ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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タイトルの通り、()()()が登場します。




第26話 “華蝶見参”

愛紗と鈴々がケンカをした次の日―――

 

「ぐ~…」

 

「…すう…んん?…朝ですか?」

 

ルフィと一緒に寝ていた朱里が目を覚ました。

 

「ふあ~…あれ?」

 

大きくあくびをした後、朱里は何者かがこちらに歩いて来ることに気付く。

 

歩いてきたのは…

 

「…関羽さん?」

 

「…孔明殿…」

 

「んんっ~…!」

 

ルフィも目を覚ます。

 

「お、愛紗」

 

「ルフィ殿…えっと…その…」

 

愛紗は表情を曇らせたまま口ごもる。

そんな愛紗を見てルフィは、笑いながら立ち上がり。

 

「じゃ、追いかけるか」

 

「…はい…」

 

(ルフィさん…最初からこうなると…?)

 

朱里はそう思うが、真相を確かめる術はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の昼頃、鈴々達は崖道を進んでいた。

 

「うんしょ…」

 

「よいしょっと…」

 

「皆さん、落ちないように気を付けて」

 

道幅は狭く、荷車がギリギリ通れるほどしかないため、一行は一列になって進んでいた。

先頭を美花が進み、その後ろから雷々が荷車を引き、電々は荷車を押しながら付いて行く。

鈴々は一番後ろを歩いていた。

 

(ルフィ…愛紗…孔明…)

 

その表情は暗く、頭の中は3人のことでいっぱいだった。

 

「ああっ⁉」

 

「きゃー⁉」

 

「⁉」

 

前方から美花と雷々の悲鳴が聞こえ、鈴々が荷車に飛乗って前を見ると、大きな岩がこちらへ転がってくるのが見えた。

荷物が邪魔になって、電々には見えていないようだ。

 

「鈴々に任せるのだ!」

 

そう言うと鈴々は荷車を飛び越えて先頭に飛び出し、蛇矛を構え岩を受け止める!

 

ガキン!

 

「ふぬぬぬぬぬ~…!」

 

「張飛さん!私も手伝います!」

 

美花もそう言って、走り出そうとするが…

 

「動くな!」

 

「「「「⁉」」」」

 

後方から声が聞こえ、振り返ると…

 

「あなた達は…!」

 

「昨日はよくもやってくれたな!」

 

昨日の山賊達が、崖の上から降りてきて、電々に武器を向けていた。

 

「まさかこの岩はあなた達が…⁉」

 

「その通りだ。ついでに教えておくと、もう一つ用意してあるぜ」

 

「…っ!」

 

賊の言葉に鈴々が岩の向こうを見ると、山賊達が同じくらい大きな岩を、いつでも転がせるようにして待機している。

 

「ああっ!」

 

さらに、上を見ていた雷々が声をあげる。

鈴々達が上を見ると、数人の山賊達が下に向かって弓矢を構えていた。

 

「おとなしく武器を捨てな!」

 

「あ、ああ…」

 

「うう…」

 

「くっ…」

 

「ううう~…!(ど、どうすればいいのだ?鈴々が動けば、みんな岩に潰されてしまうのだ…。

でも、糜竺と糜芳と孫乾は上から矢で狙われてるから、動けないのだ…)」

 

絶体絶命の状況で、鈴々は必死に助かる方法を考えようとするが、思いつかない。

さらに、鈴々も岩を支えるのに、限界が近づいていた。

 

(鈴々も…腕が…もう限界…)

 

「ちっ!往生際が悪いな!お前ら、大岩をもう一つお見舞いしてやれ!」

 

「了解!」

 

頭領らしき男の合図で、前方にいた集団がもう1つの岩を転がす!

 

(あんなのが来たら…!もう、ダメなのだ!)

 

そう思い、鈴々は思わず目をつぶる!

 

その時…

 

「おおおおおっ!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

雄たけびと共に何者かが現れた!

その者は後方の山賊達や雷々、電々、美花を飛び越え―――

 

ドゴゴォン!

 

鈴々が抑えていた岩と、新たに転がってきた岩を砕いた!

 

「あ…」

 

「大丈夫か⁉鈴々!」

 

「ルフィ⁉」

 

「ギャアー!」

 

「ぐあー!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

さらに、後方から賊の悲鳴が聞こえ始める!

 

「ハァーーーッ!」

 

愛紗が後ろから山賊達に斬りかかったのだ!

愛紗の背後には朱里もいる。

 

「な、何だコイツ⁉」

 

「てーい!」

 

バキッ!

 

「ぐあっ!」

 

すかさず、電々も反撃に出る!

 

「ハァッ!」

 

ヒュン!ヒュン!ヒュン!

 

「うわっ!」

 

「がっ!」

 

「うあっ!」

 

美花も崖の上に待機していた山賊達に、ナイフを投げつけ討ち取る!

 

そしてもちろん前方では…

 

「おおおおおっ!」

 

「おりゃーっ!」

 

「ていやーっ!」

 

「「「「「「「「「「ギャアアアアア!」」」」」」」」」」

 

ルフィ、鈴々、雷々が山賊達を蹴散らしていた。

こうなると山賊達はなすすべもなく、次々とブッ飛ばされたちまち賊は撃退された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かと思われたが…

 

「きゃあ!」

 

「「「「「「⁉」」」」」」

 

後方から悲鳴が聞こえ、ルフィ達が振り返ると…

 

「てめェら全員おとなしくしやがれ!」

 

「はわわ~⁉」

 

「しまった!孔明殿!」

 

山賊の1人が朱里を捕まえ、人質にしていた。

 

「さァ、全員武器を捨てろ!」

 

またもや不利な状況に追い込まれるルフィ達。

 

