ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第128話 “団子”

 

ルフィ達が水鏡の庵を出てから数日後、所々に竹が生い茂っている道を歩いていた。

 

「「だ~んご食べたら美味かった~♪く~まを狩ったら鹿だった~♪」」

 

少し前に立ち寄った茶店で購入したみたらし団子を一人2本ずつ持ち、食べながら歩いている。

すでに完食したルフィと鈴々は、大声で歌いながら先頭を歩く。

 

「ね~もうだいぶ歩いたと思うんだけど、たんぽぽ達今どの辺にいるの?」

 

「水鏡先生の地図によると、そろそろ益州の巴郡(はぐん)に入る頃です」

 

雛里が答える。

 

「そういえば朱里ちゃん、さっきお店で知らないおじさんと何を話していたの?」

 

桃香が訊ねる。

 

「あの人、都の方から来た行商人さんだったので、洛陽の様子を聞いていたんです」

 

「そうだったんだ。それで、なんて言ってたの?」

 

「はい。やっぱり洛陽には近付かなくて正解でした」

 

朱里は真剣な顔で言う。

 

「あの人の話では、今や朝廷は完全に董卓が支配しており、とんでもない悪政を敷いているんだとか…」

 

「とんでもない悪政って、どんなのなのだ?」

 

「朝廷の重臣や天子様の意向を無視して自分勝手な政治を行い、少しでも逆らう人は片っ端から牢に入れるそうです。

そのうえ、大規模な土木工事をいくつも始めて、その為に重い税を掛け、昼夜問わず大勢の人を無理やり働かせている為、民の間では怨嗟の声が満ちている。

…って、言っていたんですけど」

 

そこで朱里は顎に手を当てて考え込む。

 

「その話…なんだかおかしいのだ…」

 

「そうだよね…董卓さんって、そんな悪い事する人じゃないよね…」

 

鈴々と桃香も考え込む。

 

「?皆さん、トウタクさんをご存じなんですか?」

 

「あー…そういやトウタクっていえばチョッパーが世話になってたっていう…」

 

「たんぽぽも涼州にいた時、何回か会った事あるけど…すっごく良い人だったよ」

 

「じゃあ、おれ達が知ってる董卓とは違う奴なんじゃねェか?」

 

「そうですね…同姓同名の別人というのも考えられなくはないですが、涼州で太守を務めていたトウタクとなると…」

 

ルフィの言葉に頭をひねる朱里。

 

「優しい人に見せかけるってのは、本当の極悪人なら良くやる事だ。みんなそいつを信用しすぎなんじゃねェか?」

 

「因みに董卓さんって凄い美少女で、仲間の人達も美女ばかりでしたよ」

 

「悪い奴な訳がねェ、きっと何かの間違いだ」

 

桃香の言葉にあっさりと意見を変えるサンジ。

 

「……朱里ちゃん、サンジさんって凄く単純なんだね」

 

「うん、その通りだよ雛里ちゃん」

 

2人がサンジに冷めた視線を向けたその時…

 

「うわっ⁉」

 

「きゃあ⁉」

 

「「「「「「⁉」」」」」

 

近くの竹林の中から誰かが飛び出してきて、蒲公英にぶつかった。

 

「うう…」

 

飛び出してきたのは黒に近い藍色の短髪をして、白のメッシュが入ったボーイッシュな雰囲気の女性である。

身長は桃香よりも高い。

 

(うおっ⁉今までとは違うタイプの美女!)

 

平常運転のサンジ。

 

「いたた……あ~~~っ!」

 

起き上がった蒲公英は、地面に自分の団子が落ちているのを見て叫び声をあげる。

 

「……っ!」

 

「あ!」

 

しかし、ぶつかってきた相手は立ち上がると、何も言わずに林の中に走り去る。

 

「あんにゃろォ!ブッ飛ばしてやる!待てェーーー!」

 

蒲公英はそう言うなり槍を振りかざして追いかけて行った。

 

「蒲公英ちゃん!」

 

「おい、待て!」

 

当然、ルフィ達も慌てて追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てっつってんだろーーー!」

 

林の中の少し開けた所で蒲公英は女性に追いつき、槍を振り回して飛び掛かった!

 

「っ!」

 

相手の方も腰の剣を抜き、振り返りざまに受け止める。

 

「何のつもりだ⁉」

 

「団子の恨み!晴らさせて貰うぞ!てりゃーっ!」

 

蒲公英は槍を振り回し、次々と刺突を繰り出す。

 

「ふん!」

 

しかし、相手は涼しい顔をして全て捌く。

 

「ガキの癖に少しはやるようだな!」

 

「何だとォ!」

 

余裕を見せる相手に対し、蒲公英はだいぶ息が上がっている。

 

「もう少し遊んでやっても良いが、今はその時間が惜しい!決着(ケリ)を着けさせて貰うぞ!」

 

そう言うと相手は剣を構え、攻勢に出る!

