ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第169話 “迫りくる決戦”

 

宣戦布告から半年ほど経過した。

 

洛陽の街の復興も順調に進み、連合軍は戦の準備に本腰を入れられるようになった。

 

訓練場では秋蘭と『ギア2(セカンド)』を使用したルフィが試合をしている。

 

「ハァッ!」

 

秋蘭は高速で動き回るルフィを目で追いかけ矢を放つ!

 

「………!」

 

ルフィは矢を避けつつ秋蘭に接近する。

 

「くっ⁉」

 

秋蘭は咄嗟に飛び退くが、すぐにまた追いつかれる。

 

「っ!」

 

「っ⁉」

 

さすがに怪我をさせる訳にはいかないので、ルフィは秋蘭の近くの地面を殴った。

 

「……時間だな。ルフィ殿、今日はここまでだ」

 

「わかった」

 

「すまないな。我々の訓練に時間を割いて貰って…」

 

「いいよ。おれもコレに体を慣らす修行になるから」

 

「そうか」

 

「ルフィっち~!訓練終わったっすか~⁉だったらしゅじょー様が一緒に遊びたいって言ってるっす~!」

 

「妾とも遊んでたも~!」

 

「おう、わかった!今行く!」

 

華侖と美羽に呼ばれ、ルフィは去って行った。

 

「秋蘭様」

 

入れ替わりに凪が来た。

 

「どうかしたか?」

 

「私はこれから訓練なのですが、また援軍と荷台が来たそうなので情報共有の為軍議を開きたいと華琳様が。疲れている所申し訳ないのですが、出席していただけますか?」

 

「ああ、構わんぞ」

 

「ありがとうございます。…所でルフィ殿は?」

 

「華侖と袁術殿に呼ばれて行った。この半年で随分仲良くなったものだ…」

 

「本当ですね。ルフィ殿、あまり交流のなかった何進殿や黄祖殿ともだいぶ距離が縮まっている様ですし…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、秋蘭が評定の間に行くと、そこにはナミ、ロビン、桃香、愛紗、鈴々、翠、朱里、雛里、桔梗、華琳、栄華、風、蓮華、雷火、月、ねね、風鈴、楼杏、麗羽、斗詩、白蓮、喜雨、黄祖、華佗、そして益州から到着したばかりの雷々と電々がいた。

 

「まず、幽州と荊州からの援軍は無事に到着したわ。人数は以前報告にあったものと全く同じ。あと、涼州からの援軍もあと一ヶ月半程で到着するそうよ」

 

「それから、袁家が要請した援軍についてですが、すでに招集は完了して出発したそうです。こちらもあと一ヶ月程で来られるそうですわ。数はおそよ二万」

 

「益州、漢中、南蛮の合同軍も招集は完了して、今こっちに向かっているよ~。数は七万五千」

 

「電々達は早馬と輸送隊もかねて、先に来ました~」

 

(ああ…なんて可愛らしいお二人…♡そうでなくとも今日の軍議は可愛いお嬢さんが沢山…♡)

 

顔が惚けそうになるのを必死に堪える栄華だった。

 

「これでこちらの兵力は三十万。それにしても、合同とはいえよく七万五千も集まったわね」

 

「益州の者で奴らに寝返った者達は普段から嫌われておる者が多かったからのう…」

 

「あと出陣している間、益州内部の事は張任(ちょうじん)様と法正(ほうせい)様が仕切る事になったから、それでみんな安心して出陣できたんだ」

 

「それに南蛮は各部族の独立意識が強いから、太平道に協力したのは木鹿王とその近隣の本当に一部の部族だけだったみたいなの」

 

「南蛮はあの環境ですから、さすがの太平道も必要以上に関わろうとはしなかったのかもしれませんね…」

 

華琳の呟きに桔梗、雷々、電々、朱里が説明する。

 

「それで…糜竺殿、糜芳殿、孟獲殿達はまだ戻らないのか?」

 

「それはあと三ヶ月くらいかかると思うな…。漢内部の関所を通る時の責任者として、合同軍と一緒に来る事になったから…」

 

「漢の内部を南蛮族が沢山通過するから、その為にしっかり統率する必要があるしね…」

 

「そうか…」

 

「関羽?あなたそんなに孟獲殿達が心配なの?」

 

「あ、いえ…その…」

 

「愛紗は孟獲達をモフモフしたいのだ」

 

「っ⁉り、鈴々!」

 

