ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
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登録してくれた方も、してない方も、この作品を読んで楽しんでもらえたらな~と思います!
ルフィ、愛紗、朱里は、鈴々と合流した後、雷々、電々、美花と一緒に行くことにした。
「そんなことがあったんだ」
「でも、張飛ちゃんの占いの通りに来てくれなかったら、電々達は危なかったよ~」
「張飛さんの占いは、安全な道や近道ではなく、
愛紗と鈴々がケンカをしたいきさつを聞き、雷々達はそんなことを言うのだった。
「あのう、皆さんは占いとかを信じているのですか?」
朱里が雷々達に訊ねる。
「うん。信じてはいるよ」
「全部占い任せってワケじゃないけどね」
「どうしても判断を下せない場合には、頼らせていただきますね」
「孔明ちゃんは信じていないの?」
「私はあまり…。占いとか妖術とか、化物とかの類はあまり信じないことにしてます。
まるっきり出鱈目だとも、言い切れないですけどね」
「おれは信じてるぞ。占いも妖術も化物も、あった方が面白ェからな」
「お、面白くなどありません!」
「そ、そうなのだ!化物なんて、いない方がいいに決まっているのだ!」
ルフィの言葉に、過剰に反応する愛紗と鈴々。
「「「「「?」」」」」
「あ…そ、そういえば糜竺殿達は随分大荷物ですが、何をそんなに持っているのですか?」
そんな2人をルフィ達が不思議そうに見ていると、愛紗が露骨にごまかそうとする。
「色々あるんだよ。保存のできる食べ物とかお酒とか…」
「食器とか武器とか馬具とか、あとその材料の木とか石とか、獣の毛皮に鉄塊に漆でしょ…」
「あと、少しではありますが紙や絹、真珠や宝石など高価なものもあります」
「皆さんはそれらを使って、生計を立てているんですね」
そんなことを話しながら歩いていると、前方に城壁が見えてきた。
「お、街か?」
「いえ、アレはおそらく関所でしょう」
愛紗の言う通り、見えてきた城門は関所だった。
ルフィ達が関所を通ろうとすると…
「あ、お待ちください」
守備兵に呼び止められた。
「申し訳ないのですが、ここの門はもう閉めますので…」
「え、閉めるって…」
「まだお日様は沈んでいないのだ」
「ですが、今からここを通るとなると、山中で日が暮れてしまい…」
「別に野宿には慣れていますから、問題ありません」
「いえ、実は…」
「何かあったのですか?」
「この先には…化物が出るんです」
「「「「「「「化物⁉」」」」」」」
「はい。ですから今日は、そこの小道を行った先にある集落に泊まっていただいて、明日の明朝に出発された方が…」
「………いかがいたしましょう?」
「とりあえず、そこの集落に行ってみましょう。そこでもう少し詳しく話を聞いてから、考えた方がいいかと…」
「孔明殿の言う通りですな。そうしましょう」
▽
関所の兵士に言われた通り、小道を進むと民家の集落があった。
ルフィ達は、そこで見つけたお寺に泊めてもらうことになった。
「ようこそおいで下さいました。私はこの寺の和尚で、“
「突然押しかけて、申し訳ありません」
「それで和尚様。化物が出るというのは?」
「はい。事の始まりは、今から数か月前のことでした。
ある隊商が沢山のお荷物と護衛の兵士を連れ、ここの関所を通ろうとしました。
その時、日はすでにだいぶ傾いていたのですが、皆様はお急ぎだったようで、夜通し歩いて山を超えると言い、ここを通りました。
すると次の日の朝、護衛兵の一人がひどく混乱した様子で、お役人様に助けを求めてきたのです。
お役人様が行ってみると、隊商と護衛兵達が皆深手を負って倒れており、積荷は全てなくなっておりました。
話を聞いてみると、夜中に歩いていたところを、化物に襲われたと言うのです。
それから、夜に山道を通ると化物に襲われ、身ぐるみ剥がされてしまうため、今では『日が出ているうちに山を越えられそうにない者は、関所を通さない』と決められているのです」
「しかし、それは化物ではなく、ただの山賊の仕業だとも考えられるのでは?」
一通り話を聞いて、美花が訊ねる。
