ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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生存報告も兼ねて一話更新します。



第168話 “群雄集結”

 

太平道の宣戦布告から数ヶ月が経過した。

 

「はーい!ちゃんと順番に並んでくださいね!」

 

洛陽では連日連合軍の部将や軍師達が交代で住民への奉仕を行っていた。

張譲と太平道による悪政の爪痕は深く、数ヶ月経った今でも完全には治っていなかった。

 

サンジや流琉を中心に料理を得意とする者は給仕、チョッパーや華佗を中心に医学の知識がある者は医療、フランキーや真桜など大工作業を得意とする者は家屋や街の設備の修繕、喜雨などは農業を手伝い、張三姉妹は舞台による慰安、ルフィなどは子供の遊び相手などをしていた。

 

「熱いですから気を付けて下さいね」

 

「ちゃんと全員分あるから!慌てないの!」

 

給仕のブースではメイド服を着た月と詠が住民に食事を配っていた。

 

「姉様、お肉の仕込みまだ終わらない?」

 

「そこにあるやつはもう終わっているから使っていいぞ」

 

その隣では、庶人の服装に着替えた瑞姫と傾が調理をしている。

 

「皆さん、お疲れ様です」

 

「孫乾さん」

 

「そろそろ交代しましょう」

 

「ありがとう。…ハァ~…。正体を隠す為とはいえ、どうしてボクがこんな格好を…」

 

「すいません…。丈の合う服が、私が所持していた侍女の作業服の予備にしかなくて…」

 

「謝る事ないですよ。私は結構好きですからこの格好。詠ちゃんも似合ってるし可愛いよ」

 

「可愛いとは思うけど…ハァ~…。このボクが侍女の服を…ハァ~…。それに大勢の人間に真名を晒して…ハァ~…」

 

「気持ちはわからんでもない…。漢の大将軍である我が庶人の服を着て給仕など…」

 

「あんたと同じ考えというのは不本意だけどね…」

 

「諦めなさいって。今の私達の立場を考えれば当然の選択なんだから」

 

「瑞姫は不満ではないのか?」

 

「別に。確かに庶人の服だけど、それでも昔お金貯めて買った私の好みの服だし。…っていうか、不満ならいつもの格好して人前に出なければいいだけの話じゃない」

 

「月だけにこんな事やらせられる訳ないじゃないない!」

 

「詠ちゃん!民への奉仕を『こんな事』なんて言ったら駄目だよ!」

 

「あっ…!ご、ごめん…」

 

「私も…主上様方が率先して行っているのに何もしないのは流石に…」

 

「あのー…」

 

…と、そこへ白湯と空丹、黄がやって来た。

白湯は後ろに野菜や穀物を積んだ荷車隊を引き連れ、自身も野菜の入った竹かごを背負っている。

空丹の方は後ろに数頭の羊を連れている。

 

「て…じゃなくて空丹様!白湯様も!」

 

「お野菜とか持って来たけど、どこに置けばいい?」

 

「あ、はい。私が案内しますね」

 

「この子達はどこへ連れて行けばいいの?」

 

「では、そちらはボクが案内します」

 

白湯は月、空丹は詠に連れられてその場を離れた。

 

「それでは、皆さんはどうぞ休憩なさって下さい」

 

美花の言葉に、傾、瑞姫、黄もその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

「空丹様は今日も家畜の世話を?」

 

休憩場所へ向かいながら、瑞姫が黄に訊ねる。

 

「はい…。それで今日の分の屠畜を連れて行く話を聞いて自分がやりたいと…」

 

「白湯様は今日も陳珪殿と畑を耕していたのか?」

 

「ええ。とても楽しそうにしているそうですよ。最近は空丹様も、土を弄ったりはしませんが、畑を見に行くようになりまして…。虫が沢山いるのが面白いのだとか…」

 

「片や農耕、片や畜産か…。どちらにせよあそこまで着物が汚れては正直敵わんな…」

 

「そうよね~折角きれいな服なのに…。天の国の服で空丹様のは“ぶらうす”で白湯様のは“せーらーふく”だったかしら?あと下半身に着けているのは“すかーと”だった?」

 

