ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

20 / 179
第20話 “手中”

「“ゴムゴムの”…“銃乱打(ガトリング)”~~~!」

 

ドガガガガガ!

 

「「「「「「「「「「ギャアアアアア!」」」」」」」」」」

 

「ハアッ!」

 

ドス!

 

「うっ!」

 

ビシッ!

 

「ぐあっ!」

 

バシッ!

 

「がっ…」

 

ルフィと華琳は無数の敵兵の中を突き進んでいた。

 

「くそォ!きりがねェな!全然進めねェ!」

 

「でも、炎を避けて進むには、敵兵がいる場所を進むしか…」

 

「あ、そうだ!こっち来い!」

 

「え?キャッ⁉」

 

ルフィは華琳を抱え…

 

「よっと!」

 

近くの民家の屋根に跳び乗った。

 

「何⁉」

 

「何だあの身の軽さ⁉」

 

「よし!このまま行くぞ!」

 

ルフィは華琳を抱えたまま屋根の上を飛び回り、城壁へと近づき…

 

「フン!」

 

腕を伸ばし、城壁の上へと飛び移る。

 

 

 

 

 

 

 

「…さっきから気になってたけど、あなたのその身体一体何なの?」

 

「おれは“ゴムゴムの実”を食った“ゴム人間”だ!」

 

「…“ごむ”?」

 

「愛紗達はおれのこと『天の国の人間』って呼んでる」

 

「…天の国…?」

 

「おい!あれ…」

 

「曹操だ!何故ここに⁉」

 

「!見つかった!」

 

「こっちだ!」

 

「えっ⁉ちょっ…」

 

ルフィは華琳を抱え、城壁から城の外へ飛び下りた。

 

 

 

 

 

 

「“ゴムゴムの”…“風船”!」

 

ぼん!

 

「キャッ⁉」

 

そして、両名ともケガすることなく無事着地した。

 

「…あなたのその身体、伸びるだけじゃなくて膨らむこともできるのね…」

 

「ああ。これで助かったか?」

 

「いえ、急いで城から離れましょう。

あらかじめ非常事態の場合の集合場所を決めておいたから、私の兵はそこにいるはず。そこへ向かいましょう」

 

「そうか、わかった」

 

「…関羽達も無事だといいけれど…」

 

「心配すんな。あいつらなら大丈夫だ」

 

「随分信頼しているのね」

 

「もちろんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗、鈴々、星、春蘭、秋蘭、桂花は曹操軍の集合場所にいた。

散り散りになった兵士達も、少しずつ集合していた。

しかし、どの兵士達も傷だらけで、疲労困憊だった。

 

その一角で…

 

「こんな所でぐずぐずしている場合ではない!

華琳様の命と純潔がかかっているのだぞ!」

 

「だからそのために体制を整えるべきでしょう!

確実に張繍軍とあの猿の魔の手から、華琳様を救い出さないといけないんだから!」

 

「…夏侯淵殿、なんだか目的と敵に、余計なものが増えているような気がするのですが?」

 

「いつものことだ。気にしないでくれ」

 

「はァ…(こ、これがいつものことなのですか…?)」

 

愛紗達6人は、この後の行動について話し合っていた。

しかし、春蘭と桂花の口論が始まってしまい、収拾がつかなくなってしまっていた。

 

「報告します!」

 

そこへ、1人の兵士が報告に来た。

 

「どうした⁉」

 

「曹操様が戻ってこられました!関羽殿達のお連れの方も一緒です!」

 

「おお!」

 

「本当か⁉」

 

「華琳様が⁉」

 

愛紗達は急いで2人を迎えに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルフィ殿!」

 

「やっと会えたのだ!」

 

「おう!お前らも大丈夫だったか!」

 

「華琳様‼」

 

「よくぞご無事で‼」

 

「ええ、あなた達も無事で何よりだわ。被害の方は?」

 

「はい。残ったものは三千強。まともに動けるものは、千人足らずです」

 

「そう…一万の我が軍がここまでやられるとわね…。

でも、我が軍の主将と筆頭軍師が無事だったのは、不幸中の幸いかもしれないわね」

 

「はい。何より華琳様が無事でしたなら、また再起を謀ることは可能です」

 

「本当…ご無事で何よりです…」

 

「うゥ…」

 

