ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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ルフィって戦う時は女子供でも容赦なく殴ると思うんです。
けどそれは「女子供でも容赦しねえぞ」っていう残虐なものではなく、「向かって来る敵なら真剣に戦う」という戦士としての礼儀みたいなものだと思うんです。



第147話 “火の陣”

翌日、賊軍の本陣。

 

高昇(こうしょう)様!大変です!山が囲まれてます!」

 

「何⁉」

 

部下の声に頭領の高昇が様子を見に行くと、麓の山道に無数の柵や陣が建てられ、曹操軍の旗が翻っていた。

 

「敵の援軍が来たのでしょうか⁉」

 

「いや、援軍が来るのにはまだ数日かかるらしい。あれは旗を立てて兵がいる様に見せているだけだ!野郎共!すぐ出陣だ!あいつら全員叩き潰してやれ!」

 

「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、賊軍はすぐに全員出陣し、複数の山道から山を下り攻め込もうとした。

 

しかし…

 

「高昇様!山道が塞がれてます!」

 

「何⁉」

 

山道は無数の太い枝によって全て塞がれていた。

 

「どうなってんだこりゃ⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨夜。

 

『こっちのえだもおるにゃ!』

 

『朱里ー!こんなもんでいいかー?』

 

『はい!次はあっちの道をお願いします!』

 

ルフィや美以達の身軽さに目を付けた朱里は4人に指示を出し、山中の木の幹から直接生えてる枝をもぎ取らせ、それで道を塞いだのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おのれ姑息な手を…!何人かは枝をどかせ!乗り越えられそうな物は乗り越えろ!他は枝のない茂みの中を突っ切って進め!」

 

しかし、賊軍はこれだけでは止まらずどうにか攻め入ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、麓の曹操軍。

 

「…そろそろ頃合いだな。火を放て!」

 

秋蘭の合図で兵達が山に火を放つ。

火は秋蘭の隊だけではなく、別の場所で待機している隊からも放たれる。

 

火はたちまち燃え広がり、山火事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「うわあああああ⁉」」」」」」」」」」

 

茂みの中や枝の上にいた賊達は、たちまち炎の餌食となった。

 

「か、頭ァ!」

 

「仕方ねェ!撤退だ撤退!」

 

賊軍もこれには敵わず、撤退せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、賊軍の本陣。

 

「くそっ!今日はしてやれたぜ!だが幾人かの死傷者が出たものの兵力的に有利な事に変わりはない!()()()からの情報は?」

 

「まだ作戦を詳しく聞いていねェから何とも言えねェそうです。ただ、向こうの残存する兵力から考えて、一つの陣には百人前後しかいねェだろうとの事でした」

 

「よし!なら明日もう一度仕掛けるぞ!今夜の内に燃え残った大木を片付けておけ!」

 

「へい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、麓にある曹操軍の陣の一つに賊軍は攻撃を開始した。

 

「やっちまえー!」

 

「「「「「「「「「「おーーー!」」」」」」」」」」

 

勢いよく山を下って襲いかかる賊軍。

 

しかし…

 

「ん?高昇様…様子が変ですぜ?」

 

「あ?」

 

近付いてみると陣から人の気配が全くしない。

 

「どうなってんだ?」

 

「おれ達が襲って来るのを見て逃げたんじゃないですか?」

 

「確かにありそうだな。よし!まずはこの陣を乗っ取れ!いくら兵が少なくても多少は兵糧やいい武器、金目の物もあるだろ!」

 

「「「「「「「「「「よっしゃー!」」」」」」」」」」

 

賊達は大喜びで陣に入って行く。

 

「ん?」

 

しかし、一人の賊がある事に気がつく。

 

「頭、何でこの陣、柵や天幕の周りに柴や枯草が置かれてるんですか?」

 

「何?」

 

言われてみると確かにあちこちに柴と枯草が用意されている。

 

まるで火をつける為の準備の様に…。

 

「まさか⁉」

 

「頭ァ!曹操軍です!」

 

「⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「典韋様!言われた通り火を点けてきました!」

 

「それじゃあ急いで柵の所まで撤退して下さい!」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

「それにしてもこんな事思い付くなんて、鳳統ちゃんも頭いいなァ…。

 

 

 

 

 

『敵は卑しい賊ですから、空になった陣を見れば略奪目的で喜んで中に飛び込む筈です。

ですから、あらかじめ陣のあちこちに柴や枯草を用意しておきます。

賊が襲ってきたらこちらは十名程の兵を近くに隠し、残りは陣を捨てて柵の所まで逃げ出します。

そして賊が陣に入った後に火を点けて、陣ごと燃やしてしまうんです』

 

『賊が陣に入らず、すぐさま追撃してきた場合はどうする?』

 

『その時は柵越しに応戦して下さい。道は細いですから一度に襲ってくる敵は限られていますし、向こうは柵を壊しながら戦う事になるのですから、必ず隙ができると思います』

 

 

 

 

 

「典韋様!ご無事でしたか!」

 

「はい!すぐに賊の追撃に備えて下さい!」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、賊軍はなんとか火の陣から脱出し、追撃を仕掛けたが…

