ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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色々あって、執筆が思うように進みませんでした。
取り敢えず一話だけ投稿します。

次いつになるかわかりません。




第117話 “天の国の力”

于吉達が去った後、連合軍は捕虜となった黄巾党の党員達を連れて陣に戻って来た。

春蘭と秋蘭を始め、太平道との戦いで深手を負った者達は、皆チョッパーと華佗によって手当された。

 

そして今軍議用の天幕には、元の姿に戻ったルフィを始めとした麦わらの一味、桃香ら桃花村の義勇軍、曹操軍、孫権軍、袁術軍の主要な部将、軍師達、華佗、張三姉妹が集まっていた。

 

「曹操様…申し訳ありません…」

 

「主の危ない時に何もできず、何の為の家臣か…」

 

「全くよ!最後の最後で首謀者に逃げられて!揃いも揃って役立たずばっかりだわ!」

 

「荀彧、その役立たずの中には私とあなたも含まれている事を、ちゃんとわかっているのでしょうね?」

 

「っ⁉あ…いえ…その…!」

 

華琳に言われて戸惑う桂花であった。

 

「ま、それはさておき…夏侯惇、夏侯淵、気にしなくていいわ。

今回の件は後日何か手柄を立てて埋め合わせをして貰うし……何よりあの男の強さは私の想像の遥か上を行っていたもの…!」

 

華琳の言葉に春蘭と秋蘭だけでなく、全員が顔を強張らせる。

鈴々や華侖、美羽ですら自身の身が危なかった事を察し、真剣になる。

 

「華佗、太平道の事で有益な情報を提供してくれた事に感謝するわ。この功績を持ってあなたの死罪は取り消しましょう。

それからチョッパー殿も、我が部下の命を助けてくれた事に感謝するわ。

あなた達には後で何か褒美をとらせましょう」

 

「おれ達は医者として当然の事をしただけだ」

 

「ああ。褒美なんぞは要らん。…と、普段なら言う所だが、それなら一つ頼みたい事がある」

 

華佗は真剣な表情で言う。

 

「言ってみなさい」

 

「太平道の討伐に協力して欲しい。願わくば袁術殿や孫権殿、関羽殿達にも頼みたい」

 

華琳や蓮華はやはりそう来たかといった顔をする。

 

「今回の黄巾の乱、そして于吉と対峙した事でよくわかった。

奴らはおれの想像以上に勢力を拡大し、個々の戦闘能力も高くなっている…。

おれ達五斗米道(ゴット・ヴェイドー)だけで討伐するのはまず不可能だろう…。

あいつらの存在と恐ろしさを知り、戦えるだけの力を持っているのはここにいる者達だけだ。

どうか協力して貰えないだろうか?」

 

「ええ。あなたに言われなくても、もとよりそのつもりよ」

 

華琳が答える。

 

「正直、太平道がここまで強く恐ろしい集団だとは思わなかったわ…!

あいつらを放置しておけば我が覇道の壁になるだけでなく、間違いなくこの大陸は終わる…!

何者よりも優先して倒さなければならない相手よ!」

 

「私も…孫呉の民や土地をあいつらに渡すわけにはいかないわ!」

 

「妾もあやつらのせいでひどい目に遭ったのじゃ!このままでは済まさぬ!いつか絶対仕返ししてやるのじゃ!」

 

「我々も!民の平和を願う者として、あいつらは許せませぬ!」

 

「はい!一緒に戦います!」

 

華琳に続いて蓮華、美羽、愛紗、桃香も力強く答える。

 

「そうか!なら、是非とも頼む!」

 

「さてと、それじゃあ次は……ルフィ、あなた達の話を聞かせて貰えるかしら?」

 

華琳がそう言うと同時に、その場にいた全員の視線がルフィ達に集中する。

 

「あいつらの妖術の事、何か知っているんでしょう?話してちょうだい」

 

「わかった。私から説明するわ」

 

ロビンが説明を買って出た。

 

