ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

19 / 179
今回はちょっと短いです。




第19話 “王になる”

愛紗達が張繍の火計に気付いた頃―――

 

「………はっ!―――これは⁉」

 

香に仕込まれた眠り薬によって、眠っていた華琳が目を覚ますと、すでに屋敷全体に火が広がっていた。

部屋の中を見渡すが、持ち込んだはずの絶が見当たらない。

 

「―――おのれ、張繍!」

 

仕方なく華琳は丸腰のまま、屋敷を脱出する。

 

「なっ⁉」

 

玄関から飛び出した華琳の目に映ったのは、見張りとして待機させた自軍の兵士の亡骸と、20人ほどの張繍の兵士だった。

 

「曹操が出てきたぞ!」

 

「あいつの首をとれば、今日一番の手柄だぞ!」

 

「やっちまえ!」

 

「「「「「「「「「「オォッ!」」」」」」」」」」

 

「くっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~再び、屋敷の中~

 

「ぐ~……ん~…何だァ…暑ィな~」

 

屋敷の中で眠っていたルフィも目を覚ました。

 

「ん?」

 

…と、同時に一面の火の海が目に飛び込んできた。

 

「何じゃコリャ~~~⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃―――

 

「でりゃァァァ!」

 

「ぐああっ!」

 

「せやァァァ!」

 

「ギャア」

 

愛紗達は、次から次へと湧いて来る張繍軍の兵士達と戦いつつ、華琳がいる屋敷へと向かっていた。

 

「桂花!屋敷にはまだ着かないのか⁉」

 

「まだまだ掛かるわよ!ただでさえ遠回りになるうえ、敵が邪魔してくるんだから!」

 

「!おい!あれを見ろ!」

 

「あれは⁉」

 

「我が軍の兵士達だ!」

 

「苦戦しているようだな…」

 

「見捨てるわけにはいかん!助けるぞ!」

 

「「「「「おう!」」」」」

 

 

 

 

 

 

「うわあ!」

 

「行けェ!曹操軍を追い込めェ!全滅させろォ!」

 

「させるかァ!」

 

ズバッ!

 

「ギャア!」

 

「夏侯惇将軍!夏侯淵将軍!荀彧様も!」

 

「お前達、状況はどうなっている⁉」

 

「はい…!

どうやら、張繍からの献上品の中に硫黄や煙硝、油が仕込まれていたようです!

それに火を点けられ、陣は瞬く間に全焼し、多くの兵が火傷を負いました!

さらに奇襲を受け、兵の大半がやられてしまいました!」

 

「成程、鈴々が言っていた変な臭いとはそのことか…!」

 

「お前達、この者達が連れていた、藁で編んだ帽子を被った男のことは、何か知らないか?」

 

「それでしたら…火事が起こる前に、曹操様が招かれた屋敷に入って行ったとか…」

 

「本当か⁉」

 

「はい!ですから、おそらく曹操様と一緒に屋敷にいるかと…」

 

「な…」

 

その言葉を聞いた瞬間、桂花は震えだし…

 

「荀彧殿?」

 

「なんですってェ~~~⁉」

 

先ほどの爆発音や、春蘭が鉄に斬りこんでいた時の音よりも、断然大きい絶叫を響かせた。

 

「え、えーと…?」

 

「おい桂花、どうしたのだ?」

 

「どうしたもこうしたもないわよ!あの屋敷は、華琳様が私達と愛し合うための造りになっていたのよ!」

 

「は?…愛し合う?」

 

「そんな所に、華琳様が男と二人だけでいたら…華琳様が汚されてしまうわ!」

 

「何だとォ⁉」

 

その言葉を聞き、春蘭も絶叫する。

 

「あの…お二人とも…?」

 

「いやあァァァァァ!」

 

「華琳様のお身体があァァァァァ!」

 

「「「「…………」」」」

 

「がり゛ん゛ざま゛ァァァァァ!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

ゴゴン!