「そういう事…」

 

(関羽さんの気持ち…)

 

(とてもよくわかりますわ…)

 

内心愛紗に同意するロビンと栄華だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員いるか~?いない奴いねェか~?」

 

その頃、ルフィは華侖、空丹、白湯、美羽なども連れて村の子供達と近くの山を歩いていた

 

「ルフィ、また黄がいないわ」

 

「七乃もいないのじゃ。あと孫家の奴もじゃ」

 

「こ…ここにいますよ~…」

 

「わ…私もです~…」

 

「ぱ…パオも~…」

 

後ろから既にだいぶ疲弊した様子の黄、七乃、包が追いついて来た。

 

「三人とも早く~!」

 

「く、空丹様は…何でそんなに元気なんですか~…?」

 

「み、美羽様も…そんなに体力ない筈ですよね~…?」

 

「人間…楽しいと…疲れを感じないらしいですからね~…」

 

「み、美羽様楽しんですか?」

 

「うむ。歩くのはちと面倒くさいが、木々は綺麗じゃし、それにどこかに蜂蜜があるかもしれんしのう!」

 

「まァ、美羽様が楽しいなら私はそれでいいですけど…」

 

「空丹様は?」

 

「私も。ルフィと一緒だと本当に楽しいわ」

 

(あの男~!あそこまで空丹に気に入られるなんて~!うう~!私としては、やはり空丹様には私だけの空丹様でいて欲しかったです~!)

 

「黄~早く行きましょう!」

 

空丹は黄に駆け寄り手を取る。

 

(⁉く、空丹様が私の手を握って⁉……ま、まァ私から空丹様を取り上げないなら、多少は目を瞑るとしましょう…)

 

「みんな揃ったなら早く行くっす~!」

 

「でもまァ、休みてェんならちょっと休もうぜ」

 

「そうっすか?だったら休むっす」

 

「ひ~ん…どうしてパオまでこんな事やらされてるんですか~⁉」

 

「蓮華達が言ってただろ?お前体力ねェからおれと一緒に来て特訓しろって」

 

「パオは軍師なんですから、ちょっとぐらい体力なくても良いじゃないですか~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、さらに二ヶ月後。

 

「「「「ただいまにゃー!」」」」

 

「孟獲ー!やっと来たかー!」

 

「ルフィ兄ィ~!ひさしぶりにゃ~!」

 

「「「にゃ~!」」」

 

出迎えに来たルフィに美以達は抱き着く。

 

「…いいなァ…」

 

「同感ですわ…」

 

「あうう…」

 

「ちょっとだけなら…」

 

(混ざりたい…)

 

それを羨ましそうに見る愛紗、栄華、明命、梨晏、ロビン。

 

「それにしても孟獲さん。予想より早く着きましたね?」

 

朱里が不思議そうにする。

 

「漢の町に入ってからはかりができないから、食べものをがまんしなくちゃいけなくてたいへんだったのにゃ~…」

 

「おなかぺくぺこにょ…」

 

「はやくごはん食べたくて急いできたにゃ…」

 

「うにゅ~…」

 

「成程…確かに計画的な食糧の保存とか考えた事なさそうだしな…」

 

「一年中暖かいなら、食べ物に困りませんしね…」

 

美以達の言葉にサンジと紫苑が頷く。

 

「もうがまんできないにゃ~…。ごはん食べていいにゃ~…?」

 

「はい。明日からはまた働いて貰いますから、今日はお腹いっぱい食べて休んで下さい」

 

「孔明~!ありがとにゃ~!」

 

「何にせよ、これでこちらの戦力は出揃ったわね…」

 

「ええ。あとは私達がどれだけ強くなれるか…」

 

「絶対に…勝てる様になってみせます!」

 

華琳、雪蓮、桃香の言葉に、一同は気合を入れ直すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美以達が合流してから、さらに三ヶ月程経過し、いつ太平道が襲ってきてもおかしくない状況になった。

 

「…それじゃあ、太平道の道士は一定以上の強さがあれば、人数に関係なく昇格できるのですか?」

 

宮廷の一室で、ナミ、ロビン、朱里、雛里、鶸、桔梗、風、稟、穏、亞莎、傾、ねね、燈、白蓮、黄祖、華佗が軍議を行っていた。

 

「ああ。武の腕が認められると昇格し、同時に褒美が貰える。褒美は金や宝石以外にも、天の国の兵器や(ダイアル)から好きな物を選択でき、場合によっては“悪魔の実”を貰える事もあるらしい」

