ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
また、ルフィ達は基本的には無双して、強敵らしい強敵と戦うのは乙女大乱編の終盤になります。
そういうのを期待している方は、かなりお待たせしてしまうと思います。
申し訳ありません。
夜―――
昼間用意した竹籠を荷車に乗せ、ルフィ達は出発した。
雷々が荷車を引き、電々が荷車を押す。
その後からルフィ、愛紗、鈴々、朱里、美花が付いて行く。
愛紗と鈴々はルフィにしっかりくっついている。
そして…
「きゃっ⁉」
「「「「「「!」」」」」」
化物が現れ、先頭を歩いていた雷々が襲われた。
「ぐあっ!」
「うわっ!」
「うおっ⁉」
続けて愛紗と鈴々をなぎ倒し、2人に巻き込まれてルフィも倒れる。
「はわうっ!」
「きゃあっ!」
「ああっ!」
そして朱里、電々、美花もやられ、地面に倒れる。
(ふふ…)
その様子を見た化物は、竹籠を奪い飛び去った。
▽
「…………」
とある場所で1人の男が待っていた。
「おい!戻ったぞ」
「今夜も成功だな」
しばらくして、化物が奪っていった竹籠を持った1人の男がやって来た。
「じゃあ早速山分けに…」
「そこまでです!」
「「⁉」」
2人が竹籠を開けようとすると、突然何者かの声が響いた。
周囲を見渡すと、いつの間にか十数人の人影に囲まれている。
その内の1人が松明に火を点け、近づいてきた。
「やっぱりあなた達だったんですね…王植さんと韓福さん!」
「「!」」
前に出てきた人物、朱里の松明に照らされ、2人の顔が明らかになる。
その2人は確かに王植と韓福だった。
周囲にいた他の人物、ルフィ、愛紗、鈴々、雷々、電々、美花、さらには胡班、孔秀、孟坦、卞喜、秦琪らも松明に火を点け、2人の顔を確かめる。
「な、何を言っているのですか孔明殿」
「そ、そうですぞ。我々は偶然ここでこの竹籠を見つけ、開けようとしていただけで…」
「そんなことを言っても無駄ですよ。普浄さん!」
「はい」
「なっ⁉」
朱里が呼びかけると同時に、なんと竹籠の中から普浄が現れた。
「籠の中から全て聞いていましたぞ。化物騒動はこの二人の仕業です!」
「…くっ!何故だ⁉何故おれ達の仕業だと分かった⁉」
「昨晩の餌に使った宝石とそれを入れていた袋の内側に、漆を仕込んでおいたんです。
そして今朝、手が漆にかぶれて痒くなっていた人を探しました。
だからわかったんでしゅ」
((((((((((かんだ…))))))))))
「こほん!ただ、かぶれた人が二人いて、共犯者がいる事がわかりました。」
一瞬、緊張感がなくなるが、朱里は気を取り直して説明する。
「もし共犯者が嘘をついて、犯人を庇うと、流浪者である私達の証言は不利になります。
だから、盗品を山分けする所を抑えようと思い、竹籠に紐を結び付けておきました。
あとはやられたフリをして、籠ごと荷物を盗ませて、紐を頼りに犯人を追跡するだけです」
「ルフィ殿が起き上がらないように、私と鈴々でしっかり押さえつけたかいがあったな」
「大変だったのだ」
「あと、先ほどのように犯人がしらばっくれた時に備えて、普浄さんに竹籠の中に待機していただきました」
「普浄殿も、本当にありがとうございました」
「いいえ。化物退治の為なら、これくらい何て事ありませんよ」
「王植殿…いや王植、韓福!観念しろ!」
そう言いながら愛紗は偃月刀を構え、他の者達も戦闘態勢をとり、2人を包囲する。
が…
「ふふふふふ…」
突然、王植が笑い出した。
「何がおかしいのだ!」
「孔明殿、あなたのその頭脳は見事なものだ。
しかし、その頭脳をもってしても、どうやってあの化物を作り出していたのかは、わかっていないのではありませんか?」
「!」
「冥土の土産に教えてあげましょう。あの化物はですね…」
そう言うと同時に、王植の身体が大きくなっていく。
「え?」
「な?」
「わああああっ⁉」
「私が
松明の明かりで照らされている中、王植の身体はみるみるうちに変化し、巨大な一羽のフクロウになった。
「は、はわわ…!」
「ば、化物になったのだ…」
「よ、妖術…?」
「この
空を飛ぶのは勿論、闇夜の中で明かりがなくとも周囲がよく見え、物音ひとつ立てずに移動ができます。
そのうえ、身体能力も高くなるのですよ。
唯一の欠点は夜行性の為、昼間眠たくなってしまう事ですね」
「り、鈴々!わかっているな⁉」
「も、もちろんなのだ!正体が人間なら、怖くなんてないのだ!」
そう言って、愛紗と鈴々は斬りかかる!