「最初はこの辺りの住民や、お役人様もそう考えていたのですが、最初に隊商が襲われた次の晩に調べたところ…しかとこの目で見まして…」
「和尚様は見たのですか?」
「は、はい。
『死者の怨念が原因かもしれぬので、もしそうなら成仏させてやって欲しい』と言われ、討伐隊と共に向かったのですが…。
闇夜の中で怪しく光る眼、鋭い爪と
「あ…あああ…」
「うにゃ~…」
普浄の話を聞き、顔を引きつらせ、震えだす愛紗と鈴々。
「ねえ、雷々達で化物を退治しよう!」
「賛成!」
「ええ。こういう時こそ、私達の出番ですね」
「よし!おれ達も手伝うぞ!」
「はい!」
「「ええっ⁉」」
雷々の提案にルフィ達が賛同する中、愛紗と鈴々が明らかに嫌そうな反応をする。
「ん?やらねェのかお前ら?」
「てっきり関羽さん達も、そのつもりだと思っていたんですけど…」
「私も…」
「雷々も…」
「電々も…」
ルフィ達5人が不思議そうに2人を見る。
「い、いえその…び、糜竺殿達はど、どうしてそのような事をしようと?」
「だってこの道、
「この道を通れなかったら、すごく遠回りしなくちゃいけないから、商人はすごく困るよ。そうでしょ、和尚さん?」
「はい。確かに、あそこは洛陽や河北に向かう、多くの商人が利用しておりましたため、困っている方は大勢います」
「ほらね。同じ商人として放っておけないもん」
「それに物流が悪くなると、みんなの生活やお役人様の
「そ、それはそうですが…」
「で、でも鈴々達にも、いろいろと都合があるのだ!」
「どうしたんだよお前ら?」
「お二人とも、本当に変ですよ?」
「はい。私もそう思います」
ルフィ、朱里、美花が不思議そうに2人を見ていると、雷々と電々の顔がにやけだす。
「あれ~?もしかして張飛ちゃん達~…」
「怖いの~?」
「こ、怖くなどない!」
「そ、そうなのだ!鈴々達にかかれば、化物なんてあっという間にやっつけられるのだ!」
正直に言えばいいのに、見栄を張ってしまう2人。
「じゃあ大丈夫だね♪」
「みんなで化物退治、頑張ろ~♪」
「「あ…」」
2人は露骨に『しまった』といった感じの顔をするが、すでに後の祭りだった。
「あの…本当に化物を退治していただけるのですか?」
「おう!任せとけ!」
「ありがとうございます!では、早速…」
「普浄殿、どうかなさいましたか?」
…と、そこへ誰かがやって来た。
「おや、皆さんは…」
「あれ?さっきの関所にいた守備兵の…」
「“
「そうだったのですか」
「胡班よ、この方々が化物を退治してくださるそうだ」
「え、本当ですか⁉」
「うん!本当だよ」
「電々達、それなりに武術には自信があるからね」
「それは助かります!今、丁度役所の方で、その話し合いをしているので、ぜひ来てください!」
▽
~役所~
「始めまして。私がここの関所を管理しております“
「我々は化物の話を聞き、近辺の県から派遣されてきた将兵で、私は“
「私が“
「“
「“
「“
「は、初めまして。私は“関羽”。こちらが旅の同行者の“張飛”、“孔明”殿、“糜竺”殿、“糜芳”殿、“孫乾”殿。異国の出身の“ルフィ”殿です」
「ん?その黒い髪…もしやあなたは例の“黒髪の山賊狩り”では⁉」
「えっ⁉関羽さんが⁉」
「そうなの⁉」
王植の言葉に朱里や雷々達、孔秀達も驚く。
「えっと…自分からそう名乗っているワケではないのですが、そう呼ぶ者もいるようで…」
「そうだったんだ~!」
「すご~い!」
ますます驚く雷々達に対して…
「黒髪の綺麗な絶世の美女だって噂だったのに…」
「ま、噂なんてそんなもんだろ…」
露骨にがっかりしたような王植達だった。
「愛紗」
「ルフィ殿、何も言わなくていいです…」
「えっと…それで、皆さまが化物退治に協力してくださるということですが…」
「え、ええ…」
「協力していただけるのはありがたいですが、一つだけ条件があります」
「条件とは?」
「化物をおびき寄せるための餌は、あなた方で用意してください」
「餌?」
「その化物はどういうワケか、金目の物を持った人が通らないと、現れないのです」
「以前、武装した兵士だけで向かいましたが、現れなかったことがありまして」
「それで仕方がなく、討伐隊に金銭や食料などを餌として持たせ、化物おびき寄せているのですが、その度に奪われてしまう始末で…」
「金目の物を…」
話を聞いて、考え込む朱里。
