ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
疑問が解けてスッキリしました。
麗羽と美羽も席に着き、宮中に囚われている月を助けるべく軍議を再開した。
「それで陳宮さんだったかしら?董卓さんが宮殿内に閉じ込められているのは間違いないのですね?」
華琳に代わって軍議を仕切る事になった麗羽が訊ねる。
「はい、それは確かなのです。ただ、どこに閉じ込められているのかは全くわからなくて…」
「聞いた話では、郿塢城の建設工事と並行して宮殿内の一部の修繕や改装を行っていたとの事。もしかしたら、その時に董卓を幽閉する為の細工をしたのかもしれません」
「董卓が宮中に囚われて以降、私達も宮殿に立ち入る事はほとんどなくなってしまいましたから、今は中がどうなっているのか見当もつきませんね」
「それに宮中に限らず、街中にも張譲の息がかかった兵士達が目を光らせておる。張譲に悟られず董卓を捜すのは至難の業じゃの…」
桂花、真直、雷火の言葉に全員難しい顔をする。
「それなら大丈夫だ!」
その時、チョッパーが自信ありげに口を開く。
「おれが宮殿に入る事ができれば、臭いで月を見つける事ができる!だから月を捜す事自体はそこまで難しくない筈だ!」
「成程、頼もしいわねチョッパー殿」
「た、頼もしいだなんて…そんな褒められても嬉しくなんかねーぞ!コノヤローが!」
華琳に褒められ、チョッパーはにやけながら踊り出す。
((((((((((凄く嬉しそう…))))))))))
「…可愛い…」
「?何か言ったか愛紗?」
「い、いえっ!何も言っておりません!」
「ねェ朱里ちゃん、愛紗ちゃんに誤魔化せてない事はっきり言った方がいいかな?」
「でも愛紗さん、あれで誤魔化してるつもりなんですから、黙っていてあげましょう」
「では、董卓の監禁場所を捜す方法はいいとして、問題はどうやって宮殿に入るかだな」
…と、冥琳。
「洛陽に入るだけなら商人にでも化ければ何とかなるかもしれませんが、宮廷となるとそう易々とはいかないかと…」
「単純に入るだけなら、見張りに賄賂を渡せば上手くいきそうな気もしますけど、中に入った後の事も考えないといけませんからねェ…」
亞莎、包の言葉に全員考え込む。
「う~ん…何にせよ、もう少し情報が欲しい所ですね~…」
「「「!」」」
「ナミさん?朱里ちゃんに鳳統ちゃんも、何か思いついたの?」
「まだ、潜入方法が思いついた訳ではないんですけど…」
「情報を持ってそうな人がいたのを思い出したんです」
「こういう時は、中に出入りしている人から話を聞くのが一番なのよ」
「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」
▽
しばらくして、朱里がマントと頭巾で顔を隠した女性を天幕に連れてきた。
「曹操、袁紹も久し振りじゃのう」
「「?」」
女性はそう言いながら頭巾を取る。
「!あなたは…!」
「朱しゅ…ぶっ!」
名前を言いかけた所で華琳は吹き出す。
その原因は朱儁の頭に生えているネコミミである。
「ちょ…何それ…!反則よ…!」
華琳は口元を手で押さえるが、笑いを堪え切れずにいる。
「しゅ…趣味は人それぞれだが…!」
「いい歳してアレはないわよね…!」
冥琳や雪蓮を始め他の者達、普段あまり表情を変えない燈や喜雨も吹き出していた。
中でも…
「あははははは!」
稟は腹を抱えて大口を開けて笑っていた。
「稟ちゃーんちょっと笑い過ぎじゃねーですか?」
「け、けど…!よりによって猫耳とか…!どーいう神経して…!」
「猫耳が何?」
「あ…いえ…!」
桂花に睨まれ、稟の笑いはピタリと止まった。
しかし天幕全体では笑いが収まらず、皆があまりに笑う為、見慣れてきていたルフィや桃香達もつられて笑い出した。
唯一、黄祖だけは二の腕をつねる事で何とか無表情を保っていた。
「んんっ!―――そろそろ話してもよいか⁉」
「あ…お、お願いします!」
わざとらしく咳ばらいをし、朱儁は本題に移る。
「そなたら、宮中に忍び込みたいという事であったが、それなら良い方法があるぞ」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