そして春蘭や桂花、近くにいた兵士たちも嬉し涙を流し始める。

 

「あなた達…」

 

その様子を見て、華琳は先ほど死を選ぼうとした自分を思い出す。

 

(本当に、どうかしていたわね…。

私が死ねば…彼女達や私の部下、領民をどれだけ悲しませたことか…。

私は簡単に死んではいけない…)

 

そして、その時の自分を心の底から恥じるのだった。

 

「華琳様、張繍軍が追撃してくる可能性もあります。ここは急いで陳留に戻るべきかと」

 

まだ涙を流しつつも、桂花は軍師としての顔に戻り、進言する。

 

「そうね、急ぎましょう!…でも、その前に…」

 

華琳はルフィ達の傍に寄り。

 

「ルフィ、関羽、張飛、趙雲、本当にごめんなさい」

 

深々と頭を下げた。

 

「そ、曹操様⁉」

 

「曹操殿!頭をあげて下さい!」

 

「あなた達の功績を称えるために同行させたはずが、このようなことに巻き込んでしまった…。

本当にごめんなさい」

 

「曹操殿…」

 

「いいよ。死んでねェし。メシも食わせてもらったから、許す!」

 

「そうです。乱世に身を投じた時点で、命を懸けることは覚悟の上です」

 

「悪いのはチョウシュウって奴なのだ!お姉ちゃんが謝る必要なんてないのだ!」

 

「そもそも曹操殿に同行することは、我々が決めたこと。自業自得です」

 

「そう言ってもらえると助かるわ…」

 

そう言って顔をあげると華琳の顔は、すぐに一軍の将の顔に戻った。

 

「これより急いで兵を引く!直ちに行動を開始せよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日―――

 

華琳達は夜通し移動を続け、宛城から距離をとった。

 

「曹操様、張繍軍の追撃の様子はありません!」

 

「そう。ご苦労様。下がっていいわよ」

 

幸いにも、曹操軍は張繍軍から追撃を受けることなく済んだ。

 

「しかし、張繍の奴は何故追撃してこないのでしょう?」

 

「…もしかしたら、張繍は宛城から離れられなかった。

だから、逆に私達を宛城に呼び寄せて殺そうとしたのかしら?」

 

「確かに…荊州牧の劉表(りゅうひょう)殿はあまり有能とは言えない方。

それ故、荊州内では内部での睨み合いが絶えないとか…。

そんな状態で城を空ければ、すぐに襲われるでしょう」

 

(敵を倒すために手中に呼び寄せる、城ごと敵を燃やす、眠り薬を食事ではなく香に仕込む…どれも盲点を突いた見事な策。

それに眠った私を手にかけず、武器を奪うだけにしたのも、万が一にも私が起きて、失敗するのを避けるため。

一体誰が考えたのかしら?)

 

「華琳様、どうかなさいましたか?」

 

「いえ、何でもないわ…。春蘭、ルフィ達を呼んできてもらえる?」

 

 

 

 

 

 

「何だ話って?」

 

「これから私達は、行軍速度を上げて本格的に陳留へ撤退するわ。

それで、出来ればあなた達も陳留へ招きたいのだけれど…残念ながら今の我が軍には、あなた達を同行させる余裕がないの…。

だから…申し訳ないけど、あなた達とはここでお別れしたいの…」

 

「ああ、別にいいよ。な?」

 

「はい、ここまで同行させてもらえただけでも感謝しています」

 

「ご飯、ありがとうなのだ!」

 

「我々はまだ曹操殿に仕官するか決めかねておりますし、これ以上世話になるも悪いですからな」

 

「そう…。もし機会があれば、陳留に来てちょうだい。歓迎するわ」

 

「うん、今度はお前達とも手合わせしてみたいしな」

 

「ああ。是非ともまた会おう」

 

「ま、縁があったらまた会いましょう(できれば、あまり来てほしくないけど…)」

 

「おう!それじゃな()()!」

 

「ぬァ⁉キサマァァァァァ‼」

 

「ちょっとアンタ‼」

 

「何だ?」

 

「『何だ』ではない‼よくも華琳様の真名を口にしたなァ‼」

 

「よ、よりによってアンタみたいな猿が…!

