ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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少し身の回りが忙しくなって、投稿が遅れました。



第150話 “反董卓連合”

ある日、汜水関の一室。

 

「恋殿―!お疲れ様でした!」

 

その日の出陣を終えて戻って来た恋をねねは笑顔で出迎える。

しかし、その顔は明らかに作り笑いになっている。

 

「い、いや~!今日の暴れっぷりもお見事でした!恋殿にかかればあの様な雑兵を蹴散らすなど、蠅を払うも同然なのです!すぐに夕食の用意をさせますので…」

 

「いらない」

 

「え?で、ですが…」

 

「疲れたから寝る」

 

「は、はい…お休みなさいませ…」

 

恋は部屋を出て行ってしまった。

 

(恋殿…。……っ!)

 

ねねはしばらく悲しそうにしていたが、やがて何かを決意したのかの様に表情を変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シスイカン?」

 

「はい。洛陽の南側、つまり正面門につながる道には二つの関所があって、一つ目が汜水関、二つ目がその後ろにある虎牢関です」

 

朱里がルフィ達に説明する。

 

「…で、洛陽に南から入るにはその二つを破る必要があって、今連合軍は汜水関を攻撃しているってワケか…」

 

「はい。すでに何度か攻撃を仕掛けているようですが、守りが固く未だに破れないそうです…」

 

「それに時折董卓軍の兵が関から出て奇襲を仕掛けており、多くの連合軍の兵がその時の呂布さんの武勇に怖気付いてしまい、士気が下がっているそうです…」

 

「けど…何でわざわざ関が2つもある南から攻め込もうとしてるんだ?」

 

朱里と雛里の話を聞いて、サンジは頭に疑問符を浮かべる。

 

「んなの正面から入った方が気持ちいいからに決まってんだろ!」

 

「ルフィさん…いくら何でもそんな理由な訳…」

 

「でも、あの袁紹さんならありそうですね…」

 

朱里の言葉に袁紹と面識のある全員が同意する。

 

「んで…そろそろ連合軍の陣に着く頃じゃねェか?」

 

「そうだな…あ!あれじゃないか⁉」

 

ウソップの言葉に前方を確認した翠が複数の陣が集っているのを見つける。

 

「おや?誰かこちらに向かって来るぞ?」

 

星の言う通り、何者かが数人の騎馬隊を引き連れこちらに向かってきていた。

 

先頭を走っていたのは…

 

「ナミー!」

 

「シャオ⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィ達はシャオ達と一緒に連合軍の陣に到着した。

 

「へー…あの孫堅さんが自分から留守番を…。雪でも降るんじゃないの?」

 

「やっぱりナミもそう思う?雷火達や黄祖も同じ事言ってたんだよね…」

 

「コウソって…あの荊州江夏郡の部将の?あの人も来ているの?」

 

「うん。本当は州牧の劉表様が直々に来る予定だったんだけど、途中で軍の進め方で部下同士が揉めちゃって、進軍できなくなっちゃったんだって。

それで黄祖の隊だけ先遣隊として来たの」

 

「そいつら何やってんのよ…」

 

「お姉ちゃーん!ゾロさーん!」

 

「蒼⁉鶸も!」

 

「お前らも来てたのか」

 

「はい!涼州の他の太守や県令方は五胡との対応や内乱の事で多忙でしたので、物資だけ借りて私達だけで西涼軍として来ました」

 

「ゾロ、翠、友達か?」

 

「翠の妹だ」

 

「す、翠ちゃんの妹さん!さっすがきゃっわいィ~♡」

 

「初めまして。姉様達がお世話になっております。私は次女の馬休、こちらは三女の馬鉄です」

 

「あれ?そういえば蒲公英はいないの?」

 

「ああ。たんぽぽは…」

 

「ここにいるぞ~!」

 

「うわァ⁉」

 

鈴々の背負ったつづらから蒲公英が飛び出してきた。

 

「やっぱりそのつづらの中に隠れてたのか…」

 

サンジは溜息交じりに言う。

 

「はーい!同じ方法でまたついて来ちゃいました~!」

 

「同じ方法で二度も騙すなんてひどいのだ!」

 

「イヤ、同じ方法で二度も騙されるなよ…」

 

呆れるウソップ。

 

「まーついて来ちまったモンはしょうがねェよ」

 

「今から一人だけで桃花村に戻るのもなんだしね」

 

「…ったく、仕方ないな…」

 

「あれ?ウソップさん?それに紫苑さんも…」

 

