ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第144話 “三輪車”

ネコになる毒薬を飲まされた朱儁を助けるべく、『持久草』『江東丸』『南蛮象の臍の胡麻』を手に入れる為に旅に出たルフィ達。

 

ナミ、ロビン、愛紗は無事『江東丸』を手に入れ帰村。

ルフィ達とゾロ達もそれぞれ目的の物を入手し、後は村に帰るのみとなった。

 

「…………」

 

ある日、桃花村に帰った愛紗は渡り廊下から空を見上げていた。

 

「愛紗さん」

 

「ナミ殿」

 

「…ひょっとして今、ルフィ達の事考えていた?」

 

「ええ、まァ…」

 

「正直言うと、私もあいつら何かしでかしてないか心配でね~…」

 

「…お気持ちお察しします…」

 

「鈴々ちゃんの事も心配よね。『愛紗がいなくても立派にやれるのだ~』とか言ってたけど…」

 

「まァ、朱里達もついていますし大丈夫でしょう」

 

「皆様ー!」

 

義勇兵が一人走って来た。

 

「何かあったのー?」

 

「官軍が訪ねて来られましたが、いかがいたしましょう⁉」

 

「「官軍?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナミと愛紗はすぐにウソップ、ロビン、フランキー、紫苑、さらに朱儁もマントで顔を隠し、一緒になって様子を見に行った。

 

「あの人達…!」

 

村の門へ行くと以前にも桃花村を訪れた楼杏と風鈴が兵を率いて立っており、そのさらに後ろには車蓋や簾のついた馬車が停まっていた。

 

「皇甫嵩殿に盧植殿、お久し振りでございます」

 

「お久し振りです関羽さん。ナミさんにウソップさん、フランキーさんに黄忠さんも」

 

「私とは初対面ね。初めまして、ナミ達の仲間の“ニコ・ロビン”よ」

 

「中郎将の“皇甫嵩義真”よ。翠さん達と同郷なの」

 

「同じく、中郎将の“盧植子幹”といいます。以前、桃香ちゃんが通っていた学童で教師を務めていました」

 

「誰かと思えばお主達じゃったのか」

 

「朱儁さん⁉」

 

楼杏と風鈴の姿を確認した朱儁は頭巾を脱いで顔を見せる。

 

「どうしてあなたがここに⁉」

 

「話せば長くなるが、色々あってのう…。お主らこそ何故ここに?それにそなたらの後ろにある馬車、それは天子様の親族が乗る御車ではないか。一体誰が乗っておるのじゃ?」

 

「ええ、それは…」

 

その時、簾が上がり…

 

「朱儁、関羽殿、ナミ殿お久し振りです」

 

「劉協様⁉」

 

白湯が姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「劉協様が重大な任務で邪馬台国へ?」

 

「ええ。どうしても皇族の方じゃないといけないらしくて…」

 

ナミ達は白湯達を屋敷へと案内し、一通り話しを聞いた。

 

「それで私達が護衛として一緒に行く事になって、東の方へ向かっていたの」

 

「その途中で桃花村の近くに来たから、劉協様がルフィさんに会いたがっていたし、私や楼杏さんも桃香ちゃんや馬超ちゃん達の顔を見ようと思って寄ったのだけど…。留守だったみたいね…」

 

「久し振りに会いたかったな…」

 

白湯は残念そうにする。

 

「それにしても驚いたわ。宮中に捕まっているとばかり思っていた朱儁さんが、桃花村に身を隠していたなんて…」

 

「それに……随分と変わり果てた姿になっているみたいね…」

 

そう言って楼杏と風鈴は、身長が四頭身ほどになり、ネコミミと手足の肉球、尻尾が生えた朱儁を見る。

 

因みに朱儁は今、鈴々や朱里の服を借りて着ている。

 

「今こやつらに頼んで解毒剤の材料を集めて貰っておるのじゃがのう…。日に日に体が猫になっていくのが辛くてかなわんわ…」

 