「ふん!」
しかし、王植は飛び上がり、闇夜に姿を隠す。
「逃げた⁉」
「どこへ行ったのだ⁉」
「⁉ぐあっ!」
ドシュッ!
「愛紗!」
どこからともなく襲い掛かってきた、王植の攻撃で愛紗は右腕を負傷し、偃月刀を落としてしまう。
「胴体を大きく切り裂くつもりだったのですが、とっさに避けるとは…。驚くべき反射神経ですね…」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
王植の声が聞こえ、全員が見上げると、腕が翼に、足が鳥類のものに変化した王植が、宙に浮いていた。
足には短剣が1本ずつ握られている。
「はっ!」
すかさず美花がナイフを投げつけるが―――
「おっと」
王植は容易に躱し、また夜の闇に姿を消してしまう。
「手荷物を全て置いて行って下されば、命だけは助けてあげても良かったのですが…。
私の正体に気付かれては仕方ありません。ここで死んで貰います!」
「うわあっ!」
「きゃあっ!」
またどこからともなく王植の声が聞こえたかと思うと、次の瞬間雷々と電々が背中を切り裂かれる!
「くっ…」
「このォ…!」
鈴々と美花は背中合わせに立ち、他の者達も2、3人で固まり、なんとか対抗しようとするが…
「ぐあっ!」
「張飛さん!」
鈴々が右肩をやられ…
「あうっ!」
美花も脇腹をやられてしまう。
「がっ!」
「ぐああっ!」
他の者達も次々と深手を負い、動けなくなってしまう。
「さ~て、次にやられるのは誰でしょうかな?」
王植はそう言い、1人の男に狙いをつけて襲い掛かる。
しかし…
「ふん!」
「⁉」
その男―――ルフィはとっさに横に避け、そのまま王植を殴り飛ばした!
「な、なんだと…?」
自分の奇襲が破られたことに驚く王植。
「おのれ!」
しかし、すぐに冷静になり、闇夜に紛れようと飛び立つ。
が…
「逃がすかァ!」
ルフィは右腕を伸ばし、王植の足をつかむ。
「なっ⁉」
「え⁉」
「な、何あれ⁉」
「腕が⁉」
ルフィの腕が伸びたことに、王植だけでなく、雷々達も驚く。
「くっ!放せ!」
「うおっ⁉」
王植はルフィを引き離そうと、辺りを低空飛行してルフィを引きずりまわす。
「うぐ…こんにゃろォ!“ゴムゴムの”…」
しかし、ルフィは引きずられながらも、左手を捻じりながら後方に伸ばし…
「“
ドゴォォォン!
王植をブッ飛ばした。
「…ふー」
王植が倒れたまま動かなくなったのを確認し、ルフィは右腕を放す。
「ルフィ殿」
「やっつけたのか?」
「ね、ねえお兄ちゃん!今の何⁉」
「お兄ちゃんも妖術使いなの⁉」
「あなたは一体?」
愛紗や雷々達も駆け寄ってくる。
「クソッ!」
「「「「「「「⁉」」」」」」」
その時、上の方から声が聞こえ上を見ると…
「危なかった…」
王植が両手を翼に変化させ、空を飛んでいた。
「あいつまだ…!」
「効いてねェのか⁉」
「
「「「「「「「⁉」」」」」」」
王植の言葉に、さっきまで王植が倒れていた場所を見ると…
「!韓福⁉」
韓福が倒れていた。
「そうか!さっきの低空飛行の時に、韓福を捕まえていたのだな!盾にするために!」
「その通りだ!その男が相手では、勝ち目がなさそうなんでな!撤退させて貰う!さらばだ!」
そう言うと、王植は飛び去っていく。
「待てェ!」
ルフィは捕まえようと腕を伸ばすが、虚しくも手は空を掴み、逃げられてしまった。
「くっそー…」
「逃げられたのだ…」
「仕方ありません、韓福さんだけでも捕まえておきましょう」
「ねえねえ、それでお兄ちゃんのその身体、一体何なの?」
「教えて!」
「それについては明日、説明します」
「そうですね。今夜は怪我の手当をして、もう休みましょう」
こうして一行は、韓福を縛り上げ、集落に戻ることにした。
▽
「お兄ちゃんが…!」
「天の御遣い様…!」
「あくまでもその可能性がある、というだけの話ですが…」
翌日、ルフィ達は雷々達に、ルフィが別の世界から来た事や悪魔の実の事を説明した。
「お話は何度かお聞きしましたが、まさか実在するとは…」
「鈴々達も最初はビックリしたのだ」
「私もこの目で見るまで、天の国も御使い様も信じていませんでした」
「それで、天の国にはお兄ちゃんみたいな、不思議な力を持つ人が沢山いるんだね」
「そんな場所があるなんて、信じられないね」
「まァ、王植のような妖術使いがいるのですから、天の国や天の御使いが実在しても、不思議ではないかもしれませんが…」