▽
「秘密の抜け穴⁉」
「うむ。有事の際に逃げ出せるよう作られていたのじゃ。この穴は一部の武官達か知らぬ。つまり張譲も知らないのじゃ」
「そういう噂を聞いた事はありましたけど、本当にあったんですねー」
驚く七乃。
「何を隠そう、妾もその抜け穴を使って宮廷から脱出したのじゃ」
「つまり、その抜け穴を逆にたどれば宮中に忍び込む事ができるという訳ですね!」
稟の言葉と同時に、皆の表情が明るくなる。
「では、潜入する間者を決めましょう。まず、董卓さんを捜す為にチョッパーさんは確定ですけど…。その外見もあって目立ちそうですし、誰か他に付いて行った方がよろしいかと」
「袁紹も
「おーほっほっほ!曹操さん、ようやく私の凄さがわかりまして?」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
「と、とにかく潜入する人員を考えましょう!」
真直が話を戻す。
「私とロビンが一緒に行くわ。こういうのは得意分野だから」
ナミが挙手し、ロビンも頷く。
「ウチの周泰も連れて行って貰えないかしら、彼女も隠密行動を得意としているの」
「でしたら、ウチの孫乾も連れて行ってくれ。必ず役に立つ」
蓮華と桔梗が自身の部下を推薦する。
「あまり多過ぎると気取られそうだし、五人もいれば十分ね。それじゃあ、その者達を宮殿に潜入させましょう」
…と、雪蓮。
「その前に少しいいか?」
「どうしたんですの黄祖さん?」
「その者達が潜入しておる間、汜水関の敵兵はどうする?
そのチョッパー殿の嗅覚という当てがあるにせよ、どれだけ時間が掛かるかわからぬ以上、我々がここで時間を稼ぐ算段を立てておいた方が良いと思うぞ」
「確かに…一理あるわね…」
「あの…それでしたら私に一つ考えがあります」
雛里が手を挙げる。
「それは確かな方法か?」
「絶対とは言い切れないですけど、上手くいく可能性は高いと思います」
「そうか」
「ではその作戦は後でまた聞くとして、宮中への潜入作戦を進めましょう」
▽
しばらくして美花、明命が呼ばれ、朱儁は絵地図を指しながら5人に説明を始めた。
「洛陽の城壁の外の…丁度この辺りに茂みに囲まれた小さな丘があり、そこには小さな墓がある。
一説では遥か昔に滅びたさる一族の王の墓とも言われているのじゃが、この石櫃の中にある石棺が抜け穴の出入り口となっておる」
「その抜け穴は、宮殿内のどこに通じているのですか?」
美花が訊ねる。
「宮殿の庭園にある古井戸に通じておる。ただ、この抜け穴は宮中からの脱出用に作られたものである為、宮殿から出る分には問題ないのだが、反対に宮中に入ろうとすると罠が作動するとも言われている」
「脱出口が敵に利用される危険を考慮すれば、当然の事ね」
ロビンが呟く。
「十分気を付けるのじゃぞ」
「わかりました。…所で朱儁殿、もう一つお訊ねしてもよろしいでしょうか?」
今度は明命が訊ねる。
「何じゃ?」
「出立前の餞別として……その猫耳、モフモフさせていただく訳には参りませぬか…♡」
「っ⁉参りませぬわ!」
「⁉︎(ガーン!)」
「あの皆さん」
「何だ朱里?」
「もし宮殿内で董卓さんが見つからなかったり、何らかの形で行き詰ったりしたら、この錦の袋を開けて下さい」
朱里はそう言ってチョッパーに袋を手渡す。
「?何が入ってるんだ?」
「私の秘策です」
▽
翌朝、5人は宮中に潜入するべく出発した。
「ここがそのお墓みたいね…」
そう言うロビンを先頭に、皆は入口から階段を降りて中へ入って行く。
「ここまで砂ぼこりや雑草だらけなら墓泥棒も近づかないでしょうし、誰かに調べられる事はまずなさそうね」
墓全体の様子を見ながらナミが言う。
しばらく進むと朱儁が言った通り、石でできた棺桶があった。
明命が蓋を開けると中は空洞で梯子が掛かっていた。
下に降りるとそこは石造りの広い通路になっていた。
「思っていたよりも広いわね…」
「おそらく、罠を仕掛ける為にある程度大きな絡繰りを用意する必要があったのでしょう」
美花がそう言った時、正面に大きな扉が現れた。
引く為の取手の様な物はついていない。
