ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第126話 “初仕事”

 

ルフィ達が雛里を仲間に加えて南蛮を目指して出発した頃、ナミ、ロビン、愛紗らはというと…

 

「…で、私達も協力して、その執事と海賊達を倒す事になったのよ」

 

「その男、とんだ食わせ物ですな…」

 

「二人共、街が見えてきたわよ」

 

「おお!」

 

「袁術ちゃん、ちゃんと善政を施しているといいんだけど…」

 

3人は宿を求め、美羽の城下町に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「袁術ちゃんの街に来るの、久しぶりね~」

 

「以前訪れた時よりも、賑わいが増しているな」

 

「ちゃんと善政が施されているみたいね」

 

以前と異なり、人があふれ賑わう通りを3人は見渡す。

不意にナミと愛紗は見覚えのある置物と店を見つけた。

 

「確か、ねね殿と最初に出会ったのはこの土産物屋でしたな」

 

「この置物見て、鈴々ちゃんはしゃいでいたわね」

 

―――――でっかいキン〇マなのだー!

 

「少し、中に入ってみない?」

 

「そうね…また璃々ちゃん達にお土産でも買っていく?」

 

「そうですな」

 

3人は店に入る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前に来た時より、商品が充実しておりますな」

 

「お値段も手ごろになっているわ」

 

「あら、可愛いわねこれ」

 

そう言ってロビンが見ていたのは、以前鈴々が買おうとしていた動物の形のお守りだ。

 

「鈴々ちゃん前に来た時、結局犬のお守り手に入らなかったし、お土産に買ってあげたら?」

 

「そうですな。でも…」

 

「?」

 

「鈴々には、こっちの方がいいかもしれませんな」

 

そう言って愛紗は豚のお守りを手に取る。

 

「確かに」

 

「そうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ごちそうさまでした」」」

 

土産物屋を出た後、3人は近くの飲食店で昼食をとった。

 

「食事も前より充実していましたな」

 

「前はネギやニラでかさ増しした物ばっかりだったもんね」

 

「そんなにひどかったの?」

 

3人はガールズトークに華を咲かせながら通りを歩く。

 

「…………」

 

そんな中、一つの人影がナミの背後に忍び寄る。

 

「…………」

 

気取られぬように、ナミの腰についている路銀の入った袋に手を伸ばす。

 

「甘い!」

 

「っ!」

 

しかし、もう少しで手が届きそうな所で手首を掴まれてしまう。

 

「前より上達しているみたいだけど、まだ私から物を盗ろうとするには早いわよ―――シャオ」

 

「ちぇ~っ…」

 

「尚香殿⁉」

 

「あら、久しぶりね」

 

そう、その人影の正体はシャオだったのである。

 

「尚香殿はどうしてこの様な所に?」

 

「まさかまた家出してきた…ってワケではないでしょうし…」

 

「ふふん!シャオはね、重大な任務を帯びてここに来たのよ!」

 

胸を張ってそう答えるシャオに対し…

 

「重大な…?」

 

「任務…?」

 

「あんたが…?」

 

3人は疑惑の眼差しを向ける。

 

「何よ⁉シャオが重大な任務を任されちゃ駄目なの⁉」

 

「あー!いたー!」

 

「小蓮様~!」

 

…と、そこへ何者かが駆け寄ってきた。

 

「周泰さん!それに陸遜さんも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、6人は近くの茶店の屋外席で話をする事にした。

 

「しかし…こうして軍師の陸遜殿や周泰殿が同行している所を見ると、尚香殿が重大な任務の為にここに来たというのは本当らしいな」

 

「はい~実は袁術様と孫家~もとい豫州と揚州の間では~数年来、州境にある山がどちらのものかという事での言い争いがあったのです~」

 

(………ん?)

 

穏が説明している隣で、明命は路上に一匹の野良猫を見つける。

 

(はあァ~~~♡)

 

「ですが~先日蔵の片付けをしていた所~数代前の両家の当主の間で交わされた約定の証となる書付が見つかったのです~」

 

(お猫様ァ~~~♡)

 

顔が崩れる明命。

 

「その書付には~件の山は揚州ものと記されており~互いの印も押されていたのです~」

 

「…で、シャオはその書付を持って、袁術との交渉に来たのよ!」

 

「確かにそれは重大な任務ですな…」

 

「大丈夫なのシャオ?」

 

