ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第166話 “管路の予言”

「―――それで、私個人の考えでは孫策さんや愛紗さん、曹操さん達ぐらいの人達なら天の国の総人口で考えれば、半分より上の強さに入ると思うわ」

 

「それはつまり、私達が太平道の幹部達と戦ったとしても、勝ち目がない訳ではないという事ですか?」

 

…と、斗詩

 

「ええ。幹部ではない大方達と戦ってみた感じでは、単純に実力ならあなた達の方が上だと思う。相手の武器や技に惑わされなければ勝てる相手よ。

幹部達の方は何とも言えないけれど、于吉や左慈には及ばない所を見ると、あなた達なら互角に戦える筈」

 

「それが聞けて良かったわ」

 

「ええ。ルフィ達に任せきりなのは流石に申し訳ないし…」

 

「叶うならば、直接この手で片を付けたい相手もいるからな…!」

 

雪蓮や華琳、春蘭らは怒りと喜びが混ざった声で言う。

 

「左慈は一年間の猶予をわしらに与えると言っておった。本当にそれだけの猶予を与えてくれるのであれば、その間にわしらも可能な限りの備えをするべきじゃろうな」

 

「ああ。奴らの拠点がわからない以上、私達は向こうが攻め込んできたところを迎え撃つしかないしな」

 

「だが、一年待つというあいつらの言葉を信用していいものか…」

 

桔梗と白蓮の言葉に、秋蘭が疑問を唱える。

 

「私は信用しても良いと思います」

 

…と、桂花。

 

「それは何故?」

 

「昨日左慈は『一年の間に兵馬妖を量産する』と言っておりました。おそらくですが“一年”という期間は、人工の“ヒトヒトの実”を栽培する為に要する期間―――つまり彼らが力を蓄えるのに必要な時間でもあるのかと。

昨日の敗戦もありますから、勝利を確信できるだけの兵力を得てから仕掛けてくると思います」

 

「成程。異議のある者は?」

 

誰も口を開かない。

 

「なら、私達もこの一年間を有効に使わせて貰いましょう」

 

「―――で、実際にどう戦うかだけど…。敵は『太平道』が二万、それ以外の兵が十八万、兵馬妖もおそらく十万や二十万どころじゃない筈…」

 

「こちらは何進将軍達が率いていた兵を加えて十三万。虎牢関で捕虜とした兵は元々太平道に降伏していた兵だから、使わない方が良さそうね…」

 

「案外簡単に買収できそうな気もするけど…。あくまでも最後の手段として考えておいたほうが良さそうだね」

 

「天の国の兵器や空を飛べる兵士が何人もいる所を考えると、関に籠って戦う意味はなさそうね…」

 

「奴らが宮廷に出入りしていた事を考えると、既に何らかの細工をされている可能性もあるしのう」

 

「洛陽の都自体は攻め易く守り難い地形、ここに立て籠もるのは良い策とは言えません」

 

「…となると、ここは打って出るべきだな」

 

「けど、正面から戦っても勝ち目はないだろうな…」

 

「何か策を講じませんと…」

 

華琳、雪蓮、蓮華、喜雨、燈、黄祖、月、翠、白蓮、麗羽の言葉に全員頷く。

 

「あのー…兵馬妖って“金仙丹”がないと動けないんですよね?―――で、確か金仙丹の欠片は本体から妖力を受け取って、それを供給するって。

だったらその本体を壊してしまえばいいんじゃ…」

 

桃香が口を開く。

 

「あなた相変わらず頭が帽子置き場にしかならないみたいだからわかりやすく説明してあげるけど、“金仙丹”は何十万もの太平道の兵士達が所持しているのよ?

連中だってそんな事ぐらいわかっているんだから、厳重に守られているに決まっているでしょう?それなのにどうやって破壊するっていうのよ?」

 

桂花が呆れた様に言う。

 

「けどよー」

 

今度はルフィが口を開く。

 

「どうせ全員ブッ飛ばすの大変だぞ?だったら“金仙丹”を何とかする事だけ考えた方がいいんじゃねェか?」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

「た、確かに…」

 

「ルフィさんの言う通りですね…」

 

「こいつまた確信つきやがった…」

 

「凄い…私が言っても全然説得力なかったのに…」

 

「また一本取られたみたいね荀彧」

 

「ぐぬぬ…」

 

「あんたって…頭が良いのか悪いのかよくわからない人間ね…」

 

「華佗、“金仙丹”を破壊するのは実際可能だと思う?」

 