覚悟しなさい‼生まれてきたことを、後悔させてから殺してやるわ‼」

 

「姉者、桂花も落ち着け」

 

「止めるな秋蘭!コイツは華琳様の真名を呼んだのだぞ!」

 

「そうよ!ただの死刑じゃ足りないぐらいよ!あんたは何で平然としているのよ⁉」

 

「私だけではない。華琳様も平然としているだろう」

 

「へ?」

 

秋蘭に言われ、春蘭と桂花が華琳を見ると、確かに華琳は怒る様子もなく、平然としている。

 

「か、華琳様…まさかとは思いますがコイツに真名を…⁉」

 

「預けたわよ」

 

「…………」

 

その一言を聞いた瞬間、桂花は…

 

バタン

 

「泡を吹いて倒れたのだ」

 

「…か…華琳様が…お…男に…真名を…おぼぼ……」

 

「か、華琳様…ほ、本当に…男に真名を?」

 

「何よ春蘭。私が男に真名を預けることに何か問題でも?」

 

「だ、だって今までそんなことなかったじゃないですか…」

 

「別に私は男が嫌いなワケじゃないわよ。ただ預けるに値する男が、周りにいなかっただけ」

 

「え?曹操殿は男に真名を預けたことがないのですか?」

 

「華琳様はどちらかと言うと、女性と交流を持つ方が好きでな」

 

「やはりそういう嗜好をお持ちでしたか」

 

「き、気付いてたのか星⁉」

 

「何となくそんな気はしていた」

 

「ね~、そんなことよりこの気絶したお姉ちゃんどうするのだ?」

 

「まあこういうのは()()()()しておくのが一番いいだろうな」

 

「そうか」

 

「わかったのだ」

 

「では華琳様、桂花は私が荷車に寝かせてきます」

 

「ええ、そうしてちょうだい」

 

「…………」

 

せっかくのダジャレに反応してもらえず、ひそかにがっかりする星であった。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、ここでお別れね」

 

「また会おう!」

 

「旅の安全を祈っている」

 

「おう!またな!」

 

「曹操殿達もお元気で!」

 

「バイバイなのだー!」

 

「いつかまた!」

 

改めて別れの挨拶をし、別々の道を行くルフィ達と華琳達。

 

「……ルフィ‼」

 

「!」

 

しばらく行くと、華琳がまた声をかけてきた。

 

「あなたには大きな借り、いえ恩ができたわ!本当にありがとう!また必ず会いましょう!」

 

「おう!またな~!」

 

そして、ルフィ達は華琳達と別れた。

 

 

 

 

 

 

~その後―――曹操軍~

 

「華琳様、残念でしたな」

 

「何が?秋蘭?」

 

「あれほどの剛の者達を四人も手に入れる好機を逃してしまったことです」

 

「…ええ、確かに残念だわ」

 

「大丈夫です華琳様!」

 

「「?」」

 

「私が必ず、鉄を斬れるようになり、あの四人分に匹敵する将になって見せます!」

 

「…そう、期待しているわよ春蘭」

 

「はい!」

 

(でも…一番残念だったのは…あの男…)

 

―――――おれは……海賊王になる男だ‼

 

(欲しい物は必ず手に入れる私だけど…何故かしらね…あの男は手に入る気がしない…。

それどころか、逆に私が彼の手中に収められてしまいそうな気さえするわ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~宛城~

 

「張繍様、申し訳ありません。此度の曹操を討つための策。曹操を討てなかった以上、失敗でございます」

 

「まあ良い。一万の曹操軍を壊滅できただけでも、私は嬉しいぞ」

 

「さようでございますか」

 

張繍は自分の腹心である1人の男と話していた。

 

長髪で三日月のような、歪な形の目をしている。

 

「しかし、あの自尊心が高い曹操が逃げるとはな…」

 

「はい、それに曹操と共に脱出したあの男も、謎ですな…」

 

「その男についても、もう少し情報を集めよう」

 

「もちろんでございます」

 

胡車児(こしゃじ)よ、そなたの武勇、知略はまことに頼もしいぞ。お前さえいれば、必ず私は天下をとれるだろう」

 

「身に余るお言葉、感謝いたします(せいぜい今のうちに、いい気分を味わっておくことだな。準備が整えば、お前も用済みだ…)」

 

 




オリジナル話第一弾、完結です。

次回は、順番を入れ替えて、ゾロと翠の話になります。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。