ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
郿塢城、于吉の執務室。
〈報告します!敵が七星壇に到達し、内部へ侵入しました!映像電伝虫の映像を送ります!〉
「今、確認した。侵入したのは関羽、張飛、そして劉備だな…」
〈七星壇の中には誰がいる?〉
〈程遠志様と鄧茂様!それから道士、雑兵、兵馬妖合わせて千人の兵がおります!〉
「なら問題はなさそうだな…。後は天の御遣い共だが…」
〈えっと…報告します!先程見失った護謨の御遣いを発見しました!〉
「そうか。映像を送れ」
〈は、はい…〉
そして映像が送られて来たが…
「⁉何だこれは…⁉」
〈はい…どうやら隠れて、背中の葛籠から肉を取り出して食っている様です…〉
「では、あの葛籠の中身は…」
〈どうやら…本当に弁当みたいです…〉
「やれやれ…警戒して損しましたな…」
〈左慈様と于吉様に報告します!お二人に因縁のある刀剣の御遣いと剛脚の御遣いを見つけました!〉
「何⁉」
〈どこだ⁉〉
〈遊撃隊として城内で暴れている様です!映像を送ります!〉
〈他の天の御遣いも確認しました!前方の公孫賛軍に射手の御遣い!黄祖軍に鋼鉄の御遣い!後方の曹操軍に気象の御遣いと千手の御遣い!獣人の御遣いと屍の御遣いは孫策軍と共に城内に侵入している模様!〉
「了解しました。左慈…」
〈ああ…。幹部達よ!天の御遣いと劉備の動向は確認できた!問題はない!好きに動き自由に手柄を立てろ!〉
▽
郿塢城前方、最前線。
「しつこい奴らだな…!でえェい!」
傾は鞭を振るう。
「交代だ交代!次の隊は前に出ろ!」
朱儁の指示でそれまで先頭に立っていた兵は後ろに下がり、その後ろに待機していた兵が敵を迎え撃つ。
ある程度戦っては兵を交代させ、少しずつ後ろに下がる。
前方の連合軍の将兵はこの戦法で、体力の消耗を抑えながら戦っていた。
「倒しても倒してもきりがないね…」
「うがーっ!もうがまんならないにゃ!美以がぜんぶまとめてぶっとばしてやるにゃ!」
「よせ!まだ中方以上の奴らが出てきていない!全力で戦うのは今ではない!」
「黄祖の言う通りだ!ここは一刻も早く待機していた陣まで戻り、そこで敵を防ぐんだ!」
「麗羽様と真直、そろそろ陣について準備を終えているかな?」
「“必殺三連火薬星”‼」
「“
「ウソップ殿!フランキー殿!」
明命は新しい弾丸の包みとコーラを渡す。
「おう!ありがとう!」
「私が預かったのはこれで全部です。一旦戻って貰って…」
「大変なのです!」
「どうしたのねね⁉」
「敵に後ろに回り込まれたのです!」
「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」
▽
袁紹軍の陣。
「袁紹様、陣の用意が整いました」
「お疲れ様です田豊さん。あとは皆さんが戻るのを待つだけ…」
「申し上げます!攻め込んでいた味方の背後に敵の一部が回り込み、文醜様と顔良様が挟撃されてしまっております!」
「何ですって⁉」
「真直さん、すぐに救援に向かいますわよ!」
「待って下さい麗羽様!敵の数は⁉」
「十万です!」
「こちらにはほとんど兵はおりません!救援に向かっても焼け石に水です!」
「………っ!」
▽
郿塢城後方、曹操軍最前線。
「駄目です!完全に退路を断たれてしまいました!」
「くそう…!」
「姉者!ナミ殿!ここは私と栄華で引き受ける!」