 

「わっ⁉うっ!うわわっ!」

 

蒲公英は必死に防ぐが…

 

「きゃあ⁉」

 

相手の腕力に押され、受けきれずに尻もちをついてしまう。

 

「貰ったァ!」

 

「っ!」

 

とどめの一撃が振り下ろされ様としたその時…

 

「フン!」

 

「⁉」

 

「鈴々!」

 

「加勢するのだ!」

 

追いついた鈴々が蛇矛で剣を受け止めた。

 

「くっ!」

 

新手の出現に相手は後退し距離をとる。

 

「何だってんだ⁉今日はどこかでチビの大安売りでもしてるのか⁉」

 

「蒲公英の弔い合戦なのだ!鈴々が相手なのだ!」

 

「いや…たんぽぽまだ生きてるんだけど…」

 

「うおりゃーーーっ!」

 

蒲公英の小声のツッコミを無視し、鈴々は蛇矛を振り回し相手に斬りかかる。

 

「ぐっ⁉」

 

鈴々は桁違いの腕力を始め、実力はかなり高かったが、外見は蒲公英より幼く、弱そうに見えた。

その為、油断していた相手は表情を険しくし、追い詰められていった。

 

(な、何なんだこいつ⁉チビの癖に一撃一撃が重い!)

 

「おーい!鈴々!蒲公英!」

 

そこへルフィ達も追いついて来た。

 

「……っ」

 

相手は思わずルフィ達の方を見る。

 

「⁉」

 

するとどういう訳か、頬を赤くし桃香の姿を瞬き一つせずに見つめだした。

 

「…………」

 

「っ!隙ありなのだァ!」

 

「しまっ…!」

 

すかさず鈴々は蛇矛を振るい、剣を弾き飛ばす。

 

「覚悟するのだァ!」

 

そしてとどめを刺そうとした、その時…

 

「そこまで!」

 

「「「「「「「「⁉」」」」」」」」

 

何者かの声と共に重々しい金属音が響き、鈴々は思わず手を止め、ルフィ達も声のした方を見る。

 

そこには桃香よりも年上で、銀色の髪に「酔」と書かれた赤い肩当をした女性が、巨大な金棒を持って立っていた。

 

「何なのだお前⁉お前もこいつの仲間なのか⁉」

 

(うおーっ!またまたキレイなお姉様!)

 

「き、“桔梗(ききょう)”様…!」

 

鈴々と対峙していた女性が声をあげる。

 

「ようやく見つけたぞ“焔耶(えんや)”…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同は銀髪の女性に連れられ、少し行った所にあった茶店に入った。

 

卓上には、その女性がおごってくれた、みたらし、あんこ、三色等の様々な串団子が山積になっており、ルフィ、鈴々、蒲公英は片っ端から口に放り込んでいる。

 

「誠に申し訳なかった!」

 

銀髪の女性は卓上に両手をつき、頭を下げる。

 

「…………」

 

「貴様も頭を下げぬか!」

 

「ぶっ⁉」

 

ボーイッシュな女性の方がそっぽを向いていると、銀髪の女性はその頭を掴み、机に叩きつけて、強引に下げさせた。

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

その様子にルフィ達は若干引いてしまう。

 

「わしの名は“厳顔(げんがん)”。この巴郡の太守だ」

 

「太守様だったんですか⁉」

 

銀髪の女性、厳顔こと桔梗の正体に桃香達は驚く。

 

「…でこやつは“魏延(ぎえん)文長(ぶんちょう)”。わしの弟子というか、居候というか、とにかく手間の掛かる奴でのう…」

 

そう言いながら桔梗は、起き上がった魏延こと焔耶の頭を小突く。

 

「幼い頃より手元に置いて、武術を仕込んでおったのじゃが…。

長ずるに従い、少しばかり腕に覚えがある事を鼻にかけて、今では毎日の様に喧嘩三昧。困った暴れ者でのう…」

 

桔梗が説明している間にも、焔耶は何度か桃香を横目で見ては頬を赤くしている。

 

「今朝も街中で破落戸(ゴロツキ)共と大立回りを演じた挙句、わしがその事でお灸を据えようとしたら、卑怯千万にも逃げ出しおったのじゃ」

 

説明を続けていると、今度は蒲公英と目が合い、そのまま睨み合いに入る。

 

「全く…そのうえ逃げる途中で、またしても他人様に迷惑を掛けるとは…」

 

桔梗はまたもや焔耶の頭を小突く。

 

「あの…その事でしたら、もう気にしていませんから…」

 

…と、朱里。

 

「そうそう、お団子も弁償して貰ったし…。蒲公英ちゃんもそれでいいよな?」

 

「え~…ん~まァ…」

 

サンジの言葉に、蒲公英は若干不満そうにしつつも頷く。

 

因みに団子はすでに完食されており、ルフィが4、鈴々が3、蒲公英が2、残りの4人が合わせて1の割合で食べた。

 

「いや!団子を弁償するぐらいでは気が済まぬ!お主ら、わしの顔を立てると思って、どうかもてなしをさせてくれ!」

 