明命はさっそく扉を開けようと押し始める。
「ん…!結構重いですね…!」
「周泰殿、私もお手伝いします」
「……2人ともちょっと待って」
「何ですかロビン殿?」
「確か朱儁さん言ってたわよね?『宮中に入ろうとすると罠が作動する』って…」
「確かに言ってましたね…」
「もしかしてこの扉、向こう側からなら簡単に開けられるんじゃないかしら?」
「確かにその可能性はありますが…」
「そうだとしても私達はこちら側から開けるしか…」
「私に任せて。“
そう言うとロビンは目を閉じる。
「…?あの…ナミ殿、ロビン殿は一体何をしているのですか?」
明命が訊ね、美花も不思議そうにしている。
「ロビンは“ハナハナの実”の能力で体の一部をあらゆる場所に咲かせる事ができるの。今は扉の向こうに目を咲かせて、様子を探っているのよ」
「なんと…!そんな事が可能なんですか⁉」
「……向こう側にも取手の様な物はない、その他に操作できそうな物もない…。そうなると…“
ロビンは扉の向こうに大きめの腕を咲かせ扉を押す。
すると僅かに扉が開き、隙間ができる。
「今よ!引っ張って!」
「「はい!」」
すかさず隙間に美花、明命、チョッパーも手を入れ、扉を引っ張り開ける。
「これで進めるわね」
5人は再び歩き出し、しばらくすると円形の広い場所に出た。
上の方から光がさし、下の方には水が溜まっている。
上を覗いてみると、月が登り切った夜空が見えた。
「どうやらここが例の古井戸のようね。ロビン!」
「ええ。“
ロビンは脚を二本ずつ、梯子の様に咲かせて足場を作る。
「便利な能力ですね…」
▽
古井戸から出た5人は時にはナミの技で姿を消し、時にはロビン、美花、明命の助けで身を隠しながら宮殿内を捜索した。
そして宮殿内のとある部屋。
「“
人がいないのを確認し、ナミは技を解除した。
「それにしても、ナミ殿の技も凄いですね。姿を隠せるなんて…」
「さすがに触られるとバレちゃうから、油断はできないけどね」
「ここは…物置みたいね…」
「それでチョッパー殿、この部屋で間違いないのですか?」
「ああ。この部屋…特にこの棚の向こうから月の臭いがする」
「…微かに空気が流れているのを感じます。隠し部屋があるのかもしれません」
隙間から棚の後ろに手を当てて明命が言う。
「こればかりは、実際に扉を開ける所を見ないとどうしようもないわね…」
「…チョッパー、朱里ちゃんが渡した錦の袋には何が入っているの?」
ナミがため息を漏らした時、ロビンが思い出した様に言った。
「あ、ああ…!開けて見る」
チョッパーが見てみると中には小さな文が一つ入っており、そこには…
「『張譲が鏡を持って走り出したら注意して下さい』だってよ」
「どういう意味でしょうか?」
「朱里ちゃんの事だからきっと何か考えがあるのよ」
「取り敢えず、現状を陣にいる皆さんに報告しておきましょう」
明命はそう言って懐から一羽のハトを取り出す。
「周泰の体からずっと声が聞こえると思ってたけど、そいつだったのか」
「そのハト、前に袁術さんの所から孫家に手紙を送るのに使っていた…」
「はい、うーちゃんです」
明命は手紙を書いてうーちゃんの足に結び付けると、近くの窓から飛ばした。
「頼んだよ、うーちゃん」
「それで…私達の今後の動きだけど、さすがにずっと5人で固まっていると動きにくいと思うわ。単独、もしくは二人一組で動いた方が良いと思う」
ロビンの提案に全員頷く。
「張譲の動きは私が見張ります」
「周泰殿、私も手伝います。張譲が動いたら片方は後をつけて、もう一人が皆さんに知らせた方が良いと思います」
「そうですね。ではよろしくお願いします孫乾殿」
「私は、チョッパーと一緒に董卓さんの軍師の賈駆さんを捜して話をしてきたいと思う」
「そうだな。詠は月の味方だろうし、一緒に逃がしてやりたい」
「じゃあ、ナミとチョッパーは賈駆さんを捜して。私はこの物置を見張っておくわ」
かくして、5人は三手に分かれて行動を開始した。
▽
その頃、幾人かの者達が議論していた。
〈反董卓連合軍に天の御遣いが⁉〉
〈どういうことだ⁉何故袁紹が奴らに檄を⁉というよりも何故今まで気付かなかった⁉〉
