ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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今回は、桃香ら恋姫キャラ達にワンピースの世界について説明する回です。



第165話 “天の国の強者”

「―――では、太平道とどう戦うかについて、改めて軍議を始めるとしよう」

 

冥琳の言葉で、全員が一斉に真剣になる。

 

「いや、その前に良いか?」

 

「どうしたの張昭?」

 

「先程のロビン殿の説明によれば、“金仙丹”と“兵馬妖”はどちらも“悪魔の実”という物の力によって作られている。

これから太平道と戦う以上、もう少しその“悪魔の実”とやらについて、詳しく話を聞いていた方が良いと思うのじゃ。

どうも他の武術や武器の類よりも、厄介なものの様に感じられるしのう」

 

「確かに…。昨日の軍議の際、ロビン殿が簡単に話してくれた“六式”や“生命帰還”、その他の武器についてはある程度どの様なものかわかったが、“悪魔の実”については摩訶不思議な力としか捉える事ができていないからな」

 

「そうですね。もう少し詳しい話を聞かせて貰いたい所です」

 

「わかったわ」

 

白蓮と真直も言い、ロビンは説明を始めた。

 

「まず“悪魔の実”というのは天の国に存在する果実。食べると生涯泳げなくなる代わりに、特殊な能力を使えるようになる。

“悪魔の実”は能力の種類によって“動物系(ゾオン)”、“自然系(ロギア)”、“超人系(パラミシア)”の3種に分類されている。

動物系(ゾオン)”というのは先程も言った通り、動物に変身する能力で、能力を発動させていない人型、完全な動物の姿になる獣型、体の一部を動物に変化させる獣人型の三段階の変身が可能になるわ」

 

「確かチョッパーは、特殊な薬を使う事で本来は不可能な七段階の変身を可能にしているのだったな?」

 

華雄が確認する様に訊ねる。

 

「ああ。劇薬だから三刻に一つが適量で、使い過ぎると“悪魔の実”の能力(チカラ)が暴走しちまうから、注意して使っているんだ」

 

「“動物系(ゾオン)”の特徴は、純粋に身体能力が強化される事。ある程度武術の心得がある者に食べさせるのにうってつけの実よ」

 

「確かに…熊の腕力や虎の俊敏さで武術を扱う事ができれば、相当手強いでしょうな…」

 

「鳥に変身したりして、空から弓を射かけたりする事もできる訳ですしね…」

 

凪と紫苑が呟く。

 

「ええ。特に肉食動物に変身する能力は性格が凶暴化するとも言われている。

それから“動物系(ゾオン)”には“古代種”と呼ばれる何千年、何万年も昔の動物や、実在しない空想上の動物に変身できる“幻獣種”と呼ばれる物も存在するらしいわ。

それらの強固さや腕力は他の“動物系(ゾオン)”よりも断然強力で、稀少なものとして扱われている。

 

次に“自然系(ロギア)”の能力は、体を砂や火などに変える事ができる様になる能力。この種類の実は全般的に“悪魔の実”の中でも稀少で、別格扱いされているわ」

 

「それは何故じゃ?」

 

桔梗が訊ねる。

 

「私達が火などを掴む事ができない様に、“自然系(ロギア)”の能力者の身体には触れる事ができなくなる。殴ったり剣で斬りつけたりしても、すり抜けて攻撃が当たらなくなるのよ」

 

「ええっ⁉ちょっ…そんなのが相手にいたら勝ち目がないじゃん!」

 

「ま、まさか太平道の中にそんな奴がいたりはしないよな⁉」

 

梨晏や翠を始め、全員動揺する。

 

「それは大丈夫。調べてみた所、この世界に運び込まれた悪魔の実の中に“自然系(ロギア)”は存在しないわ。それに“自然系(ロギア)”の能力も強力ではあるけど、決して無敵ではない」

 

「…と、いうと?」

 

「最初に言った通り、“悪魔の実”の能力者は生涯泳げなくなる。つまりどの能力も必ず“水”という弱点が存在する」

 

「けど、それくらい泳ぎの練習をすれば何とかなるんじゃないの?」

 

…と、シャオ。

 

「能力者の『泳げなくなる』というのはそんな単純なものではないの。体は水に浮かばなくなり、水に浸かるだけで力が抜け、思い通りに動かせなくなるの」

 

「もはや呪いの域ですね…」

 

明命は青ざめる。

 

「それに火が水で消える様に、それぞれの能力にある弱点を突けば勝機はある。

他にも先程言った“動物系(ゾオン)”の“幻獣種”などには“自然系(ロギア)”にも通じる攻撃が可能な物もある。“エンエンの実”も妖力で直接攻撃すれば、“自然系(ロギア)”に通用するらしいわ。