「喜雨!それに燈も!」

 

「お二人共お久し振りです。璃々ちゃんはお元気ですか?」

 

「ええ」

 

「知り合いか?」

 

「桃花村に来る前、紫苑達と旅していた時にちょっとな…」

 

「陳珪と申します。こちらは娘の陳登。お二人には以前、私達の任務で助けて貰った事があるのです」

 

「徐州軍も、今回の連合軍に出陣を?」

 

「うん。途中までは陶謙様も一緒だったんだけど、体調を崩して進も退くもできなくなっちゃって…」

 

「私達だけ先遣隊として来たんです」

 

「おお!焔耶よ、久し振りだな!」

 

「厳顔!」

 

「ルフィ殿達も!益州南部では雷々達が世話になったそうじゃな」

 

「ルフィ、そちらの方は?糜竺殿達を知っている様だが?」

 

「わしは厳顔。巴郡の太守を務めており、糜竺達は今わしの城下町で店を開いておる。今回は益州軍の先遣隊として来た。

糜竺と糜芳は留守番じゃが、孫乾は連れて来ておる。良かったら後で顔を見せてやってくれ」

 

「厳顔は()()の武術の師匠だったんだよ。ま、今は破門されちゃったけどね」

 

()()()!余計な事を言うな!」

 

(ほう…。焔耶の奴、わしの所にいた時はずっと一匹狼だったというのに、もう真名で呼び合う程の友ができたのか…。

しかもその相手が、あれほどいがみ合っていた馬岱とはのう…)

 

「?桔梗様、どうかなさいましたか?」

 

「いや、お主を旅に出したのは正解だったと思ってのう」

 

「?はァ…」

 

かつての弟子の変化を嬉しく思う桔梗だった。

 

「ルフィっち~!」

 

明るい声と共に何者かがルフィの背中に飛びついて来た。

 

「華侖!久しぶりだな!」

 

「久し振りっす!兵のみんながルフィっち達の旗が見えたって言ってたから会いに来たっす!」

 

「姉さん!待ってってばもう!」

 

小走りで柳琳もやって来た。

 

「曹仁殿、曹純殿もお久し振りです」

 

「はい。関羽さん、ルフィさんに他の皆さんもお久し振りです。つい先日も、春蘭様達と秋蘭様達がそれぞれお世話になったそうで…」

 

「ついでに手ェ貸してやっただけだ。そこまで気にする事ァねェよ」

 

…と、ゾロ。

 

「やはり曹操殿達も来ておられたのですな」

 

「はい」

 

「曹操ちゃん達まで~♡ここは天国か⁉それとも桃源郷か~⁉」

 

「朱里ちゃん、サンジさんが凄く気持ち悪い顔してるよ…」

 

「雛里ちゃん、あまり見ない方が良いよ…」

 

「「「「おっきいむねむねがいっぱいにゃ~!」」」」

 

「あ!よく見たら向こうにパイパイちゃんの旗もある!」

 

「お~!なんか知ってる奴がたくさんいるな~!」

 

「それで…着いたばかりの所を申し訳ないのですが、華琳お姉様が至急軍議を開きたいそうなので、私達の陣に来ていただけないでしょうか?」

 

「曹操さんの?袁紹さんの陣じゃなくて?」

 

「袁紹さんは数日前、遅れている諸侯へ呼び掛けに行ったまま、戻って来ていないんです…。従妹の袁術さんもそちらに同行しておりまして…」

 

桃香の疑問に柳琳は説明する。

 

「あの袁紹の呼び掛けに応じようだなんて物好きが、これ以上いるとは思えないけどな…」

 

「それにそう言った人達は、連合軍の勝利がほぼ確定してからでないと動かないと思います…」

 

…と、翠と雛里が言う。

 

「華琳姉達も同じ事言ってたっす」

 

「それで…至急軍議を開くという話だったけど、何かあったの?」

 

ロビンが訊ねる。

 

「なんでも、呂布の軍師を名乗る者が訪ねてきたという事で…」

 

「恋さんの軍師って…」

 

「もしかしてねねか⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柳琳に案内され桃香、愛紗、鈴々、星、朱里、雛里、そしてルフィ達麦わらの一味の9人は、桔梗、鶸、蒼、燈、喜雨と軍議用の天幕に向かった。

天幕にはすでに華琳、桂花、栄華、風、稟、雪蓮、蓮華、冥琳、雷火、穏、亞莎、包、白蓮、黄祖が集まっていた。

 