「そんな名前だったな。普段の正装を汚されるよりはましだが、あれならやはり庶人の服の方が良かったのではないか?その方がお忍びだともバレにくいであろうし…」

 

「そんな恰好させる訳にはいかないから、妥協案で天の国のお召し物にしたのでしょう⁉」

 

「まァ、結果的に身分がバレていないなら良いんじゃない?…それにしても黄、あなたどうしてさっき空丹様について行かなかったの?」

 

「実は…先程羊の小水をかけられてしまいまして…。一刻も早く着替えたいと思い…」

 

「成程ね…」

 

「おや?」

 

その時、街の通りを馬が走って来るのが見えた。

馬上には桔梗が乗っている。

 

「厳顔殿!どうされました⁉」

 

「おうお主らか!各地から数頭の早馬、それから曹操軍と孫策軍の援軍が来たらしい!あと、黄忠殿が戻って来たそうじゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洛陽の南門外に、それぞれ香風と炎蓮の率いる曹操軍と孫策軍の援軍が到着していた。

 

華琳や雪蓮は勿論、ルフィ達なども出迎えに来た。

 

「かり…じゃなくて曹操様。徐晃公明、陳留を始め兗州各地より援軍を連れてまいりました」

 

「そう。ご苦労様」

 

「香風さ~ん♡」

 

「あー!お兄ちゃーん!」

 

香風は真っ先に駆け寄って来た栄華を避け、その後ろにいたルフィの腰に抱き着いた。

 

「…………」

 

「久しぶりだな!元気だったか?」

 

「うん!」

 

「おう孺子!黄巾の乱以来だな!」

 

「炎蓮!お前も来たのか!」

 

「当ったりめェだ!やられっぱなしでいられるかよ!」

 

「それにしても徐晃殿はともかく、よく母様までこの短期間で来られたわね」

 

「ああ。おれ自身が揚州と交州のあちこちを走り回って直接兵を掻っ攫って来たからな!それから兵には『洛陽に着いてからゆっくり休め』って言って昼夜兼行で来た!」

 

「どおりで兵がへばっている訳だわ…」

 

呆れる雪蓮。

 

「皆さん!遅くなりました!」

 

「紫苑さん!お疲れ様です!」

 

桃香が紫苑を労う。

 

「村に残っていた火薬とコーラの材料と、それを作るのに使っていた道具を持って来ました。それから…」

 

「みんな~!」

 

「朱里!雛里!」

 

「璃々ちゃん⁉」

 

「それに水鏡先生⁉」

 

「どうしてここに⁉」

 

「実は私が桃花村に着いた時、桃花村自体は襲われていなかったんですけど周辺の街や村は襲われていて…。それで村も安全とは言い切れないから、だったら親と一緒にいた方が良いんじゃないかって村の人達が言って…。それで璃々も連れて来たんです…」

 

「確かに…。一度治安が大きく乱れると、少なからずならず者が現れますからな…」

 

「最前線が一番安全とは…哀しいものだな…」

 

紫苑の話を聞いて愛紗と星が呟く。

 

「私は朱里達の様子を見ようと思って偶々桃花村を訪れていたの。そこで黄忠さんに会って、話を聞いて一緒に行く事にしたの。途中、できるだけ薬草も摘んで来たわ。

それから、聞いた話では今回の戦では大量の火薬を必要としているとか。私も多少は薬剤調合の心得がありますので、是非手伝わせてください」

 

「ありがとうございます!」

 

「璃々もー!おてつだいするー!」

 

「それじゃあサンジさん達のお料理を手伝ってくれる?」

 

「はーい!」

 

「それで徐晃、孫堅殿も、兵はどれくらい連れてきたの?」

 

華琳が訊ねる。

 

「一万五千人くらい。青州兵は怪我したのが多くてあまり連れて来られなかった」

 

「おれの所も揚州、交州合わせてそれくらいだな」

 

「そう。他の早馬からの報告も含めて情報を共有しましょう。すぐに軍議を開くわよ!」

 

「わかった!」

 

「ルフィさん!ちょっと待って下さい!」

 

「何だ()()?」

 

