ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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ようやく書けたので投稿します!




第118話 “英雄論”

天幕に戻った一同は、最後の議題について話し始めた。

 

「では最後に、黄巾党の者達の処罰についてだけど…」

 

「あのー…それなんですけど…」

 

桃香が口を開く。

 

「曹操さんの所で働かせてあげて貰えないでしょうか?」

 

「それはつまり…私の管轄下で服役させるという事?」

 

「はい」

 

「ふむ…。どう思う?」

 

「悪い考えではないと思います。身分や立場に関係なく、有為の人材は歓迎する曹操様の方針には合っていますし…」

 

「賊を家来にすると言えば聞こえが悪いですが、正道に戻りたがる者に機会を与えるというのは、華琳様の名を高める効果も期待できるかとー」

 

「張三姉妹は兵の英気を養う為や、貧しき者達への寄付を募る為に働かせるのがよろしいかと存じます。

また、彼女達の統率力や人を惹きつける力にも目を見張るものがありますから、兵力を高める働きも期待できるかと」

 

「党員達にも、今の世に不満を抱いて立ち上がった者は少なくないでしょうから、そういった者達ならよく働いて貰えるでしょう。

元々賊同然の輩は、どのみち服役中に処罰されるでしょうし、よろしいかと」

 

「我が領内にも荒地は多いですから、党員達は平時はそこの開墾に従事させて、非常時は兵士として扱うというのはどうでしょう?」

 

桂花、風、稟、栄華、柳琳が順に意見を述べる。

 

「成程…。袁術殿と孫権殿はどう思う?」

 

「妾は別にどうでもよい。お主達に任せるのじゃ」

 

「私もその考えには賛成ね。張三姉妹とほとんどの党員は于吉に陥れられただけだし、ただ法の通りに処罰しては、いたずらに罪人を増やすだけだわ」

 

「張三姉妹の方はどう?」

 

「えっと…それってつまり、また歌わせて貰えるって事だよね?」

 

「そうよ。多少は私の指示通りに動いて貰う事になるけどね」

 

「だったら…」

 

「待って、天和姉さん」

 

人和が話に入る。

 

「それ、本当に大丈夫なの?」

 

「何か心配事があるの?」

 

「私達は黄巾党の首魁として、討伐対象になっているのよね?

それなのにそんな扱いで、朝廷は納得してくれるの?」

 

「それは大丈夫よ。朝廷が相手にしていたのは、あなた達の正体も知らずに黄巾党に便乗していた連中ばかり。

だからあなた達三人が黄巾党の首魁だという事は、ここにいる我々しか知らないわ」

 

「それなら安心ね」

 

「ただ…さすがに“張角”、“張宝”、“張梁”という名前を公にする事はできないから、偽名か真名で活動して貰う事になるけど…」

 

「う~ん…だったら真名がいいかな~…。偽名じゃお姉ちゃん絶対忘れちゃうし…」

 

「ええ~⁉大勢のあんまり親しくもない人達から真名呼ばれるのよ⁉私いやよ!」

 

「それも罰の内だと思えば、仕方がないんじゃない?

それに私達を心から応援してくれてる人達なら、真名を許してもいいと思うけど?」

 

「う…」

 

人和の言葉に地和は何も言えなくなる。

 

「それじゃあ、これからは真名を名乗って活動するという事でいいかしら?」

 

「ええ。それからもう一つ。あなたの下で歌うという事だけど…具体的にはどういう扱いになるの?」

 

「あなた達への制約としては、まず舞台をやる時は私の許可を得る事。

舞台をやる場所は基本的に私の領土内、それ以外でやる場合は私を通して、そこの領主に相談する事になるわね。

そして私が舞台を要求した場合は、必ず開催する事」

 

「……私達の雇い主としては、当然の条件ね」

 

「あなた達の利点としては、舞台用の設備や場所は確保してあげるわ。

予算についても多少は要求を呑むし、成果に応じて増やしてあげる。

舞台中の警備も手配してあげるから、もう暗示を使う必要も無いわよ。

こんな所でどうかしら?」

 