 

華佗が太平道の情報を伝える。

 

「つまり強い奴がより強くなれる様になっている訳か」

 

「前にルフィさん達が戦った時の様子から見ても、全員が特殊な技を使える訳ではないようでしたけど…」

 

「それ以外の武芸や特殊な武器とかで幹部になった人もいる事ですね…」

 

「どれかを極めれば確実に強さは上がるけど、それ以外で強くなる方法がない訳ではないからね」

 

桔梗、朱里、雛里、ロビンが言う。

 

「だが、それは妖術を使えない私達でも十分勝ち目はあるという事だ!」

 

白蓮は意気込む。

 

「けど、そういう厄介な術や能力を使える者がいるとなると、太平道の道士達と戦う時は馬から降りた方が良さそうですねー…」

 

「私達はそれらに対応できても、馬には無理でしょうし…」

 

「馬が混乱したら、乗っている将も戦いに集中できなくなりますからね…」

 

風の言葉に鶸と燈は賛同するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、兵の訓練場では粋怜と詠の指揮の下、兵が鍛錬をしていた。

 

兵の旗印には孫や董以外にも、馬や曹の旗も見える。

 

「右翼、前進!左翼は左方向へ!中央はそのまま待機!」

 

「歩兵部隊!動きが遅れているわよ!騎馬隊はもっと大きく回り込んで!」

 

鍛錬の様子を翠と華琳が近くで見ている。

 

「合同訓練、上手く行っているみたいだな。これなら統率された動きができそうだな」

 

「今回は作戦の都合上、どうしても別の軍の指揮官の下で動く必要がある隊が出てくるわ。混成軍でもちゃんと戦えるか心配だったけど、問題なさそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城外の訓練場。

 

「…………」

 

「…………」

 

サンジと愛紗が対峙している。

 

「ハァッ!」

 

「っ!」

 

愛紗がサンジに斬りかかる!

 

サンジは頭めがけて真横に振るわれた偃月刀を躱し、脚を振るう。

 

「っ!」

 

愛紗は蹴りを受け止めるとすぐに跳ね除け、再び斬りかかる!

 

「―――っ!」

 

「…………」

 

そのままサンジの蹴りと愛紗の偃月刀が何回もぶつかり合う。

 

「………っ!」

 

「!」

 

隙を見てサンジは愛紗の右のこめかみに寸止めの蹴りを入れる!

 

「はっ!」

 

「っ!」

 

しかし、愛紗は寸止めの距離に入る前にサンジの足を弾く!

 

「“羊肉(ムートン)ショット”‼」

 

サンジはさらに連続で寸止めの蹴りを入れる!

 

「っ!」

 

ドゴゴゴゴゴォン!

 

その蹴りを愛紗はサンジが止める前に跳ね返し、全て防ぎきった。

 

「…よし!」

 

「大したもんだな」

 

一方、その隣では…

 

「…うおりゃーっ!」

 

鈴々が地面に置かれた鉄の塊に向かって蛇矛を振るう。

 

ザン!

 

鉄の塊は真っ二つになり、地面までも大きく割れる。

 

「太平道!いつでもかかって来いなのだー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さんお疲れ様でした。沢山食べてしっかり休んでくださいね」

 

その日の訓練を終え、夕食の時間を迎えた兵士達は給仕係の娘から一人ずつ食事を受け取る。

 

「今日のは初めて見る料理だな」

 

「天の国の“しつー”という料理だそうです。動物の乳で肉や野菜を煮込んで作るんですよ」

 

「へ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事を受け取った兵士達は何人かで焚火を囲み、車座になって食事をとる。

 

現在は、各軍の兵士が混在した状態で食事をとる様になっていた。

これは連合軍の食料を全軍一括で管理している為、食事も一括で取らせる事で混乱を抑える目的と、混成軍でより統率の取れた動きができる様、親睦を深める目的とがあった。

 

その一つのグループにて。

 

「これも美味いな!さすが天の国の料理だ!」

 

「お前の義勇軍は何回もこういうの食べてんだろ?羨ましいな」

 

「いやでも、あんまり材料はないから、同じ料理でもこんなに肉が入ってる事はあんまりねェよ。こんなに美味い飯が食えるのは、連合軍としてちゃんとした食糧の管理が行われる様になったからだ!」

 