「お二人は何とか城内に攻め込んで下さい!」
「秋蘭⁉栄華も何を言って…」
「この状況を好転させるには、郿塢城を攻め落とすしかありませんわ!お二人が頼りなのです!」
「しかし…」
「春蘭さん!行きましょう!」
「ナミ殿⁉」
「後ろには華琳さん達やロビンが残っている!きっと何とかしてくれるわ!」
「……わかった。―――一点突破だ!一気に城に攻め込むぞォ!」
▽
郿塢城後方、孫堅隊最前線。
「急げー!後方の敵を振り切って城へ攻め込めー!」
「うっとおしいわね!私たちも急いでチョッパー君とブルック君の加勢に行かなきゃならないってのに…」
炎蓮と粋怜は背後の敵を食い止めつつ、味方の兵を城内へ送り込んでいた。
「…粋怜、先に行け。こいつらはここでおれが食い止める」
「馬鹿言わないで下さい!殿なら私が務めます!」
「てめェこそ馬鹿言うな。おれは隠居した身だぞ?もうこれくらいしかやる事がねェんだよ…」
「っ!……そんな考えなら尚更任せられません!討死を…敗北を前提としているような殿は信用できませんから…!」
「……成程、もっともだ」
▽
郿塢城前方、最前線。
「“鉛星”‼」
「“ストロング”…“ハンマー”‼」
背中を預けながらウソップとフランキーは戦う。
「ウソップ…おめェあとどれくらい火薬ある⁉」
「あと五十発ぐらいだ…。お前のコーラは⁉」
「もう一本以上消費しちまってる…!予備はねェ…!」
「こんな事なら輸送隊をもう一隊待機させておくべきでした…!」
「読みが甘かったか…!」
その隣では明命と白蓮が背中を預けながら戦っている。
他の将兵達も一ヶ所に固まり、何とか包囲網を突破しようと足掻く。
月や詠、ねねも必死に戦っている。
「こうそー!まだあばれちゃだめにゃ⁉」
「……もう出し惜しみはできぬかもしれんな…」
「月に手出しはさせない…!」
「詠ちゃん…」
「恋殿も頑張っているのです…!ねねが…ここで踏ん張らない訳にはいかないのです…!」
「ここで我々が敗れれば、後ろの瑞姫達も…!」
「ともかく、この円陣を崩すな!」
「文ちゃん…最期まで背中を守ってくれる…⁉」
「当たり前だろ斗詩…!」
「…にょ?なんかむこうがさわがしいにょ!」
そう言ってミケは自分達の後ろ―――洛陽の方を指す。
「なんかたたかいの音がするにゃ!」
「あたらしいのが来たにゃん」
「新しいのって…新手の敵か⁉」
「猪々子ェ~!斗詩ィ~!」
「え⁉」
「あの声って…」
次の瞬間…
「増援を連れてきましたわよー!」
敵を蹴散らしながら麗羽と真直が現れた!
さらにその後ろには…
「麗羽姉様の兵じゃなくて妾の兵じゃぞ!」
「麗羽様!真直ちゃんも!美羽様や七乃さんまで!」
「来てくれたんですか⁉」
「必ず生きて戻れと命令―――いえ、約束したでしょう⁉」
「「っ!はい!」」
「チキショー!オメーら泣かせるじゃねェかー!」
「泣いとる場合か!」
「ちょっとー!シャオ達も来てやったのよー!無視しないでくれる⁉」
「小蓮様!雷火様に穏様!包殿も!」
「そ、それに……主上様達まで⁉」
「み…皆の衆!恐れるなー!天の御遣い達が必ず勝利への活路を切り開く!彼らを信じ奮戦せよー!」
「漢の兵士達よー!陛下の御前で無様な戦いを見せるなー!どんなに苦しくとも身体に鞭を打って奮い立てー!」
「「「「「「「「「「お…おォーーーっ!」」」」」」」」」」
白湯と黄の叫びに兵士達は気合を入れ直す!