「私達が知っている時点で想像がついているかもしれないけれど、太平道の奴らが使っていた妖術は全て私達の世界に存在する武術、武器、道具、そして“悪魔の実”の力よ」

 

「やはりそういう事だったのね…」

 

「まず、于吉が使っていたのは“六式(ろくしき)”と呼ばれる体術」

 

「ロクシキ?」

 

「身体を鉄の様に固めて防御する“鉄塊(テッカイ)”、紙の様に柔軟に攻撃を受け流す“紙絵(カミエ)”、指で人体を打ち抜く“指銃(シガン)”、脚で鎌風を起こして斬り裂く“嵐脚(ランキャク)”、消える様に移動ずる“(ソル)”、空中の粒子を蹴って空を歩く“月歩(ゲッポウ)”。

この六つの武術の総称よ」

 

「ええっ⁉あの空を飛ぶの武術なんすか⁉」

 

華侖を始め、ロビンの説明に全員驚愕する。

 

「ええ。私達の世界でも、使えない者の方が圧倒的に多いから、習得するのは容易ではないわ。

勿論、使える者は無敵という訳ではないけど、どれか一つでも使えるだけで戦闘能力は格段に高くなるでしょうし、六式を全て習得し、それぞれを組み合わせて応用する事で、一騎当千の実力を得られるわ」

 

「確かに…奴らの技を使えず、予備知識もない我々は翻弄されるばかりしたな…」

 

…と、凪。

 

「じゃあ、シャオが戦った奴が鶴に変身したのは何だったの?」

 

「それはおそらく悪魔の実ね。程普さん達が戦っていた相手もそう。

おそらくそれぞれ、“トリトリの実モデル鶴”と“コキュコキュの実”、そして“バルバルの実”の能力者」

 

「何それ?」

 

「“トリトリの実”というのは、食べると鳥に変身する事ができる様になる悪魔の実の総称よ。

何の鳥に変身するかは、実の種類によって異なるわ。

“コキュコキュの実”は呼吸する力が強化され、その息で自身の身体を浮かせたり、岩を吹き飛ばす事ができる様になるらしいわ。

“バルバルの実”は風船(バルーン)―――物を膨らませる能力。

自身の体を膨らませて宙に浮いたり、生物以外のものに口から息を吹き込んで膨らませ、破裂させたり、空気が抜ける勢いで飛ばす事ができる様になる」

 

「なんと奇怪な…」

 

「まさに妖術ね…」

 

粋怜と祭は顔を強張らせる。

 

「ついでに言っておくと、奴らが最後に使ってきた木獣も悪魔の実の能力だと思うわ。木像そのものには、何の仕掛けもなかったから」

 

「じゃあ、私が戦った髪の毛を動かすのは?」

 

「あれは“バイオフィードバック”とか“生命帰還(せいめいきかん)”って呼ばれていて、内臓や髪の毛の先までを自分の意志で動かす技だ」

 

ロビンに代わってチョッパーが説明する。

 

「生命帰還…そういえばそんなものを聞いた事があるような…?」

 

華佗が呟く。

 

「今回戦った奴は同時に2本ぐらいしか動かしてなかったけど、おれが天の国で戦った奴は髪の毛を4本ぐらいの腕にする事ができていたし、動きももっと速かった。

たぶんこの世界にも、もっと上手く使える奴がいると思う」

 

「シャンが戦った動きを読むやつは?」

 

「“心綱(マントラ)”って呼ばれる能力(ちから)だ」

 

今度はサンジが答える。

 

「理屈としては、人間は考えているだけで常に“声”を発していて、心綱(マントラ)はそれを聞く能力らしい。

それを鍛えれば相手の動きを読んだり、視界に入っていない相手の居場所がわかるそうだ」

 

「孫権様…もしや…!」

 

「ええ、私が人の気配に敏感だったのはもしかして…!」

 

雷火と蓮華が声をあげる。

 

