ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
翌日、ルフィ達は桂花の作戦通り3手に分かれて行動を開始した。
山間で待ち伏せる桃香、美以、ミケ、トラ、シャム、桂花達は球状にまとめた枯草、油をかけた薪を積んだ荷車等を運びだしていた。
「劉備~!ぜんぶはこびおわったにゃ~!」
「ありがとう孟獲さん。荀彧さん達も準備できたみたいだし合図を…」
桃香は手にした鏡で日光を反射させ合図を送る。
▽
別動隊を足止めするサンジ、鈴々、朱里、雛里、焔耶、蒲公英、流琉達。
「!合図なのだ!」
「よし!行くぜー!」
「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」
サンジ達は攻撃を開始した。
▽
敵の本隊をおびき寄せる為のルフィ、秋蘭達。
「!ひかったぞ!」
「よし…!いいな⁉ある程度戦ったら引き上げるのだ!ゆくぞ!」
「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」
▽
ルフィ達が攻撃を開始してからしばらく―――桂花の隊。
「荀彧様、夏侯淵様の部隊が撤退を始めました」
「そう。敵軍の動きは?」
「追撃を始めた様です」
「そう。ここまでは計画通りね。いつでも奇襲を掛けられるように準備しておいて。枯草や荷車もいつでも落とせるようにね」
「はっ!」
(くっくっく…!後はあいつが敵を足止めしている時に…!万が一仕留め損なったとしても、部下が合図か点火の時機を誤った事にすれば…!)
「荀彧様!」
その時、兵の一人が急いだ様子で駆け寄って来た。
「?一体どうしたのよ?」
「敵の動きが変です!途中で三手に分かれて追撃を開始しました!」
「は⁉」
「一体何をするつもりなのか…⁉」
「私が自分で見に行くわ!敵の動きが見える場所まで案内しなさい!」
「はっ!」
▽
「あれでございます!」
「あれは…!」
十人程の兵を連れて敵の動きを見に行ってみると、確かに賊軍が三手に分かれて動いていた。
「あいつら一体何のつもりかしら?……⁉あの道⁉︎まさかあいつら…!私達と劉備達が待機している場所に向かってるんじゃ⁉」
「え…⁉」
「!荀彧様!あちらを!」
「!」
その時、先程まで自分達が待機していた場所から火の手が上がっているのが見えた。
▽
その頃、別動隊の足止めを請け負っていたサンジ達。
「サンジさん、後ろから敵が来ました!」
「よし!それじゃあ一旦退いて…」
朱里の言葉にサンジが退こうとしたその時…
「あわわっ⁉大変です!」
「⁉どうした鳳統ちゃん⁉」
「私達、完全に敵に包囲されています!」
「何⁉」
雛里の言葉に周りを見ると、全方位から賊軍らしき影が見えた。
「どうしましょう…⁉これじゃあ撤退するのは容易じゃありませんよ…!」
「……朱里ちゃん、鳳統ちゃん、ちょっと耳貸してくれ」
「「?」」
▽
「…ってのはどうだ?」
「そうですね…その方がいいかもしれません…!」
「私もサンジさんの考えに賛成です!」
「よし!じゃあ2人は鈴々ちゃん、流琉ちゃんと協力して後ろから来る奴らを食い止めてくれ!」
「はい!」
「わかりました!」
「蒲公英ちゃん!魏延ちゃん!」
「はい!」
「何だ⁉」
「2人は何とかして敵の包囲網を突破して桃香ちゃんと秋蘭ちゃん達をここへ連れて来てくれ!」
「了解!ちょっとこの馬借りるよ!焔耶、乗って!」
蒲公英は近くの馬に跨ると後ろに焔耶を乗せる。
「馬はたんぽぽがやるから敵は任せたよ焔耶!」
「任された!」
そして2人は颯爽とその場を去って行った。
「―――さてと…じゃあおれは…」
一人残されたサンジは陣にいる敵兵に向かい…
「前進あるのみだ!“パーティーテーブルキックコース”‼」
「「「「「「「「「「ぐわあァーーーっ⁉」」」」」」」」」」
▽
「荀彧様!ここも駄目です!」
「くっ!」
火が上がるのを見た桂花達はすぐさま自分達の隊に戻ろうとしたが、あちこちに火の点いた柴や薪が置かれ道を塞いでいた。
(まずいわね…!このままじゃ山の草木に火が燃え移って、そのまま私達が用意した枯草や荷台にも…!)