「はい~。交渉と言いましても~すでに使者を通してやり取りを済ませ~張勲殿と冥琳様との間で話はついていまして~。

後は~形式的に書付を確認して貰うだけでしたので~そこまで難しいものではないのですが~」

 

(お猫様~~~…)

 

明命は自分の髪を揺らして、猫を惹きつけようとする。

 

「成程ね」

 

(ほ~らほ~ら…)

 

猫は少しずつ明命の下へと近づいていく。

 

「小蓮様もゆくゆくは孫家を支える柱となる身ですから~こういった事から始めていくのがいいだろうと雪蓮様が言いまして~」

 

「つ・ま・り、これはシャオの記念すべき初仕事って訳!」

 

…と、シャオは胸を張るが…

 

「なのに袁術の奴…!」

 

急に不機嫌そうになる。

 

「忙しいだの体調がすぐれないだの言って、全然シャオと会おうとしないのよ!」

 

「書付を見ればそれで終わるから、面会を引き延ばしてうやむやにするつもりなのね」

 

「汚い事するわね」

 

「ですが、先程この件はすでに話がついていると…」

 

「そうだったのですが~…土壇場で袁術殿が臍を曲げたのか~…あるいは交渉が決裂しても~今の孫家に事を構える余力はないと判断したのか~…」

 

(もう少し…もう少し…!)

 

猫は明命のすぐ近くまで来て、髪の毛に飛びつきそうな姿勢をとる。

 

「ああもう!思い出しただけで腹が立つわ!」

 

そう言うなりシャオはドン!と机を叩く!

 

「⁉ああっ⁉」

 

その音に驚いて猫は一目散に逃げ去ってしまった。

 

「あうう~…」

 

「姉様達が本気になれば、袁術なんか簡単に倒せるのに…!」

 

「駄目ですよ小蓮様~。今は力を蓄える時~可能な限り兵を用いず話し合いで解決しないと~」

 

「でも、この街に来てからもう半月近くになるのよ!」

 

「ええっ⁉そんなに待たされてるの⁉」

 

想像以上の長さにナミ達は驚く。

 

「はい~…。おかげで暇を持て余し~やむなく街で暇をつぶしていたのですが~、私が書店で書物を見ている間に~一緒にいた筈の小蓮様がいつの間にか姿を消していて~…」

 

「だって穏ってば『ちょっと覗くだけですから~』とか言って、ず~っと本見てるんだもん!シャオ退屈しちゃって…」

 

「それなら一声掛けて下されば…」

 

「声なら何回も掛けたわよ!」

 

「完全に書物に没頭していて、聞く耳を持たなかったのね」

 

「酷いですロビンさん~!私がそんな人に見えるんですか~⁉」

 

「そういう人にしか見えないわ」

 

(がーん!)

 

相当なショックを受ける穏であった。

 

「それはそうと小蓮様~大事な書付を~まさか失くされたりはしていないですよね~?」

 

「それなら大丈夫。ちゃんとここにしまって肌身離さず持っているから、絶対に失くしたりしないわ」

 

そう言ってシャオは腰につけている小物入れを叩く。

 

(お猫様~…)

 

そんな会話がされている隣で、明命は悲しそうにしていた。

 

「ただ~袁術殿が忙しいというのは~あながち嘘ではないみたいなんですよね~…」

 

「そうなのですか?」

 

「はい~。袁術殿は半年ほど前から渋々善政を施し始めたのですが~最近では『庶人に慕われるのも悪くない』と言って~積極的に善政を施す様になったのです~。

ただ~そのせいで袁術殿の下で楽して贅沢をしたかっただけの一部の配下達が脱走したらしく~少々人手不足になっている様で~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、美羽と七乃は自分達の宮殿で来客対応をしていた。

 

「美羽さん、しばらくご無沙汰していましたけれど、わたくしに似て益々美しくなられたんじゃありませんの?」

 

その客人というのは麗羽、猪々子、斗詩、真直だった。

 

現在、4人は客人用の長椅子に座り、七乃はその正面の椅子に、美羽は麗羽の膝の上に座り、麗羽に髪をいじられている。

 

「れ、麗羽姉様こそお変わりなくて何よりなのじゃ…」

 

作り笑いをしている様子で美羽は言う。

 

「お変わりなくだなんて嫌ですわ。わたくし前よりも何倍も美しくなられましてよ!」

 

「そ…それは何よりなのじゃ…」

 

美羽にしては珍しく、呆れた様な表情になる。

 