机に顔を伏せ、泣きだす朱儁。

 

「それで…話を戻すけど、その重大な任務って何なの?」

 

「それが…私達も詳しい事はわからないの」

 

「わからないとは?」

 

「交易関係のものらしいけど、それ以上は何も聞かされていなくてね…」

 

「…なんか怪しいわねソレ…」

 

楼杏の返答にナミは怪訝そうにする。

 

「怪しいと言えば…私達が旅の途中で聞いた洛陽の事に関する噂にも不審な点があるって、愛紗さん達言ってたわね」

 

ロビンが思い出した様に言う。

 

「はい。皇甫嵩殿も涼州の出身でしたが、董卓殿の事はご存じでしょうか?」

 

「ええ。月さん…董卓さんの事、関羽さん達もご存じなのね?」

 

「はい。その董卓殿が宮殿を牛耳って悪政を布き、民を苦しめているという噂だったのですが…。あの董卓殿がその様な事をするのでしょうか?」

 

「私も董卓さんの性格からして、その様な事はあり得ないと思っているのだけれど…」

 

「私は董卓さんとあまり話した事はないけど、その噂には裏があると考えているわ」

 

「それは何故じゃ?」

 

いつの間にか顔を上げていた朱儁が風鈴に訊ねる。

 

「理由の一つ目は、董卓さんが宮中入りしてから私達や何進将軍、多くの武官が宮中に入れなくなり、入ったとしても本殿に全く近づけなくなった。

宮中を支配するだけなら天子の後ろ盾を利用すれば十分な筈なのに、ここまでする理由がわからないわ。

これだけなら自分達の足場をより確固たるものにする為とも考えられるけどね」

 

「二つ目の理由は?」

 

「先ほど言った武官の行動制限が、董卓軍の部将達にも及んでいる様に見えるからよ。見た感じだと、本殿にはほとんど近づかないで離のみで生活しているみたいだったわ」

 

「三つ目」

 

「董卓さんが全く姿を人前に見せていないから。評定や詔を出す際も、出てくるのは腹心の賈駆殿だけ。

刺客を警戒している可能性もあるけど、庭や廊下にすら姿を見せないのはさすがに変だと思うわ」

 

「四つ目は何じゃ?」

 

「張譲達が追い落されるのがあまりにも早すぎる。権威を無視して武力制圧したのだとしたら、多少なりとも騒動になる筈なのにそれもなかった。大体はこんなところよ」

 

「成程のう…」

 

「それじゃあ盧植さん達は、悪政の元凶は董卓さん以外にいるって考えてるの?」

 

「その可能性も五割より少し高い確率であり得る。…って所かしらね」

 

「そしてもしそうなのだとすれば、月さんの身が危ないのかもしれないわ…」

 

ナミの言葉に風鈴と楼杏は目つきを鋭くして言う。

 

「悪事千里を走るとは言うけれど、悪評は誰かが故意に流す事も簡単にできるわね…」

 

「てめェの悪行を他人に擦り付けるってのは、ろくでもねェ権力者がよく使う手だしな…」

 

ろくでもない権力者によって陥れられた経験のあるロビンとフランキーも同意する。

 

「そういえば、洛陽の近くに新しい城を作っているという話もあったが、それはどうなっておるのじゃ?」

 

「郿塢城の事ね。それだったら城自体はもう完成して、今は王宮内の糧秣や財宝を移しているところよ」

 

「あと大陸中から記念の貢物や宴会用の美酒や食材を取り寄せていたから、今頃大量の荷車が大陸中から集まっているんじゃないかしら?」

 

「ふむ…城が完成したのであれば、重税と無理な労働は少しは和らぎそうか…」

 

「だといいのだけれど…」

 

朱儁の言葉に風鈴は不安そうにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、白湯達は桃花村で宿をとる事になった。

 

拠点の屋敷に泊まる事になった白湯は璃々に屋敷の中を案内して貰っていた。

 