各軍の主将は席に着き、軍師等はその背後に立つ。

 

そしてその真ん中にねねが連れて来らされた。

 

「陳宮とやら、まずはわざわざ敵陣に単身で乗り込んで来た理由を聞かせて貰えるかしら?」

 

「…皆さんに聞いて欲しい事とお願いしたい事があって来たのです…」

 

「言ってみなさい」

 

「はい。実は…」

 

 

 

 

 

 

「…成程、言いたい事はわかったわ」

 

ねねの話を聞き、華琳は顎に手を添えながら言う。

 

「つまり朝廷から追い落された筈の張譲が宮中の奥深くに居座っており、董卓の命を盾にあなた達を裏で操っていたという事ね」

 

「ルフィ達や馬休殿達は董卓殿達と面識があるようだけど、今の話をどう思う?」

 

雪蓮が訊ねる。

 

「涼州にいた頃、董卓殿は決して民を苦しめる様な政治をする方ではありませんでした」

 

「私達も。董卓さんの言動から考えて、今の陳宮さんの話が本当なのだとしたら納得できる点があります」

 

…と、鶸と朱里。

 

「ふむ…。それで陳宮、あなたはそれを私達に伝えてどうしようというの?」

 

「呂布殿を…みんなを助けて欲しいのです!呂布殿も他のみんなも、本当はこんな戦したくないのです…。

でも、董卓様を守る為に耐えがたきを耐え、忍び難きを忍び黙って言いなりになっているのです…。

ねねはそんな呂布殿達をもう見たくなくて…!何もできない自分が悔しくて…!だから…だから…!」

 

ねねは涙を浮かべて訴える。

 

「話は理解できたけど、少々信用に欠ける所があるわね…。荀彧、程昱、郭嘉、あなた達はどう思う?」

 

「私も、完全には信用できません」

 

「嘘とは断言できませんが、本当とも言い切れません」

 

「そもそも敵陣にのこのこ単身で入り込んで来て、この様な事を述べる時点で怪しいというものです」

 

「み、皆さん…何もそこまで言わなくても…。陳宮さんは可愛らしいですし…

 

「栄華ちゃん、本音が漏れてるわよ…」

 

「そんな!嘘じゃないのです!全部本当の事なのです!」

 

「…と、言われてもねェ…」

 

「仮に黒幕が張譲だという話が事実だとしても、陳宮殿を信用できるかどうかは別の話だ」

 

「確たる証拠もなくこんな話を信じろと言われても、それは無理というものじゃ」

 

雪蓮、冥琳、雷火が言う。

 

「それこそ董卓殿を助ける為に、あなた方が罠を仕掛けたという可能性もありますからね」

 

「気の毒じゃが、わしらも慈善事業で兵を出している訳ではない。迂闊に部下を危険に晒す訳にはいかん」

 

「張譲が黒幕という話も、お主の言葉とこやつらが言う董卓殿の人格だけでは確証に欠けるしのう…」

 

燈や桔梗、黄祖も言う。

 

「いや…みんな流石に言い過ぎじゃ…」

 

「それでは~公孫賛殿は陳宮殿の話を信用しておられるのですか~?」

 

「いや、それを言われると困るが…」

 

唯一白蓮は皆の言い分に物申そうとするが、穏の言葉に黙ってしまう。

 

鶸と蒼も流石に確証を出す事はできないのか、申し訳なさそうに黙っている。

 

「…っ!」

 

皆の反応にねねの目から涙が溢れそうになったその時…

 

「お前らいい加減にするのだァーーーっ!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

鈴々の大声が響き渡った。

 

「陳宮にとって呂布達はすっごく大事な人なのだ!だから敵の真っただ中に一人で乗り込んでまでして、涙を流して必死なって頼んでいるのだ!」

 

(鈴々…。……ん?)

 

そこで愛紗はふと、ルフィの様子が気になって顔を覗いてみた。

 

「…………」

 

するとルフィは鈴々にもねねにも目を向けず、難しい顔をして前方―――この場全体を凝視していた。

 

「本当に大事な人だから、本当の事を言って、本当の涙を流しながら助けを求めているのだ!」

 

「張飛…」

 

「この涙が本当なのかどうか見てわからない奴なんてただの大馬鹿なのだ!

