ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
とある世界のとある時代―――
そこは私利私欲に溺れた権力者達が暴政を行い、国家は事実上崩壊、各地に散らばる豪族達が民を治め力を持つ“群雄割拠の時代”を迎えていた。
そんな時代に、1人女の武芸者がある山中を歩いていた。
1枚の布をマントのように羽織り、偃月刀を肩に担いでいる。
「もう桃の花が咲く季節か…」
目の前を舞う花びらを見て、女はそう呟く。
「うわあァァァァァ!」
「⁉」
突如誰かの悲鳴が響き、女は聞こえた方角へ走り出した。
▽
しばらくすると、3人組の旅人が5人程の山賊に襲われているところに出くわした。
「やめろ!」
女は武器を手にし、山賊達に怒鳴りつける。
「おお、こりゃついてる。獲物が1人増えたぜ。しかも女のようだ」
しかし山賊達は慌てる様子もなく、女の方に向き直る。
「その
「……世も末だな」
女は纏っていた布を脱ぎ捨てる。
すると服の上からでもわかる美しい身体、整った顔、そしてサイドテールにした長く美しい黒髪があらわになる。
その黒髪を見て山賊の1人が声を上げる。
「!兄貴、コイツもしかして噂の“黒髪の山賊狩り”じゃないですかね?」
「何だそりゃ?」
「知らないんですか?最近あちこちで賊を退治して回っている、黒髪の美しい女の武芸者の事ですよ」
「知ったこっちゃねェ!やっちまえ!」
そう言って得物を構える山賊達に対して、女の方も改めて自身の得物、“青龍偃月刀”を構える。
「我が名は“関羽”!乱世に乗じて
「「「「「オラアアアアアッ!」」」」」
山賊達は勢いよく襲い掛かる!
ドカッ!ビシッ!ドシュッ!
「ふう…」
―――が、関羽はいとも簡単に倒してしまった。
「あの…ありがとうございました」
「おかげさまで無事に村まで帰れそうです」
「本当に助かりました」
「いえ、当然のことをしたまでです」
「この賊共は、今の内に縛ってしまいましょう。後は我々が村のお役人様に引き渡しておきますので」
「役人か…」
役人という言葉が出たとたん、旅人の内2人が嫌な顔をし、残りの1人も顔をしかめる。
「あの、どうかしましたか?」
「いや、おれ達の村の役人があんたみたいな人だったら、って思ってよ…」
「あいつら賊が襲ってきてもほとんど戦わないくせによ、こういう既に退治された賊を罰してはデカい顔してやがるんだ」
「しかも軍備費だのなんだの言って、税はたっぷり取りやがるし…」
「…………」
3人の言葉に関羽も表情を曇らせる。
「もっとしっかりした役人が欲しいよ…」
「いや、もう役人なんかアテになんねェよ。“天の御遣い様”に祈るしかねェさ」
「…………」
▽
3人と別れた後、関羽は近くの河原で休んでいた。
(天の御遣い様か……)
“天の御遣い”
それは関羽も幼い頃からよく聞かされていた、
(この空の遥か上に、蒼天を下に敷く天の国がある。
天下が乱れ世に怨嗟の声が満ちる時、九つの流星に乗り九人の天の御遣いが地上に降り立ち、世に太平をもたらす……)
伝説を思い出しながら、関羽は空を見上げる。
(本当に…そのような人達がいるのだろうか?もし、いるならば…どうか……)
キラン!
(ん?)
キラキラン!
(流れ星?昼間から?)
キラキラキラン!キラン!キラキラン!
(九つの…流星……まさか⁉)
ドゴォォォォォン!
(!近くに一つ落ちた!)
▽
(確かこの辺りに落ちたはずだが……)
関羽は流星が落ちたと思われる山に来た。
「何だお前ら?」
(!誰かいる…⁉)
誰かの声が聞こえ、関羽は茂みに身を隠し、声がした方を覗いてみた。
「見ての通り山賊だ」
「山賊か…久しぶりに見たな」
すると、1人の男が10人程の山賊に囲まれているのが見えた。
「久しぶり…?まあいい。持ってるモン、身に着けてるモン、全部置いてけ。下着も、草履も、帽子もな」
「帽子も…?イヤだね」
帽子を渡せと言われた事が気に障ったのか、男の雰囲気が変わる
「へッ!おとなしく身ぐる置いてきゃ、命だけは
「「「「「「「「「「オオオオオッ!」」」」」」」」」」
そう言って山賊達は武器を手に襲いかかる!
ドカッ!バキッ!ドガッ!
「…弱ェなお前ら」
―――が、男はいとも簡単に倒してしまった。
しかも男の方は丸腰だった。
「なんとお強い……」
関羽は思わず声を出して、その男に近づいて行った。
「ん?誰だお前?」
男が振り返る。
わらで編んだ帽子をかぶり、左目の下に傷がある。
その顔立ちはどこか間が抜けており、お世辞にも威厳や神聖さは感じられない。
しかし、男の強さを見た関羽は『この男に違いない』と信じて疑わなかった。
「我が名は“関羽”、字を“雲長”と申します。天の御遣い様、お会いできて光栄です」
「てんのみつかい?」
関羽の言葉にその男は首をかしげるのだった。