 

「おい!何モタモタしてんだ⁉︎」

 

「それが…柵が多くて思う様に進めないんです!壊そうとするとその隙にやられちまって…!」

 

「やっと柵を突き破っても、その直後に仕留められちまいます!この細い道じゃあ、一度に少人数しか進めないですし…。だんだん同胞の屍も邪魔になってきて…」

 

「仕方ねェ撤退だ!今日は退くぞ!」

 

その日の戦は曹操軍の勝利に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

「今日の被害はどれくらいだ?」

 

「みんな大喜びで陣に飛び込んでましたから、最初の火攻めで千人は死傷者が出ました…」

 

「その後の追撃でも次々とやられて百人近く死んでます…」

 

「昨日の山火事で三千人は死傷者が出ましたし、怪我人も含めてここ数日で軽く五、六千人は被害が出ています…」

 

「高昇様、明日からどうしますか?」

 

「うーむ…やはり別動隊がやられて孤立してしまった事、麓の道を全て押さえられた事が痛いな…。こうなったら敵の援軍が来る前にずらかるか?」

 

「でしたら頭、つい先程あいつからいい情報が入りましたぜ」

 

「何だ?」

 

「旗や天幕が異様に少ないこの陣なんですが、ここ人が十人もいないそうですぜ」

 

「何だって⁉…だが、手薄に見せかけておれ達をおびき寄せる罠だという可能性もあるぞ?」

 

「あいつの話では向こうの軍師が『向こうは自分達の手を読んで動く程の策士がいる。それなら手薄に見せかけたら、罠だと判断して通らない筈だ。だから見せかけじゃなくて本当に手薄にしておく』と考えたそうです」

 

「よし!じゃあ明日そこを通って脱出するぞ!」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝。

 

「高昇様、確認してきましたが確かに兵は十人足らずです!」

 

「そうか!よし、行くぞ野郎共!」

 

「「「「「「「「「「おおーーー!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、曹操軍のある天幕。

 

「ぐ~…」

 

「ちょっとあんた」

 

「ぐ~…」

 

「起きなさいよ」

 

「ぐ~…」

 

「…肉よ」

 

「肉⁉」

 

「ほんとにコレで起きたわ…」

 

「あ?ネコミミじゃねェか。何だよ?」

 

「何だじゃないわよ!もう昼なのよ!いつまで寝てるのよ!

あといい加減人を着ている物の名前で呼ぶの止めなさいよ!私の名前は“荀彧文若”!真名は“桂花”!

ちゃんと名前があるんだから名前で呼びなさいよ!」

 

「わかった」

 

「敵襲だー!」

 

「!来たか!」

 

「さっさと行って!私は合図の火を焚くから!」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行け行け行けェーーー!敵は十人足らずだー!叩き潰せー!」

 

「「「「「「「「「「うおおおーーー!」」」」」」」」」」

 

雄叫びを上げながら何十人もの賊が曹操軍の陣になだれ込む!

 

「“ゴムゴムの”〜“銃乱打(ガトリング)”〜‼︎」

 

「“受付(レセプション)”‼」

 

「“猛虎粉砕撃(もうこふんさいげき)”‼」

 

「“命不知火(みょうしらぬい)”‼」

 

「“真鍮乱舞(しんちゅうらんぶ)”‼」

 

「「「「「「「「「「ギャアアアァァァーーー!」」」」」」」」」」

 

「⁉」

 

しかし、次の瞬間その全員が吹っ飛ばされる。

 

「な、何だあいつらは⁉」

 

賊達の視線の先にはルフィ、サンジ、鈴々、焔耶、蒲公英の5人が立っていた。

 

「何人でもかかってこい!」

 

「鈴々達が相手なのだー!」

 

「…で、たんぽぽ達はいつまで踏ん張ればいいの?」

 

「森の中を突っ切って来る孟獲達はともかく、夏侯惇殿達は場所も近いしすぐに来てくれる筈だ!」

 

「なァに、その前におれが全部倒しちまうから、蒲公英ちゃんも魏延ちゃんも鈴々ちゃんも安心していいぜ!」

 

そんな会話をしながらルフィ達は次々と敵を倒していく。

 

「ひ…怯むなァ!敵はたった5人だぞ!」

 

「で…ですが…」

 

「あ…あいつら本当に強すぎて…」

 

「ちくしょう…!十人足らずで簡単に落とせる陣じゃなかったのかよ…⁉」

 

「高昇様!大変です!左右の道と後ろの山からさらに敵兵が!」

 

「何ィ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「乱世に乗じて民を虐げる賊共よ!この夏侯妙才の弓の餌食となるがいい!」

 

「皆さん!今までやられた分、思いっ切りやり返してやって下さい!」

 

「「「「「「「「「「うおおおォォォ!」」」」」」」」」」

 

秋蘭、流琉の率いる兵達は勢いよく賊軍に襲い掛かる!