「うむ…“金仙丹”の本体から妖力が届く範囲に限りがある以上、兵馬妖を率いて攻め込むには、必ず戦場に本体を持ち込む必要がある。検討する価値はあるかもしれん」

 

「それに私が太平妖術で調べた所、“金仙丹”による身体能力の向上には副作用があって、妖力の供給が途絶えると凄まじい疲労と脱力が体を襲い、動けなくなってしまうらしいわ」

 

「つまり“金仙丹”を破壊すれば、敵は兵馬俑も人間も動かなくなります。一気に我々の勝利になるのです!」

 

「それなら、“金仙丹”を破壊する事を主軸に作戦を立てるべきね」

 

華佗とロビンの話を聞き、ねねと風鈴が言う。

 

「ただ、さっき少し話したけど“エンエンの実”の能力には結界を張って能力者を保護する力がある。この場合“金仙丹”と“七星壇”が“能力者”という事になるから、破壊するのは容易ではないわ。

特に“七星壇”は天の国で作られた鋼鉄を用いているから破壊はまず不可能。“金仙丹”の方がまだ破壊できる可能性があるけど、それでも鉄以上の硬度があるわ」

 

「鉄以上の硬度となると、おれ達でも簡単には壊せねェな…」

 

…と、ゾロ。

 

「なァロビンちゃん、少し気になったんだが“七星壇”ってのは結構デカいもので、建物みたいな構造なんだろ?その屋上にある“金仙丹”に近づく事は可能なのか?

そこに行く為の通路がない可能性や、あったとしても施錠されていて出入りできない可能性もあるし…。もしそうだったら破壊も難しそうだが…」

 

「それは大丈夫そうよ。“金仙丹”を使用するには本体から欠片を削り取る必要があるから、“七星壇”の中には屋上へ出入りする為の階段が造られている。

それから徐福の記述によると、天の国にいた頃は鋼鉄製の扉と特別な鍵と錠を使っていたらしいけど、この世界に来た時に鍵を紛失してしまったらしいわ。

それで仕方なく鍵と錠を扉ごと作り直したみたいなの。だから施錠はされているけど、他の部位よりも脆弱で、破壊するのは可能よ」

 

「それじゃあ作戦としては“七星壇”の入口を破壊して中に侵入。中の階段を上って屋上まで行き、“金仙丹”を破壊するという形になりますね」

 

「…で、肝心なのがどうやって“金仙丹”を破壊するかだが…」

 

「あのー“金仙丹”って天の国の“悪魔の実”の能力(ちから)によるものなんですよね?…で、その能力者は水が苦手と。だったら水をかければいいんじゃないですか?」

 

七乃と冥琳の言葉に全員が考え込む中、包が提案する。

 

「いや、正確に言うと能力者の弱点は『水に浸かる』事なんだ。確かに塩や海水で能力を解除できる例もあるが、大抵は能力者の意識を奪うか、能力者の身体を八割方水に沈めないと無効化する事はできねェ」

 

「つまり“金仙丹”と“七星壇”を水没させる必要があるという事ですか…」

 

「それは難しいの…」

 

サンジの話を聞き亞莎と雷火が呟く。

 

「それに能力によっては水を蒸発させたり凍らせたり、水に干渉する事ができるものもある。さっき言ってた結界って奴で、水を防がれちまうかもしれねェ」

 

…と、フランキー。

 

「ん~…こういう時に“海楼石(かいろうせき)”があれば便利なんだろうけどな~…」

 

「かいろうせき?何じゃそれは?」

 

ウソップの呟きを聞き、美羽が訊ねる。

 

「天の国に存在する特殊な石で、能力者にとっての海と同じ効果があるんだ。鉄の何倍も硬いから、天の国ではそれを使った手枷や鎖、牢獄で犯罪者を捕えたり、それを使った武器で戦う奴らもいるんだよ」

 

「成程…。“悪魔の実”の能力を封じる事ができるのなら、同じ様に金仙丹の力も封じる事ができるかもしれませんわね」

 

「そうでなくても、鉄以上の硬度があるのなら、それで叩けば破壊する事もできるかも」

 

ウソップの話を聞いて栄華と柳琳が呟く。

 

「この世界に飛ばされたのが政府の研究施設で、囚人や奴隷が収容されていたのだとしたら、海楼石の鎖とかもあったかもしれないけど…」

 

「全部太平道の手中にあると考えるべきよね…」

 

ロビンとナミが言ったその時。

 