「連合軍の主将様方のおかげだな!」

 

「一年以上こうして出陣していると、一日の楽しみは食事くらいなもんだし、それが美味いのはありがたいな」

 

「そうだよな…。おれさァ飯が美味いのもそうだけど、給仕係の子に会えるのも楽しみなんだよなァ…」

 

「え⁉どの子だよ⁉」

 

「あの白くてふわりとした髪の子だよ。確か名前はゆ…」

 

「ばっ…⁉軽々しく真名を呼ぶんじゃねェよ!」

 

「え⁉あれ真名だったのかよ⁉普段からそう名乗っているからてっきり…!」

 

「色々事情があって姓や名を名乗れねェから、やむを得ず真名を使ってるんだよ…」

 

「事情って何かあったのか…?」

 

「待てよ…。お前確か…董卓軍の所属だよな?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「そのお前が事情を結構知っているって事は…」

 

「ひょっとして…」

 

「……ああ、あの人が董卓様だよ

 

「そういう事か…。気の毒だよなァ…」

 

「本当は張譲の仕業だってのにな…。まだ董卓の名前に反応する住民は多いだろうしな…」

 

「お前ら…今の話、墓の中まで持って行けよ?」

 

「おう、わかった」

 

「当然だ。…そういやァ、給仕係っていえば、おれあの人結構好みなんだよなァ~」

 

「あの人って?」

 

「ちょっと日焼けした姉御肌って感じの人だよ。確か名前はけ…」

 

「それもたぶん真名だ。きっと何進大将軍の事だぞ」

 

「ええっ⁉本当か⁉」

 

「たぶん間違いねェと思う。参内する時に何回か会った事あるし…」

 

「大将軍自ら給仕とか、そんな事があるのか…⁉」

 

「ま、元々肉屋だから料理は得意だろうしな」

 

「けど…元相国や大将軍が給仕をしているなんて…。案外天子様とかも、変装して街の中平然と歩いてたりとかしてるのか?」

 

「さァ~?流石に天子様の事まではわからねェよ。顔も見た事ねェし…。お前、盧植将軍の直属の隊だろ?顔知ってたりするのか?」

 

「いや…おれは結構新入りの方だし流石に…」

 

「しかし…給仕係の子も確かに美女、美少女が多いけど、おれは天和ちゃんの方が好みだな~」

 

「お前もそう思うか⁉おれ黄巾党の頃から天和ちゃん一筋なんだよな~!」

 

「黄巾党?」

 

「あ~そういえばお前曹操軍所属だもんな~」

 

「おう!そんで今は青州兵の一員さ!」

 

「何か共感できるな。おれも錦帆賊の頃から甘寧様一筋でよ…」

 

「おお!なんかお前とは息が合いそうだな!」

 

「黄巾の乱か…あれももう二年ぐらい前の事なのか…。おれは文醜様達と一緒に北方の黄巾賊退治に駆り出されていたな~」

 

「ああ。張角達の首をこの手で刎ねてやるって息巻いていたぜ」

 

「…その張角って天和ちゃんの事だぞ?」

 

「ええっ⁉でも、尻尾も角も生えてねェし、腕二本しかないじゃねェか!」

 

「お前…どんな化物を想像してたんだよ?」

 

「ま、噂ってのには必ず尾ひれがつくもんさ」

 

「そういえば…今、文醜様って言ってたじゃねェか…」

 

「ああ」

 

「あの人、名前に『醜い』って字がある割には顔整ってるよな?それこそ顔良様にも劣らねェくらいで」

 

「ああ、結構言われるよそれ…。まァ名前ってのは親が生まれてすぐにつけるもんだし、その後どう成長するかはわかんねェだろ。因みにおれは田豊様一筋だ」

 

「確かに可愛いよな」

 

「そういう荊州の、お前は好みの方とかいんのか?」

 

「おれは黄忠様だ」

 

「黄忠ってあの義勇軍所属のおば…」

 

次の瞬間、どこからともなく矢が飛んできて近くの地面に刺さった。

 

「凄く若くて美人のお姉様ですか!」

 

「あ…ああ…。あの人、元々荊州の部将だから、それもあって知ってんだ」

 

「成程な…。徐州の、お前はどうなんだ?」

 

「う~ん…おれは陳登様かな?」

 

「陳登様?陳珪様じゃなくてか?」

 

「いや…確かに美人だけどなんて言うか好みではなくて…」

 

