ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第148話 “華蝶自伝”

秋蘭達と協力して賊軍を討伐してから数日後、ルフィ達はついに桃花村に帰って来た。

 

「みんな早く!早くなのだー!」

 

鈴々は元気よく先頭を走り、拠点の屋敷へと向かって行く。

 

「鈴々ちゃん、すっごく元気だね」

 

「きっと愛紗さんに会えるのが楽しみなんでしょうね」

 

桃香や朱里達も後に付いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、屋敷の玄関先ではフランキーが右腕に仕込んだ鎖に油を塗っており、その様子を璃々が興味深そうに見ていた。

 

「フランキーお兄ちゃんなにしてるの?」

 

「鎖の手入れをしてるんだ。こうやって油を塗っておかないと、サビがついて戦いの時にちゃんと動かなくなっちまうからな」

 

「へー」

 

「ただいまー!みんなただいまなのだー!」

 

「お!鈴々!」

 

「あー!鈴々お姉ちゃん!おかえりー!」

 

「フランキー!璃々!ただいまなのだー!」

 

「鈴々~!やっと帰って来たのか!」

 

玄関から翠も出てきた。

 

「帰って来たのだ~!」

 

「随分遅かったけど何かあったのか?」

 

「ちょっと色々あって南蛮まで行って来たのだ!」

 

「は⁉南蛮まで⁉……そんな遠くまで行って、愛紗がいなくて大丈夫だったのか?」

 

「当たり前なのだ!旅の間愛紗がいなくても、鈴々は立派にやってみせたのだ!」

 

悪戯っぽく訊く翠に、鈴々はドンと胸を叩いて答える。

 

「ほう、そうか」

 

「!」

 

「それは頼もしいな」

 

玄関から愛紗が出て来た。

 

「あ…愛紗……。愛紗~!」

 

途端に鈴々は目に涙を浮かべ、愛紗に抱き着いた。

 

「愛紗~!会いたかったのだ~!」

 

「こらこら鈴々…。私がいなくても立派にやっていたんじゃなかったのか?」

 

「立派にやっていたけど…けどやっぱり愛紗がいないと寂しかったのだ~!」

 

「まったく…お前って奴は…」

 

胸に顔を埋めて泣きじゃくる鈴々を、愛紗自身も涙を浮かべ優しく抱き留めるのだった。

 

「うう…」

 

少しして、涙を浮かべつつも笑顔を取り戻した鈴々は愛紗から離れた。

 

「ただいまー!」

 

「!」

 

ちょうどその時、ルフィや他のみんなも屋敷に戻って来た。

 

「ルフィ…」

 

「久しぶりだな愛紗!元気だったか?」

 

「…っ!」

 

愛紗は何も言わずにルフィに抱き着いた。

 

「…………」

 

そんな愛紗に対し、ルフィは優しそうに笑いながらその頭を撫でるのだった。

 

「愛紗…どうしたのだ?」

 

「もう少し、そっとしといてあげよう」

 

「?」

 

「いくら義姉でも年齢的には私は妹寄りだからさ、愛紗ちゃんがちゃんと甘える事ができるのって、ルフィさんだけなんだよ」

 

桃香と鈴々は2人の様子を優しく見守るのだった。

 

「やっぱり兄妹の絆っていいもんだな…」

 

翠もまた、その様子を優しそうに見守る。

 

「鶸や蒼を思い出すよね…」

 

「ああ。…ってたんぽぽ!やっぱりお前ルフィ達に勝手に付いて行ってたんだな!お前って奴はァ!」

 

「ひいっ⁉ご、ごめんなさい!」

 

思わず目をつむる蒲公英。

 

「たんぽぽォっ!」

 

「っ!」

 

「……ほんと…心配したんだぞ…!」

 

「…!……ご…ごめんなさい…」

 

涙を浮かべ、優しく肩を抱く翠に蒲公英は素直に謝るのだった。

 

「おう!ようやく帰って来たのか!」

 

2階の窓からゾロが顔をのぞかせる。

 

「随分遅かったな、迷ってたのか?」

 

「それ…ゾロさんにだけは言われたくないです…」

 

「何だ帰ってたのかマリモ。てっきり迷子になってそのまま置いてけぼりにされたのかとばかり思ってたぜ」

 

「あ゛ァ?」

 

「ルフィー!みんなー!お帰りー!」

 

