど~い!』
『あ!これ結構可愛いかも!』
▽
『ねェ“カボチャ”って知ってる?』
『皮が硬くて、変わった形をしている植物ね?』
『中の果汁は甘くて美味しいらしいわね』
『『『食べてみたいな~~~!』』』
▽
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『お届け物で~す』
『『『お疲れ様で~す!』』』
▽
『本当に硬いね~包丁を入れてもびくともしないよ』
『たしか…裏側の真ん中辺りがちょっと柔らかいから、そこから包丁を入れるって…』
『うわ~!これで作った飲み物すっごく美味しい~!』
その後も3人は、欲しい物を次々と要求していった。
▽
そんなある日、舞台中に突然役人が押し入り、武装した兵が張三姉妹を包囲した。
『どういう事ですか⁉舞台の途中で急に中止しろだなんて⁉』
抗議する人和。
『こういった事はちゃんと我らの許可を取って行うものだ。そうでない物は中止して当然だ!』
『でも、興行主はちゃんと許可を取ったって…』
『わしはそんな話聞いていないが?』
『そ、そんな…⁉』
『お願いします!舞台を続けさせてください!』
『みんな舞台を楽しみにしているんです!』
天和と地和も必死に懇願する。
『そこまで言うのなら、わしも許可してやってもいいが…。当然、それなりの…』
そう言うなり役人のリーダーらしき人物は、手をいやらしく動かし、人和に近づいて行く。
『っ!あ、あなた達まさかそれが目的で…⁉』
『さァ~?何のことだか?』
そう言って人和の胸に手を伸ばす役人。
『っ!こ、来ないでっ!』
『ぐおっ⁉』
人和は思わずブルックに教えて貰った突きの要領で、役人の頬を“まいく”で殴り飛ばす。
『あ~あ、役人に手ェだしちゃった…』
『これはもう連行するしかねェな…』
そう言って天和と地和の後ろにいた兵士が2人の肩を掴む。
その手つきや表情は、どう見ても罪人を連行するものではなく、セクハラをする男のものである。
『い、いやっ!』
『がっ⁉』
『触るなっ!』
『ぐえっ⁉』
天和、地和も同様に“まいく”で兵士の鳩尾と顎を突き飛ばす。
『ちょ、張角ちゃん達って結構強いのか?』
『意外だな…』
思わず観客も動揺する。
『ええい!こうなったらこいつら三人とも逮捕だ!』
役人が起き上がりながらそう言い、兵士達は天和達に近づいて行く。
『いい加減にしろ役人!』
『そうだ!横暴だぞ!』
『張角ちゃん達に触るなァ!』
観客達も抗議するが…
『黙れ黙れェ!』
『役人に逆らうのは犯罪だぞォ!』
…役人達は止まらず、観客にまで武器を向け脅迫する。
『っ!』
その様子を見て、地和がキレた。
そして例の暗示を使い、お願い―――命令をした。
『みんなァーーー!役人をやっつけちゃってェーーー!』
『『『『『『『『『『おおおおおーーーっ!』』』』』』』』』』
『⁉』
『な、何だコレは⁉』
『う、うわあああ⁉』
その結果、その場にいた観客が全員で役人を叩きのめし、張三姉妹は難を逃れた。
しかし、ここで問題が起こった。
『『『『『『『『『『おおおおおーーーっ!』』』』』』』』』』
その後、観客達は全員、勢いよく舞台会場を飛び出して行った。
『あ、あれ?み、みんなどこ行くのー?』
『!ひょっとして…』
『ちぃ姉さんどうしたの?』
『ちぃが今、『役人をやっつけて』って言ったから…みんな、この街の役人を全員倒すつもりなんじゃ…?』
『『⁉』』
地和の予想通り、『役人をやっつけろ』という命令を受けた観客達は役所に殴り込み、その街の役人を全員追い出してしまったのだった。
『『『…………』』』
その後、張三姉妹は荒らされた役所で立ち尽くしていた。
『ど、どうしよう…⁉とんでもない事になっちゃったよー⁉』
天和は完全にパニックになっている。
『何でこんな事になっちゃったの~⁉』
天和は泣きそうになりながら叫ぶ。
『それは…』
人和は横目で地和を見る。
『そ、それよりこれからどうするか考えないと!』
『そうね。明らかな反乱を起こした以上、確実に指名手配されているでしょうし…』
『それじゃあ私達、捕まって牢屋に入れられちゃうの…⁉』
『牢屋ぐらいで済めばいいけどね…』
『人和ちゃん…それってどういう事…?』
『つまり、こういう事よ』
そう言って地和は、首の前で手のひらを水平に動かす。
その意味を理解した天和は真っ青になる。
『ヤダヤダヤダーーーッ!お姉ちゃんまだこの年でお星様になりたくないよーーー!』
『ちぃだってそんなの嫌よ!何か…何か方法を考えないと…!』
『一番簡単な方法は、私達だけで逃げる事ね』
人和が提案する。
『それいいわね。実際に手を挙げたのはちぃ達じゃないし、三人だけだったら、ほとぼりが冷めるまでどこかに身を隠せるだろうし…』
『そんなの駄目だよ!』
天和が叫ぶ。
『私達のせいなんだから、みんなを見捨てて、私達だけで何の責任も取らないで逃げ出すなんて、絶対駄目だよー!』
『じゃあどうするのよ?』
『お姉ちゃんに訊かないでよ~!お姉ちゃん生まれてこの型、自分で考えて上手く行った事なんて一度も無いんだからー!』
『あー!もう!わかったわよ!』
『『⁉』』
地和が叫ぶ。
『だったら、ちゃんと責任取ってやろうじゃない!』
『責任を取るって…』
『ちぃ姉さん、何をする気?』
『こうなったら徹底的に
毎日舞台をやって、どんどん仲間を増やして、十万とか二十万ぐらいにまでして…!