「おい!見ろ!曹操軍だ!」
「⁉」
少し離れた所で声が聞こえ、見ると数十人程の賊軍がいた。
▽
一方、敵の奇襲を受けた桃香達の隊は、どうにかしてルフィや桂花の部隊と合流する為に血路を開こうと奮闘していた。
「ぐあーっ⁉」
「ぎゃーっ!」
しかし、どこに行っても敵兵か火が待ち構えており、味方の兵は決死の思いで戦うが次々と倒れてしまう。
「はァ…はァ…!」
「うにゃーっ!」
「にゃーっ!」
「がおーっ!」
「ふしゃーっ!」
桃香や美以達も必死に戦うが、少しずつ追い詰められていく。
「無駄な抵抗はやめろ官軍ども!お前らはもう終わりだ」
「っ!誰が…!」
賊の言葉に桃香が言い返そうとしたその時…
「ふん!」
「ぐああっ⁉」
どこからともなく伸びてきた腕が賊の頬を殴り飛ばした。
「桃香!大丈夫か⁉」
「ルフィさん!夏侯淵さんも!」
「ルフィ
「劉備殿!孟獲殿達も!お主達の所に火の手が上がったから急いで来たのだが、よく無事だったな!」
「夏侯淵さん達こそ、大丈夫でしたか⁉」
「ああ。追撃はルフィ殿がほとんど食い止めてくれたから、我々の隊は今の所ほぼ無傷で済んでいる」
「夏侯淵様ー!」
そこへ曹操軍の部隊が合流してきた。
「あれって…荀彧さん達の…!」
「おう、お前達。無事だったか⁉」
「我々は何とか…!しかし荀彧様が敵の動向を探る為に隊を離れていた為、そのまま孤立してしまっているかと…!」
「何⁉」
「ネコミミの奴がか⁉」
「ルフィさーん!桃香さーん!夏侯淵さーん!」
そこへさらに蒲公英と焔耶の乗った馬が走って来た。
「蒲公英ちゃん!魏延さん!どうしてここに⁉」
「たんぽぽ達の方も挟撃されちゃって…!何とかたんぽぽ達で包囲網を突破してこれたんだけど…」
「それで…サンジ殿から伝言だ。すぐに合流する為にサンジ殿達の方に来てくれと…」
「このまま個々に戦うのは良くないだろうから合流するべきなのはわかるが…。我々がそっちへ行くのか?」
「たぶん何か考えがあるんだと思うけど…!」
「よし!お前ら早くサンジ達の所へ行け!」
「ルフィさんは⁉」
「“ネコミミ”を捜して来る!」
そう言うなりルフィは走っていった。
「ああっ!ルフィさん!」
桃香は思わずルフィを追いかけようとするが、秋蘭がそれを止める。
「待て!劉備殿!桂花の事は気なるが、この状況下でこれ以上散り散りになるのは避けるべきだ!
桂花はあいつに任せて、我々はここから離脱する事を優先しよう!」
「…っ!わかりました…!」
「よし!一気に突破するぞ!続けー!」
こうして秋蘭を中心に桃香達は離脱を試みるのだった。
▽
「くくくく…抵抗ももはやここまでだなァお嬢ちゃん?」
「ひっ…!」
その頃、桂花は賊に追い詰められていた。
連れていた兵達多勢に無勢で全員やられ、乗っていた馬も矢で仕留められてしまった。
その後も必死に逃げ続けていたが、元々軍師であまり体力がない為すぐに囲まれてしまった。
「…にしても結構可愛い顔してんな」
「ああ。おれも好みだぜ」
「このまま殺すのは勿体ねェなァ…」
「っ⁉」
賊達が何を考えているのか、桂花はすぐに理解した。
理解してしまった。
元々男が嫌いな桂花にとって、それは絶望以外の何物でもなかった。
「い…いやァ…!」
恐怖のあまり泣きそうな顔になる桂花。
「へへへ…」
「…っ!」
そのまま賊の手が伸びて来て、桂花は思わず目をつむる。
その時…
「ぐあっ⁉」
轟音と共に賊が悲鳴をあげる。
「ぐぎゃ⁉」
「がっ⁉」
「ぎゃあ⁉」
その後も轟音と悲鳴が次々と響き渡る。
「………?」
しばらくして音が止み、桂花が恐る恐る目を開けると…
「ハァ…ハァ…」
ルフィが背を向けて立っていた。
「!あ、あんた…!」
その後ろ姿を見て、桂花は思わず安堵した。
コイツも男である事には変わりなかったが、今はただ味方が来てくれたという事による安心感しか頭になかった。