「それなら文句はないわ」

 

「なら、話しは決まりね。…所で劉備」

 

華琳は桃香に視線を向ける。

 

「どうして私の所で働かせようと思ったの?孫権殿達の下という選択肢もあった筈だけど?」

 

「それは…于禁さんなら、張三姉妹の支持者の皆さんの気持ちを理解して、まとめられるんじゃないかと思ったからです」

 

「成程。于禁、期待されている様だけれど、党員達の兵の鍛錬、やってみる?

昨日までただの旅芸人の追っかけだった者達を、兵として扱うのは容易ではないけど…」

 

「っ!はい!是非やらせて欲しいの!」

 

沙和は頭を下げて懇願する。

 

「曹操様!そのお役目、我々にもやらせて下さい!」

 

「ウチも!お願いします!」

 

凪と真桜も頭を下げる。

 

「わかったわ。この役目はあなた達に任せましょう」

 

「「「はい!」」」

 

「それじゃあ、黄巾党の処罰についてはこれで良いわね?」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

「…それにしても、あなたがそこまで具体的な罰を提案するなんて意外ね。

てっきり、『投降したんですから許してあげて下さい』とか言うと思っていたのだけれど…」

 

そう言う華琳に対して桃香は…

 

「優しいだけじゃ、誰も救われませんから…」

 

まっすぐな目でそう答えた。

 

「本当に罪を悔いている人なら…手放しに許されるより、ちゃんと罰を与えて償わせた方が、気持ち良く生きられると思ったので…」

 

「そう…」

 

「あ!そうだ!私、今の軍議の事を黄巾党の人達に伝えてきますね!」

 

そう言うなり桃香は天幕を飛び出していった。

 

「あー!待ってー!私も行くー!」

 

「ちょ…姉さん!」

 

「もう…待ってってばー!」

 

天和達も後を追いかけて行った。

 

「「「「「…………」」」」」

 

その様子を、ルフィ、愛紗、鈴々、華琳、蓮華は思わず天幕の出入り口まで追いかけて見送った。

 

「行っちゃったのだ」

 

「……関羽、あなた相変わらず主を見る目がない様ね…」

 

華琳は溜息交じりに言う。

 

「そうかもしれません。……ですが…」

 

「?」

 

義兄姉妹(きょうだい)を見る目には、自信がありますよ」

 

愛紗はそう言って鈴々の頭を撫でる。

 

「ししし!」

 

「にゃはは!」

 

(確かにそうね…)

 

「ふふ…」

 

ルフィと鈴々は楽しそうに笑い、華琳と蓮華もその様子を見て微笑むのだった。

 

「おーいルフィ!メシ作るから食料と調理器具運ぶの手伝え!」

 

「よっしゃーーー!宴だーーー!」

 

「「「「…………」」」」

 

サンジに呼び掛けられ、ルフィは砂煙をあげて去って行った。

 

「義姉が義姉なら義兄も義兄ね…」

 

「ははは…」

 

またも華琳は溜息をつき、愛紗も苦笑いする。

 

「まァでも……良い男ではあると思うわよ」

 

「⁉」

 

華琳はどこか不敵な笑みを浮かべて言う。

 

「孫権殿もそう思わない?」

 

「⁉ど、どうして私に同意を求めるのよ⁉」

 

「関羽、自分が一番身近だからって油断しないようにね」

 

「は⁉」

 

「孫権殿もね」

 

「っ!」

 

「警告はしたわよ?」

 

華琳はそう言うと、陣のどこかへと去って行った。

 

「…………」

 

「…………」

 

「……孫権殿」

 

「わ…私、自分の天幕に帰るわ…」

 

蓮華も去って行った。

 

「…………」

 

「愛紗?どうしたのだ?」

 

「っ!」

 