 

ドサドサ…

 

鈴々の正拳が炸裂した。

 

「うるさかったから気絶させたのだ」

 

「うむ、良い判断だな」

 

「よくやったぞ鈴々」

 

「すまぬな、手間を掛けさせて…」

 

「さてと…とりあえずルフィ殿と曹操殿が一緒にいるなら、しばらくは大丈夫だと思うが…」

 

「そうだな。華琳様の武芸の腕は、私や姉者にも劣らん。あの男も、相当の実力者なのだろう?」

 

「ああ。ルフィ殿は我々の中で一番の実力者だ」

 

「ふむ、なら一度体勢を立て直して、それから二人を探すとしよう」

 

「しかし、立て直すといってもどうやって…」

 

「出陣の際、華琳様は非常時の集合場所を、あらかじめ決めていたのだ。

張繍軍の奇襲で散り散りなった我が軍の兵は、皆そこへ向かっている。

おそらく華琳様も、そこへ向かおうとする筈」

 

「成程、ではまずそこへ向かうとしよう。気絶しているこの二人も、そこで介抱した方が良いだろうしな」

 

「ああ」

 

「そうだな」

 

「わかったのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~華琳side~

 

「ハァーーーッ!」

 

ズバッ!

 

「ぐあっ!」

 

華琳は敵から剣を奪い取り、応戦していた。

 

(体が…思うように動かない…!)

 

しかし、まだ眠り薬の効き目が残っており、実力を発揮できていなかった。

そのうえ、手にしている武器が使い慣れた物と大きく違うため、苦戦していた。

 

ヒュン!

 

ドスッ!

 

「うっ…!」

 

その時、後方から飛んできた矢が肩に刺さり、一瞬動きが完全に止まってしまう。

 

「隙あり!」

 

すかさず、1人の敵兵が槍を構えて突っ込んで来る!

 

「―――ったァ!」

 

ザン!

 

「がっ…」

 

華琳も負けずに迎撃し、返り討ちにするが…

 

(しまっ…!)

 

薬の後遺症と痛みでひるんでしまったうえ、武器のリーチは相手の方が上だったため、華琳の方も腹に傷を負い、膝をついてしまう。

 

(ここまで…なの…⁉)

 

いまだに10人以上いる敵兵を睨みながら、華琳がそう思った。

 

その時だった。

 

「熱ィ!」

 

ガシャーン!

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

屋敷の窓を突き破って、何者かが飛び出してきた。

 

「何だ⁉屋敷の中に、まだ誰かいたのか⁉」

 

「討ちとれェ!」

 

張繍の兵士達は剣を振りかざし、向かっていくが…

 

「どけェ!」

 

ドゴォォン!

 

「「「「「「「「「「ギャアアア⁉」」」」」」」」」」

 

飛び出してきた男、ルフィは一瞬でそいつらを吹っ飛ばした。

 

「あなた…」

 

「あ!お前!」

 

華琳はその男がルフィであることに気付き、声をかける。

ルフィの方も華琳に気付き、駆け寄る。

 

「お前、ケガしてんのか⁉大丈夫か⁉」

 

「…命に別状はないわ」

 

「そうか。ところで、どうなってんだコレ?」

 

屋敷だけでなく、街全体が燃えている様子を見て、ルフィは訊ねる。

 

「張繍が私を殺そうとして、火を点けたようね…。おそらく私の部下や、関羽たちも危ないわ…」

 

「やべェじゃねェか!おい、急いで逃げるぞ!」

 

危険な状況であることを理解したルフィは華琳を急かすが…

 

「逃げる…?」

 

華琳はその場から動こうとせず、ルフィを睨むような目で見る。

 

「馬鹿なこと言わないで頂戴!私が逃げるなんて、あってはならないわ!」

 

「⁉」

 

「私が敵に背を向ける⁉敗北する⁉冗談じゃないわ!

そんなことをして無様に生きるくらいなら、誇り高く死んだほうがマシよ!

そうよ、ただ炎に焼かれて死んだり、そこいらの雑兵に討たれるくらいなら、いっそ自分で…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォン!