「…なァお前、ウチの許緒将軍達の事どう思う?」

 

「許緒将軍ってあのチ…」

 

次の瞬間どこからともなく岩が飛んできて近くに落ちた。

 

「強くて頼もしいご武人の事ですか⁉」

 

「あの人結構好みだぜ。あと典韋将軍や徐晃将軍も」

 

「孫策軍の軍師だったら誰が好みだ?」

 

「張昭様」

 

「義勇軍は?」

 

「張飛殿とか孔明殿とか鳳統殿」

 

「お前…」

 

「そっちの趣味なのか?」

 

「違う!おれは年下とか可愛い子が好みなだけだ!」

 

「すまん…今は何を聞いても変な意味にしか聞こえねェ…」

 

「小さい子っていえばよォ…天の御遣い様達の長の…」

 

「ルフィ殿の事か?」

 

「ああ。あの人、そういう子達に随分好かれてるよな…」

 

「確かに…南蛮の孟獲大王達にも懐かれていたし…」

 

「けど…あの人の場合、結構いろんな方に好かれてると思うぞ?厳顔様も気に入ってるみたいだしな」

 

「おれ達義勇軍の奴らもみんな慕ってるぜ。あの人一緒にいると退屈しないというか笑いが絶えないというか…」

 

「何でか知らないけど、何進将軍とも仲良いみたいたな…。公孫賛様とか黄祖様とかも信用しているみたいだったし…」

 

「公孫賛様とは趙雲殿を通じて知り合いだったみたいだからな…。黄祖様も孫家の方々と親しいからって事もあるだろうし…」

 

「天子様とかとも直接お会いした事があるって噂だよな…」

 

「袁紹様と袁術様も良い遊び相手だと思っているみたいだぜ…」

 

「あのお二方が何の官爵もない人間を気に入るなんて、本当に珍しいよな…」

 

「ウチの孫策様達も身分を問う事はあまりないけど、親しくなる相手は選ぶ方だぜ。特に孫堅様なんか、相当の腕っぷしか何らかの奇抜さがある相手だけだぜ…」

 

「ルフィ殿はその両方を兼ね備えているからな…」

 

「ウチの曹操軍では曹操様は勿論、曹仁様とかもかなり気に入いっているな…。それに男嫌いで有名な曹洪様や荀彧様もそれなりに心を開いているみたいだし…。あと夏侯惇将軍とかは、刀三本の…」

 

「ゾロ殿か?」

 

「そう。その方を師匠って呼んでかなり慕っていたし」

 

「ゾロ殿っていえば…虎牢関の戦いで、あの城門を斬ったって話本当なのか?」

 

「ああ、本当だよ…」

 

「おれも…。この目で見たぜ…」

 

「そうだったのか…」

 

「あの人の剣の腕は本当に凄いよ…。おれ、前に涼州で馬超様達と一緒に戦っていたのを見た事あったけど、あの一人で涼州取り戻せたんじゃないかって思ってるよ…」

 

「その時の縁で、馬超様達は御遣い様達と親しくなったのか?」

 

「まァそんな所だな」

 

「そういえばチョッパー殿は前に董卓軍の客将だった事があってよ。医者として沢山貢献してくれたし、噂じゃ呂布将軍と戦って結構くらいついたそうだぜ」

 

「ああ、あの狸さんか」

 

「おれ達の所は、陳珪様達が前にあの鼻の長い御遣い様に助けられた事があるみたいでよ、それで親しくなったらしい」

 

「それってウソップ殿の事か?」

 

「そういえば、あの方の狙撃の腕、凄かったよな!」

 

「ああ、驚いたよ!ウチの黄蓋様にも劣らない程の腕だったし、撃つ弾も凄かったし!」

 

「他の方々も、みんな各軍の首脳陣のお墨付きだってんだから凄いよな…」

 

「いや、あの人達の戦いを直接見ない限り、天の御遣い様の本当の凄さはわからないと思うぞ…」

 

「それ程なのか?……ん?おい、何か向こうの方、騒がしくねェか?」

 

「本当だな。お~い!何かあったのか~⁉」

 

「大変だ!ついに太平道が現れたらしい!」

 

「なにィ⁉とうとう敵が動き始めたか!」

 

「敵はどれだけいるんだ⁉五十万か⁉六十万か⁉」

 

「そ…それが……百万って…!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 


 

オマケ その1

 

街を歩くルフィの後をつける人影があった。

 

それは…

 