それと…私も詳しくは知らないのだけど、今言った方法とは別にあらゆる“悪魔の実”に対抗する“(すべ)”が存在すると言われている」

 

(すべ)?」

 

「ただ、火などに定まった形がない様に、体を自由自在に変形させる事ができるから回避にも特化していて、攻撃が通じたとしても当てるのは容易ではないわね。

 

最後に“超人系(パラミシア)”だけど、これは“動物系(ゾオン)”と“自然系(ロギア)”以外の能力の総称と言うべきね。

ルフィの“ゴムゴムの実”や私の“ハナハナの実”、ブルックの“ヨミヨミの実”も全て“超人系(パラミシア)”の能力よ。

この能力の厄介な点は、能力ごとにその法則が全く異なる事。

ルフィみたいに体が常に変化しているものもあれば、何かを自由自在に出現させて操るもの、“エンエンの実”の様に理屈では説明できない奇怪な事ができる様になるものもある。

使い方次第では“自然系(ロギア)”よりも厄介な能力ね」

 

「確かに…ルフィの能力は一見体が伸び縮みするだけの様に見えるが、打撃や雷が効かないという利点もあるしな…」

 

焔耶が呟く。

 

「そういえば、昨日使っていたもの凄く動きが速くなるアレも“ゴムゴムの実”の力なの?」

 

蒼が訊ねる。

 

「ああ。足をぐにゅってやって血が流れんのを速くしてるんだ」

 

「血液の流れを⁉」

 

「そんな事をしたら、血管が破裂しちゃいますよ…!」

 

「圧力に耐えられる、ルフィ殿ならではの技だな…」

 

「それでは体に負担がかかるのも頷けます~…!」

 

朱里や雛里、華佗や穏など、多少なりとも医療の心得がある者達は顔を引きつらせる。

 

「しかし、その様な使い方もできるとは…。“悪魔の実”というのは使い方次第で本当に恐ろしい力になるのですね…」

 

…と、美花。

 

「だが、いくら強い力が手に入るとはいえ、ルフィ殿達の様な海賊にとってカナヅチになるのは断固避けるべき事ではないか?」

 

…と、思春。

 

「それは人それぞれだけど、空を飛ぶ事ができる能力もあるし、能力者を海に落とすのは容易ではないわ。それだけ“悪魔の実”の力は強大なの。

現に私達の世界の強者はほとんどが能力者だし、“悪魔の実”を売却すれば生涯食べるに困らない程の高値で買われるらしいわ」

 

「食べるに困らないって…いくらくらいなのよ?」

 

詠が訊ねる。

 

「あくまでも天の国の相場でだけど…一億は下らないと言われているわ」

 

「い、一億⁉」

 

その金額にほとんどの者が驚愕する。

 

「朱里、それってどのくらいなのだ?」

 

「か、仮に私達の世界の物価だと…牛肉だったら二百五十万斤…!羊や猪だったら五百万斤…!つ、つまり本当に山の様に買えるって事ですよ…!」

 

「酒に換算すれば特上の名酒にしても二百万斗…!酒の池ができるぞ…!」

 

「豪邸なら百軒は建てられますし、名馬なら数百頭…!高級な絹は三万五千匹…!名刀は六千五百本以上…!白米は二十五万石も買えますわ…!

季衣さんが数十人いても生涯かけて食べきれないかと…」

 

「ええっ⁉そんなにお米が買えるんですか⁉」

 

朱里、星、栄華が説明し、季衣達も驚く。

 

「風の噂では、ある悪魔の実を政府がその数十倍の金額で海賊から買い取ろうとしたという話もあるわ」

 

「い…一億の数十倍って…!」

 

「いや…それよりも政権が犯罪者と取引してまで得ようとするとは…!」

 

「ですが…“エンエンの実”の様な能力(チカラ)あるものなら、それも納得できます…!」

 

ロビンからさらに話を聞き瑞姫、黄祖、稟らは驚く。

 

「まァ、“悪魔の実”は同時に二つ以上同じものが存在する事はないから、一度何者かに食べられると、能力者が死んでから世界のどこかに再生するのを待つしかない。

特定の能力を確実に入手したいのなら、いくらでも出す者はいるでしょうね」

 

「少しいいかしら?」

 

粋怜が口を開く。

 

「今思ったんだけど、太平道の奴らが一つの悪魔の実を何人かで分け合って、同じ能力を持っている奴を何人も増やしているって事はない?もしそうなったら凄く厄介そうだし…」