「―――それでねー愛紗お姉ちゃんたちいつもここでくんれんしてるんだよー」

 

「へー……うん?」

 

庭を案内して貰っていると、白湯は見慣れない物を見つけた。

 

「璃々ちゃん、アレは何ていうのですか?」

 

「あれはねー“さんりんしゃ”っていうのー」

 

「さんりんしゃ?」

 

「フランキーお兄ちゃんが璃々につくってくれたのー」

 

「これはどうやって使うのですか?」

 

「こうやってねー…」

 

璃々は三輪車に乗って漕いでみせる。

 

「へー」

 

その様子を白湯は興味深そうに見る。

 

「おう!璃々!劉協も!楽しそうだな!」

 

「あー!フランキーお兄ちゃん!」

 

「フランキーさん」

 

そこへ、自分用の自転車に乗ったフランキーがやって来た。

 

「フランキーお兄ちゃんもじてんしゃのってたの?」

 

「ああ。壊れてないか確認する為にな」

 

「えっと…フランキーさん、その『じてんしゃ』というのは天の国の乗り物なのですか?」

 

「ああ、その通りだ。この“ペダル”っていう部分を踏み込む事で、車輪を回転させて前に進む仕組みになってんだ。

正確に言うと、おれが乗っている車輪が2つのやつは二輪車、璃々の車輪が3つあるやつは三輪車って呼ばれている」

 

「へー!私の馬車と違って車輪が四つないのにちゃんと立つのですね!」

 

「まァ、二輪車の場合は乗っている奴が倒れない様に傾きを調整する必要があるがな。だが三輪車の方は(かなえ)や篝火の組み木と同じで、三つの車輪だけで安定して立つ事ができる」

 

「そうなんだ。車輪や脚は三つあればしっかり立てるんだ…」

 

「まァ、脚が多い方が安定しているし、より重い物を乗せる事ができるけどな。

ただ、材料が少なくて済むならそれに越した事はないし、長さを揃える手間が増えたり、余計な脚が邪魔になって設置しにくくなったりもする。

脚の一本一本がどれだけ強固か、どれくらいの負荷がかかるか、脚同士の連結や繋ぎ留めている物がどれだけしっかりしているかにもよるな」

 

「ふーん…」

 

「劉協様、黄忠殿が夕食をご用意してくださいましたよ」

 

「璃々、フランキーさんも夕食にしましょう」

 

「盧植!わかりました」

 

「はーい!」

 

「おう!もうそんな時間か!」

 

「黄忠殿が天の国の料理を作って下さったのですよ」

 

「へー!楽しみ!」

 

「サンジさんに作り方を教わったので。お口に合うといいのですけど…」

 

「お母さん、きょうのおかずなあに?」

 

「今日は“はんばあぐ”よ」

 

「やったー!璃々あれだいすきー!」

 

そんな会話をしながら、5人は食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、洛陽の王宮にある宝物庫。

 

「ふむ…この壺はいいな。あとこの絵画も僕の好みだ。この屏風も僕の部屋に飾ろう」

 

風鈴の予想通り、洛陽の王宮には大陸中から酒、名物、珍味、貢物が届いており、張譲は貢物の中から自分好みの芸術品や調度品を選別していた。

 

「あとはこの金の皿と象牙の箸と…」

 

「張譲様」

 

「何だ賈駆?僕は今忙しいんだ」

 

「たった今、何進将軍から北方の賊退治の事で文が届きました」

 

「北方の賊?……ああ、袁紹に命じたやつか」

 

「はい。どうも袁紹殿がその任を怠っている様で、よければ代わりに自分が向かうと申しております」

 

「なにィ⁉袁紹の奴まだやっていなかったのか⁉」

 

「どうやらその様で…。いかがいたしましょう?」

 

「ふむ…何進の奴が自ら率先して賊退治に向かうとは…。先日渡した玉帯が効いたのかもしれんな…。なら望み通り何進に命を出せ」

 