「いや…待てよ……!もしかしたら、その“海楼石”とやら手に入るかもしれん!」

 

「「「「「「「「「「え⁉」」」」」」」」」」

 

華佗が声をあげた。

 

「実は、管路の予言には『天の御遣い』の他に『龍の爪を所持する剣士』の事が述べられているんだ」

 

「『龍の爪』?」

 

「管路の予言を一字一句正確に読み上げるとこうなる。

 

 

 

 

 

遥かなる高き空の上に蒼天を下に敷く『天の国』在り。

 

太平の世を守りし道士達、邪悪の妖術使いと化す。

邪悪の妖術使い達、世の中を怨嗟の声で満たし、暗雲の中より悪しき神を呼び降ろす。

 

悪しき神地上に降り立つ時、暗雲を斬り裂き、天の国より九つの流星が降り注ぐ。

九つの流星は地上に降り立ち、九人の天の御遣いへと姿を変える。

 

打撃と雷を無効とし、伸縮する身体を持つ護謨(ゴム)の御遣い。

三本の刀を携え、鉄をも斬り裂く刀剣の御遣い。

雲の行く末を知り、風雲雷雨を味方につける気象の御遣い。

千里先の敵をも射貫き、火炎の矢弾(やだま)を放つ射手の御遣い。

黒き袴を身にまとい、その蹴撃で岩をも砕く剛脚の御遣い。

獣の体に生まれ、人の智慧を授かりし獣人の御遣い。

幾千もの腕を持ち、敵を逃さぬ千手の御遣い。

鋼の肉体を持ち、両腕が兵器と化す鋼鉄の御遣い。

骸の体で生を持ち、隠なる剣を扱う屍の御遣い。

 

時同じくして、地上に有る龍の卵雷と共に孵り、龍が生まれる。

龍は天に登りし時、一本の爪を地上に残す。

 

地に落ちた爪はやがて一本の剣と化し、地上の高貴なる血に連なる者の手に渡る。

龍の爪を選ばれし者が手にし、強き心を込めて振るう時、それは聖なる輝きを放ち悪しき妖術を打ち破る。

 

九人の天の御遣いと龍の爪に選ばれし者が揃いし時、悪しき神と妖術使い達は敗れ、天下は太平を取り戻す。

 

天下に太平戻りし時、蒼天より迎えの箱舟が現れ、御遣いは天へと帰還する。

 

 

 

 

 

何故『天の御遣い』だけでなく地上の『龍の爪を所持する剣士』が必要なのか、ずっと疑問だったのだが、その『龍の爪』というのが『海楼石』でできた武器の事なのだとしたら頷ける」

 

「確かに…『悪しき妖術を打ち破る』というのは『“悪魔の実”の能力を無効化する』というふうに解釈できるわね」

 

ロビンの言葉に全員同意する。

 

「…で、その“龍の爪”はどこに?」

 

「残念だが、それはわからない…。実際に“龍の爪”を見た者はおらず、その龍が生まれるという“龍の卵”についても、どこにあるのかわからないんだ…」

 

「龍の卵…龍の卵…」

 

華佗の話の途中から、ルフィが額に指をあてて考え出していた。

 

「どっかで聞いた気がすんだけどな~…」

 

「おめェもかルフィ。おれもそんな気がするんだ」

 

「実はおれもだ」

 

「ウチもや」

 

ゾロやフランキー、真桜も考え込む。

 

「あ!きっとあそこです!フランキーさん達と出会った村!」

 

「ああ!そうか!」

 

「そうだ!あそこの湖にあった岩だ!」

 

「龍の卵だとかって、村人が言ってたわ!」

 

朱里の言葉で全員思い出す。

 

「待てよ…!そういえばあの岩…!」

 

「雷が落ちて…岩が割れて…!」

 

―――――雷が落ちた時、宝剣はもう真っ黒こげになっていましたから

 

「地に落ちた爪は…一本の剣と化し…」

 

―――――皆様が村を去った後、川の土砂を片付けていた所、中からこの宝剣が見つかったのです

 

「高貴なる血に連なる者の手に渡る…」

 

―――――母がよく言っていたんです。『私達のご先祖は立派な方が多く、この宝剣を手に民のために尽くしてきた。だから、お前もこの宝剣を受け継ぐからには、そうした気構えを持て』と

 

「…え?」

 

()()()に気付いた愛紗や星、桃花村義勇軍と麦わらの一味の面々は、一斉に桃香に視線を集中させた。

 

「え?えっ⁉えェーーーっ⁉」

 

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