鈴々に呼ばれてようやく我に返った愛紗も、義勇軍の陣へ戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍の陣と隣接する形で簡易的な牢獄が作られ、天和達と元党員達は全身そこに入れられた。

 

「うう…どうして私が華琳様のお傍から離れて…」

 

そして牢獄の前で春蘭は泣いていた。

 

「仕方がないだろ姉者。華琳様の命令だ。それに華琳様が『今宵の宴に来るな』と言ったのは、我々の身を案じての事だ」

 

…と、隣で秋蘭が言う。

 

今、本陣の方では、黄巾党本体討伐戦の勝利を祝して宴が行われている。

しかし、春蘭、秋蘭、炎蓮、思春、明命を始め、昼間の戦いで重症を負った者達は、宴に参加せず安静にするように言い渡された。

だが、春蘭がそれに猛反発した為、捕虜達の見張りという名目で大人しくしている様、命令されたのである。

 

因みに見張りには、せっかくなので天和達と話したいという理由で立候補したブルックと沙和、党員達から太平道の話を少しでも聞きたいと言った華佗も加わっている。

 

「はァ~…華琳様と一緒に飲んで食って踊って歌いたかった…。私にはこれがお似合いなのか…」

 

…と、春蘭は自分の手にある、サンジ特性の炒飯が盛られた皿を見る。

 

「姉者はまだよいではないか。私は胃袋まで傷が届いているからと、粥しか許されなかったのだぞ。

ま、粥にしては美味いがな…」

 

「その通りだ」

 

「これは孫堅殿」

 

「弱ェ奴は勝てねェし、生き残れねェ。敗者と死者は勝利の美酒に酔えねェ。戦乱の世の鉄則だ。

まさかおれをあそこまで簡単に、敗者に蹴落とせる様な奴がいるとは思ってなかったがな…。

油断しちまったぜ…」

 

「「…………」」

 

「あの…」

 

柵越しに人和が声をかけてきた。

 

「不満がある訳ではないけれど…いいの?捕虜の私達までこんなちゃんとした食事を貰って?」

 

人和を始め、黄巾党の党員達にも春蘭と同じ炒飯が出されていた。

 

「『どんな相手であれ、食事はちゃんとしたのを与えたい』と、サンジ殿が言われてな。

それに服役とはいえ、これから華琳様の配下として働くなら、立派な我々の同胞だ。

雑な扱いをする訳にはいかん」

 

「そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、連合軍の本陣は飲めや歌えのドンチャン騒ぎとなっていた。

 

「おーひ!おえーら、もっほおろるろ!(よーし!おめーらもっと踊るぞ!)」

 

「おろるー!(踊るー!)」

 

「おろるのらー!(踊るのだー!)」

 

「おろるっふー!(踊るっすー!)」

 

「ルフィてめェ!張飛ちゃん達に何吹き込んどんじゃクルァ!」

 

ルフィ、チョッパー、鈴々、華侖は例によって箸とザルで踊り、サンジは女性にそれを教えたルフィにキレる。

 

「流琉ー!おかわりー!もっとー!」

 

「シャンもー!おかわりー!」

 

「はーい!すでにできてますよー!」

 

「ほう!お主もかなりの酒豪じゃの!」

 

「てめェこそ、中々やるじゃねェか!」

 

(よーし!そろそろイタズラ用唐辛子星の出番だな…!)

 

季衣、香風、ゾロ、祭を始め、皆が料理と酒に夢中になる中、ウソップは中に大量の唐辛子を入れた餃子が盛られた皿を差し出す。

 

「あむ」

 

(お!楽進の奴がいったぞ!)

 

「むぐむぐ…」

 

(……あれ?平気そうだな?間違えたか?)