「ヨホホ!皆さんお帰りなさい!」

 

「なんだ?随分大人数になって帰って来たな」

 

チョッパー、ブルック、ウソップも玄関から出て来た。

 

「どうぶつがしゃべったにゃ!」

 

「ほねがうごいてるにょ!」

 

「長いはなにゃ!」

 

「あの人、体がてつでできてるにゃん」

 

「ルフィー!みんなー!やっと帰って来たのねー!」

 

「乾涸びてミイラになっていなくてよかったわ」

 

「ロビン殿…想像が怖いですぞ…」

 

「あらあら、お客さんが沢山ね」

 

ナミ、ロビン、星、紫苑も出てくる。

 

「こ…こんにちは…」

 

「どうも」

 

「「「「おっきいむねむねにゃー!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同は食堂に移動し、自己紹介をする事にした。

 

璃々、ミケ、トラ、シャム、パヤパヤは部屋の隅で遊んでいる。

 

「それじゃあその子が南蛮王の?」

 

「そうにゃ!美以は南蛮の王さまなのにゃ!えらいのにゃ!」

 

「はあ~…♡」

 

(可愛い…♡)

 

両手を腰に着き胸を張る美以の姿を見て、愛紗は顔を惚けさせロビンも顔を赤らめる。

 

「孟獲さんは、南蛮象の臍の胡麻がどういう目的で使われるのかを確認する為に、わざわざ南蛮からついて来られたんです」

 

「それはそれは、お疲れ様ですね~」

 

朱里の説明にブルックは美以を労う。

 

「あと、漢にはすっごいむねむねがごろごろしていると聞いたから、それもついでにけんぶつにきたのにゃ!うわさは本当だったにゃ!」

 

「は、はァ…」

 

反応に困る一同。

 

「でも、長いはなやしゃべるどうぶつや体がてつの人やうごくほねがいるなんておどろいたにゃ」

 

「まァ、その人達は漢にいる人という訳ではないんですけど…」

 

苦笑いする朱里。

 

「言っとくけど、天の国にもこんなのばっかりいる訳じゃないからね…」

 

「「「「こんなのってなんじゃ!こんなのって!」」」」

 

ナミの言葉に4人は憤る。

 

「それで…ゾロさん達はご存じだと思いますけど、私の妹弟子の…」

 

「“鳳統士元”といいます。よろしくお願いしましゅ…あわわ…!かんじゃった…!」

 

「雛里ちゃんも旅に出て見聞を広めようと思って、私達と一緒に来る事にしたんです」

 

「成程…旅をして、世に埋もれている未知の体位を見て回る、という訳か!」

 

…と、星。

 

「はい!きっとまだまだ私の知らないやり方でぐんずほぐれつ…ってそれだけの為に来た訳じゃありません~!」

 

「はわわ~⁉雛里ちゃん、その言い方だとそれも目的になっちゃってるよ~!」

 

「あわわ~⁉」

 

「……何か…本当の姉妹みたいに朱里とそっくりだな…。色々と…」

 

ウソップの言葉に全員が内心同意する。

 

「“はわわ軍師”と“あわわ軍師”といったところか?」

 

星によって可愛くも不名誉なコンビ名をつられてしまう2人であった。

 

「そ、それで…こちらの方が旅の途中で仲間になった…」

 

「我が名は“魏延”、字を“文長”と申す」

 

「焔耶は桃香さんのむねむねが目当てで付いて来たんだよね?」

 

「うむ。私は劉備殿のむねむねが目当てで…って違う!私の目的は劉備殿の胸だけではなく…!」

 

蒲公英に乗せられた事に気付き、焔耶は顔を真っ赤にして否定する。

 

「胸だけじゃないって事は下の方も狙っているの?」

 

「あ、えっとその…狙っているか狙ってないかと訊かれれば狙ってない訳ではなく…。勿論無理矢理ではなく合意の上で…」

 

(きししし…♪)

 

焔耶の反応に蒲公英はイタズラっぽく笑う。

星と紫苑もニヤニヤし、ナミや愛紗、朱里は困った様な表情を浮かべ、ルフィ達などは無表情のまま固まっている。

 

「ああ、でも…!劉備殿が無理矢理が嫌でないというのであれば、その何というか…!思い切って…!」

 

