ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第154話 “9×(かける)10万”

「現在、朝廷の軍は十二万が虎牢関に籠城し、五万が虎牢関の前に布陣、そして三十万の兵が十万ずつ三つの部隊に分かれてこちらへ進軍しております」

 

兵士からの報告の後、連合軍はすぐさま美花と明命を偵察に向かわせ、敵の動きを探らせた。

 

「虎牢関の城壁には連弩、前方の陣には鉄車と霹靂車、進軍してくる隊の先頭の部隊には衝車、雲梯、井闌が用意されています」

 

「敵の増援は一体何者なの?」

 

「冀州刺史の韓馥、豫州刺史の孔伷(こうちゅう)、兗州刺史の劉岱(りゅうたい)、青州刺史の龔景(きょうけい)河内(かだい)郡太守の王匡(おうきょう)上党(じょうとう)郡太守の張楊(ちょうよう)済北(さいほく)の相鮑信(ほうしん)などの旗が確認されました」

 

「他にも、五胡や南蛮、烏桓族や山越族、山賊らしき者達の姿も確認できました」

 

「わたくしの送った檄には応じなかった方々が何故⁉」

 

「日数から考えて、袁紹の檄が届くのとほぼ同時に行動を起こしたとみて間違いなさそうだな」

 

「それにどうして他民族や五胡、賊まで張譲に協力を…⁉」

 

「気になるが、今はわからない事を考えておる場合ではない!」

 

冥琳や稟は考え出すが、雷火は止めさせる。

 

「そうね…。敵四十七万に対してこちらは十二万、四倍近い差があって厄介な兵器を所持しているうえ、こちらは城攻めをする必要がある…!」

 

「そして敵は今こちらへ向かっている、早急に策を打たないと…!」

 

雪蓮と蓮華の言葉に皆頷く。

 

「董卓の配下の兵や都の兵を味方につける事はできないのか⁉」

 

…と、翠。

 

「それは無理だよ…。楊奉とかは性根が卑しい所があるし、今向こうについているボク達の部下は張譲に媚びを売ってる連中ばかりだから…」

 

「なァ厳顔や陳珪、黄祖達は先遣隊として来たんだよな?本隊をできるだけ急いで呼べないか⁉それまでの時間稼ぎなら今の兵力でも…」

 

「残念だがそれは難しいのう…」

 

白蓮の言葉を桔梗が遮る。

 

「そうね…。多少事情は異なるけど、私達の本隊が遅れている共通の理由に『出陣を止めるべきだ』という意見が大きい事があるし…」

 

「今連合軍が不利だという事が知られれば、我々にも撤退命令が下されるだろうな…」

 

「駄目か…」

 

燈と黄祖の言葉に白蓮はますます表情を暗くする。

 

「何を悩む必要がある⁉都の軟弱な兵や賊兵など、我らの精兵なら一人で百人くらい倒せる!」

 

春蘭は強気に出る。

 

「あんたねェ…言いたい事は色々あるけど、この連合は袁紹達の兵もいるのよ⁉全員が都の兵より強い訳じゃないの!」

 

「ううむ…そうか…」

 

「ちょっと荀彧さん!それはどういう意味ですの⁉」

 

桂花の説明で春蘭は納得するが、麗羽は遠回しにバカにされている事に気づいたらしく声を荒げる。

 

「それに…誰が使おうと要害は要害であり兵器の厄介さは同じ。兵の練度による戦力差はそこまで期待できないかと…」

 

「何より都の兵や賊兵はともかく、各地の諸侯や異民族の将兵達は弱卒ばかりとは言えないかと…」

 

…と、包と亞莎。

 

「で、ですが、こちらにはかつて黄巾党を単騎で三万蹴散らした呂奉殿がおられるのですぞ!そこらの将兵なんぞ相手になる訳…」

 

「ちんきゅ、あの時はただの賊徒、今回は訓練された兵士。同じ様にはいかない…」

 

「ぐぬぬ…」

 

「ねェ朱里ちゃん、今私達って具体的にはどれくらい兵力が不足しているの?」

 

「そうですね…。敵が厄介な兵器を持っている為、実際に戦えばその倍の兵力を相手にする様な感じになると思います…。

ですから実際は虎牢関に二十四万、その前方の陣に十万、こちらに攻め入って来るのが六十万と考えるべきです…。

六十万の敵を籠城して迎え撃つとしても、二十万の兵が必要な計算になります…。

そして同じ計算だと、虎牢関を攻め落とすには二十四万の三倍で七十二万の兵が必要な事になります…。

つまり防衛と敵陣を破るのと攻城、合わせて百二万の兵が必要で、九十万の兵が不足している計算に…」

 

