ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第164話 “太平道討伐連合”

「へ…“兵馬妖”の材料が人間…⁉」

 

そう呟く白蓮を始め、みんなはロビンの説明を聞き顔が青ざめる。

 

「まさか…太平道が各地で反乱を起こさせていたのは、その戦死者を利用して兵馬妖を作る為…⁉」

 

「それじゃあ虎牢関に援軍を送ったのも、単純な時間稼ぎだけではなくそれも狙って…!」

 

「死体欲しさに(いくさ)を起こさせるとは…!」

 

「それに自分達の部下までも…!戦死させる目的で戦場へ行かせるとは…!」

 

「それじゃあ生き残った奴らも全員、帰った後で何かしらの理由を着けて打ち首にされてそうだな…」

 

真直、鶸、凪、祭、猪々子が呟く。

 

「こうなると、いよいよ太平道に大陸を渡す訳にはいかんな…!」

 

「その様な事ができる連中なら、農業や工業も兵馬妖にやらせようとして、何人もの罪なき民を殺しかねん…!」

 

桔梗と黄祖が言う。

 

「当然ですわ!敵を退けて民を守るのは領主や君主の義務!」

 

「そうじゃそうじゃ!妾を慕ってくれとるあの領民達を死なせてなるものか!」

 

「袁紹殿はともかく、袁術殿からその様な言葉を聞くとは…」

 

「最近は善政を布いてるって噂、本当だったんだね…」

 

ねねと喜雨は小さく呟く。

 

「それで…もう少し“兵馬妖”について説明しておきたいのだけど…。

先程も言った通り、兵馬妖は人工の“ヒトヒトの実”で人間の様に動けるけど、完全に人間になった訳ではない。

それ故、“兵馬妖”を使うには“金仙丹”が必要不可欠なの」

 

「どういう事なのだ?」

 

「人間になっていないという事は、喉や胃袋などができていないって事よ」

 

「…それじゃあ、お腹が空いてもご飯が食べられないって事ですか?」

 

「じゃあ、すぐに動けなくなっちゃうっす」

 

季衣と華侖が言う。

 

「その通り。だから代わりに“金仙丹”を使うの。ただ、これも本物の生物と違って直接体内に入れる必要があるみたいね」

 

「成程…“金仙丹”から妖力が無限に供給されれば、食事をせずとも動けるという訳ですね」

 

…と、燈。

 

「そういう事よ」

 

「それでロビンさん、その“金仙丹”というのは結局何なのですか?」

 

「まァ『怨嗟の声を力に変える』なんて摩訶不思議な事ができるのは、天の国の産物でも“悪魔の実”くれェだと思うが…」

 

ブルックとフランキーに問われ、ロビンは説明を続ける。

 

「お察しの通り、“金仙丹”というのはある悪魔の実の能力で作られたもの―――いえ、悪魔の実の能力を使()()()()()()()()()()、と言った方が正しいわね」

 

「能力を使う為に作られたもの?」

 

「その悪魔の実の名前は“エンエンの実”。食べた者は怨嗟の声を妖力に変えて体内に貯める事が可能になる。

その妖力は熱や光、機械等の動力源、生物の生命力など様々なものに変換する事ができる。

それ以外にも能力者の身体能力を強化したり、自身の身体を守護する結界を張る事や、妖力を直接敵に撃つ事で攻撃する事も可能。

欠点としては、食べた者の悪しき心が増幅されるという副作用と、能力者が妖力を分け与える事ができるのは、直接触れているものだけという効率の悪さがあった。

 

政府は能力の特性と副作用から“エンエンの実”を危険視し、政府の管理下でより安全かつ効率よく利用する方法を研究させていた。

研究の末開発されたのが“金仙丹”ともう一つ、“七星壇(しちせいだん)”だった」

 

「しちせいだん?」

 

「“金仙丹”を祭る為の祭壇があると聞いた事があるが、もしやそれの事か?」

 

「華佗さんの言うそれで間違いないわ。“金仙丹”は“エンエンの実”を人に食べさせずに能力を使い、同時にその能力を同時に複数の対象に使えるようにする為に作られ、“七星壇”は“金仙丹”を作る為に開発された。

“七星壇”は巨大な楼閣の様な外観で中の柱や壁、床には金属製の管が大量に組み込まれているらしいわ」

 

「そういえば、郿塢城の中心にやたら大きな建築物が造られていたわ!ほとんど完成していた物を、大人数で運んで組み立てたみたいだったけど…」

 