「討伐の度にお金がかかってしまうものですから、我々も困り果てていたのです」
「ですから、我々としてもこれ以上の無駄使いは避けたいワケでして…」
「わかった。雷々達が持ってきたものがあるから、餌はそれを使うね」
「それならばいいです。よろしくお願いします」
「糜竺ちゃん、糜芳ちゃん」
「何、孔明ちゃん?」
「ちょっとお願いがあるのですが…」
▽
その夜―――
「餌にする宝石準備できたよ~」
「孔明ちゃんに言われたことも、やっておいたよ」
「ありがとうございます」
「孔明殿、お二人に何を?」
「秘密です」
「これで、準備は整いましたね」
「よし!じゃあ行くか!」
「では、お願いします」
「皆さん、くれぐれもお気をつけて」
そして、ルフィ達は化物を退治するべく、夜中に関所を越え、山へと入って行った。
▽
松明を持ったルフィを先頭に、その背中にぴったりとくっついて行く愛紗と鈴々。
その後に、宝石を入れた袋を持った朱里、そして松明を持った雷々と電々がつづき、最後尾が美花である。
「これは…いかにも化物が出そうな雰囲気ですね」
「そ、孫乾殿!変なことを言わないでください!」
「早く出て来ねェかな~。どんな奴なんだろうな~?」
「る、ルフィはどうして楽しそうなのだ⁉」
「ね~関羽さん達~。やっぱり怖いんじゃないの~?」
「うん。さっきから身体が震えているよ~?」
「ば、馬鹿なことを言うな!怖くなんかない!」
「そ、そうなのだ!こ、これは武者震いなのだ…!」
雷々と電々に言われ、必死に強がる愛紗と鈴々。
「それはちょっと無理があるかと…」
「じゃあ、そんなにルフィさんにくっついてるのは何でかな~?」
「る、ルフィ殿が逸れないようにするためだ!」
「ま、また星みたいに逸れたら、大変なのだ!」
「あ!」
「「ひっ⁉」」
突然、雷々が声を上げた。
「な、何ですか⁉」
「あそこに綺麗な花がさいているな~って」
「お、脅かさないでください」
「はっ!」
「「ヒィッ⁉」」
今度は電々が声を上げた。
「な、何なのだ⁉」
「いや~電々の顔に虫が止まって…」
「な、ならいいのだ…」
「………もう、お二人とも、少し悪戯が過ぎますよ」
見かねた朱里が2人を注意する。
「ごめんごめん」
「二人が面白かったから、つい…」
(確かに面白いですけど…)
▽
「出て来ねェな~…」
一行はだいぶ歩いたが、何かが現れる気配は全くなかった。
「それにしても、今夜は雲が多いですね…」
「はい。おかげで月も全然見えませんね…」
朱里と美花がそんな会話をすると…
「そういえばさ~電々」
「あ~、
雷々と電々がそんなことを言い出す。
「お、お二人とも…」
「あ、アレって一体何なのだ?」
止めておけばいいのに、愛紗と鈴々が詳しく聞こうとする。
「あれは数年前のことだったね~」
「家のお手伝いで隊商を率いていた時だったね~」
「「「「「…………」」」」」
思わず全員が2人の話に聞き入る。
「その夜、雷々達は川の近くで、野宿をすることにしたんだ。そしたら夜中に、水音がして…」
「『誰か川で溺れているのかも』そう思って、電々達は馬だけを残して、音のする方へ向かったんだ…」
「けど川には誰もいなくて、いつの間にか水音も聞こえなくなって…」
「すると突然、馬の悲鳴みたいな鳴き声が聞こえて、電々達は急いで戻ったんだ…」
「「「「「…………」」」」」
「「そしたら……」」
「「「「「…そしたら…?」」」」」
「「アァーーーーーッ‼」」
「「ぎやあァーーーーーっ⁉」」
バタン…
突然、雷々と電々が上げた大声に驚き、愛紗と鈴々は気絶してしまった。
「ありゃ~…」
「ちょっとやりすぎたかな~…?」
「ちょっとじゃないと思います…」
「お二人とも、怪談を話すの結構お上手ですね」
「え、ホント?」
「えへへ~、そうかな~?」
「孫乾さん、今はそれを褒める時ではないかと…」
「おい、どうすんだコレ?」
「もしも~し、関羽さ~ん」
「張飛ちゃんってば~」
ルフィに言われ、2人をゆすり起こす雷々と電々。
「う、う~ん…?」
「は、はにゃ~…?」
そして…
「お~き~ろ~」
「め~を~さ~ま~せ~」
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~っ⁉」」
ダーーーーーッ!