「香風さんが持って来た火薬等々を運ぶのを手伝って下さいまし!」

 

「おう、わかった」

 

「あれ?栄華様お兄ちゃんに真名を預けたの?」

 

「え⁉え、ええまァ…それなりに見知った仲ですし…」

 

「栄華だけじゃないわ。今は袁紹や袁術達、連合軍に所属している将や軍師達のほぼ全員がルフィ達に真名を預けているわ」

 

「もともとルフィ達と親しかったみたいだし、現状私達は彼らに頼っている部分が多いから、その分の礼節としてね」

 

華琳と雪蓮が説明する。

 

「ああ、そうだ雪蓮、蓮華はどこにいる?」

 

「今は兵の鍛錬をしている筈だけど、どうかしたの?」

 

「おめェが寄こした手紙を読んでよ、気になって蔵の中を探ったみたんだ。そしたらよ…」

 

炎蓮は荷車の一つから、一抱え程ある木箱を下ろす。

 

「こんな物が見つかったんだ。おれやお前には不向きだが、あいつならどうかと思ってよ…」

 

「?何よこれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、宮殿の評定の間で軍議が開かれた。

 

ここ数日、連合軍は民への奉仕を始め、様々な事に人手を割いている為、必要最低限の人数で行う事になっていた。

今日出席しているのはナミ、ロビン、朱里、雛里、鶸、桔梗、華琳、桂花、炎蓮、雪蓮、冥琳、詠、楼杏、麗羽、真直、七乃、白蓮、燈、黄祖、華佗だった。

 

「早馬からの報告では、烏桓を含む幽州全体からの援軍は一万程になりそうだ」

 

「徐州からも同じくらいです」

 

「西涼の方は鮮卑と氐からも協力を得られそうですが、やはり五胡の方でも太平道による被害があるらしく、二万程が限界かと…」

 

「荊州はほとんどの兵権が蔡瑁に握られておったせいで、味方してくれそうなのは私の一族や親しかった者達の五千だけになりそうだ。

それから馬謖の事を馬良や劉表様達に話した所、『容赦なく斬り殺してくれ』と泣く泣く申されたそうじゃ」

 

「わたくし達の方は冀州や豫州以外にも、袁家の人脈から各地に呼び掛けていますが、その中にも裏切り者が多く、具体的な数はまだ把握しきれていませんわ」

 

「益州と漢中、南蛮も具体的な人数はまだ不明じゃ。昼夜兼行で移動する様伝えたが…」

 

「孟獲殿達も急いで南蛮まで戻っている様だが、流石に銀坑洞まで戻るのは時間が掛かり過ぎるので、益州周辺の部族に呼び掛けるらしい。南蛮兵の招集も済んでから、益州、漢中、南蛮で一体となって洛陽に向かう予定だそうだ」

 

「現段階での増援は七万五千。これでこちらは二十万五千って所ね…」

 

白蓮、燈、鶸、黄祖、麗羽、桔梗、華佗からの報告を聞き、桂花がメモを取りながら確認する。

 

「少しでも味方は多い方がいいわ。彼らが途中で太平道から奇襲を受けないかが気掛かりね…」

 

「自分達が力を蓄えるべき時に余計な事をするとは考えにくいけど…」

 

ロビンと詠が呟く。

 

「そういやお前らの手紙に書いてあった物、商人に手配する様通達しておいたが…火薬はわかるが、他は一体何に使うんだ?」

 

炎蓮が訊ねる。

 

「それは…実際に現場を見て貰った方が早いわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、華琳達が向かったのは宮殿の厨房だった。

 

そこでは柳琳を中心としたコーラ調理班が作業をしていた。

 

「特別な水に香草や果汁、砂糖などを混ぜて“こーら”という飲み物を作っているのよ。フランキー殿が全力で戦う為に必要らしいわ」

 

「一応太平道がいつ奇襲を仕掛けても応戦できる様に、毎日調理して常に一定量を貯蔵しておく様にしております」

 

華琳と冥琳が説明する。

 

「因みに、その完成したやつがコレなんだけど…」

 

雪蓮は手にした杯にコーラを注いで炎蓮に見せる。

 