 

…と、ウソップもその餃子を口にし…

 

「ブフォーーーッ⁉」

 

見事に自滅した。

 

「⁉おい!ウソップ⁉」

 

「ど、どうされましたか⁉」

 

凪は無類の激辛好きだったのであった。

 

「よーし!もう一勝負行くわよ!」

 

「望む所よ!もう一山張ってやるわ!」

 

「粋怜!ナミ殿も!いい加減にせんか!シャオ様の前でそんなに賭博ばっかり!」

 

「張昭ちゃんて随分固い子なのね」

 

「子ども扱いするでない!お主よりはずっと年上じゃ!」

 

「え⁉そうなの⁉」

 

「あー…そういえばナミってあまり雷火と話した事なかったもんね…」

 

「雷火先生は私と同じぐらいの宿老なのよ」

 

「そうなんだ…」

 

シャオに見守られながらナミと粋怜は賭博に打ち込み、雷火はそれを窘められる。

 

「それで、私達の世界では…」

 

「へー…そんな事までわかっているんですか…」

 

「私達の世界よりも、随分進歩しているのね」

 

「やはり天の国の学問は興味深いですねー…」

 

「なるほど~…」

 

「だとしたら…私達の世界の…」

 

「あー!確かに似た様な…」

 

ロビン、朱里、桂花、風、穏、亞莎、包は学問についての話に花を咲かせている。

 

「妾達の歌を聞くのじゃー!」

 

「さー郭嘉さん、気合い入れて歌いましょうねー!」

 

「は、はいー!」

 

「ま、せっかく作ったんだしな!」

 

「使わないで処分するのは勿体ないわなー!」

 

「ああ袁術さん…本当に可愛らしいですわ…♡」

 

フランキーと真桜が舞台馬車を起動させ、その上で美羽、七乃、稟は歌と踊りを披露し、栄華らはそれを見て楽しんでいる。

 

そうして宴が盛り上がる中…

 

「…あれ?」

 

愛紗がある事に気づく。

 

「あのー…曹純殿、劉備殿を見ませんでしたか?曹操殿や孫権殿の姿も見えない様ですが?」

 

「劉備さんでしたら、先程華琳お姉様に呼ばれて、孫権さんと一緒にあそこの天幕へ入って行きましたけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いわね。こんな所に呼び出したりして」

 

「気にしなくていいですよ」

 

「私も、特に気にしていないわ」

 

華琳に招かれた桃香と蓮華は、そこに用意された卓の席に着いていた。

 

「それで…どうして私達を?」

 

「あなた達と話してみたいと思ったのよ」

 

3つの杯に酒を注ぎながら華琳は答える。

 

「互いの志…野望についてね」

 

「「!」」

 

「あなた達がどの様な想いを抱いて乱世に立ったのか、是非聞かせて貰いたいと思ったの」

 

そう言うと華琳は2人の前に杯を置き、自分も席に着く。

 

「まず私の野望は天下統一、そして大陸の安寧よ」

 

「…………」

 

「それは…立派な志ね…」

 

はっきり言い切る華琳に、桃香は思わず黙ってしまうが蓮華はすぐに応えた。

 

「孫権殿は賛同してくれるの?」

 

「ええ。天下の平定は私や姉様の願いでもあるもの」

 

「そう。じゃあ…」

 

「ただ…」

 

「?」

 

「曹操殿に大陸を統一させるつもりはないわ」

 

「っ!」

 

「…………」

 

「中央政権の腐敗、此度の黄巾の乱……これ以上、他所の事情に巻き込まれるのはうんざりなの。

私に志があるとすれば、それは孫呉の民を守る事。

賊だけでなく、外部の国や異民族の脅威からもね」

 

「つまり、揚州の外の事情には関わらないという事?」

 

「いいえ。大陸の全てが孫呉の麾下に入れば、大陸の民は全て私が守るべき孫呉の民となるでしょう?」

 

「成程。けど民を守る為には、強い者が統治者にならなければならないわ」

 

「ええ。だから孫家が統治するべきなのよ。曹操殿ではなくね」

 

「言うじゃない」

 

そのまま華琳と蓮華は静かに火花を散らす。

 

「あのう…」

 

桃香が口を開いた。

 