「あの…魏延さん落ち着いて…。桃香さんが身の危険を感じて魏延さんから距離を取っちゃっていますから…」

 

「⁉(ガーン!)」

 

朱里の言葉に焔耶は我に返り、ショックを受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

「さてと…これが今取り出したばかりの『南蛮象の臍の胡麻』、次にこちらが江東の孫家に伝わる秘薬『江東丸』、そして泰山の山頂に生える『持久草』」

 

自己紹介を終え、朱里が各自持ち帰った解毒剤の材料を机に並べる。

 

「流石泰山の過酷な環境の中で生える持久草。摘んでから何日も経過している筈なのに、枯れる気配が全くないですね」

 

驚く朱里。

 

「いやはや…これを手に入れる為には何度も危ない目に遭ってな…」

 

…と、星が語り出す。

 

「その度に華蝶仮面が助けに来てくれたのだが、あの者がいなければどうなっていた事か…」

 

「ええっ⁉華蝶仮面様にあったんですか⁉」

 

食いつく桃香。

 

「はァ…」

 

(また始まりましたね…)

 

ナミ、朱里など正体を知っている輩はやれやれといった様子で肩を落とす。

 

「うむ…我々が窮地に陥るとどこからともなく風のように現れ、あらゆる困難を華麗に解決してくれたのだが…」

 

(実際はその華蝶仮面が一番危なかったんだけどな…)

 

そんな事を思うゾロ。

 

「その姿…誠に凛々しくかっこ良く…!果たしてあの仮面の下にはどれ程の美貌が隠されているのかと思うと…」

 

延々と続く星の自分語りを桃香が目を輝かせながら聞いている一方…

 

「いいんですか?あんな与太話させといて?桃香さん本気にしちゃいますよ?」

 

「いいんだよ。余計な事言うとまた面倒な事になるだろうし」

 

そんな会話をする朱里と翠。

 

さらにその隣では…

 

「オイ!何だその華蝶仮面とかいう奴は⁉」

 

「劉備殿を誑かす様な輩には一度制裁を加えねばならぬ!一体どこのどいつだそれは⁉教えろ⁉」

 

「いやその…茶番劇というか妄想上の英雄というか…」

 

サンジと焔耶が憤怒の形相でウソップに詰め寄っていた。

 

「おお!ついに解毒剤の材料が揃ったのかにゃ⁉」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

…と、そこへ食堂の戸を開けて何者かが入って来た。

 

それは…

 

「早く解毒剤を作ってにゃもれ」

 

「えっと…朱儁さん…しばらく見ない間に…何というか…その…」

 

体格が三等身ほどになり、肉球と尻尾がつき璃々の服を着ている朱儁だった。

 

「お前随分ちっちゃくなったな!」

 

そんな朱儁を見て、ルフィは腹を抱えて笑い出す。

 

「お主らが早よせんからこんにゃ事ににゃってしもうたのじゃ!」

 

「えっと、孟獲さん…こちらの方が南蛮象の臍の胡麻を必要としている朱儁さんなんですが…」

 

…と、朱里が説明する。

 

「なんにゃ、どんなやつかと思っていたら美以たちのなかまだったのかにゃ。それにゃらそうと…」

 

仲間(にゃかま)とはなんにゃ!仲間(にゃかま)とは!貴様らの様な蛮族と一緒にするでにゃい!」

 

「駄目ですよ!そんな言ったら!」

 

腹を立ててそっぽを向く朱儁に朱里は耳打ちする。

 

「孟獲さん達の機嫌を損ねたら、『南蛮象の臍の胡麻』分けて貰えなくなっちゃうんですよ?」

 

「っ!」

 

「そしたらおそらく、あと数日もしない内に完全な猫に…」

 

「………っ!」

 

朱里の言葉に朱儁は青ざめ、ガタガタと震えだす。

 

「にゃんか…えらそうなやつなのにゃ」

 

「ほんとうにょ。むだにえらそうなのは大王しゃまだけでじゅうぶんにょ」

 

「そうにゃそうにゃ」

 

「ふんふん」

 

「あの…孟獲さん、朱儁さんって今はこんなチンチクリンですけど、薬を飲んで元の姿に戻ればバインバインのゆっさゆさなんですよ」

 

身振り手振りも交えて伝える朱里。

 

「それに下の方は…」

 

「ちょ、ちょっと待てお主!な、何を言うつもりなのにゃ⁉」

 

