ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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今作で、麦わらの一味が本格的に合流するのは、真・恋姫無双編からになります。
また、ルフィ達は基本的には無双して、強敵らしい強敵と戦うのは乙女大乱編の終盤になります。
そういうのを期待している方は、かなりお待たせしてしまうと思います。
申し訳ありません。




第29話 “化物の正体”

夜―――

 

昼間用意した竹籠を荷車に乗せ、ルフィ達は出発した。

 

雷々が荷車を引き、電々が荷車を押す。

その後からルフィ、愛紗、鈴々、朱里、美花が付いて行く。

 

愛紗と鈴々はルフィにしっかりくっついている。

 

そして…

 

「きゃっ⁉」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

化物が現れ、先頭を歩いていた雷々が襲われた。

 

「ぐあっ!」

 

「うわっ!」

 

「うおっ⁉」

 

続けて愛紗と鈴々をなぎ倒し、2人に巻き込まれてルフィも倒れる。

 

「はわうっ!」

 

「きゃあっ!」

 

「ああっ!」

 

そして朱里、電々、美花もやられ、地面に倒れる。

 

(ふふ…)

 

その様子を見た化物は、竹籠を奪い飛び去った。

 

 

 

 

 

▽

 

 

 

 

 

「…………」

 

とある場所で1人の男が待っていた。

 

「おい!戻ったぞ」

 

「今夜も成功だな」

 

しばらくして、化物が奪っていった竹籠を持った1人の男がやって来た。

 

「じゃあ早速山分けに…」

 

「そこまでです!」

 

「「⁉」」

 

2人が竹籠を開けようとすると、突然何者かの声が響いた。

 

周囲を見渡すと、いつの間にか十数人の人影に囲まれている。

 

その内の1人が松明に火を点け、近づいてきた。

 

「やっぱりあなた達だったんですね…王植さんと韓福さん!」

 

「「!」」

 

前に出てきた人物、朱里の松明に照らされ、2人の顔が明らかになる。

その2人は確かに王植と韓福だった。

 

周囲にいた他の人物、ルフィ、愛紗、鈴々、雷々、電々、美花、さらには胡班、孔秀、孟坦、卞喜、秦琪らも松明に火を点け、2人の顔を確かめる。

 

「な、何を言っているのですか孔明殿」

 

「そ、そうですぞ。我々は偶然ここでこの竹籠を見つけ、開けようとしていただけで…」

 

「そんなことを言っても無駄ですよ。普浄さん!」

 

「はい」

 

「なっ⁉」

 

朱里が呼びかけると同時に、なんと竹籠の中から普浄が現れた。

 

「籠の中から全て聞いていましたぞ。化物騒動はこの二人の仕業です!」

 

「…くっ!何故だ⁉何故おれ達の仕業だと分かった⁉」

 

「昨晩の餌に使った宝石とそれを入れていた袋の内側に、漆を仕込んでおいたんです。

そして今朝、手が漆にかぶれて痒くなっていた人を探しました。

だからわかったんでしゅ」

 

((((((((((かんだ…))))))))))

 

「こほん!ただ、かぶれた人が二人いて、共犯者がいる事がわかりました。」

 

一瞬、緊張感がなくなるが、朱里は気を取り直して説明する。

 

「もし共犯者が嘘をついて、犯人を庇うと、流浪者である私達の証言は不利になります。

だから、盗品を山分けする所を抑えようと思い、竹籠に紐を結び付けておきました。

あとはやられたフリをして、籠ごと荷物を盗ませて、紐を頼りに犯人を追跡するだけです」

 

「ルフィ殿が起き上がらないように、私と鈴々でしっかり押さえつけたかいがあったな」

 

「大変だったのだ」

 

「あと、先ほどのように犯人がしらばっくれた時に備えて、普浄さんに竹籠の中に待機していただきました」

 

「普浄殿も、本当にありがとうございました」

 

「いいえ。化物退治の為なら、これくらい何て事ありませんよ」

 

「王植殿…いや王植、韓福!観念しろ!」

 

そう言いながら愛紗は偃月刀を構え、他の者達も戦闘態勢をとり、2人を包囲する。

 