そんな奴ら、君主でも軍師でも何でもないのだ!お前らみんな大馬鹿なのだァーーー!」

 

「その通りだぞバカヤローーー!うおおおォォォ!」

 

…と、今度はフランキーの怒鳴り声と泣き声が響く。

 

「……どうしてお前が泣いてるですか?」

 

「ブァカ!泣いてねェよ!」

 

そう言いつつも滝の様に涙と鼻水を流している。

 

「こんないたいけな少女が命の危険も顧みず、自分の大切な人を助けてくれって言ってんだぞ!

万が一罠だったとしても、そこは『はい』と答えてやるのが人間じゃねェのかよ!ウオオオォォォ!」

 

((((((((((うるさい…))))))))))

 

ねねまでもがそう思ってしまった。

 

「―――でもまァ、見事に一本取られたわね」

 

雪蓮が楽しそうな笑みを浮かべて言う。

 

「張飛の言う通り、人が流す涙の真偽を見抜けぬような奴は君主の器ではないし、軍師としても役に立たないわ。そんな輩、ここにはいないでしょう?」

 

雪蓮がそう言うと、華琳を始めとした各軍の代表や軍師達も笑みを浮かべる。

 

「孫策殿の言う通りね。ここにいる者は皆、いずれ天下を手中に収めんと志す者。

みんな陳宮殿の涙も言葉も、信用できるとわかっていた。そのうえで他の者がどう考えるのか様子を見ていた。そうでしょ?」

 

「無論だ」

 

華琳の言葉に黄祖が答え、他の皆も頷く。

 

「ここにいる者は、今回の出陣で自らの天下統一が大きく前進する事を見抜き、即座に行動を起こした。それができる輩が涙の真偽を見誤る訳ありませんからね」

 

…と、燈。

 

「つまり皆、この場に集った者の器と才を探り合ってたという訳か…。皆考える事は同じじゃな」

 

…と、桔梗。

 

「まァ全員、自分が天下を獲ろうと考えているのだから、後々の敵を見定めようとするのは当然よ。―――さて、だいぶ話が逸れたけれど陳宮殿、あなたの言葉、信用しましょう」

 

「!あ、ありがとうなのです!」

 

華琳の言葉に、ねねは笑みを取り戻した。

 

「しかしそうなると、ここに袁紹がいなくて良かったな…」

 

…と、白蓮。

 

「確かにそうね…。袁紹の事だから董卓に対する嫉妬心もあるでしょうし、董卓を助ける事に賛同するとは思えないわ…」

 

華琳も同意する。

 

「そうなると、董卓を助け出した後、その事は袁紹にバレない様にしないといけないわね…」

 

雪蓮がそう言った時…

 

「その必要はありませんわ!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

突然天幕の入口の方から声が聞こえ、見ると麗羽と美羽が立っていた。

後ろには猪々子、斗詩、真直、七乃もいる。

 

「袁紹!それに袁術も…いつの間に?それに『その必要はない』ってどういう意味よ?」

 

華琳を始め、皆驚きを隠せずにいる。

 

「私が説明します」

 

真直が前に出て来た。

 

「実は先日、袁紹様の下に何進将軍から文が届いたのです」

 

「何進から?」

 

「その文によると、ある日何進将軍に霊帝陛下から玉帯が贈られ、その中に天子様の密詔が隠されていたそうです」

 

「何ですって⁉」

 

「そこには、董卓の仕業とされている悪政の黒幕が張譲である事、張譲が帝位簒奪を企んでいる事が書かれていたそうです。

それを読んだ何進将軍は袁紹様に張譲の野望を阻止するべく、董卓の軍勢と張譲を引き離す様に言われたのです」

 

「それでこの連合軍を起ち上げたという訳ね…」

 

「じゃあ『天子の密詔を受け』っていうの、丸っきり嘘って訳じゃなかったんだ…」

 

「それで董卓殿を助け出せばその軍勢は張譲から離れる為、陳宮殿の申し出を受ける事には我々も賛成なのです」

 

「そう言う事だったのね…」

 

「成程、それも考えて董卓軍が洛陽から離れる時間を稼ぐ為に、わざわざ時間が掛かるこの道順を選んだのか!」

 

「……ええ、その通りですわ!」

 

「何よ?今の間は?」

 

「と、とにかく!ここにいる皆さんも董卓さん救出に向け、協力して下さいますわね?では、早速軍議を…」

 

…と、麗羽が仕切り直そうとする。

 

しかしその時…

 

「断る」

 

「「「「「「「「「「え⁉」」」」」」」」」」

 

静かだがハッキリとした声が響き、全員の視線がその声の主―――ルフィに集った。

 