「きゅ…九十万って…!」

 

朱里の話を聞き、全員ますます苦しそうな表情になる。

 

「きゅ、きゅうじゅうまん…?いー…ある……ふみゃァ…⁉」

 

美以は数があまりに大きすぎる為理解できず、指で数えようとするがすぐに頭がショートしてしまった。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

あまりに不利な状況に軍師達も打開策が浮かばず、普段ならとにかく力業で何とかしようとする部将達も言葉を発する事ができずにいる。

 

そんな空気の中…

 

「なーんだ、簡単じゃねェか…!」

 

ゾロが不敵な笑みを浮かべて口を開いた。

 

「ゾロさん…何か考えがあるんですか?」

 

桃香を始め、全員がゾロに注目する。

 

「不足してる兵力は90万、9人いるおれ達が一人頭10万人分働けばそれで互角に戦えるって事だ」

 

…と、ルフィ達を見渡しながら言う。

 

「「「「「「「「「「……はああァァ⁉」」」」」」」」」」

 

「おお!そうだよ!頭いいなゾロ!」

 

「どこかだよ⁉どう考えても自殺行為ねェか!」

 

「そうよ!あんたらバカなの!いや、今更だけど!」

 

「大丈夫~♡おれが30万人分働くからナミさんとロビンちゃんは休んでいていいぜ~♡」

 

「サンジ~!そこをもうちょっと頑張って50万人分くらい働いてくれ~!」

 

無謀としか思えない考えに桃香達は全員声をあげ、ウソップ、ナミ、チョッパーの弱小トリオも反対する。

ルフィとサンジは賛成している様だったが…。

 

「いえ、案外そこまで無謀ではないかもしれないわよ」

 

…と、ロビンが口を開く。

 

「必要なのは90万人分働く事であって、何も90万人倒せと言っている訳ではない。

そもそも、これ程までに兵力差があるのは敵が虎牢関に立て籠もっていて、さらに厄介な兵器を所持しているから。

兵器を壊して関の門を開けてしまえば、それで敵の兵力は本来の47万になる。つまりそれで55万人分働いた事になるわ。

鉄車、衝車、雲梯、井闌は人が乗り込む兵器の様だから壊せば敵も倒せるし、その様な状況になれば逃亡や降伏も増える筈。

それらを含めて考えれば、虎牢関の門を開けた時点でついでに35万人分も働いていると思うわ」

 

「ふむ…成程…」

 

「一理ありますね…」

 

「木でできた兵器なら手っ取り早くぶっ壊す方法はあるし…」

 

「別に私が一人で10万倒す訳じゃないなら…」

 

「案外そこまで難しくないのか…?」

 

フランキーとブルックはロビンの説明に納得し、弱小トリオも前向きに検討し始める。

 

「ちょ、ちょっとあなた達本気⁉」

 

「そ、そりゃあゾロ達がとてつもなく強いのは知ってるけど…」

 

華琳と翠がそう言った時…

 

「申し上げます!」

 

兵士が入って来た。

 

「朝廷軍の攻撃が始まりました!」

 

「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィ達は全員、急いで汜水関の屋上に移動した。

 

見下ろすと衝車が数台こちらに向かって来ており、その後ろから雲梯と井闌、さらに後ろから大量の歩兵が見える。

 

「衝車は二階構造になっているから、矢は城壁の上まで届くわよ!」

 

…と、詠。

 

「まずはこちらの数を減らさない様に戦いましょう!できるだけ身をかがめて…」

 

「あれ?ルフィはどこに行ったのだ?」

 

真直が指示を出した時、鈴々がルフィの姿が見えない事に気がついた。

 

「え?確か…ここに来るまでは一緒にいたよな?」

 

「あ…あの!ルフィさん、今下に飛び降りて…!」

 

「「「「「「「「「「え⁉」」」」」」」」」」

 

雛里の言葉に全員が下を見ると、確かにルフィが立っていた。

 

その正面には一台の衝車が迫っている。

 

「な、何やってんのよアイツ⁉」

 

「―――むんっ!」

 

桂花がそう言った瞬間、ルフィはしこを踏む様にして両足を地面に突き刺す。

 

「ちょ…!まずいって!あのままじゃぶつかる…!」

 

梨晏がそう言っている間にも衝車は猛スピードでルフィに迫り、そして…

 