「孫権殿はその能力に心当たりがあるのですか?」

 

「こいつは昔っから賊の侵入や、相手が何か企んでいる事に気付く事が多かったんだ」

 

柳琳の質問に炎蓮が答えた。

 

「今思うと、聴覚に近い感覚で感じ取っていた気がするわ…。でも、特に鍛錬なんてした覚えはないのだけれど…」

 

「生まれつきその能力が高かったんじゃない?私達の世界にもそんな子がいたし…」

 

ナミはかつて出会った少女を思い出しながら言う。

 

「あのー…体を黒くして防御していたやつは何だったんですか?」

 

流琉が訊ねる。

 

「申し訳ないけど、それはわかんねェんだよな…。見た感じじゃ悪魔の実の能力とかじゃなくて、何らかの武術みてェだったが…」

 

サンジはそう言いながら頭をひねる。

 

「それじゃあ張三姉妹が使っていた道具も、あんた達の世界の物なの?」

 

桂花が訊ねる。

 

「ああ。さっきちょっと調べてみたが、燃料源が金仙丹って所以外は、おれが作ったマイクや拡声器と全く同じだった」

 

「しかし…フランキー殿が作った物には、暗示をかける機能はなかった筈では?」

 

「確かに、フランキーはそういう機能をつけなかったが……おれ達の世界には、色や振り子の動きで人に暗示をかける事ができる奴が何人かいた」

 

―――――“カラーズトラップ”

 

―――――ワーン!ツー!ジャンゴ!

 

「だから、音や声で暗示をかける技術や能力があっても、不思議ではないな…」

 

稟の質問にウソップが答えた。

 

「あと、私が天和さん達の蓄音器を調べてみた所、中に()()が入っていました」

 

そう言ってブルックが机の上に置いたのは…

 

「それって、ブルックさんが見せてくれた“音貝(トーンダイアル)”?」

 

「何それ?」

 

「私達の世界には“ダイアル”と呼ばれる特殊な貝が存在するんです。これは音貝(トーンダイアル)といい、音を記録して再生する事ができる貝なのです」

 

「それで張三姉妹の歌を記録していたという訳ね」

 

「ついでに言っておくと、(ダイアル)には他にも色々な物があってな……いや、これは実際に見て貰った方がわかりやすいか…」

 

 

 

 

 

 

一同は一度天幕の外に出た。

 

木箱を一つ用意して、その上にウソップが(ダイアル)を一つ置いた。

 

「えーっと…これを思いっ切り叩けばいいんですね?」

 

やや大きめの木槌を手に亞莎が言う。

 

「ああ。下の木箱を粉々にするつもりで思いっ切り叩け」

 

「わかりました!」

 

ウソップが言うと亞莎は木槌を大きく振りかぶり…

 

「ハァーーーッ!」

 

力いっぱい振り下ろす!

 

「⁉」

 

しかし、勢いよく振り降ろされた割には、木槌がぶつかっても物音一つしない。

 

「?どうした呂蒙?今は軍師とはいえ、少し前まで親衛隊にいたお前がそこまで非力な筈は…」

 

「はい…私も木箱を粉々にするつもりでやったんですけど…」

 

思春や亞莎を始め、皆不思議そうにする。

 

「ひょっとして~あの貝~…ダイアルの能力(ちから)何ですか~?」

 

穏が訊ねる。

 

「ああ。それは衝撃貝(インパクトダイアル)っていって、衝撃を吸収事ができる貝なんだ」

 

「成程、それで先程の呂蒙さんの一撃の威力が吸い込まれてしまったと…」

 

包がそう言って(ダイアル)を手に取る。

 

「あ!ちょっと待て!殻頂には触るな…!」

 

「へ?」

 

ウソップが叫んだまさにその瞬間、包の指が殻頂に触れ…

 

ドン!