 

「⁉」

 

そこまで言ったところで、華琳はルフィに殴り飛ばされた。

 

「…………」

 

「……⁉」

 

ルフィは明らかに怒った様子で、華琳に近づき胸倉をつかむ。

 

「フザけんなァ‼」

 

「⁉」

 

「お前―――王になるんじゃなかったのかよ⁉

王になるために戦って―――あいつらを戦わせてきたんだろ⁉

お前が生きていれば、何度だって戦える‼まだ王になれる‼

それなのにお前が、今ここで死ぬなんて―――死のうとするなんて、最低じゃねェか‼」

 

「…………」

 

「フー…フー…」

 

しばらくして呼吸を整えると、ルフィは手を放す。

放された華琳は呆然として、そのままその場に座り込む。

 

「…………最…低?」

 

「いたぞ!曹操だ!」

 

その時、新手の敵兵が現れた。

今度は何十人もの人数がいる。

 

するとルフィは華琳を庇うように―――否、華琳に自分の背中を見せつけるかのように、敵兵達の前に立ちはだかる。

 

「おい見ろ!曹操の守りはたった一人だ!」

 

「やっちまえ!」

 

そう叫び、先頭にいた2人が斬りかかる。

 

ドゴゴン!

 

「⁉」

 

しかし、ルフィは一瞬で2人を叩き伏せる。

 

「な、何だコイツ⁉」

 

「曹操軍にこんな奴がいるなんて聞いてねェぞ⁉」

 

「何者だ⁉」

 

「―――おれは……海賊王になる男だ‼」

 

「…!」

 

ルフィのその言葉に、華琳はわずかに目を見開く。

 

「…は?」

 

「「「「「「「「「「はははははははっ!」」」」」」」」」」

 

それに対し、張繍軍の兵士達は、ルフィの言葉に笑い出す。

 

「は?賊の分際で王?何言ってんだコイツ?」

 

「曹操軍の隠れた名将かと思ったが、ただの馬鹿みたいだな!」

 

「一斉に掛かれ!」

 

「賊は賊らしく成敗されろ!」

 

「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」

 

一斉に襲い掛かってくる張繍軍の兵士。

 

ドガガガガァン!

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

しかしルフィはひるむことなく、迎え撃つ。

 

「おれは……死なねェ!―――こんな所で死んでたまるかァーーーっ!」

 

そのまま、敵の大群に向かっていくルフィ。

 

「…………」

 

華琳は呆然として、その姿を見ていた。

 

その時…

 

(何やってんだアイツらは?そんなどこの馬の骨か分からない奴、相手にしないで曹操の首をとった方が良いに決まってるだろ!)

 

敵兵の1人が、ひそかに華琳の背後に回っていた。

 

(今の曹操は隙だらけだ!死ねェ曹操!)

 

そして槍を振るい、華琳に襲い掛かる!

 

「…っ!」

 

ドシュッ!

 

「がっ⁉」

 

しかし華琳は振り向きざまに切り裂く。

そして相手の槍を奪い、立ち上がる。

 

「我が名は曹孟徳!いずれこの大陸に覇を唱える者!この首は―――お前らにくれてやるほど安いものではない!

ハァーーーッ!」

 

勢いよく石突で地面をつき、そう叫ぶと華琳は槍を振りかざし、敵をなぎ倒しながら突き進む!

 

ズバッ!ドスッ!ビシッ!

 

「「「ギャアアア!」」」

 

ルフィに追いつくと、2人は背中を合わせて並び立つ。

 

「お前、戦えるか⁉」

 

「ええ!さっきはどうかしていたわ!」

 

「よし!じゃあ一緒に逃げるぞ!」

 

「……“華琳”よ」

 

「ん?」

 

「私の真名。背中を預けて戦うんだもの、それくらいの信頼は当然でしょ?」

 

「そうか。おれは真名はねェから、“ルフィ”でいい!」

 

「そう。じゃあ…行くわよ“ルフィ”!」

 

「おう!行くぞ“華琳”!」

 

そして、2人の“王を目指す者”の共闘が始まったのだった!

 

 




まずは生きること!それが大事!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。