「そういえば美羽さん」

 

「?」

 

「あなた黄巾党の本体を討伐した時の事を参照に、お芝居を作ったと伺いましたが?」

 

「ええ。美羽様のお芝居は領民からも好評で、順調に回を重ねておりますよ。しかも次回の公演は新しい趣向を凝らした、特別な舞台を予定しているのですよ」

 

七乃が説明する。

 

「それは楽しみですこと。わたくしも是非拝見させていただきますわね」

 

「…!そうですわ!せっかくですから、麗羽様も出演なさってはいかがですか?」

 

「⁉」

 

七乃の一言に美羽はぎょっとした様な表情になるが、七乃が目配せをするのを見て、何か考えがあるのを察して口を閉じる。

 

「それはいいですわね!ですが、わたくしに相応しい役がありまして?」

 

「はい。もしよろしければ曹操さんの役なんていかがでしょう?」

 

「なっ⁉何でこの華麗で優雅なわたくしがあんな貧乳小娘の役をやらなければなりませんの⁉」

 

「れ、麗羽姉様痛いのじゃ!髪を引っ張らんでくだされ!」

 

「あ、ああ…!ごめんあそばせ…!」

 

怒りのあまり美羽の髪に当たってしまった麗羽は、慌てて手を離した。

 

「麗羽様、このお芝居では曹操さんは、黄巾党の前に無様に敗れるやられ役。その時の醜態を麗羽様がことさら大袈裟に演じれば…」

 

「…!成程…あの忌々しい小娘の評判を地に落としてやる事ができるという訳ですのね…」

 

七乃の話を聞き、ニヤリとする麗羽。

 

「はい!」

 

「わかりましたわ!猪々子!斗詩!真直!舞台に出ますわよ!」

 

「ええっ⁉」

 

「何となく察しはついていましたけど…!」

 

「私達も出るんですか⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、麗羽達を客室に案内して、美羽と七乃は2人で謁見の間にいた。

 

「んく…んく……ぷはーっ!やれやれ…麗羽姉様の相手は疲れてかなわんわ…」

 

蜂蜜水を飲みながら、本当に疲れた様子で美羽は呟く。

 

「どんな相手も呆れさせてげんなりさせてしまう美羽様も、相変わらず麗羽様だけは苦手なんですね…」

 

「うむ…いつかぎゃふんと言わせてやりたのじゃが、麗羽姉様が相手だとどうも調子がくるっての…。

所で七乃、何故麗羽姉様を今度の舞台に出る様にそそのかしたのじゃ?」

 

「はい。まず一つ目は単純に人手が足りなくなっていたので、麗羽様達に手伝わせようと思った事」

 

「まァ確かにそうじゃの…。にしても兪渉(ゆしょう)の奴め、一体どこに行ったのじゃ?」

 

「そして一番の理由は、曹操さんと犬猿の仲である麗羽様の事ですから、ああ言っておけば曹操さんの役をさぞかし無様に演じてくれるでしょう。

ですが…実際に舞台で醜態をさらすのは紛れもなく麗羽様本人。果たして評判が地に落ちるのはどちらか?」

 

「成程のう!そういう事であったか!」

 

「それに、この事が何らかの形で曹操さんの耳に入れば、ただでさえ仲の悪いお二人の事ですから必然的に一触即発に…。

上手く行けば争いを繰り返し、共倒れという可能性も…」

 

「おおーっ!さすが七乃じゃ!せこい悪知恵を働かせれば中原一じゃのう!」

 

それは褒めているのだろうか?

 

「はい!ありがとうございます!」

 

言われた方は喜んでいるので良しとしよう。

 

まさにこの主にして、この従者ありという感じである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、シャオ達はナミ、ロビン、愛紗も連れて美羽の公演の会場を訪れていた。

 

「こ、困ります!練習中は部外者は入れるなと…」

 

「いいから袁術に会わせなさい!」

 

侍女が止めようとするが、シャオは強引に中へと入る。

 

「うーむ…なーんか違うのじゃ!そこはもっとこう…」

 

「袁術、やっと見つけたわよ!」

 

「一体何じゃ⁉騒々しい!」

 

入ってみると、練習の様子を観客席から見ている美羽の姿があった。

 

「む?誰かと思ったら孫家のチンチクリンではないか」

 

「むかっ!誰がチンチクリンよ!シャオがチンチクリンなら、あんたはもっとチンチクリンじゃない!」

 