「あ!そうだ!」
話していると、ルフィが突然手を叩き、声を上げた。
「どうされましたルフィ殿?」
「思い出した!悪魔の実に似てるんだよ!アイツの妖術!鳥に変身する能力に!」
▽
同刻、某所。
「王植がしくじっただと?」
〈はい。ただ、重要なのはそれではなくてですね…〉
「何だ?」
▽
「…それは真か?」
〈間違いないとの事です〉
「ついに天の御遣いが現れたか…」
〈いかが致しましょう?〉
「とりあえず今は、より多くの情報を集める事だな。王植が会った御遣いだけでなく、他の八人についてもだ。
お前は今まで通りに動き、可能な限りの情報を手に入れろ。今はまだ、余計な動きはするな。
他の幹部達にはおれから連絡しておく」
〈了解しました。王植の処罰は?〉
「しくじったのは痛いが、成果としては十分だ。それに天の御遣いの情報を持ち帰ったのは大きい。今回はお咎めなしでいいだろ。
ただ、もう表の活動には参加できないから、今後は裏方に回せ」
〈はっ!〉
▽
化物騒動から数日後。
「皆さん、本当にありがとうございました」
「韓福は牢にぶち込まれ、王植も官職を剥がされ、人相書を手配したとの事です」
「今後はもう大丈夫でしょう」
「皆様の旅の安全をお祈りしております」
ルフィ達は王植にやられた時の怪我が治るまで、集落で寝泊まりした。
そして今、普浄や胡班らに見送られて出発しようとしていた。
「こちらこそ、お世話になりました」
「ありがとうなのだ」
「元気でな~!」
別れの挨拶をし、ルフィ達は関所を通って出発した。
▽
しばらくすると、ルフィ達は3本の分かれ道に着いた。
「分かれ道か…鈴々、どの道を行けばいい?」
「!任せるのだ!」
愛紗に言われ、鈴々は分岐点に蛇矛を突き立て、手を合わせる。
「むむむむむ~…」
蛇矛は一番左の道に倒れた。
「こっちなのだ!」
「よし!では、そうするとしよう」
そう言って、鈴々と愛紗は一番左の道へ行き、ルフィと朱里も後に続くが…
「?どうしたお前ら?」
雷々、電々、美花はその場に立ち止まり、ついてこようとしない。
「…あのさ、張飛ちゃん達にお願いがあるんだけど…」
「どうしましたか?」
「…電々達とは、ここでお別れして欲しいの」
「え⁉」
「な、何でなのだ⁉」
「別に、張飛ちゃん達の事が、嫌いになった訳じゃないんだよ…」
「ただ、お兄ちゃんは天の御使い様かもしれないんだよね?」
「それがどうかしたのか?」
「前にもお話ししたけど、雷々達は自分達の力で大きな事がやりたくて、旅にでたんだ…」
「それで、天の御遣い様かもしれない人が一緒にいれば、電々達の商売にもいい影響が出ると思うの…」
「しかしそれでは、人々からはこう評価されてしまうでしょう。『天の御使いの加護があったからこそ成功したのだ』と」
「「「「…………」」」」
「もしそうなったら雷々達、『それが自分達の力だ』って胸を張って言えなくなっちゃうから…」
「だから、電々達だけでやりたいんだ…」
「言っている事はわかりますが…三人だけで行って、また以前の様に賊に襲われたりしたら…」
雷々達のことを心配し、愛紗は反対する。
すると朱里が…
「あの…でしたら、鈴々ちゃんに決めてもらいませんか?」
「「「「「「え?」」」」」」
「鈴々ちゃんに、今度は糜竺さん達が行く道を占ってもらうんです。
それで私達と違う道が出たら、別々に行くというのはどうでしょう?」
「おお!いいなそれ!」
「雷々はそれで良いよ!」
「電々も!」
「私も意義はありません」
「……そうだな。そうするか」
「よし!それじゃあ、鈴々に任せるのだ!」
全員が同意すると鈴々は、また分岐点に蛇矛を突き立て、手を合わせる。
「むむむむむ~…」
そして、蛇矛は真ん中の道に倒れた。
「真ん中…」
「じゃあ…電々達はこっちに行くね」
「ああ。わかった」
そして、ルフィ、愛紗、鈴々、朱里は左の道を、雷々、電々、美花は真ん中の道を歩き出す。
「またな~!お前ら~!」
「いずれまたどこかで~!」
「元気でなのだ~!」
「商売!頑張ってくださいね~!」
「いつか雷々達がお店開いたら、来てね~!」
「沢山おまけするから~!」
「皆さんもお気をつけて~!」
こうしてルフィ達と雷々達は、別々の道を行くのだった。
書き溜めていた物がなくなったので、ここから先更新ペースが遅くなります。
ご了承ください。