目を覚ますと同時に、松明を顔に近づけて雰囲気を作り脅かしたため、愛紗と鈴々は完全にパニックになり、走って先へ行ってしまった。
「…行っちまったぞ」
「…二人とも、少しは反省してください」
「…あ、うん」
「…ご、ごめんなさい」
朱里に言われ、素直に反省する二人。
「とにかく、急いで追いかけ…」
「化物ォ~~~‼」
「なのだ~~~‼」
「「「「「⁉」」」」」
美花が言いかけたとき、前方から2人の悲鳴が聞こえ、ルフィ達は走り出した。
▽
「愛紗!鈴々!」
「はわわ⁉二人ともしっかりしてください!」
しばらく行くと、道の真ん中で倒れている2人を見つけた。
「…気絶しているだけみたいですね」
「それより、二人がここで倒れているってことは…」
「うん、きっとこの辺りに化物が…」
電々がそう言うと同時に、ルフィ達4人は朱里、愛紗、鈴々を真ん中に囲い、周囲を警戒する。
「…どこだ?」
ルフィは拳を構え、雷々は円い金属板が円周上に大量についた円盤型の武器“
「「「「「…………」」」」」
そのまま動かず、周囲を警戒していると…
バッ!
ズギャッ!
「うあっ⁉」
「電々⁉」
突然、電々が何かに吹っ飛ばされた!
「糜竺さん!後ろ!」
「⁉」
朱里が叫び、雷々が振り返った瞬間―――
ドカッ!
「きゃあ⁉」
後ろに迫っていた化物に、雷々もやられてしまう!
「にゃろっ!」
すかさずルフィが飛び出し、化物を真横に蹴り飛ばそうとするが―――
バサッ
「ありっ⁉」
「なっ⁉」
「はわわっ⁉」
「今、空中で―――」
「上に移動した⁉」
その化物は翼を広げ空中を飛び、ルフィの攻撃を躱した。
暗闇でよく姿は見えないが、翼には羽毛が生えており、一見すると巨大な鳥のようだが、人間のような胴体がある。
ギュン!
「きゃあ⁉」
「孔明!」
ルフィ達が驚いていると、化物は急降下して朱里を襲い、宝石が入った袋を奪った。
「おのれっ!」
すかさず美花がナイフを投げつける!
ズバッ!
相手のスピードは速かったが、背後から上昇中に投げたため、ナイフが右の羽をかすった。
「ちっ…!」
全員を相手にすると不利と悟ったのか、化物はそのまま翼を広げて逃げようとする。
「おい待てェ!」
「ルフィさん!今は愛紗さん達の方が先です!」
「!わかった…!」
追いかけようとするルフィを、朱里が止めた。
「どうしよう…」
「うん、本当に化物だったよ…」
「いえ、おそらくアレは人間です」
「はい、私も孫乾さんと同じ考えです。
とりあえず、今夜は引き上げましょう。仕込みもしてありますから、上手くいけば明日、退治できるかもしれません」
「⁉…これは?」
先ほど投げたナイフを拾った、美花が呟いた。
「どうしたんですか?」
「これを見て下さい」
「それって…」
美花が差し出したナイフには、血が付いておらず、代わりに何かが突き刺さっていた。
それは本物の鳥の羽だった。
「…………」
「あの、ルフィさん?」
「さっきから何か考え込んで、どうしたの?」
「いや…あの化物、何かに似てるような気がして…。何だったかな~…?」
雷々、電々、美花の武器の名前は、オリジナルで考えました。