思い出した様に瑞姫が言う。

 

「おそらくそれが“七星壇”でしょうね。太平妖術によると、“金仙丹”は“エンエンの実”を六つの特殊な鉱石と共に、特殊な薬品を混ぜた液体の中に入れて作る。

しばらくすると液体が固まり、“エンエンの実”と六つの鉱石を内部に閉じ込めた金色の結晶石が完成する。

 

その結晶石をある程度削ったら“七星壇”の燃料を供給する為の部位に組み込み、結晶石の本体は、七星壇の屋上にある台座に置く。

あとは怨嗟の声さえあれば、“金仙丹”の欠片から“七星壇”に燃料が供給され、“七星壇”は“金仙丹”を作り始める。

 

屋上の台座が管を通して材料となる薬液をくみ上げ、“金仙丹”に供給される。“金仙丹”は薬液を取り込む事で大きくなり、より多くの妖力を貯め込む事ができるようになる。

 

その後は“七星壇”のどこかにある投与口から薬液の材料を入れて世の中を乱せば、“金仙丹”が怨嗟の声から燃料を作り、その燃料で“七星壇”が薬液の調合から“金仙丹”の製造まで勝手に行ってくれるらしいわ」

 

「恐ろしい程よくできた仕組みだな…」

 

「それもこれも、その“エンエンの実”という不可思議な果実の力ゆえだったんですね…」

 

秋蘭と流琉が呟く。

 

「“金仙丹”についての大まかな説明はこんな所よ」

 

「お疲れ様でしたわロビンさん。―――では、皆さん」

 

ロビンが説明を終えると、麗羽が口を開く。

 

「昨日、左慈はわたくし達に一年間、降伏か決戦かを考える期間を下さいましたけど…。皆さんはそれぞれどちらを考えておりますか?因みに、わたくしと袁術さんは決戦で腹は決まっておりますわ」

 

「あいつらに天下を獲らせるつもりは毛頭ないわ。我々曹操軍は戦うつもりよ」

 

「孫策軍も同じく」

 

「あたし達西涼軍も同じだ」

 

「わしもじゃ」

 

「つい先日、生涯かけて民に尽くすと誓った身で、どうして彼らに降伏できましょうか⁉」

 

「私も右に同じだ!」

 

「あのような輩の配下に着くくらいなら討ち死にした方がましです」

 

「先程も言った通り、奴らに国は預けられん」

 

「私も…!あの人達は許せません!」

 

華琳、雪蓮、翠、桔梗、月、白蓮、燈、黄祖、桃香は力強く答える。

 

「霊帝陛下、何進大将軍、その他中郎将の皆様のお考えは⁉」

 

「……難しい事はよくわからないけど、私はあいつらの事嫌いよ…!」

 

「降伏してもろくな目に遭わないのは目に見えているからな…!なら決戦しかあるまい!」

 

「我ら中郎将一同も、陛下と大将軍のお考えに異議はございません」

 

麗羽の言葉に空丹、傾、楼杏は答える。

 

「わかりましたわ。―――それで…」

 

そこで麗羽を始め、華琳や雪蓮に桃香、各軍の首脳陣達は一斉にルフィ達の方を見る。

 

「ルフィさんとそのお仲間の皆さん…」

 

「この場にいる私達全員から、お願いがあります…」

 

「聞いての通り、私達はこれから太平道に戦いを挑むわ」

 

「けど、残念ながら私達だけで戦っても勝機はほぼないに等しい」

 

「それで…私やお姉様も一緒に、昨日の夜に全員で話し合って決めました…!」

 

麗羽、月、雪蓮、華琳、白湯が順に口を開く。

 

「ルフィさん、改めてお願いします!太平道を倒す為、この国を守る為に、どうか私達にご助力をいただけないでしょうか!」

 

桃香がそう言って頭を下げると同時に、他のみんなも頭を下げる。

 

対してルフィは…

 

「いいに決まってんだろ!ここはおれの妹と友達の国だ!」

 

少しも間を開ける事なく答え、他の麦わらの一味の面々も力強い笑みを浮かべて頷く。

 

「ありがとうございます!」

 

「これでこの場にいる全員の共闘する意思が確認できたわね」

 

「曹操様、一つよろしいでしょうか?」

 

「言ってみなさい荀彧」

 

「現在この連合は、反董卓連合の延長という形で結成されておりますが、大将軍何進率いる官軍や董卓軍が加わった事、敵が改まった事などから改めて総大将を選出し直すべきかと思います」