「れ、瑞姫⁉何故お前まで来た⁉」
「だってあの状態の洛陽に一人で残ってるのも、それはそれで危険じゃない…」
「こうなったら…意地でも倒れる訳にはいかないではないか!」
「一応、ちぃ達も一緒に来たわ!」
「一ヶ所に固まれって防御に徹すれば、足手まといにはならないから!」
「螺旋槍の力!見せたるでェー!」
「フランキーさーん!ウソップさーん!残りの“こーら”と火薬、全部持って来ました!」
「真桜!流琉!助かるぜ!」
「微力ですが、私達も参戦します!」
「もうこうなったら…戦いは苦手だなんて言ってられないから!」
「燈⁉喜雨まで⁉」
「十面埋進の陣と同じ原理で敵軍を突き抜けて来ましたー!今の内に包囲網を脱出して陣形を立て直して下さーい!」
ありったけの声で叫ぶ包。
「包や」
「は、はいっ!何でしょうお師さん⁉」
「……先程はよくぞ申した」
「へ?」
少し前、洛陽防衛線、本陣。
『この通りです!兵を貸して下さいまし!』
『『『『『『『『『『…………』』』』』』』』』』
美羽やシャオ、その他の軍師や将兵、そして空丹達に麗羽は土下座して頼む。
『れ…麗羽様…!』
その姿に真直も驚く。
『駄目じゃ』
そう言い放ったのは雷火だった。
『わしらの役目はこの洛陽の門と主上様を守り抜く事。わしらが動いた隙に新手が来たりでもしたらどうする?
そもそも戦に出る以上、死者が出るのは当然の事じゃ!貴様の側近だけを特別視する訳にはいかん!そやつらもお主も承知の上で戦場に出た筈であろう⁉』
『確かに承知の上ですわ。でも…』
麗羽は泥だらけになった顔を上げる。
『死んで欲しくないと思うのは当然でしょう⁉』
『……わかったのじゃ。妾達が行こう』
『お嬢様⁉』
『美羽さん!』
『袁術殿⁉何を言って…』
『妾は孫呉の者ではない。孫家のお主が何を言おうが知った事ではないのじゃ。お主達だけ残って洛陽と陛下をお守りすればよかろう?』
『ぬう…』
『…ねェ黄?』
『何ですか空丹様?』
『ここにいる兵士達は私達を守る為の兵士なのよね?』
『はい。一応そのお役目もございます』
『だったら、私があそこに行けばみんなもついて来るのよね?』
『はい。…って、ええっ⁉主上様⁉』
『ま、まさか…⁉』
『袁紹、私もあなたと一緒に行くわ。白湯、あなたはそれでいい?』
『は、はい!勿論です!』
『なりませんぞ!その様な事!たとえ陛下のご命令といえど…』
『あの~お師さん』
『何じゃ⁉』
『この際ハッキリ言いますけど、前方の軍が破られたらここにいる兵だけで洛陽を守り切るのって、まず不可能じゃないですか?だったら前線が敗れる前に防衛線を前方に移動させて、結託して防衛した方が良いと思うんですが?』
『むむむ…』
『そうですね。その方法でしたら、この移動式の厨房と調合場もウソップ殿とフランキー殿との所へ持って行けますし…』
『天子様が自ら戦場赴くとなれば~兵士も奮い立つでしょうしね~』
『…………』
燈と穏にも言われ、雷火は沈黙する。
『一応訊くけど、何太后様は良いの?』
『この状況で嫌だなんて言える訳ないでしょ?一人でほっぽり出されるくらいなら、一緒に行くわよ』
喜雨と瑞姫もそんな会話をする。
『……尚香様』
『何?雷火?』
『指揮官はあなたです。ご判断を』
『……全軍、出陣よ!』
「今回わしが折れたのは、お主の弁による所が一番大きい。見事であったぞ」
「は、はァ…。褒められるのは嬉しいですが…いつもあれだけ怒鳴っていると、少し調子が狂いますね…」
「何じゃ?なら望み通り一喝してやろうか?」
「ひゃわわ⁉いえいえいえ!お褒めいただきありがとうございます!」
「この地を洛陽の最終防衛線とします!」
「金仙丹が破壊されるまで耐えて下さ~い!」
七乃と穏が宣言し、また激戦が始まった。
▽
曹操軍の陣。
「春蘭達が敵に退路を阻まれた⁉」
「はい。いかがなさいましょう?」
「……仮に春蘭達が敗れてしまったら、残りの兵達で戦うのは厳しいわ。何より…彼女達を見殺しにはできない…!」
▽
孫策軍の陣。
「母様と粋怜が敵中で孤立している⁉」
「どうします仲謀?」
「……ここでただ敵が来るのを待っているというのは、あまりにも愚直に思う。何より…母様達を見捨てる訳にはいかない…!」
そして2人は同じ命令を下す!