「行くぞお前ら」

 

そう言うとルフィは席を立ち、天幕を出て行こうとする。

 

「な、何言ってんだよルフィ⁉月を助けないと…!」

 

「おれ達だけでやる。こいつらは信用できねェ」

 

止めようとするチョッパーにルフィはそう返す。

 

「ちょ、ちょっとあなたどういうつもりよ⁉」

 

「そうよ!こいつらと協力した方が私達だって助かるのに何でわざわざ…」

 

思わず席を立った華琳とナミに訊かれ、ルフィは足を止めて振り返る。

 

「袁紹」

 

「?」

 

「難しい事はわかんねェけど、お前がくれた手紙には『苦しんでいる奴らを助ける為に一緒に戦おう』って、そう書いてあったよな?」

 

「え、ええ…概ねそんな内容ですわ…」

 

「けど、ここにいる奴らは一緒に戦う気も、苦しんでいる奴らを助ける気もねェ。ウソつきばっかりだ!そんな奴らと協力なんてできるか!」

 

「ちょっとそれどういう意味よ⁉」

 

今度は雪蓮が立ち上がって訊ねる。

 

「じゃあ何で……一緒に戦う奴らを、倒す時の事ばかり考えてんだよ?」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

「何でねねが泣いてるのを見て―――泣いてる奴を見てワナだとかウソだとか、そんな事を最初に考えるんだよ⁉」

 

「だ、だからそれは…!」

 

「言い訳なんて聞きたくありません」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

何かを言おうとした華琳の言葉を遮ったのは桃香だった。

 

「私達が言いたいのは、逆賊なんかに背中を預ける事はできない。それだけです」

 

「なっ⁉」

 

「わ、わしらが逆賊じゃと⁉」

 

「何が違うんですか?」

 

桃香の言葉に稟や雷火は声を荒げるが、桃香は怯む様子がない。

 

「皆さんは今、陳宮さんの涙を疑い、他の皆さんを探る為に利用した。この連合軍に参加したのもただ自分達の利益になるから…。

本当は皆さん、自分達が成り上がる好機が訪れた事を……今のこの国の状況を……民が暴政に苦しみ国が崩壊しかけている事を喜んでいるんじゃないですか⁉」

 

「「「「「「「「「「っ⁉」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

桃香の言葉に各軍の代表、軍師らは絶句し、麦わらの一味と義勇軍の者達は黙りこくる。

 

「それが逆賊じゃなくてなんだって言うんですか⁉どうしてそんな人達を信用できるんですか⁉」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

「…で、ですが…!」

 

全員が口を閉じる中、麗羽が沈黙を破る。

 

「あなた方が連合軍から離脱してわたくし達と別行動をすれば、十中八九互いに邪魔になって損をしますわよ⁉」

 

麗羽の言葉に対してルフィは…

 

「…だったら―――先にお前らをぶっ飛ばす‼」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

そう言ってルフィは拳を構える。

 

ゾロや愛紗達も身構え、桃香ですら剣を抜き、朱里と雛里も華琳達を睨みつける。

 

「今のお前らとは手を組めねェ!絶対にだ!」

 

「「「「「「「「「「………っ!」」」」」」」」」」

 

そう言い放つルフィのただならぬ威圧感に、各軍の代表や軍師達は思わず尻込みする。

 

華琳や雪蓮達はルフィが冗談を言う様な奴でない事をよく理解していたし、あまり面識がない者達もルフィ達が本気で自分達と敵対する覚悟である事を悟った。

 

しばらく緊張した空気が流れ…

 

「……はァ…」

 

雪蓮のため息が沈黙を破った。

 

「またまた一本取られたわね…」

 

先程と同じ様な事を言いながら、力なく席に座り込む雪蓮。

しかしその口調は、先程の楽しげなものではなく、敗北を認めた無念さの様なものがあった。

 

「まさか逆賊と罵られて、咄嗟にそれを否定できないとはな…」

 

後ろにいた冥琳も額に手を当て、ため息交じりに言う。

 

「わしとした事が…この様な若造に言い負かされるとは…」

 

「けど…私はルフィ殿と劉備殿の言ってる事はもっともだと思います…」

 

「実際~国を救う事がどこか二の次なっていましたからね~…」

 

「中原への足掛かりを得る事とかで頭がいっぱいでしたからね…」

 

雷火、亞莎、穏、包も言う。

 