 

「成程、確かにその通りね…。それじゃあ私は―――ルフィを推薦しようかしら?」

 

「ん?」

 

「いいんじゃないそれ!」

 

「ええ。昨日の戦いを見た限りでは、馬元義や左慈、于吉ら太平道の上位の幹部と戦って勝てる見込みがあるのはルフィ達しかないわ」

 

「情けないけど…あたし達にできそうなのは、あんたらがそいつらの元へ行く為の道を作る事ぐらいだしな…」

 

「わしも異議はないぞ」

 

「わたし達の最高戦力ですし、相応しいと思います!」

 

「貴様らくらい強い者が大将を務めていれば、部下達も奮い立つだろう」

 

「私も、ルフィ達なら納得できる」

 

「最初に連合軍で軍議を行った時の弁も見事でしたしね」

 

「虎牢関での暴れ振りも見事なものだったしのう」

 

「ま、まァ…あなた方でしたら、私も認めて差し上げますけど…」

 

「反対するのも面倒くさそうじゃ。妾もそれで良いぞ」

 

華琳の言葉に雪蓮、蓮華、翠、桔梗、月、傾、白蓮、燈、黄祖も賛同し、麗羽と美羽も反対はしない。

 

「そういう訳だけどルフィ、私達の総大将になってくれるかしら?」

 

「イヤだ」

 

「「「「「「「「「「え⁉︎」」」」」」」」」」

 

遠慮とかではなく、本当に嫌そうに言うルフィに一同は思わず面食らう。

 

「おれ偉くなんの好きじゃねェもん」

 

「いや、好き嫌いとかではなくてですね…」

 

「まァでも待て、確かにこいつにそういうのはやらせるべきじゃねェ」

 

朱里が何か言おうとする前にゾロが口を開く。

 

「確かに戦力的にはおれ達が頼りなのかもしれねェし、お前らに異議はねェのかもしれねェ。

けどおれ達はあくまでも雑軍だ。正式な身分や階級があるお前らを差し置いて総大将になったりしたら、この場にいねェ奴らの中に納得しねェ奴もいるだろ」

 

「一理ありますね…」

 

「昨日の戦いも、全員が全員見ていた訳ではないからな…。未だに太平道の妖術やルフィ殿達の実力を疑っている者達も少なからずいるだろう…」

 

「しかし…この状況でルフィさん達を差し置いて私達の誰かがやるというのも…」

 

ゾロの言葉に美花と思春が同意し、柳琳を始め皆考え直す。

 

「ちょっとあんた」

 

桂花がルフィに向かって口を開いた。

 

「何だ桂花?」

 

「あんた、誰かの部下になるのは嫌よね?」

 

「ああ、勿論だ」

 

「曹操様。一つ提案があります」

 

「言ってみなさい」

 

「ここはひとまず天の御遣いを抜きにして、私達だけで連合軍を形成し、総大将を置くのはいかがでしょう?

そして私達の間で秘密裏に、連合軍と天の御遣いが対等な立場で同盟を組むのです。私達は天の御遣いを、その他の将兵は連合軍の将を総大将として団結すればよろしいかと」

 

「ふむ…あなた達はどう思う?」

 

「妥協案としてはいいんじゃない?」

 

雪蓮が賛同し、他のみんなも頷く。

 

「ルフィはどう?」

 

「まァそれならいいぞ」

 

「じゃあ決まりね。ルフィ達を除いた連合軍の総大将は誰にするの?」

 

「朝廷の兵を含む連合である以上、やはり何進将軍に務めさせるのがよろしいかとー」

 

「程昱殿の言う通りね。何進将軍、お願いできますか?」

 

「状況から見て嫌とは言えないだろう。主上様もよろしいでしょうか?」

 

「ええ。ルフィもいるなら大丈夫だと思うわ」

 

「随分と信用されているのですな…。では中郎将及び大陸各地の諸侯達よ!我々は今この場をもって、正式に『太平道討伐連合』を結成する!良いな⁉」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

傾の言葉に桃香達は威勢良く答える。

 

「ルフィといったな。よろしく頼むぞ!」

 

「おう!」

 

傾とルフィが手を握り、同盟が結成された。

 

(…それにしても、桂花ったらいつの間にルフィに真名を預けたのかしら?)

 

軍議が終わった後、桂花はその事について華琳からとことん問い詰められるのであった。

 

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