「真っ黒な液体だな…。それに泡立ってるぞ…」

 

「私達も最初見た時は戸惑いましたよ…」

 

「けど、結構美味しいのよねーこれ!私や粋怜は気に入ったわよ」

 

「ほう…ちょっとよこせ」

 

雪蓮の言葉を聞き、炎蓮は杯を受け取り一気に飲み干す。

 

「かーっ!なるほど!悪くねェな!」

 

「それから、硫黄や焔硝の類は庭に用意した作業場で調合しているわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同が庭に行くと、帳によって仕切られた一角の中でウソップや軍師らが火薬を調合していた。

 

「フランキー殿やウソップ殿の武器に使うの」

 

「おれも呉郡が襲われた時に少し戦ったが、今回の敵は相当手強そうだな…」

 

いつになく真剣な表情で炎蓮が言う。

 

「…で、これからおれは何をすればいいんだ?」

 

「そうね。いつもの兵の訓練の他に、母様自身も稽古を受けて貰うわ」

 

「おれが稽古を受けるか…。あの孺子共にか?」

 

「ええ」

 

「わかった。このおれが誰かの胸を借りるなんざ何年ぶりだ?血が騒ぐぜ…!」

 

「まったく…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洛陽の外の荒野で、連合軍の将兵は訓練を行っていた。

 

「ぬあああァァァーーーっ!」

 

「てえェェェーーーい!」

 

その一角で、思春とサンジ、流琉とゾロが試合を行っていた。

周りでは直属の兵士や季衣がその様子を見守っている。

 

「おおおおおっ!」

 

「…………」

 

思春がもの凄い速さで振り回す剣をサンジは脚で捌く。

 

「っ!」

 

「っ⁉」

 

一瞬の隙をついてサンジは思春の左のこめかみ付近に脚を寸止めする。

 

「また一発入ったぞ」

 

「くっ…!も、もう一度…!お願いします!」

 

「し…信じられねェ…!お頭が…甘寧将軍が押されるなんて…!」

 

「けど、いくら頭に当たっても蹴りの一発や二発くらい平気じゃねェか?」

 

「馬鹿!お前あの人の蹴り見た事ねェのかよ!岩が一撃で粉々になる様な威力なんだぞ!」

 

「ええ⁉本当かよ⁉」

 

「そんなの頭にくらったら致命傷じゃねェか…!」

 

「いや…よく考えたら甘寧様の頭を狙える時点で相当凄くねェか…⁉」

 

「た、確かに…」

 

「うう…!も、もう一回…!」

 

「あ…また一発入ったんだ…」

 

「はァー…はァー…!」

 

「どうした流琉⁉もうへばったのか⁉もっと早く、もっと長く動ける様にならねェとあいつらには勝てねェぞ!」

 

「はい…!もう一回良いですか兄様⁉」

 

「ああ、いいが……何だ?その兄様ってのは…?」

 

「えっと…季衣のお兄ちゃんなら私もそう呼びたいなって…」

 

「おい季衣、お前コイツにおれの事なんて言ったんだ?」

 

「んにゃ?ボクの兄ちゃんみたいな人だよって…」

 

「駄目ですか?」

 

「いや、まァ別に好きに呼んで構わねェけどよ…」

 

別の訓練場では斗詩や梨晏らが膝に手を突き、肩で息をしていた。

 

「はァ…はァ…『一瞬で地面を十回以上蹴って移動する』…か…」

 

「原理は単純なんだけどねェ…ふゥー…」

 

連合軍の部将達は日夜交代で3つの訓練を行っていた。

一つ目はルフィ、ゾロ、サンジ、フランキー、ブルックとの試合。

二つ目はルフィが習得していた「(ソル)」の訓練。

三つ目は剣や槍、偃月刀などの使い手達だけが行う、鉄を斬る為の訓練だった。

 

三つ目の訓練については、今回は流石に状況が状況だった為、最初にコツを教えてから訓練を行った。

 

「いいか!とにかく集中しろ!自分の心臓の音を自分で聞く感じだ!」

 

「その脈拍や鼓動、あるいは呼吸の様なものに合わせて斬撃を振るうのだ!」

 

「は~い…」

 