「「これより全軍で総攻撃を開始する!」」
▽
郿塢城前方、洛陽、最終防衛線。
「おっしゃー!反撃開始だ!」
「図に乗るなよ!小童共が!」
気合を入れ直すウソップ達の前に太平道が現れる!
「太平道!」
「ついに中方や大方が出て来たか…!」
「我らの妖術に敵うと思うなァ!」
「覚悟しろ雑魚共ォ!」
そう言って幾人かの大方と中方が襲い掛かる!
「「「「にゃーっ!」」」」
「「「「「「「「⁉」」」」」」」」
しかし、次の瞬間、美以、ミケ、トラ、シャム達によって吹っ飛ばされる!
「もう出しおしみはしなくていいにゃー!」
「思いっきりあばれるにょー!」
「みんなぶっとばしてやるにゃー!」
「ふしゅーっ!」
「馬鹿共が!油断しおって!」
そしてまた十人程の大方、中方が襲い掛かる!
「おらァー!」
「たあー!」
「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」
今度は全員、猪々子と斗詩によって吹っ飛ばされる!
「お前らが来るまでの間、アニキ達にきっちり稽古つけて貰ったからな!」
「もう…あなた達には負けませんよ!」
▽
郿塢城後方、曹操軍、最前線。
「秋蘭さん!春蘭さん達は城内に入れたようです!」
「そうか!―――皆の者!後は身を守りつつ時間をかせ…!」
「秋姉ェー!栄華ー!」
「華侖さん⁉お姉様に桂花さん!ロビンさんも!」
「助けに来たっすー!風と稟も凄く近くまで来て頑張ってるっす!」
「そうか…!なら我らも負けてられんな!」
「将軍!太平道が出てきました!大方、中方達です!」
「ようやく来たか!皆の者!今こそ本気で戦うのだ!」
「この一年間の頑張った成果!見せてやるっす!」
「「「「「「「「「「おーーー!」」」」」」」」」」
「ロビン殿!あなたはとにかく城内へ向かう事を優先して!」
「わかったわ!」
▽
郿塢城後方、孫策軍、最前線。
「かかれェーーー!」
「母様!粋怜!」
「おう蓮華、ようやく来たか…!」
「間に合ってよかった…!」
「おう粋怜、良い頃合いで来たじゃろう?」
「祭…。もう少し早くても良かったけどね?」
「皆様!再会を喜ぶのは後です!敵も太平道の本体を投入してきました!」
「そうか…!ようやく特訓の成果を見せられるという事じゃな!」
「おめェら!おれは城内へ行って狸共に加勢する!ここは任せたぞ!」
「御意!孫呉の勇者達よ!今こそ反撃の時!存分に暴れ手柄を立てよ!」
「「「「「「「「「「おーーー!」」」」」」」」」」
両軍、惜しみなく全戦力を投入し、いよいよ戦況は大きく動き出す!
此度の震災で被災された皆さま、深くお見舞いを申し上げます。