「おおおォォォっ!」

 

ドォン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…しょ、衝車を……受け止めた…?」

 

ルフィは両手で衝車を止め、そのまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬあああァァァ~~~!」

 

 

「も、持ち上げたァーーー⁉」

 

「う、嘘でしょ⁉アレ中に馬四頭、人間十人入ってんのよ⁉」

 

製造に関わっていた詠は一段と驚く。

 

さらに…

 

 

「“ゴムゴムの”ォ~~~……“風車”ァ‼」

 

 

「振り回したァ~~~⁉」

 

「そして他の衝車をぶっ壊したーーー!」

 

「おおおォォォっ!」

 

ある程度衝車を壊すと手にしていた衝車をぶん投げ、それでさらに衝車を壊す。

 

「季衣、流琉…あなた達アレできる?」

 

「馬を一頭止めるだけならともかく…」

 

「アレはさすがに…」

 

「さてと…おれ達も行くか…!」

 

「ああ、急がねェと獲物が無くなっちまいそうだ…!」

 

「ま、やるしかないみたいね…」

 

「行きましょうか」

 

「よーし!男ウソップ、一肌脱ぐとするか!」

 

「おーし!おれ頑張るぞー!」

 

「まァこの状況をひっくり返せるとすりゃァ、おれ達しかいねェな!」

 

「腹を括るしかないようですね!私腹、ないんですけどー!」

 

そうして残りの麦わらの一味も、次々と戦場に降り立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィの暴れる様子は、当然攻め込んで来た敵の大将にも見えていた。

 

「将軍…衝車隊が…全滅しました…!」

 

「雲梯を早く城壁に着けろ!井闌隊は後方から援護しろ!」

 

雲梯隊と井闌隊を急がせる。

 

「“三刀流”…“龍”…“巻き”‼」

 

「“反行儀(アンチマナー)”…“キックコース”‼」

 

「「「「「「「「「「うわあああァァァ⁉」」」」」」」」」」

 

しかし、雲梯はほとんどが城壁に届く事なく破壊されてしまう。

 

「梯子を伸ばせー!」

 

「急いで登れー!」

 

「うわっ⁉なんだこれは⁉」

 

「手⁉」

 

「失礼」

 

また、なんとか城壁についても、梯子に生えたロビンの腕によって叩き落されてしまい登る事ができなかった。

 

「急げ!もっと城壁に近づき矢を浴びせろ!」

 

「⁉隊長、何か目の前に雲が…」

 

「は?」

 

「本日の天候は基本的に晴れですが、局所的な雷雲にご注意を」

 

「「「「「「「「「「ギャアアアアア!」」」」」」」」」」

 

「くらえ“特用油星”‼」

 

「⁉なんだこれは⁉」

 

「さらに…必殺“火の鳥星”‼」

 

「うわァ⁉火事だァ!」

 

井闌隊も次々とやられ、さらにその下では…

 

「逃げろー!崩れた井闌が落ちて来るぞー!」

 

「ギャー!」

 

井闌を移動させていた兵達もやられていく。

 

「将軍!雲梯隊と井闌隊も全滅です!」

 

「ええい、全軍突撃だ!たった九人!叩き潰せ!」

 

「「「「「「「「「「おーーー!」」」」」」」」」」

 

そして残りの歩兵部隊が全員ルフィ達に襲い掛かる!

 

「ちょっと敵多過ぎでしょ⁉」

 

「つーかよく考えたら、虎牢関の門開けるには35万の敵倒さねェといけねェじゃねェか!」

 

「ええ、そうよ。言ったでしょ。門を開けた時点でついでに35万人分働いてるって」

 

「っ!そういう意味か…!」

 

「まーやるしかねェだろ!」

 

パンチで地面に穴をあけ、足を引っこ抜いたルフィはにやけながらそう言い、拳を構える。

それと同時にゾロ、サンジ、ロビン、フランキー、ブルックも戦闘態勢をとる。

 

「あー!もうわかったよ!」

 

「しょうがないわねェ!」

 

「こうなったらヤケクソだァー!」

 

残りの三人もヤケになって構え…

 

 

「「「「「「「「「“7億B(ベル)JACK(ジャック)POT(ポット)”‼」」」」」」」」」

 

 

「「「「「「「「「「ギャアアアアアァァァァァ!」」」」」」」」」」

 

九人の一斉攻撃でかなりの敵を吹っ飛ばす!