桔梗が必死に懇願するので、ルフィ達は厄介になる事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、厳顔様」

 

「うむ。わしが留守の間、変わりなかったか?」

 

「はい」

 

そうして一行は巴郡の宮殿ではなく、桔梗の自宅である屋敷に向かった。

 

立派な門構えの大きな屋敷であり、使用人や見張りの兵がいる事からも、桔梗の位の高さが窺える。

 

「へェ…」

 

「厳顔さん、本当に太守様だったんだね…」

 

サンジと桃香は驚く。

 

「けど全然そんな風には見えないよね…」

 

「はわわっ⁉蒲公英ちゃん!」

 

「あわわっ⁉そんな事言ったら失礼ですよ!」

 

「!」

 

2人の言葉に蒲公英は思わず自分の口を塞ぐ。

 

「厳顔って太守なのに、全然そうは見えないからびっくりしたのだ」

 

「ああ、全然偉そうじゃねェもんな」

 

「「「「「⁉」」」」」

 

思った事が、必ずと言って良い程言葉に出る2人の発言に、サンジ達は冷や汗をかく。

 

「おお、そうかそうか!まァ、わしは偉そうにするのはあまり好きではないからの、見えなくても不思議ではないわ」

 

(((((ほっ…)))))

 

桔梗の大柄な性格に胸を撫で下ろす5人だった。

 

…と、その間に焔耶が一人、静かにその場を離れようとしていた。

 

「おい焔耶」

 

「!」

 

しかし、桔梗は見逃さない。

 

「こっそりとどこへ行くつもりじゃ?」

 

「え…えっと、ちょっと用を足しに…」

 

「なら、その前にちょいとお仕置きを受けて貰うかの?」

 

(ひィっ!)

 

焔耶は真っ青になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、桔梗は焔耶を連れて屋敷の一室にやって来た。

そこは石造りの暗い地下室で、壁には様々な拷問道具が掛けられている。

 

何となく付いて来てしまったルフィ達は、部屋の中を見渡している。

 

焔耶はその真ん中で、両腕両足を大きく開いた状態で拘束され、さらに所々交差させた縄を、身体に食い込むように巻きつけられている。

 

(こ…これは…⁉)

 

(はわわ…⁉)

 

(あわわ…⁉)

 

何を想像したのか、縛られた焔耶の姿を見て、サンジは興奮し、朱里と雛里は顔を赤くしている。

 

「さてと…今回は何を使おうかの~?」

 

桔梗はそう言いながら壁の拷問器具を眺める。

 

「あ、あの…厳顔さん…あまり手荒な事は…」

 

桃香が心配そうに言う。

 

「いやいやそういう訳には……良し、今回はこれにするか」

 

そう言って桔梗が手に取ったのは…

 

「「「「「「?」」」」」」」

 

痛々しい凶器ではなく、綿の付いた耳かき棒だった。

 

「ひっ!」

 

しかし焔耶は涙目になり、小さく悲鳴を上げる。

 

「き…桔梗様、それは…」

 

「焔耶よ、覚悟はできておるだろうな?」

 

「う、うわわ…」

 

焔耶は必死にもがくが、拘束はびくともしない。

 

「ふふふ…」

 

桔梗は怪しげな笑みを浮かべると、綿で焔耶のへその辺りを撫でる。

 

「うっ…あっ…」

 

「くくく…」

 

「ふァっ…き…桔梗様……あっ…や、やめっ…!」

 

「ほれ、ここはどうじゃ?それともここが良いか?」

 

焔耶は顔を赤くして悶えだし、桔梗はやや楽しそうに胸や脇など、焔耶の身体のあちこちを撫で始める。

 

その様子を見て…

 

「ね~蒲公英にもやらせて~!」

 

「なっ⁉こ、こらっ!」

 

「よし、やってみろ」

 

蒲公英は桔梗から耳かきを受け取ると、さっきの仕返しと言わんばかりに身体をくすぐりだす。

 

「ほらほら~ここら辺とかどう~?」

 

「やっ…やめっ…ふあっ…!ああっ…!」

 

「お主、中々良い筋しておるのォ…」

 

「え、えっと…これって…」

 

桃香は顔を真っ赤にする。

 

「ぶーーーっ!」

 

サンジは何かが限界を超えたのか、勢い良く鼻血を吹いて倒れる。

 

「な、何するのだ朱里⁉何も見えないのだー!」

 

「見ては駄目です!これ以上は鈴々ちゃんの健全な教育によろしくありませーん!」

 

朱里は必死で鈴々の両目を塞ぎ…

 

「おい!何すんだ雛里!」

 

「見ないで下さい!ルフィさんは余計な事は知らないで、今のままでいて下さいー!」

 

その隣では雛里がルフィの頭によじ登り、必死に両目を塞いでいた。

 

「あァーーーーーっ‼」

 

大混乱の中、焔耶の大きな声が屋敷中に響き渡った。

 

 

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