朱儁は慌てて止めに入る。

 

「ほんとうにゃ⁉よしきめたにゃ!おまえが美以せんようのむねむねになるのにゃら、南蛮象の臍の胡麻を分けてやるのにゃ!」

 

「にゃ、にゃにィーーーッ⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして交渉が成立(?)し、チョッパー、朱里、雛里が解毒剤の調合の為に別室に向かった。

 

「お待たせしました~…」

 

「お薬ができました~…」

 

それからしばらくして、朱里と雛里がそれぞれ急須と湯呑を手に戻って来た。

 

「あれ?チョッパーは?」

 

「チョッパーさんはその…体調を崩されまして…」

 

雛里はそう言いながら朱儁の前に湯呑を置き、朱里が急須から薬を注ぐ。

 

「「「「「「「「「「っ⁉」」」」」」」」」」

 

次の瞬間、朱里、雛里、朱儁以外の全員が鼻を押さえて部屋の隅に移動する。

 

「す、すごい臭いなのだ…!」

 

「は、鼻がふん曲がりそうな臭いですね…!私鼻ないんですけど…!」

 

「まるで三年間洗わずに履き続けた下着を、猫の小水で煮込んだ様な臭いだな」

 

「何でそんな具体的な例えが出てくんだよ⁉」

 

星の言葉にウソップがツッコむ。

 

「もしかして…チョッパーが体調を崩したのって…」

 

「はい…。薬が完成した途端、この臭いで鼻をやられて気を失ってしまったんです…」

 

ナミの言葉に朱里が答える。

 

因みにチョッパーは今、朱里と雛里によって自室の寝台に運ばれ、その上で鼻を押さえたままに仰向けに倒れている。

 

「あの嗅覚でこの臭いを嗅いだのだとしたら気の毒ね。ショック死していないといいけど…」

 

「縁起でもねー事言うな!」

 

今度はロビンの発言にツッコむウソップ。

 

「さァ朱儁さん…」

 

「ぐーっと一息にどうぞ…」

 

「う、うむ…」

 

苦笑いする二人に勧められ、朱儁は湯呑を手にし薬を一気に飲み干す。

 

「―――っ!」

 

次の瞬間、朱儁は床に四つん這いになり体を震わせる。

 

「う…ううっ…!」

 

そして…

 

「うあああァァァ⁉」

 

「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」

 

四肢と胴体が大きくなり、尻尾や肉球が消える!

 

「お…おお…!戻った…!」

 

感激の涙を浮かべ立ち上がる朱儁。

 

「足も…!手も…!胸も…!」

 

体を一ヶ所ずつ触り確かめる。

 

「耳も…!……?」

 

…と、そこで違和感を覚え、頭の部分を触ってみると…

 

「戻ってないではないか⁉」

 

何故か耳だけが猫のまま、頭の上に生えていた。

 

「どういう事じゃーーー⁉まさか薬の調合を間違えたのではあるまいな⁉」

 

「「はううっ⁉」」

 

朱儁は軍師2人を問い詰める。

 

「い、いえそうではなくて…。華佗さんの書置きによると、猫になる薬を飲まされてから解毒剤を飲むまでに時間が経ち過ぎると、完全に毒が抜けるまで時間がかかるそうなんです…!」

 

「一ヶ月もすれば完全に元の姿に戻れるそうですから…!」

 

「あ、あと一ヶ月もこのままなのか…」

 

がっくりと肩を落とす朱儁。

 

しかし残酷な事に、朱儁に落ち込む時間は与えられなかった。

何故なら…

 

「美以せんようのむねむねなのにゃー!」

 

「あーーーっ⁉」

 

朱儁のもとの姿を見た瞬間、美以が飛び掛かって来たからである。

 

「一人じめはずるいにょー!」

 

「そうにゃそうにゃー!」

 

「シャムもシャムもー!」

 

当然残りの3匹も飛び掛かる。

 

「ちょ…待て…!待つのじゃ…!あ~~~れ~~~⁉」

 

朱儁はあっという間に美以達のおもちゃにされてしまったのであった。

 

因みに…

 

「「おっきいむねむねにゃ~♡」」

 

ドゴォッ!

 

「「ブヘェッ!」」

 

その隣でどさくさに紛れようとしたエロガッパが2匹、ナミによる制裁を受けた。

 

 

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