「何じゃとー⁉」

 

「うぎぎぎぎぎ…!」

 

「むぐぐぐぐぐ…!」

 

そのまま至近距離で睨み合う2人。

 

「まったく…あんたら2人共やめなさいよ…」

 

見かねたナミが仲裁に入る。

 

「うん?誰かと思えばナミではないか。それに関羽と…」

 

「ロビンよ」

 

「おお、確かそんな名前じゃったな。久しいのう。義勇軍は止めて孫家に仕える事にしたのか?」

 

「あ、いえ…近くに来たのでこの街に寄ったら、偶然尚香殿達と会いまして…」

 

「袁術様~無礼な事は幾重にもお詫び申し上げます~。ですが~少しで良いのでお時間を~…」

 

穏が話し掛けると美羽は露骨に嫌そうな顔をする。

 

「…お主、確か陸遜とかいったのう…」

 

「はい~…」

 

「書付の件は、都合がつけばこちらから声を掛けると言っていたであろう?」

 

「はい~…ですが~私達もいつまでもこの街にいる訳には~…」

 

「なら日を改めて出直してくればいいであろう?」

 

「そういう訳には~…」

 

「とにかく今は駄目じゃ!見ての通り、妾は舞台の準備で忙しいのじゃ!

特に次の舞台は新しい登場人物として“黒髪の山賊狩り”を登場させ、より凝った演出をしようと思っておってのう!」

 

「!」

 

「お主らは聞いた事あるか?何でも美しい黒髪をなびかせて悪しき者を退治する、絶世の美女じゃとか」

 

「あ~…ごほん、ごほん」

 

「この辺りでも噂になっていて舞台に取り入れる事にしたのじゃが、中々その役に相応しい者がいなくての~…」

 

「…………」

 

わざとらしく髪をいじる愛紗。

 

「妾程ではないにしろ、結構な美女でなければ観客も納得せんであろうし、演出の方もどうもこれといった物が思いつかなくての~…ん?」

 

そこまで言った所で美羽は明命を見る。

 

「…お主、中々綺麗な黒髪をしておるのう…それに顔立ちも悪くない…」

 

「へ?」

 

「え?」

 

「よし!今度の舞台、お主が黒髪の山賊狩りをやれい!」

 

「えええ⁉」

 

「あ…あの袁術殿…周泰殿も困っておりますし、その様な無茶振りは…」

 

「何じゃ関羽!お主には関係ない…む?髪型…眼鏡…髪の色…」

 

…と、愛紗、穏、シャオの順にまじまじと見つめ、何やら考え込む美羽。

 

「…お主ら特徴が張三姉妹に似ておるのう!よし!次の舞台、お主らが張三姉妹の役をせい!」

 

「ちょっと待ちなさいよ!何でシャオ達がそんな事をやらなくちゃいけないのよ⁉」

 

「お主らが舞台を手伝ってくれるのであれば、例の書付を確認してやるぞ?」

 

「…っ!」

 

「どうする?やるのか?やらぬのか?」

 

「わ、わかったわよ!やればいいんでしょう⁉」

 

「わははははは!それでよいのじゃ!さてと、あとは演出じゃが…うん?」

 

今度はナミとロビンを見る。

 

「そう言えばお主ら、今日はあの骸骨と裸の男は一緒ではないのか?」

 

「ブルックとフランキーの事?あの2人なら私達とは別行動中だけど…」

 

「そうか~…あやつらがおれば何かいい演出ができるかと思ったのじゃが……いや待てよ、そうじゃ!お主らも舞台を手伝え!」

 

「は⁉」

 

突然の事にナミは思わず声をあげる。

 

「あやつらの仲間ならお主らも何か特別な事ができるであろう?それで何か演出をするのじゃ!」

 

「ええ⁉」

 

「ナミ!お願いよ!」

 

「シャオまで⁉」

 

「シャオの初仕事、絶対に失敗したくないの!お願い!」

 

シャオは手を合わせ、頭を下げてお願いする。

 

「……わかったわよ…。ロビンもいい?」

 

「ええ、面白そうだし」

 

「!ありがとうナミ!」

 

「よーし!ではさっそく練習再開じゃ!」

 

「所で愛紗さん、何だか元気ないみたいだけど…」

 

「いえ…大丈夫です…何でもありません…」

 

明らかな負のオーラを出している愛紗を、ロビンは不思議そうに見るのだった。

 

 

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