「はっ!」

 

「それにしても袁紹め…!いかに三代連続で三公を輩出した袁家の当主と言えど、ここまでくると見過ごす訳にはいかないな…。

袁紹に至急宮中に参内して弁明せよと伝えろ!我が身に縄を打って詫びれば良し!さもなくば官爵を剥奪し、逆賊として討伐するとな!」

 

「了解しました」

 

返事をすると詠は去って行った。

 

「…まったく、袁紹の奴め…!」

 

「久し振りだな。張譲殿」

 

「これはまた随分と豪華な品々ですなァ」

 

どこからともなく2人の男が現れた。

 

「左慈。それに于吉」

 

「先程貴様が造らせた郿塢城を見てきたが、実に見事だ。我々の要望通りの作りになっている」

 

「なら良かった。君達の方の準備はどうなっている?」

 

「必要な資材や設備、兵器は次々と郿塢城に運ばれています。間もなくすべての準備が整いますよ」

 

「それにしても、お伽話の中の存在である筈の天の国が実在するとは…。天の国の技術、武器、道具、生物、そして一口食すればたちまち妖術使いとなれる果実…。恐ろしいものだ…」

 

「その恐ろしいものを使い、貴様は恐ろしい事をしようとしている…。協力に感謝するぞ」

 

「いくら陛下の寵愛を受け、その威光を利用したとしても、実質的な力を手に入れねば所詮は砂上の楼閣…。

だが貴様らのおかげで借り物ではない本物の力が手に入る…。その時が来るのを楽しみにしているぞ、二人共…」

 

「「御意」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、桃花村。

 

「では、劉協様、皇甫嵩殿に盧植殿も、道中お気を付けて」

 

白湯達は愛紗達に見送られ、出発しようとしていた。

 

「翠ちゃん達にもよろしく言っておいてね」

 

「また、機会があれば会いに来るわ」

 

「璃々ちゃん、元気でね」

 

「劉協お姉ちゃんもげんきでねー!」

 

笑顔で手を振る璃々。

 

「おーい!」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

そこへ遠くから誰かの声が聞こえてきた。

 

「みんなーーーっ!ただいまーーーっ!」

 

見ると大腕を振る翠を先頭に、ゾロ、チョッパー、ブルック、星が帰って来た。

 

「翠さん!」

 

「翠ちゃん!」

 

「あれ⁉何で楼杏達がいるんだ⁉」

 

 

 

 

 

 

「そっかー…せっかく会えたのに入れ替わりになっちまったな…」

 

「顔が見られただけでも十分よ。元気そうで安心したわ」

 

「あたしが元気じゃない訳ないだろ?」

 

「それもそうね」

 

「それじゃあ、私達も行くわね。劉協様、出発します」

 

「うん!」

 

「達者でなー!」

 

「旅の安全を祈ってるわー!」

 

「身体に気を付けてなー!」

 

「獰猛な水棲生物に船を沈められない様気を付けて!」

 

「こえー事言うなお前!」

 

「今度よかったら、おめェの分の自転車も作ってやるよー!」

 

「せっかくですから船旅楽しんで下さいねー!」

 

「今度はルフィや姉上も一緒に会いましょう!」

 

「次会ったら色々話そうなー!」

 

「今度はゆっくりして行って下さいねー!」

 

「またあそんでねー!」

 

「劉協様!どうかお気を付けて!」

 

「ルフィ達にもよろしくねー!」

 

「皆さんもお元気でー!」

 

「また会いましょう!」

 

そして、白湯達は去って行った。

 

「…行ったな」

 

「劉協様の任務、成功するといいな…」

 

「…で、あんた達、目的の物は?」

 

「ああ!」

 

ナミの言葉にチョッパーは背中のリュックをまさぐり…

 

「色々大変だったけど、“持久草”手に入れたぞ!」

 

「よし!」

 

「あとは…ルフィ達だけか…」

 

 

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