「私は…孫権さん達の事はよく知らないですけど、関羽さん達から民が笑って暮らせるような政治をする、素晴らしい領主だと聞きました」

 

「…………」

 

「曹操さんの街も、みんなとても楽しそうに暮らしている平和な街でした」

 

「…………」

 

「それでも、お二人は戦うんですか?」

 

「ええ」

 

「勿論よ」

 

「そうですか…」

 

二人の返答を聞いた桃香は目を閉じ、しばし沈黙した後…

 

「なら私は……二人を止める為に戦います!」

 

静かに、しかし力強く言い放った。

 

「お二人の領土は平和で、民は笑顔で暮らしている…。

それなのに二人が戦おうとする事に、私は納得できません!

だから、お二人に負けない力を…二人が戦う事ができなくなる程の力を手に入れて、二人を止めます!」

 

「「…………」」

 

その時華琳と蓮華は、桃香の目から自分達とはどこか違うが、確かな強さを感じた。

 

「ふふふ…」

 

突然、華琳は嬉しそうに笑い出した。

 

「そうよ…そうでなくちゃ…」

 

「曹操さん?」

 

「嬉しいわ。劉備、そして孫権殿。私はずっと、あなた達の様な本物の英雄に会いたかったの」

 

「英雄?」

 

「孫権さんはともかく…私がですか?」

 

「ええ。劉備、あなたは間違いなく今世の英雄よ。

孫権殿も、今は孫策殿の陰に隠れてしまっているけれど、本当は彼女より大きい器の様ね」

 

「「…………」」

 

「英雄というのは大志を胸に抱き、それを実現させる事ができるだけの器、勇気、人望、気概…それらを兼ね備えている者…。

私はそう考えるわ」

 

「それは…面白い考えね…私は好きだわ」

 

「私は…まだちょっとよくわからないです…」

 

「けど、これでハッキリしたわ。

私と孫権殿は天下統一の為に互いに競う。劉備は私達を止める。

私達三人は別々の道を行き、いずれぶつかり合う。

もし私の野望が何者かに敗れるのだとしたら、あなた達のどちらかがいいわね。

どの様な結果になろうとも、悔いのない戦いができそうだわ!」

 

「それは…私も同意ね」

 

「私も…曹操さんか孫権さんになら、この国を任せていいと思います!」

 

「なら、その為にもまずは協力して太平道を討ち取りましょう!」

 

華琳がそう言いながら立ち上がって杯を掲げると、桃香と蓮華も同様に杯を掲げる。

 

「袁術は正直言って、あまり信用できない。私は実質共闘できるのは、ここにいる私達だけだと思っている」

 

「ええ。奴らに対抗できる可能性があるのも、知っている限りでは私達だけだわ」

 

「はい!一緒に戦いましょう!」

 

そして、3人は酒を酌み交わした。

 

「…………」

 

「孫権殿?」

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ…私達のさっきの野望、ルフィが聞いたらどう思うかなって…」

 

「確かに…ちょっと聞いてみたい気もするわね…」

 

「何も言わないと思いますよ?」

 

「「え?」」

 

「だって、ルフィさんは海賊なんですよ。国や政治になんて興味ないですよ」

 

「……確かに」

 

「……それもそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、連合軍は解散する事になった。

 

「党員達は捕虜として連れて行くから、あなた達はもう少しして、ほとぼりが冷めてから陳留に来て頂戴」

 

「わかったわ」

 

「マイクや拡声器の作り方は、真桜に教えといたから、おめェらも今までと特段変わらずに活動できるぞ」

 

「ありがとう」

 

張三姉妹が使用していた機材や財産の大半は、華琳達が没収。

党員達も連行され、天和達はまた移動式の小屋一件だけの状態に戻ってしまった。

 

「それではロビン殿、お達者で」

 

「ええ。亞莎さんも元気で」

 

ロビンは孫家の面々と別れ、ルフィ達桃花村義勇軍と一緒に行く。

 