官軍が私達を怖がって、戦うのを止めようとするぐらいまで、反乱の規模を大きくしてやるのよ!』
『え…⁉』
地和の提案に天和は戸惑うが…
『……それ…良いかもしれないわね…』
『人和ちゃん⁉』
『漢中っていう所は、一つの教団があまりに大きな勢力を持っているから、国から独立した政治を認められているらしいわ。
同じ様に規模が大きくなれば、私達を暴徒ではなく、一つの国として認めて貰って、どこか落ち着ける領土を手に入れれば…。
この方法なら、私達も助かるし、みんなを見捨てる訳でもないし…』
『そ、それはそうだけど…』
最終的に地和のその提案は採用され、3人は支持者達と共に行動を開始したのだった。
▽
そして暴動から一ヶ月経ち、張三姉妹が立ち上げた集団は黄巾党と呼ばれ、官軍の討伐対象とされる様になった。
「―――――さん!!天和姉さん!」
「!な、何人和ちゃん⁉」
「何じゃないわよ。舞台の時間よ」
「さ~!張り切って歌うわよー!」
「う、うん…」
2人に呼ばれ、天和は重い腰を持ち上げて椅子から立ち上がる。
(……本当に…他に方法は無かったのかな…?)
その時、机の上に放置されていた一枚の貼紙が目に入る。
自分達の舞台の宣伝に作られた物で、少し前まで4人で活動していた頃の物だ。
(ブルックさん…助けて……!)
▽
再び、桃花村。
ルフィ達は出陣の支度を着々と整えていた。
「朝廷からの贈り物が早速役に立ちましたね」
「これだけの馬がいれば、おれ達も全員馬で移動できるし、軍需物資も十分運べるな」
朱里とサンジはそんな会話をしながら、武器や食料を用意する。
「なァ紫苑、本当におれも一緒に行っていいのか?」
「ええ。璃々の遊び相手には蒲公英ちゃんもいますし、いつまでもウソップさんに甘えさせる訳にはいきませんから。久し振りに仲間と一緒に、大暴れして来て下さい」
「そうか…じゃあ遠慮なく行ってくる!」
「がんばってね!お父さん!」
「おう!」
「てめーはむしろ留守番させて欲しいだろうけどな」
「な、何言ってんだゾロ⁉んなワケねーだろ!」
「でも、足が思いっ切り震えているのだ」
「こ…これは武者震いだ!武者震い!」
「ぷぷっ…!」
紫苑は思わず吹き出してしまった。
「なーフランキー、さすがにお前が馬に乗るのは無理なんじゃねェか?」
「確かに…体中に鉄が仕込んでありますからね…フランキーさんの体重を考えると、お馬さんにはちょっと厳しいかも…」
心配そうにするチョッパーとブルック。
「なァに!心配無用!こういう時の為に用意していた物があるのさ!」
そう言ってフランキーが持ち出してきたのは…
「これぞおれの愛馬!“カイザーホースバルガン号”だ!」
ハンドルの中央部分に馬の頭がついたマウンテンバイクだった。
全体は金属製で、サドルやタイヤの部分には獣皮を使用している。
「「「スゲーッ!」」」
「おおーっ!素晴らしいですねー!」
ルフィ、ウソップ、チョッパーは目を輝かせ、ブルックも興奮気味になっている。
「馬の頭、必要なの?」
対してナミは、冷たくそう言い放つのだった。
「なーんでたんぽぽ達は留守番なのさー?」
「誰かが村に残っていないと危ないだろ?ましてやお前は修行中の身なんだから当然だ!」
「ちぇーっ…」
「それでは翠、紫苑、馬岱殿も、村を頼むぞ」
「おう!愛紗達も気を付けてな!」
愛紗が挨拶を終えると、フランキーは自転車に、鈴々は子豚に、残りの者達は馬に乗る。
「それじゃあ、行きましょう!」
「よーし!行くぞー野郎共ー!出陣だーーー!」
「「「「「「「「「「オオーーーッ!」」」」」」」」」」
こうして“劉”、“関”、“張”、“葛”、そして8つの海賊旗を掲げ、総勢500名の義勇軍は出発した。