「ふゥ…ふゥ…」

 

翠と春蘭も指導する側に回り、蒲公英や愛紗達は懸命に得物を振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、郿塢城の一室。

 

左慈ら太平道の幹部と馬元義が軍議を行っていた。

 

「当日は我々の主力を十の部隊に分けて動かします。金仙丹と馬元義様を守備する一隊を中心に、前方に三隊、左右後方にそれぞれ二隊とします。

前方の三隊は縦一列に並び、先頭から順に第一隊、第二隊、第三隊、左右後方は横並びの編隊とし、右翼右側から順に第四隊、第五隊、第六隊、第七隊、第八隊、第九隊、中心を第十隊とします。

第一隊と第二隊はそれぞれ降将の車胄(しゃちゅう)黄奎(こうけい)を指揮官とし、他も全て降伏した兵と兵馬妖のみの編成で、太平道の道士はなしとします」

 

「大丈夫かそれで?」

 

「第一隊と第二隊は敵の勢いを鈍らせる為の捨駒も同然。それに兵馬妖がおりますから多少は戦えるでしょう。『先陣を切って好きなだけ手柄を立てろ』とでも言えば、目の色を変えて突っ込んで行くでしょうしね」

 

「成程」

 

「第三隊以降は太平道の道士も登用し、指揮官に幹部を一名ずつ付けます。第三隊は私、馬謖が指揮を執ります。第四隊は許攸、第五隊は踏頓(とうとん)、第六隊は張闓、第七隊は田氏、第八隊は華歆(かきん)、第九隊は許貢(きょこう)を指揮官とします。

第四隊、第七隊は騎馬隊、“(ソル)”、“月歩(ゲッポウ)”、ウェイバーの使い手を中心とした機動力の高い編成にし、必要に応じて自由に動ける様にしておきます。

他の幹部達は第十隊として待機させ、戦況と天の御遣いの布陣を見て自由に動けるようにします」

 

「うむ、おれはその布陣で異論はない」

 

「私もです。皆もよろしいですな?」

 

于吉の言葉に全員頷く。

 

「一つだけ良いでしょうか?」

 

「馬元義様、いかがなさいました?」

 

「私の待機場所ですが、七星壇の一番上、金仙丹の前にしていただきたいのですが」

 

「それは別に構いませんが…。よろしいのですか?それでは実質金仙丹の見張り番となってしまいますが…」

 

「ええ。あの場所は結構気に入っているんですよ。私の配下である大軍を一望できる絶景が見られますからね」

 

「成程。では出陣前に屋上に玉座と風よけ、食卓を用意させましょう。あと親電伝虫と映像電伝虫も」

 

「失礼します!」

 

小方が一人入って来た。

 

「どうした?」

 

「洛陽に駐屯している天の御遣いを中心とした連合軍が各地に援軍を要請し、すでに兵が動き始めたとの情報が!いかが対処いたしましょうか⁉」

 

「放っておけ」

 

「よろしいのですか?合流する前に叩き潰せば連合軍の討伐がより円滑に進むかと…」

 

「今は“ヒトヒトの実”の栽培と兵馬妖、天の国の兵器の量産が重要だ。それに馬元義様の身体も、改造が成功したとはいえ経過観察が必要な状態。

これは天の国の技術や知識に通じている者にしかできん。故に太平道の道士がここを離れる訳にはいかん。

兵馬妖と寄せ集めの兵だけで向かわせれば、思わぬ被害を受ける可能性がある。今は敵の妨害より力の充足に集中するべきだ」

 

「成程、理解しました」

 

「それに我々に歯向かう愚か者共が一ヶ所に集まってくれるのならば、こちらから各地へ赴く手間が省けますしね。…もっとも援軍が来たとしても、我が軍の半分も集まるとは思えませんがね」

 

 





実を言うと最後の投稿以降、転職、引っ越しと忙しい日々が続き、それが落ち着いてようやく新生活に慣れてきた頃に交通事故に遭ってしまい、全く執筆が進んでいないんです…。
これからしばらくは月頭に一話投稿し、それで5、6話は投稿できると思いますが、その後はどうなるかわかりません…。
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