「それじゃあ、妾は先に帰るぞー!さっさと帰って蜂蜜水を飲みたいのじゃ!」

 

「そういう訳で、お先に失礼しまーす!」

 

そう言って、美羽達は一足先に帰って行った。

 

「おれも、先に失礼する」

 

華佗も去って行った。

 

「それじゃあ、私達も帰りましょうか」

 

「そうね。姉様達、きっと首を長くして待ってるわ」

 

そう言って、華琳と蓮華が馬に乗った時…

 

「曹操さん!孫権さん!」

 

桃香が2人に呼び掛けた。

 

「…ええ!」

 

「…うん!」

 

3人は視線を交わすと、特に会話もする事なく頷き合い…

 

「「「出発!」」」

 

それぞれの帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曹操軍、その道中にて…

 

「それにしても…」

 

「どうしたの桂花?何だか不満そうに見えるけど」

 

桂花の呟きが聞こえ、華琳は問いかける。

 

「天の御遣いと関羽達の事です。

あれ程の才覚を有しておきながら、どうしてあの猿や劉備の様な輩の下に付くのか、理解できません」

 

「そんな理由は簡単よ」

 

「?」

 

「あの者達には皆、人を見る目があるからよ。だからルフィや劉備に付いて行くのよ」

 

「『あるから』…?『ないから』ではなくてですか?」

 

「あら、桂花は納得できないのかしら?」

 

「当然です。人を見る目がある者は、華琳様の様なお方の下に着くに決まっています。

華琳様だって『主を見る目がない』と関羽に言っていたではないですか」

 

「ええ。確かに劉備は主としては未熟よ。

でも、それはあくまでも今の話…。

今後彼女の中の英雄の才覚が成長していけば……どうなるかしらね?」

 

「英雄⁉あの女がですか⁉」

 

「桂花、英雄というのは何も、主として上に立つ事だけではないのよ。

先頭に立ち人を率いる。中心に立ち人をまとめる。下に立ち人を支える。

英雄には様々なあり方があるわ」

 

「……そうですか」

 

桂花はどこか納得はしていない様だが、理屈は理解したらしく、それ以上は何も言わなかった。

 

(そして何より…その人自身の在り方で、人を集められるのよ。他の英雄すらね…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

「あーあ…また最初からやり直しかー…」

 

「でも、援助をしてくれる有力者ができたし、まるっきり振出しに戻った訳ではないわ」

 

「そーそー、また三人で頑張れば、きっとなんとかなるよ」

 

満月の下、移動小屋の近くにしゃがみ込んで張三姉妹はそんな会話をしていた。

すると…

 

「仲良き事は美しきかな!」

 

「「「⁉」」」

 

どこからともなくそんな声が聞こえた。

 

3人が辺りを見渡すと、近くの崖の上に一つの人影があった。

 

「だ、誰よあんた⁉」

 

「ある時は霧に溶けた謎の美人武芸者…またある時はさすらいのメンマ狩人…しかしてその実態は……乱世に舞い降りた一匹の蝶!美と正義の使者、華蝶仮面!

出のきっかけが掴めず遅れたが、只今推参!」

 

…と、今頃になってようやく出て来た、蝶の仮面をつけた星がそこにはいた。

 

「新たな門出に不安を抱くお前達に私からの餞別だ!受け取るが良い!」

 

そう言うと星は3人の前に、ピンク、水色、緑の三色の蝶の仮面を投げる。

 

「それを顔に着け、謎の仮面芸人として活動すれば人気急上昇間違いなし!

話題沸騰、老若男女問わず魅了され、その人気はたちまち大陸中に―――」

 

「もう寝ようか…」

 

「疲れた~…」

 

「明日も早いしね…」

 

「あ!こら!人の話は最後まで聞けェーーーっ!」

 

3人は完全に無視して、小屋の中に消えて行った。

 

「………かっこいいと思うのだが…」

 

星は仮面を外し、一人呟くのであった。

 

 

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