(ふふふ…私以上に空丹様に好かれるなんて…。これくらいの報復は許されますよね…)

 

そう言って黄は懐から小さな包みを取り出す。

 

「あの…ルフィ殿」

 

「ん?あ、お前空丹の隣にいる奴…」

 

「趙忠です。真名を黄といいます。お饅頭をお持ちしたのですが、いかがですか?」

 

そう言って包みを開け、いくつかのまんじゅうを見せる。

 

「いいのか⁉ありがとう!いただきまーす!」

 

何の疑いもなく食べ始めるルフィ。

 

(ふふふ…この饅頭の中身は即効性のある下剤や栗のイガ、蛙の干物、蝉の抜け殻、ミミズの死骸、蜥蜴(とかげ)の尻尾等々…。舌と胃袋がひっくり返るといいですわ…)

 

「ごちそーさまでしたー!」

 

「………へ?」

 

ルフィは平然として完食し、去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の日。

 

ルフィが街を歩いているのを、黄は近くの家屋の上から見ていた。

 

(ちょっとくらいなら、怪我をさせても戦に支障はでませんわよね…)

 

そうして黄はやや大きめの石をルフィの頭に落とす。

 

「ふんっ!」

 

「⁉」

 

ルフィはパンチで石を壊すと、何事もなかったかのように歩いて行った。

 

「…………」

 

その後も、黄はルフィに対して様々な嫌がらせを試みたが全くと言っていい程通用せず、やがて黄は諦めた。

 


 

オマケ その2

 

ある日の事。

 

「は~い、今日も一日お疲れ様~」

 

瑞姫は給仕を行っていた。

 

(あら?)

 

その時、兵士達と一緒に食事をするルフィの姿が目に入った。

 

(あの男…確か天の御遣い様達の長だったわよね……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昼。

 

「ねェちょっと…」

 

「ん?」

 

瑞姫はルフィに声をかけた。

 

「お前…確か空丹達と一緒にいた…」

 

「ええ、瑞姫よ。良かったらこれから一緒に食事でもしない?昨日姉様に言って、お肉結構用意して貰っておいたの」

 

「ホントか⁉行く行く!」

 

「(少し色目使っておけば、後々良い事あるかしらね…)こっちよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、瑞姫はルフィを洛陽の自宅に連れてきた。

 

「あの家よ…きゃっ!」

 

家の前に来た時、瑞姫はわざと転んでルフィに抱き着くような形で掴まった。

 

「あら…ごめんなさい…」

 

体を密着させながら上目遣いでルフィの顔を覗き込む。

 

「大丈夫か?」

 

「…………」

 

…が、普通に心配されただけだった。

 

「ええ、大丈夫よ。さ、上がって」

 

「おじゃましまーす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日瑞姫に言われて私自ら用意したぞ!沢山食っていけ!」

 

「いっただっきまーす!」

 

ルフィは夢中になって食べ始める。

 

「は~い、飲み物どうぞ」

 

「おう、ありはほー(ありがとー)」

 

瑞姫は時々ボディタッチや流し目をしてみる。

 

「お前の肉料理本当に美味ェな~!」

 

「ははははは!そうだろう!そうだろう!」

 

…が、ルフィはそんな瑞姫の事など眼中にない様子で黙々と食べ続け、むしろ食事の事について傾とばかり楽しそうに喋る。

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて料理がなくなり、ルフィは帰る事にした。

 

「今日はありがとうな~!ごちそうさま~!」

 

「おう!またな!」

 

「…またね」

 

二人は外へ出てルフィを見送る。

 

その時…

 

「あー!ルフィ兄ちゃんいたー!」

 

何人かの子供達がルフィに駆け寄って来た。

 

「兄ちゃん遊ぼうぜ!」

 

「遊ぼ遊ぼ!」

 

何人かの子供がルフィの腰に抱き着く。

 

「おういいぞ!」

 

そのまま、ルフィは子供達と一緒人去って行った。

 

「いや~!あの男いい食いっぷりだったな~!作り甲斐があるという物だ!」

 

「…………(私が抱き着いた時と子供(ガキ)が抱き着いた時とで、反応が全く同じ…)」

 

「?どうした瑞姫?」

 

「……ふ…ふふ……ふふふふふ………」

 

「れ、瑞姫⁉」

 

自分の女の武器が全く通じないルフィに対し、瑞姫はある種の強い興味・関心を抱くのであった。

 

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