 

「いくぞォ!」

 

ルフィ達はそのまま敵を押し返した勢いに乗じて大軍へと突っ込み、暴れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィ達の猛攻により敵が大混乱に陥ったのを、桃香達は汜水関の屋上から見ていた。

 

「あ…あいつら…!あんなに強かったのか…⁉」

 

「そういえば、公孫賛殿はルフィ殿達が戦うのを見るのは初めてでしたな」

 

星の隣にいる白蓮を始め、ルフィ達の戦いを見た事がなかった者達はその強さに驚愕している。

 

「ただ者ではないと思ってはいたが、まさかこれ程とは…」

 

「あれが…ゾロさんの仲間…」

 

「凄いね…」

 

「軍議の時…あの人達を敵に回さなくて本当に良かったですわ…」

 

「前にウソップさんの仲間の事…何百人、何千人って賊を一人で倒すとかって噂になっていたけど…」

 

「あれ…話が誇張されていた訳じゃなかったんだね…」

 

「一人当たり十万人分働くと豪語するだけの事はあるのう…」

 

「ホント何度見ても驚かされるわね…」

 

「ええ。強さに天井が見えないもの…」

 

「母様や姉様よりも遥かに強いんだものね…」

 

「なんだか…恋さんが何人もいるみたい…」

 

「黄巾の乱の時といい、助かるの~」

 

桔梗、鶸、蒼、麗羽、燈、喜雨、黄祖達はその強さに釘付けになり、すでに目にした事がある華琳、雪蓮、蓮華、月、美羽達もやはり目を離せずにいる。

 

「あ、あのっ…皆さん!」

 

そんな中、いち早く我に返った桃香が口を開く。

 

「今、私達も一緒に攻撃すれば勝てるんじゃないですか…⁉」

 

「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」

 

「りゅ、劉備さんの言う通りですわ!皆さん、この機を逃さず我々も打って出ますわよ!」

 

「そうね!この勢いに乗じて攻め込みましょう!」

 

「じゃあ、軍を七つに分けて動きましょう!第一軍は汜水関に残って守備を!これは少人数でいいわ。第二軍は敵の第一軍を制圧!第三軍は第二軍を!第四軍は第三軍を!

第五軍は虎牢関の前方にある陣を破って、第六軍は虎牢関を占領!五軍と六軍はできるだけ人数を多くして!第七軍は虎牢関占領後に洛陽へ向かわせて!」

 

「そうね!張譲達に逃げる間を与えない為にも、虎牢関を占領したらすぐに洛陽に向かいましょう!」

 

麗羽、雪蓮、華琳、蓮華の言葉に全員頷き、すぐさま行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“ウエポンズ・(レフト)”‼」

 

「「「「「「「「「「うわあああァァァ!」」」」」」」」」」

 

「ヨホホホホ!失礼!」

 

「「「「「「「「「「ギャアアアァァァ!」」」」」」」」」」

 

「駄目だァ!あんな怪物みてェな奴ら相手じゃかないっこねェ!」

 

「怖気付くんじゃねェ!たった九人だ!疲れるのを待ってそこを仕留めるんだ!」

 

「おお!成程!」

 

「よし、じゃあおれ疲れた所をとどめさすからお前行け!」

 

「え⁉嫌だよ!」

 

「何言ってんだ!隊長の命令だぞ!」

 

「いや、隊長なら先陣切って戦えよ!」

 

「そうだそうだ!」

 

「…何やってんだあいつら?」

 

「たぶん楽に勝てると思っていたから、ここに来て逃げ腰になってんのよ」

 

「ん?じゃあこいつら大した事ねェのか?ビビる必要ねェのか?」

 

敵兵が弱腰になっているのを見て、弱小トリオも強気になって攻勢に移り、敵軍はますます押され気味になる。

 

「くそォ!たった九人だぞ!汜水関から増援が来る前に片付け…」

 

「将軍…!もう手遅れです…!」

 

「何⁉」

 

「汜水関から敵が打って出てきました!」

 

「行けェー!」

 

「突撃だァー!」

 

「ルフィ達ばかりに暴れさせるなァー!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおーーー!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「う、うわあああァァァーーー⁉」」」」」」」」」」

 

ルフィ達の猛攻によって大混乱に陥っていた敵軍は、連合軍の格好の餌食となった。

 

「いくぞォ~~~!突撃だァーーー!」

 

「「「「「「「「「「おおーーーーーっ!」」」」」」」」」」

 

ルフィを先頭に連合軍は猛攻を開始した。

 

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