 

 

が…

 

「ふふふふふ…」

 

突然、王植が笑い出した。

 

「何がおかしいのだ!」

 

「孔明殿、あなたのその頭脳は見事なものだ。

しかし、その頭脳をもってしても、どうやってあの化物を作り出していたのかは、わかっていないのではありませんか?」

 

「!」

 

「冥土の土産に教えてあげましょう。あの化物はですね…」

 

そう言うと同時に、王植の身体が大きくなっていく。

 

「え?」

 

「な?」

 

「わああああっ⁉」

 

「私が妖(・)術(・)で(・)変(・)身(・)し(・)て(・)い(・)た(・)のですよ」

 

松明の明かりで照らされている中、王植の身体はみるみるうちに変化し、巨大な一羽のフクロウになった。

 

「は、はわわ…!」

 

「ば、化物になったのだ…」

 

「よ、妖術…?」

 

「この能力(チカラ)は非常に便利でしてね。

空を飛ぶのは勿論、闇夜の中で明かりがなくとも周囲がよく見え、物音ひとつ立てずに移動ができます。

そのうえ、身体能力も高くなるのですよ。

唯一の欠点は夜行性の為、昼間眠たくなってしまう事ですね」

 

「り、鈴々!わかっているな⁉」

 

「も、もちろんなのだ!正体が人間なら、怖くなんてないのだ!」

 

そう言って、愛紗と鈴々は斬りかかる!

 

「ふん!」

 

しかし、王植は飛び上がり、闇夜に姿を隠す。

 

「逃げた⁉」

 

「どこへ行ったのだ⁉」

 

「⁉ぐあっ!」

 

ドシュッ!

 

「愛紗!」

 

どこからともなく襲い掛かってきた、王植の攻撃で愛紗は右腕を負傷し、偃月刀を落としてしまう。

 

「胴体を大きく切り裂くつもりだったのですが、とっさに避けるとは…。驚くべき反射神経ですね…」

 

「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」

 

王植の声が聞こえ、全員が見上げると、腕が翼に、足が鳥類のものに変化した王植が、宙に浮いていた。

足には短剣が1本ずつ握られている。

 

「はっ!」

 

すかさず美花がナイフを投げつけるが―――

 

「おっと」

 

王植は容易に躱し、また夜の闇に姿を消してしまう。

 

「手荷物を全て置いて行って下されば、命だけは助けてあげても良かったのですが…。

私の正体に気付かれては仕方ありません。ここで死んで貰います!」

 

「うわあっ!」

 

「きゃあっ!」

 

またどこからともなく王植の声が聞こえたかと思うと、次の瞬間雷々と電々が背中を切り裂かれる!

 

「くっ…」

 

「このォ…!」

 

鈴々と美花は背中合わせに立ち、他の者達も2、3人で固まり、なんとか対抗しようとするが…

 

「ぐあっ!」

 

「張飛さん!」

 

鈴々が右肩をやられ…

 

「あうっ!」

 

美花も脇腹をやられてしまう。

 

「がっ!」

 

「ぐああっ!」

 

他の者達も次々と深手を負い、動けなくなってしまう。

 

「さ~て、次にやられるのは誰でしょうかな?」

 

王植はそう言い、1人の男に狙いをつけて襲い掛かる。

 

しかし…

 

「ふん!」

 

「⁉」

 

その男―――ルフィはとっさに横に避け、そのまま王植を殴り飛ばした!

 

「な、なんだと…?」

 

自分の奇襲が破られたことに驚く王植。

 

「おのれ!」

 

しかし、すぐに冷静になり、闇夜に紛れようと飛び立つ。

 

 

 

が…

 

「逃がすかァ!」

 

ルフィは右腕を伸ばし、王植の足をつかむ。

 

「なっ⁉」

 

「え⁉」

 

「な、何あれ⁉」

 

「腕が⁉」

 

ルフィの腕が伸びたことに、王植だけでなく、雷々達も驚く。

 

「くっ!放せ!」

 

「うおっ⁉」

 

王植はルフィを引き離そうと、辺りを低空飛行してルフィを引きずりまわす。

 

「うぐ…こんにゃろォ!“ゴムゴムの”…」

 

しかし、ルフィは引きずられながらも、左手を捻じりながら後方に伸ばし…

 

「“回転弾(ライフル)”‼」

 

ドゴォォォン!