「よかった…!お前無事だったんだな!急いで逃げるぞ!」
「あ、あんた…何でここにいるのよ?」
「?お前自分で言ったじゃねェか。おれの役目はお前らを守る事だって。だから、おれはお前を守る!その為に来たんだ!」
「…………」
「ほら、乗れ」
桂花に背中を向けてしゃがむルフィ。
「え?」
「お前を背負った方が速いよ。だから乗れ」
「…………」
桂花は何も言わずにルフィの背中に乗る。
「よし!行くぞ!」
「ルフィ兄ィー!」
ルフィが立ち上がった時、木の上をジャンプで渡りながら美以がやって来た。
「孟獲!お前何でここに⁉」
「サンジ兄ィからルフィ兄ィをさがしてくるように言われたにゃ!」
「あんた一人で来たの⁉よく無事だったわね…」
「木の上を歩いていたから、だれにも見つからなかったにゃ!」
「成程ね…」
「孟獲!サンジ達の場所わかんのか?」
「もちろんにゃ!あっちにゃ!」
「…ほんとに大丈夫なの?間違えたりしない?」
「?なに言ってるにゃ?いっかい行ったことがあるばしょがわからなくなるわけないにゃ」
「そうか!よし!じゃあ急いで行くぞ!」
「……他に宛てもないし、仕方ないわね…」
桂花はやや不安そうだったが、3人は美以の案内のもとサンジ達の所へ向かう事にするのだった。
▽
その後、美以に案内されルフィ達が着いたのは…
「ここって賊の陣じゃない⁉」
「ルフィさん!」
「桂花様!ご無事で!」
陣の中から桃香と流琉が出迎えに来た。
「ちょっとどういう事よ⁉何であんた達がこの陣にいるのよ⁉」
「私達も奇襲を仕掛けた後、包囲されて撤退できない状況になってしまったんですけど、何とかこの陣を奪う事ができたんです。
元々の陣に残っていた曹安民様の隊以外はみんなここに集まっています」
「驚いたわね…。まさかあの状況下で敵の陣を奪えるだなんて…」
「サンジさんの機転と強さのおかげですよ。お二人も中で休んでください」
「おう、わかった」
流琉に促され、ルフィは陣に入ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
「ん?」
「い、いい加減私の事下ろしなさいよ!いつまでおぶってるのよ⁉」
「ああ、わかった」
ずっと背中に乗っていた桂花に言われ、ルフィは桂花を下ろした。
「それじゃあ、今度こそ中に入りましょう」
そして4人は中に入った。
「……ちょっと…」
中に入った直後、桂花がルフィを呼び止めた。
「…ありがとう」
「いいよ」
それだけ言うと、2人は陣の中に入って行った。
▽
その夜、休憩を挟んだ後サンジ、朱里、雛里、秋蘭、桂花はすぐに軍議を始めた。
「今回の状況から見て、何故かはわからないがこちらの作戦が全て漏れていた事は間違いないだろう」
秋蘭の言葉に全員頷く。
「この陣を奪えたのは不幸中の幸いね。これで敵を孤立させる事ができたわ」
「…そうなると、今は一刻も早く周囲の山道を押さえ、敵が新たな陣を築くのを防ぐべきかと」
「そうすれば援軍が来た時に動きやすくもなります」
桂花の言葉に朱里と雛里が続ける。
「しかし、敵の動きを封じたとして、その後が問題だな。
今日の戦でかなりの死傷者が出た。待機していた兵を入れても、まともに動けるのは千人足らずだぞ?」
「確かに…山の周りを抑えても、あいつらは数にものを言わせてすぐに叩き潰しに来るだろうし…。
こっちは数が少ないからまともに戦えねェし…。兵力が分散したら確実に隙ができちまうし…」
秋蘭とサンジは頭を悩ませる。
「叩き潰しに来たら同じ手を使って応戦すればいいと思います」
「まともに戦って勝ち目がないなら、まともに戦わなければいいんです」
「隙があるなら、別にそのままにしていてもいいんじゃない?」
しかし、朱里、雛里、桂花は何か考えがあるのか自信ありげに答えた。
一同はその夜の内に行動を起こした。