 

「それはないわ。一つの悪魔の実からは一人の能力者しか生まれないの。能力を得られるのは最初の一口をかじった人物のみ。人工の果実も失敗作みたいだから、多くても数十人でしょうね」

 

「じゃあさ、逆に誰か一人がいくつも悪魔の実を食べて、とんでもなく強くなっているって事は?」

 

続いて蒲公英が訊ねる。

 

「それも不可能よ。悪魔の実は二つ食べると体が跡形もなく飛び散って死んでしまうらしいわ」

 

「あ…跡形もなく…!」

 

「飛び散って死ぬ…!」

 

大喬と小喬を始め、皆顔を引きつらせる。

 

「ボクも訊きたい事があるんだけど…」

 

今度は季衣が挙手する。

 

「何?」

 

「悪魔の実って美味しいの?」

 

「もの凄く不味いわ。思わず吐き出したくなる程よ」

 

「そうなんだ」

 

「説明としては、大体こんな所かしら?」

 

「そうね…。所で話は変わるけど…」

 

雪蓮が口を開いた。

 

「あなた達のいる世界―――天の国にいる“強者”ってどんな奴がいるの?どれくらい強いの?」

 

「確かに…ちょっと興味あるわね…」

 

華琳を始め、皆興味深そうにしている。

 

「そうね…。ちょっと話は逸れるけど、太平道の強さを計る参考にはなるかもしれないし、話しましょうか」

 

ロビンは再び話し始めた。

 

「私達の世界で強者と聞いて真っ先に浮かぶのは『海軍本部』の『大将・中将』、『海賊・王下七武海』、そして『四皇』ね」

 

「どういう連中なの?」

 

「『海軍本部』というのはさっき説明した、世界政府直属の軍隊である海軍の本拠地。『大将』はその最高指揮官の直下にいる三人の将校で、『海軍の最高戦力』と呼ばれているわ」

 

「戦った事はあるんですか?」

 

「ああ。全然歯が立たなかった」

 

「「「「「「「「「「っ⁉」」」」」」」」」」

 

ルフィが真剣な顔でそう言った為、全員絶句した。

 

「相手が一人だったから何とか逃げ切れたけど、ルフィとロビンは一瞬で殺されかけたし、ゾロとサンジも簡単にやられちまってたな…。おれやナミに至っては何もできなかったし…」

 

「た…単独でルフィ殿とロビン殿を瀕死に追い込み、ゾロ殿とサンジ殿も一蹴できるのか…」

 

ウソップの話を聞き星は戦慄する。

 

「『中将』は大将より一段階下の階級の将校の事。さらに一段階下の『少将』より強く『大将』より弱い者達の総称だから、強さの振れ幅が最も大きい階級ではあるけれど……どんなに弱い中将でも、単独でルフィと相打ちできる程の強さがあるとみて間違いないわ…。

強い中将だと、私達9人全員で戦っても勝てないでしょうね…」

 

「それ程の実力者が何人もいる組織があるというのが恐ろしいわね…」

 

…と、楼杏。

 

「ついでに言っておくと、政府の諜報機関として“サイファーポール”という十人前後の組織もいくつか存在するわ」

 

「諜報って事は間者?」

 

「ええ。中には暗殺を依頼される組織も存在するけど、その組織は人員の一人一人が強くて、一組織で私達と渡り合えた。星の数程いる様な海賊団だったら一員単独で壊滅させられるくらいの実力はあるわね。

 

次に『七武海』というのは、政府と取引をした七人の海賊、もしくはその船長の事。略奪などの海賊行為をある程度許される代わりに、様々な形で政府に協力する。

彼らが政府に協力している事が他の海賊達への脅威となる必要があるから、『七武海』は皆自他ともに認められる強さを有している」

 

「会った事あるの?」

 

「…おれ達が実際に戦った事があるのは3人。一人は『世界最強の剣士』と呼ばれる男でおれが一騎打ちを挑んだ」

 

ロビンに代わってゾロが話し出す。

 

「それで、どうなったの?」

 

「そいつは掌に乗り切る大きさの短刀しか使わなかったが、おれは軽くあしらわれて()けた」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

「ぞ、ゾロが軽くあしらわれた⁉」

 

「し、しかも掌に乗り切る様な短刀で⁉」

 

衝撃的な結末にまたも全員が激しく動揺する。

 

「ねェちょっと…あんたこの前虎牢関の門を斬り崩してたけど、そいつだったら…?」

 

「たぶん虎牢関その物を横に真っ二つにできてただろうな」

 