 

「みんなみんなぶっとばすにゃー!」

 

「にゃー!」

 

「がおーっ!」

 

「ふしゃーっ!」

 

美以、ミケ、トラ、シャムもそれぞれ鈍器、石斧、木製の棍棒、パチンコを手に、圧倒的な身軽さとすばしっこさで敵を翻弄し倒していく。

 

「……孟獲さん達、結構強いんだね…」

 

その様子を桃香、朱里、雛里は後方から驚いた様子で見ていた。

 

「はい…。それに方向感覚が本当に正確みたいですし…」

 

「孟獲さん達の言う通りに歩いたら、ちゃんと目的地に着けましたからね…」

 

「お前らも曹操軍か⁉」

 

「「「⁉」」」

 

その時、賊の一人が桃香達の前に現れた。

 

「てめェらの首だけでも…!」

 

「っ!二人共下がって!」

 

「おらァっ!」

 

「くっ!たァっ!」

 

剣を振りかざして来る賊に対し、桃香も剣を抜き攻撃を受け止める。

 

(倒せなくても…!せめて朱里ちゃん達を守るくらいは…!

 

 

 

 

 

それは桔梗の屋敷で、焔耶が破門された日の夜の事。

 

『……あの…ルフィさん…お願いがあるんです…!』

 

『?』

 

『私の特訓に協力してくれませんか⁉せめてみんなの足手まといにならない様になりたいんです!お願いします!』

 

桃香はそう言って頭を下げる。

 

『そうか、いいぞ』

 

『ありがとうございます!』

 

そして2人は中庭に立ち、桃香は剣を、ルフィは拳を構えて対峙する。

 

『じゃあおれは今からお前を殴るから、それを躱しておれを斬りにこい』

 

『わかりました!……たァーっ!』

 

『ふん!』

 

『うっ⁉』

 

桃香は剣を手に斬りかかるが、伸びてきたルフィの手に簡単に殴り飛ばされる。

無論ルフィもそこまで力を籠めてはいないが、桃香が真剣である以上手は抜かず、素早く腕を伸ばして殴る。

 

『……っ!も、もう一回お願いします!』

 

『よし!来い!』

 

『ハァーッ!』

 

『ふん!』

 

『いたっ⁉』

 

『……っ!もう一回!』

 

『よし!来い!』

 

『てりゃーっ!』

 

『むん!』

 

『あうっ⁉』

 

それから二人は毎夜毎夜、何回も同じ事を繰り返した。

 

 

 

 

 

ルフィさんの攻撃に比べたら…!そこまで速くはない…!これくらいなら…!)

 

桃香は腕力もなく、動きも素人ではあったが、特訓のおかげで攻撃を見切る事ぐらいはかろうじてできた。

 

「この女っ!」

 

しかし、相手の方も中々倒せない桃香にだんだんと苛立ちを覚え、込める力を強めていく。

 

「っ!」

 

桃香もそれを感じ、冷や汗をかき始めた。

その時…

 

「にゃーっ!」

 

「ぐあっ⁉」

 

美以が敵の背後から飛び掛かり、頭を押し倒した。

 

「劉備!だいじょうぶかにゃ⁉」

 

「孟獲さん!どうしてここに⁉」

 

「何だかあぶない感じがしたから、急いで来たにゃ!」

 

(野生の勘ってやつでしょうか?)

 

そんな事を思う朱里。

 

「それにしても…孟獲さん本当に強いんですね。今、ほとんどただ押した様にしか見えなかったのにそれだけで倒しちゃうなんて…」

 

「うにゃ~…美以もびっくりしたにゃ~…」

 

「え?」

 

「なんか…あくりょーがとりついたパヤパヤにビリビリされた時から、体がへんなのにゃ…」

 

そう言いながら美以は自分の掌をじっと見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただでさえルフィ達の強さに混乱していた賊軍は、背後から奇襲された事で大混乱に陥った。

 

「う、うわあああああ⁉」

 

「も、もう駄目だァ!」

 

「逃げろ!血路を開いて逃げのびるんだ!」

 

そしてついに散り散りになって逃げ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、賊討伐を終えた秋蘭達とルフィ達はそれぞれの帰路に着こうとしていた。

 

「今回もまた世話になったな。我々はこれから一度洛陽行き、今回の件を奏上してから陳留に戻る。その際、お主達の事も伝えておく」

 

「ありがとうございます。私達は幷州を突っ切って桃花村に向かいますので」

 

そして両者は別々の方に歩き出す。

 

「元気でな~!」

 

「また会おうね~♡」

 

「曹操さん達にもよろしく言っておいて下さ~い!」

 

「次は愛紗達とも一緒になのだ~!」

 

「道中お気を付けて~!」

 

「縁があればまた~!」

 

「今度は貴様らと手合わせしような~!」

 

「翠姉様達にもよろしく言っておくから~!」

 

「またいっしょにたたかうにゃ~!」

 

「「「にゃ~!」」」

 

「お主らも気を付けてな~!」

 

「一応お礼は言っておくわ~!」

 

「皆さんもお元気で~!」

 

こうして、またも巻き込まれた騒動を解決し、ルフィ達は桃花村へと急ぐのであった。

 

 




オリエピソード終了です。
次回から第九席編です。
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