 

王植をブッ飛ばした。

 

「…ふー」

 

王植が倒れたまま動かなくなったのを確認し、ルフィは右腕を放す。

 

「ルフィ殿」

 

「やっつけたのか?」

 

「ね、ねえお兄ちゃん!今の何⁉」

 

「お兄ちゃんも妖術使いなの⁉」

 

「あなたは一体?」

 

愛紗や雷々達も駆け寄ってくる。

 

「クソッ!」

 

「「「「「「「⁉」」」」」」」

 

その時、上の方から声が聞こえ上を見ると…

 

「危なかった…」

 

王植が両手を翼に変化させ、空を飛んでいた。

 

「あいつまだ…!」

 

「効いてねェのか⁉」

 

「そ(・)い(・)つ(・)がいなかったら、やられていた…」

 

「「「「「「「⁉」」」」」」」

 

王植の言葉に、さっきまで王植が倒れていた場所を見ると…

 

「!韓福⁉」

 

韓福が倒れていた。

 

「そうか!さっきの低空飛行の時に、韓福を捕まえていたのだな!盾にするために!」

 

「その通りだ!その男が相手では、勝ち目がなさそうなんでな!撤退させて貰う!さらばだ!」

 

そう言うと、王植は飛び去っていく。

 

「待てェ!」

 

ルフィは捕まえようと腕を伸ばすが、虚しくも手は空を掴み、逃げられてしまった。

 

「くっそー…」

 

「逃げられたのだ…」

 

「仕方ありません、韓福さんだけでも捕まえておきましょう」

 

「ねえねえ、それでお兄ちゃんのその身体、一体何なの?」

 

「教えて!」

 

「それについては明日、説明します」

 

「そうですね。今夜は怪我の手当をして、もう休みましょう」

 

こうして一行は、韓福を縛り上げ、集落に戻ることにした。

 

 

 

 

 

▽

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんが…!」

 

「天の御遣い様…!」

 

「あくまでもその可能性がある、というだけの話ですが…」

 

翌日、ルフィ達は雷々達に、ルフィが別の世界から来た事や悪魔の実の事を説明した。

 

「お話は何度かお聞きしましたが、まさか実在するとは…」

 

「鈴々達も最初はビックリしたのだ」

 

「私もこの目で見るまで、天の国も御使い様も信じていませんでした」

 

「それで、天の国にはお兄ちゃんみたいな、不思議な力を持つ人が沢山いるんだね」

 

「そんな場所があるなんて、信じられないね」

 

「まァ、王植のような妖術使いがいるのですから、天の国や天の御使いが実在しても、不思議ではないかもしれませんが…」

 

「あ!そうだ!」

 

話していると、ルフィが突然手を叩き、声を上げた。

 

「どうされましたルフィ殿?」

 

「思い出した!悪魔の実に似てるんだよ!アイツの妖術!鳥に変身する能力に!」

 

 

 

 

 

▽

 

 

 

 

 

同刻、某所。

 

「王植がしくじっただと?」

 

〈はい。ただ、重要なのはそれではなくてですね…〉

 

「何だ?」

 

 

 

▽

 

 

 

「…それは真か?」

 

〈間違いないとの事です〉

 

「ついに天の御遣いが現れたか…」

 

〈いかが致しましょう?〉

 

「とりあえず今は、より多くの情報を集める事だな。王植が会った御遣いだけでなく、他の八人についてもだ。

お前は今まで通りに動き、可能な限りの情報を手に入れろ。今はまだ、余計な動きはするな。

他の幹部達にはおれから連絡しておく」

 

〈了解しました。王植の処罰は?〉

 

「しくじったのは痛いが、成果としては十分だ。それに天の御遣いの情報を持ち帰ったのは大きい。今回はお咎めなしでいいだろ。

ただ、もう表の活動には参加できないから、今後は裏方に回せ」

 