その時だった。

 

ビュッ

バキッ

 

「ぐあっ⁉」

 

「「「「「「⁉」」」」」」

 

朱里を捕まえていた山賊の頭に、どこからともなく飛んできた石がぶつかった。

賊がひるんだすきに、朱里は逃げ出す。

 

「今のは一体…?」

 

「危ないところだったな!」

 

「「「「「「⁉」」」」」」

 

崖の上から声が聞こえ、全員が上を見ると一人の人影が見える。

 

「あの…あなたは?」

 

朱里がその人物に問いかけると…

 

「ある時は影の薄い太守の客将…またある時はメンマを求める風来坊…。

しかして、その正体は―――

乱世を正すため、地上に舞い降りた一匹の蝶!美と正義の使者!華蝶仮面!ここに見参!」

 

…と、黄色い蝶の仮面をつけた、どう見ても星にしか見えない女性は、高らかに名乗りを上げるのだった。

 

(……な、何をやっているのだアイツは?)

 

正体に気付いた愛紗は、開いた口がふさがらなくなる。

 

「誰なんでしょう?関羽さん達の知っている人ですか?」

 

「あ、いやその…何というか…」

 

朱里に訊かれ、返答に困る愛紗。

 

すると…

 

「全然知らない奴なのだ!」

 

鈴々がはっきりと言い切った。

 

「こんな変態仮面が、鈴々達と知り合いなワケないのだ!」

 

「…………」

 

変態呼ばわりされ、静かに怒気をまとうせ…ではなく華蝶仮面。

 

(あ、明らかに怒っているな…。確かにあの仮面は悪趣味だとは思うが…。というより、鈴々の奴、本当に気付いていないのか?)

 

「何言ってんだ鈴々?」

 

(おお!ルフィ殿は気付かれましたか!

てっきりルフィ殿も分からないかと思っていましたが、野生の勘か何かで気付かれましたか⁉

何にせよ、ルフィ殿が説明してくだされば…)

 

「カッコイイじゃねェかあの仮面!お~い!誰か知らねェけど、孔明助けてくれてありがとうな!」

 

そう言って手を振るルフィ。

 

「…………♪」

 

(…やはり気付いていないのか…まァ、アイツの機嫌がよくなっただけ良しとするか…)

 

「え~?あの仮面はないと思うな~…」

 

「電々も…」

 

「美的概念を疑いますね…」

 

「み、皆さんそんな本当のこと言っちゃだめですよ!いくら残念な人とはいえ、私を助けてくれたんですから!」

 

「こ、孔明殿…その言い方は…」

 

「…………」

 

雷々、電々、美花、朱里にもさんざん言われ、また機嫌が悪くなる華蝶仮面。

 

「諸君…さらばだ!」

 

そう言って、華蝶仮面は去って行った。

 

「一体何者なのだ?」

 

「まーでも、良い奴だと思うぞおれは」

 

(二人とも…本当に気付いていないのですか?)

 

その後は、何の問題もなく、賊は撃退された。

ほとんどの山賊達は崖から落ち、残った者達も命からがら逃げて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここならもう大丈夫でしょう…」

 

戦いが終わった後、一行は急いで崖路を抜け出し、しばらくして、平野に出たところで、一息入れることにした。

 

「……愛紗」

 

そこで、鈴々がポツリと口を開いた。

 

「…愛紗はどうして、こっちに来たのだ?」

 

「どうしてって……お前を探すために決まっているだろう…」

 

互いに目を合わせず、うつむいたまま会話をする2人。

 

「だから……どうして、鈴々を探しに来たのだ?何で……鈴々を置いて行かなかったのだ?」

 

「だ、だから……それは…その…」

 

「兄妹だからに決まってるだろ」

 

「!」

 

「っ!」

 

口ごもる愛紗に代わって、ルフィが答えた。

 

「おれ達は兄妹で、仲間なんだから、いつも一緒だ!そうだろ⁉」

 

「……はい」

 

「……うん。…うっ…」

 

その途端、鈴々の目に大粒の涙が溢れ出す。

 

「うわ~ん!」

 

「ど、どうした鈴々⁉」

 

「ごめんなさいなのだ~!」

 

そう言って、大泣きしながら愛紗に抱き着く鈴々。

 

「鈴々は…愛紗がっ…鈴々の話は…全然聞いてぐれないのにっ…ルフィや…孔明の話ばっかり聞ぐから…悔じぐて…う゛う゛っ…ごめんなさいなのだ~…」

 

「(鈴々、そんな風に思って…)…いや…私も悪かった。少々大人気なかったし、お前の気持ちも考えず、勝手に怒ったりして悪かった…」

 

「愛紗…」

 

「だが鈴々、ルフィ殿達にも謝らねばならんぞ」

 

「あ!」

 

愛紗に言われ、鈴々はルフィと朱里に向き合い。

 

「ルフィ、孔明、ごめんなさいなのだ…」

 

「いいよ」

 

「私も気にしてませんから」

 

2人に許してもらい、鈴々は一気に顔が明るくなる。

 

「ねえねえ、張飛ちゃん」

 

「その人達、張飛ちゃんのお友達なの?」

 

訪ねてきた雷々達に、鈴々は…

 

「この人達は…鈴々のお兄ちゃんとお姉ちゃんとお友達なのだ!」

 

とてもうれしそうに、3人を紹介するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにその日の夕方、とある川辺にて…

 

「…理解してくれたのは、ルフィ殿だけか…カッコイイと思うのだが…」

 

黄色い蝶の仮面を手に取り、そんなことを呟く女性がいたそうな…。

 

 




アニメでは、ケンカの原因がうやむやになってましたけど、今作ではしっかりケジメをつけさせました。

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