「…っ!」

 

ゾロの返答に詠は絶句する。

 

「二人目はルフィが一騎打ちを挑んだ。策を練って戦ったおかげで、三度目の正直で何とか倒す事はできたが、それでも相打ち。しかも三回とも死にかけた。

ロビンちゃんがその場にいなかったらルフィは死んでたし、相手の方はまだ息はあったから、運が悪かったらルフィの敗北で決着がついていたかもしれねェ…」

 

「一回目は手も足も出なかったしな」

 

「つまり単純に腕っぷしだけで勝つ為には、孺子でも実力が足りんという事か…」

 

今度はサンジとルフィの話を聞き、祭が呟く。

 

「三人目と戦った時は、おれ達全員と他の海賊団で結託して船長一人と戦って何とか勝った。それもおれ達はボロボロにやられちまったしな…」

 

「で、でもあれは相手がオーズなんてとんでもないものを使ってきたから…!」

 

「それも含めて相手の“強さ”だ。それに単純におれ達を消すだけなら、もっと簡単にできただろうが」

 

「う…」

 

サンジの言葉にウソップは物申そうとするが、ゾロの言葉に口を閉ざす。

 

「何なのその“おうず”って?」

 

「大昔に天の国にいた伝説の巨人だ。相手はその死体を操って戦ってたんだ」

 

「死体を動かせるのか⁉」

 

「まァ土人形を動かせる事ができるんですし、有り得なくもないですけど…」

 

「それよりその巨人ってどれくらいでかいんや?」

 

猪々子と斗詩が呟き、霞が訊ねる。

 

「たぶん虎牢関越しに上半身が見えるくらいはあるだろうな」

 

「ええーーー⁉そんなに大きいのーーー⁉」

 

「あと、身長が虎牢関と同じくらいの奴なら結構いるぞ」

 

「そ、そうなの⁉」

 

「ああ。“巨人族”って呼ばれる種族がいて、そいつらの国がある。他にも掌に乗り切る様な大きさの“小人族”や魚と同じ様に鱗やヒレがあって水中で呼吸する事ができる“魚人族”、“人魚族”なんてのもいる」

 

「ルフィさんの仲間を見てても思いましたけど~天の国には色んな生き物がいるんですね~」

 

穏の言葉に全員が頷く。

 

「―――で、最後に『四皇』だけど、これは天の国で『海の皇帝』と呼ばれる強大な力を持つ4人の海賊達の事。

これに対抗する勢力として『海軍本部』と『王下七武海』が存在すると言えば、強さは理解できるかしら?」

 

「ええ。凄くわかりやすいわね…」

 

「ルフィ達よりも強い人間が何人もいる組織が、ルフィ達を圧倒できる海賊を七人も雇う程の脅威。

それにおそらく、その『四皇』という海賊達はそれぞれ敵対しているんでしょう?その状態でようやく均衡が保てる…」

 

「それ程の海賊なら、きっと船長だけでなく部下も強く、組織としての規模も大きいのでしょうね…」

 

「そうなると、仮に船長の首を取ったとしても残党達だけで十分な脅威になり得ますわね…」

 

華琳、雪蓮、月、麗羽が呟く。

 

「ええ。その海賊団本体の船員以外にも、いくつもの海賊団を傘下として部下に置いているわ。

だから海軍の“大将”や“七武海”でも、積極的に彼らを襲う事はまずできない。けど四皇同士や海軍全体と戦う時に、大きな急所となり得る損傷を与える事はできる。

故に“四皇”も可能な限り“大将”や“七武海”との衝突は避けようとする。

他にも巨大な組織や軍事国家は存在するけど、有名な強者としてはこれくらいかしらね」

 

「……天の国の強者とは、とんでもない者達なのだな…」

 

「ああ。我々はルフィ殿達が圧倒的な強さで無双する所しか見ていなかったからな…。太平道の奴らが互角に戦った時点でかなり驚いたくらいだ…」

 

「けど…天の国はゾロ達以上に強い奴らが何人もいるのか…」

 

愛紗、星、翠が呟く。

 

「私達も決して弱者の部類には入らないわ。けどそれは単に、総人口で考えた時に半分より上の強さになるというだけ。

何十億、何百億という人口がいる世界で、その一万分の一にも満たない()()()()()()()()()の限られた強者に入るかはわからないし、入ったとしても下の方。

ましてや世界の頂点の座を争う、ほんの一握りの強者には遠く及ばないわ」

 




恋姫世界の相場は、ハーメルン内に掲載されている『資料 恋姫時代の後漢』を参考にさせていただきました。
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