 

「ひゃわーーーっ⁉」

 

「うおっ⁉」

 

「きゃあっ⁉」

 

衝撃が放たれた反動で包は勢いよく吹っ飛ばされ、周囲にいた者達も声を思わず声をあげる。

 

「殻頂の部分を押すと貯めたものが放出されるんだ…。衝撃貝(インパクトダイアル)は使用時の反動がすごいから、気をつけないと体が壊れるんだ…」

 

「は…早く言って下さ~い…」

 

「ねェ、今の感じ…もしかしてさっき私が戦った奴は…」

 

「ああ。掌にこれを仕込んでいたんだ。あの時、おれも同じのを手に着けていたから、相手の衝撃を吸収して、やり返したって訳だ」

 

「やっぱり…」

 

「衝撃波っていうのは厄介で、体の芯を直接破壊する事ができるらしい。だから、当たり所によっては致命傷になりかねないし、打撃の効かねェルフィにも効くんだ」

 

「直撃を避けたのは正解だったわね…」

 

(ダイアル)は他にも…風を貯める“風貝(ブレスダイアル)”や光を貯める“閃光貝(フラッシュダイアル)”、熱を貯める“熱貝(ヒートダイアル)”、炎を貯める“炎貝(フレイムダイアル)”とかもある…」

 

「そういえば、鈴々が戦った奴は手から炎を出していたのだ」

 

「そんな物を武器として使っているならば、それだけで手強い敵になるでしょうね…」

 

…と、朱里。

 

「武器っていえば…あの筒みたいな武器は何なんや?アニキは『鏃だけを飛ばす天の国の弓』って言うてたけど…」

 

「あれは一般的には“ピストル”って呼ばれている武器だ。中に仕込んだ火薬を爆発させ、その爆風で鉄の弾を飛ばし、それで相手を打ち抜く仕組みになっている」

 

今度はフランキーが説明する。

 

「それにも色んな種類があって、弾に回転を加える事でより正確な狙撃を可能にした“ライフル銃”、連射を可能にした“ガトリング銃”。

弾にも火薬を仕込んで、両手と肩を使って構えたり、台座に固定して使うほど巨大にした、“バズーカ砲”や“大砲”なんて物もある」

 

「天の国ではそんなに火薬を使っているのですか⁉」

 

栄華は驚きを隠せない様子で言う。

 

「おれ達の世界では、火薬をもっと簡単かつ大量に作れる様になっているからな」

 

…と、ウソップ。

 

「これで今回太平道が使っていた妖術については、大体説明ができたわね。ただ、わからないのは…」

 

そこでロビンは顎に手を添え、真剣に考え込む。

 

「どうして太平道が天の国の“力”を使っていたのかね…」

 

華琳の言葉に全員頷く。

 

「一番単純に考えるなら、太平道もお兄さん達の世界から来た。あるいはその人達の子孫と考えるのが妥当ですねー」

 

…と、風。

 

「まァおれ達がこの世界にいる以上、他にも来ている奴がいたとしても不思議じゃねェが…」

 

「太平道が私達の世界の“力”を、秘密裏に独占しているってのはどうも腑に落ちないわね…」

 

サンジとナミが呟く。

 

「それに、于吉のあの言葉…」

 

―――――天の御遣いとは()()()()()だったのですか!ならば我々が最も警戒しなければならないのも納得がいく!

 

「于吉は自分達の妖術が、ルフィさん達の世界に起因しているものだとすぐに察した様でした。

それを理解した速さ、それを知らなかったにも関わらず、以前から天の御遣いを警戒していた様な口振り…。

『天の御遣い』と『太平道』には何か深い関わりがあって、太平道はその根本となるものを知っているのは間違いないと思います」

 

朱里の言葉に全員考え込む。

 

「孔明殿の言う通りだ。張魯様に『天の御遣い』についても調べて貰える様に頼もう」

 

「そう…。取り敢えず、今はこれ以上考えても何もわからないでしょうし、この話はここまでにしましょう」

 

華琳の言葉に、全員天幕に戻るのだった。

 

 

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