〈どうやら袁紹の奴、天の御遣い共の総大将を個人的に気に入っていたらしくてね…。出陣する直前に田豊に勧められて出したらしいわ〉
〈だから奴らが到着するまでわからなかったのか…〉
〈それで…どうする⁉奴らが郿塢城に入れば、間違いなく我々の関与に気付くぞ!〉
〈それに我々の重要な資料、設備、資材はもうほとんどあそこにある!それらを押さえられたら我らは終わりだ!〉
〈すぐに移動させてやり過ごそう!それで私達の関与も知られずに…〉
〈いや、それは無理だ!〉
〈何故だ?〉
〈五斗米道の連中が今回の件に我々が関与している事に気付いた!既に使者を洛陽に向かわせているらしい!〉
〈何だと⁉〉
〈でしたらその使者を亡き者にして…〉
〈駄目だ。その使者がどこの誰なのかは私にも知らされていない…〉
〈何て事だ!それでは我々の関与が確実に天の御遣いにバレてしまうぞ⁉〉
〈それだけじゃないわ!連合軍に集っていた各諸侯、袁家の現当主袁紹、それに朝廷にも私達の存在が知られる!私達の信用や立場もなくなり、隠れ蓑も使えなくなる!〉
〈それにこの連合に集った者達が朝廷に取り入り勢力を拡大すれば、怨嗟の声も集まりにくくなるわ〉
〈どうする…⁉〉
〈いっそこの機に天の御遣い共を叩き潰せば…!〉
〈いや…天の御遣いだけならともかく、連合軍全体を相手にするのは厄介だ!〉
〈なら連合軍が解散するの待って、その後各個撃破するのはどう?〉
〈仮に連合軍が解散したとしても、曹操や孫策はそれくらいの事は先読みして何か対策を打ってくるような気がするが…〉
〈それに内通者の正体もバレて、我々の存在や力が明るみになった状態でこれまで通りに動く事はできないぞ…〉
〈だったら漢の外…遥か西の地に出て時期を待つしか…〉
〈それはあまり賢明な判断とは言えないな…。いかに我々が天の国の力を使えるとはいえ、飢えや病、天災に対抗するのは限界がある。未知の土地ではそれらによって滅びる可能性もある〉
〈同感だな…。おれ達が他国に走らず、漢に潜み続けた理由はそこにもある〉
〈連合軍が敗れる可能性はないか?〉
〈まず有り得んな…。朝廷の将兵は名ばかりの将軍とろくに訓練もせず遊び惚けていた弱兵ばかり…。大陸中の実力者が集った連合軍に軍配が上がるのは確かだ…。ましてや天の御遣いがいる連合軍にはな…〉
どうやら話しているのは一人や二人ではなく、相当な人数のようである。
〈……左慈、洛陽の方に手勢はどれくらいいますか?〉
「太平道の本隊が大方、中方、小方合わせて十数人。……于吉、郿塢城の方はどれぐらいだ?」
〈太平道の本隊はそちらと同じくらい、
ああ、そういえば、先日我々に降伏した将兵達の手勢の一部にこちらに来るように言っていたじゃないですか?先程、その者達が到着しましたよ〉
「ほう……洛陽周辺の郡県にいる者の内、あと一日二日で洛陽に移動できる者はどれくらいいる?」
〈大方、中方、小方が各二百人前後といった所ですね…〉
「そうか。……ならその内大方は全員洛陽に来い。于吉、郿塢城にいる中方、小方以外の者達も全員連れて来てくれ」
〈よろしいのですか⁉〉
「ああ、宣戦布告だけなら中方以下だけでも十分だろう。おれがそいつらを率いて天の御遣いと連合軍の奴らに直接宣戦布告する」
〈しかし…いくら左慈様でも天の御遣いと連合軍相手に不利ではありませぬか?〉
「なァに…あくまでも宣戦布告するだけだ。全面戦争にはならんよう手は打っておく」
〈成程…。では郿塢城に残した者達は一時撤退する様伝えてよろしいですね?〉
「ああ、そうだ。よくわかっているな于吉」
〈?あの…申し訳ありませんが、左慈様達は何を考えているのですか?〉
「つまりこういう事だ…」
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〈…成程!〉
〈確かにその策なら…!〉
〈きっと上手く行くでしょう!〉
「理解したか?―――では、すぐさま全員行動を開始しろ!」
〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈はっ!〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