「まー正面から敵が襲ってくるのより、味方だと思っていた奴が後ろから斬りかかってくる方が嫌だよなー…」

 

「だったら最初から敵だと思って接した方が良いよね…」

 

「全員が危ない橋を他人に渡らせようとする連合なんて、足を引っ張り合うだけよね…」

 

「烏合の衆どころか二つの口を持つ虫ですねー」

 

「確かに私達、同じ敵と戦ってはいたけど、積極的に協力しようとはしてなかったよね…」

 

「みんな抜け駆けや手柄の横取りばかりしそうだもん。この人達が協力を拒むのは当然だよ…」

 

猪々子、斗詩、真直、七乃、蒼、喜雨もルフィ達の言い分を認める。

 

「確かに…後に天下を争い合う相手が集う以上、真の敵はむしろこの連合軍の中にいるという考えはありました。あわよくば、この戦の中で亡き者にする事も…」

 

「『国の為に』と口にして集った私達が互いに睨み合っている様では、私達の事をよく知らない民からは信用されないでしょうね」

 

「いくら損得勘定なしでむやみに兵を動かす訳にはいかないと言っても、一度忠義を掲げた以上、利潤ばかりを優先している訳にはいきませんわね」

 

「私達の事をよく知らない者達からは十常侍と大差なく見えるでしょうし、今まで私達を慕っていた民さえも、私達の掲げる仁徳を疑いだしかねませんね」

 

「天下を獲るまでは民の支持が必要故に名君を装って、天下を獲った後に暴君と化してはたまりませんからねー」

 

「たとえ口で大義を唱え、同じ相手に刃を向けていても、志の中に同じものがなければ同志とはいえないか…。

まァ『自分が天下を獲る為にこの戦を利用する』という点では、同じ志だったのかもしれないけどね…」

 

桂花、柳琳、栄華、稟、風がそう言った後、華琳は皮肉を込めた様子でそう言い放つ。

 

「ルフィ、劉備、ごめんなさい。今の態度じゃ、あなた達が私達に不信感を抱くのは当然だったわ」

 

華琳はそう言うと、どこかすっきりした様な笑みを浮かべ…

 

「お詫びといってはなんだけど…今この場で曹孟徳の名に懸けて誓うわ!我が曹操軍はこの戦において、ただ国を救う為に全力で協力する事を!」

 

そう高らかに宣言する。

 

「同じく!我が孫呉の者も誓おう!」

 

蓮華もそう宣言し、雪蓮と一緒に立ち上がる。

 

「私もだ!」

 

「わしもじゃ!」

 

「国を救いたいと思って来たのは本当ですから!」

 

「口先ではなく、行動でそれを示しましょう!」

 

「後先の事を考えずに動くのは愚かだが、先の事ばかり考えて目の前の事を疎かにするのはもっと愚かな事よ。今は結託して目の前の敵と戦わねばな!」

 

白蓮、桔梗、鶸、蒼、燈、黄祖も立ち上がって宣言する。

 

「め、盟主であるわたくしが協力を惜しむ筈がありませんわ!」

 

「ま…まァ全員で協力するのが一番早いし…妾もそれでいいぞ…」

 

麗羽と美羽もやや流される形ではあるが協力を承諾する。

 

「―――ルフィさん!」

 

「ああ!―――よし、じゃあ手を組もう!」

 

その様子を見て桃香は表情を明るくし、ルフィもいつもの優しい顔に戻る。

 

「お前らは今まで色々あったのかもしれねェし、これから先に何かあるのかもしれねェ!

けど、一旦全部忘れろ!今おれ達がやる事とおれ達の敵は同じだ!全員で協力して目的を果たすんだ!いいな⁉」

 

「「「「「ええ!」」」」」

 

「「「うむ!」」」

 

「おう!」

 

「「「はい!」」」

 

ルフィの言葉に、各軍の代表達は威勢よく返事をする。

 

「…………」

 

その様子を見て、ねねは驚きながらルフィを見上げた。

 

(こいつ…こんなに凄い奴だったのですね…!)

 

今までただ諸侯の軍が集まっていただけだったのが一つの連合軍になった事。

一つの連合軍にしてみせたルフィの力。

ねねはそれを理屈ではない何かで理解した。

 

「ねね!」

 

「………!」

 

「もちろん、お前の力も借りるぞ!」

 

「と、当然なのです!」

 




恋姫英雄譚について検索していたら出てきた、劉度(真名:涙)について何か知っている方いますか?
何かご存じでしたら活動報告の方で教えてください。
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