〈はっ!〉

 

 

 

 

 

▽

 

 

 

 

 

化物騒動から数日後。

 

「皆さん、本当にありがとうございました」

 

「韓福は牢にぶち込まれ、王植も官職を剥がされ、人相書を手配したとの事です」

 

「今後はもう大丈夫でしょう」

 

「皆様の旅の安全をお祈りしております」

 

ルフィ達は王植にやられた時の怪我が治るまで、集落で寝泊まりした。

 

そして今、普浄や胡班らに見送られて出発しようとしていた。

 

「こちらこそ、お世話になりました」

 

「ありがとうなのだ」

 

「元気でな~!」

 

別れの挨拶をし、ルフィ達は関所を通って出発した。

 

 

 

 

 

▽

 

 

 

 

 

しばらくすると、ルフィ達は3本の分かれ道に着いた。

 

「分かれ道か…鈴々、どの道を行けばいい?」

 

「!任せるのだ!」

 

愛紗に言われ、鈴々は分岐点に蛇矛を突き立て、手を合わせる。

 

「むむむむむ~…」

 

蛇矛は一番左の道に倒れた。

 

「こっちなのだ!」

 

「よし!では、そうするとしよう」

 

そう言って、鈴々と愛紗は一番左の道へ行き、ルフィと朱里も後に続くが…

 

「?どうしたお前ら?」

 

雷々、電々、美花はその場に立ち止まり、ついてこようとしない。

 

「…あのさ、張飛ちゃん達にお願いがあるんだけど…」

 

「どうしましたか?」

 

「…電々達とは、ここでお別れして欲しいの」

 

「え⁉」

 

「な、何でなのだ⁉」

 

「別に、張飛ちゃん達の事が、嫌いになった訳じゃないんだよ…」

 

「ただ、お兄ちゃんは天の御使い様かもしれないんだよね?」

 

「それがどうかしたのか?」

 

「前にもお話ししたけど、雷々達は自分達の力で大きな事がやりたくて、旅にでたんだ…」

 

「それで、天の御遣い様かもしれない人が一緒にいれば、電々達の商売にもいい影響が出ると思うの…」

 

「しかしそれでは、人々からはこう評価されてしまうでしょう。『天の御使いの加護があったからこそ成功したのだ』と」

 

「「「「…………」」」」

 

「もしそうなったら雷々達、『それが自分達の力だ』って胸を張って言えなくなっちゃうから…」

 

「だから、電々達だけでやりたいんだ…」

 

「言っている事はわかりますが…三人だけで行って、また以前の様に賊に襲われたりしたら…」

 

雷々達のことを心配し、愛紗は反対する。

 

すると朱里が…

 

「あの…でしたら、鈴々ちゃんに決めてもらいませんか?」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「鈴々ちゃんに、今度は糜竺さん達が行く道を占ってもらうんです。

それで私達と違う道が出たら、別々に行くというのはどうでしょう?」

 

「おお!いいなそれ!」

 

「雷々はそれで良いよ!」

 

「電々も!」

 

「私も意義はありません」

 

「……そうだな。そうするか」

 

「よし!それじゃあ、鈴々に任せるのだ!」

 

全員が同意すると鈴々は、また分岐点に蛇矛を突き立て、手を合わせる。

 

「むむむむむ~…」

 

そして、蛇矛は真ん中の道に倒れた。

 

「真ん中…」

 

「じゃあ…電々達はこっちに行くね」

 

「ああ。わかった」

 

そして、ルフィ、愛紗、鈴々、朱里は左の道を、雷々、電々、美花は真ん中の道を歩き出す。

 

「またな~!お前ら~!」

 

「いずれまたどこかで~!」

 

「元気でなのだ~!」

 

「商売!頑張ってくださいね~!」

 

「いつか雷々達がお店開いたら、来てね~!」

 

「沢山おまけするから~!」

 

「皆さんもお気をつけて~!」

 

こうしてルフィ達と雷々達は、別々の道を行くのだった。

 

 




書き溜めていた物がなくなったので、ここから先更新ペースが遅くなります。
ご了承ください。

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