ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
「今、朝廷は私利私欲に汚れた卑劣な悪漢共の巣窟と化しています」
「ふーん」
「奴らが自分勝手な政治を行う為、国は衰え統治力を失い、世の中はすっかり乱れてしまいました」
「そうなのか」
「その結果、至る所で賊がはびこり略奪を働き、罪のない大勢の民が飢え、為す
「そりゃ大変だ」
「…………あの…話を理解していますか?」
関羽はルフィに自分の国の現状を説明していたが、なんとなくルフィが頭の悪い人間である事を察し、不安そうに訊ねた。
「偉い奴がダメなせいで、みんなひどい目に遭ってるって事だろ?」
「まあ、だいたいそんな感じではありますが…」
一応、根本的なところは理解しているようだった。
「それで、“天の御遣い”って何だよ?」
「はい、伝説の中に存在する人物で、この世界に平和をもたらす存在だと言われています」
「ふーん…」
「私もあまり信じてはいませんでしたが、あなたが流星と共にに現れた時、伝説は本当だったのだと確信しました」
「おれが?流れ星で?」
「はい!よろしければお名前をお聞かせ下さい」
「おれはルフィ!海賊王になる男だ‼」
「⁉………海賊?貴様……賊なのか?」
「ああ」
「―――っ!」
ブンッ!
「うおっ⁉」
途端に関羽は表情を変え、ルフィに斬りかかってきた。
「わっ!おいっ!やめろっ!」
「くっ!このっ!」
「―――っ!ヤメロつってんだろ!」
「がっ……!」
しかしルフィは器用に攻撃を避け、関羽の腹に蹴りをくらわせる。
「何なんだよいきなり!」
「黙れ!賊が天の御遣いを騙っているのを許せるものか!」
「お前が勝手にそう思っただけじゃねェか!おれは変な鏡を拾って、鏡が
…と、そこでルフィの視線が関羽の後ろにある何かに向く。
「何だあれ?」
「?」
関羽も気になり後ろを向くと、少し離れた所で黒い煙が大量に上っているのが見えた。
「あれは…まさか⁉」
関羽は煙の方角へと走り出す。
「あっ!おい!」
ルフィは思わず関羽の後を追いかけた。
▽
「おい…何だコレ?」
2人は煙が出ている場所を見つけ、立ち尽くしていた。
「村が……燃えてるのか?」
そこにあったのは、火の海と化した1つの村だった。
「…山賊共の仕業だ」
「山賊って、さっきの奴らか?」
「アイツらとは別の集団だ」
「ここってそんなに山賊がいるのか?」
「ああ、何十人、何百人もの人数で構成された山賊団がいくつもある。
そしてこのような事が毎日のように至る所で起こり、何百人、何千人という民が苦しめられている」
「…………」
「これも全て…国の悪政が原因なのだ。このような事態を招き、見て見ぬ振りをする国の重臣共がな…」
「…………」
「私は…この世界を変えたいと…苦しめられている人々を助けたいと思った…。
そのための手段を探して旅を続けていた…。
たとえそれが御伽話のような伝説でも、少しでも可能性があるのなら…私はそれを信じたかった…」
「…………」
「そして…それが本当にただの御伽話だったとしても…私は戦う!苦しむ民を救う為に!立ち止まったり、諦めたりはせん!」
関羽はそう言うと、村の中へ走っていった。
▽
しばらくして、ルフィも村の中へ入っていった。
「…………」
一面の火の海、それは彼の幼い頃の記憶を連想させた。
―――――うわ!!熱ィ!熱くねェ!
―――――ハァ…外はもう火の海だ!!
「…………」
「うわァァァァァ!」
「?」
叫び声が聞こえ、ルフィが振り向くと…
「へへへ、丁度いい。おれはガキを殺すのが好きなんだよな」
「うわァァァァァ!」
1人の男の子が賊に襲われていた。
「死ねェ!」
ドゴォッ!
「⁉」
「……か…は………」
賊が得物を振り上げた瞬間、ルフィは距離を詰め、賊の腹に拳を叩き込み気絶させた。
「…あ、ありがと……」
「早く逃げろ」
「う、うん……」
男の子が走り去るのを見届けて、ルフィはその場を離れた。
▽
「ハァァァァッ!」
「ギャアッ!」
「グアァッ!」
その頃、関羽は村の一角で数人の山賊と戦っていた。
「くっ!こいつ強ェ!」
「当然だ!貴様らのような外道に負ける筋合いはない!」
「確かに強いな…だが―――」
「うわあああああん!」
「なッ⁉」
山賊の1人が小さい女の子を捕らえ人質にしてきた。
「おっと、動くんじゃねえぞ。動いたら…」
「くっ!卑怯な…」
「へッ!俺たちは自分らが良い思いできりゃそれでいいんだよ!」
「そうだそうだ!」
「「「「「「「「「「ハハハハハハハッ!」」」」」」」」」」
(クソッ!)
「おい!」
「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」
不意に第三者の声が聞こえ、全員が声の方を見る。
「お前は……」
「そいつを放せ!」
そこにいたのはルフィだった。
「何だお前?誰だか知らねえが、それ以上近付くんじゃねェぞ!近付いたら…」
「わあああああん!」
「コイツがどうなるかわかるよな?」
「……わかった」
「…?」
「
「おお、物わかりがいいじゃ…」
ドゴォォォォォンッ!
「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」
一瞬、関羽も山賊達も人質にされていた女の子も、何が起きたのかわからなかった。
なぜならルフィは、その場から動かずに
「…近づいてねェぞ」
そして伸ばした腕で女の子を摑み、自分のもとへと引き寄せる。
「大丈夫か?」
「う、うん…」
「な、なんだ今の⁉」
「う、腕が伸びたぞ⁉」
「よ、妖術使いかコイツ⁉」
「ば、化物だ!」
「び、ビビってんじゃねェ!化物だとしても、どうせ腕を伸ばすことしかできねェんだろ⁉」
「うん、そう」
「言うな!」
思わずツッコむ関羽。
「ほら見ろ!大した事ねェ!やっちまえ!」
「「「「「「「「「「オオオオオッ!」」」」」」」」」」
そして山賊達は一斉にルフィに襲い掛かる!
「“ゴムゴムの” ……」
それに対してルフィは慌てる様子もなく―――
「“鞭”ィ!」
「「「「「「「「「「ギャアアアアア!」」」」」」」」」」
今度は足を伸ばし、全員を一撃で吹っ飛ばした。
「でもちゃんと鍛えてあんだぞ、にししし!」
「お、お主は一体…?」
関羽はルフィに訊ねた。
「おれはルフィ。海賊で…“ゴムゴムの実”を食った“ゴム人間”だ」
「……“ごむ”?」
ルフィの言葉に今度は関羽が首をかしげた。
ここで、少々解説を。
三国志の登場人物の名前についてですが、三国志の登場人物の名前は、“姓”、“名”、“字”の3つがあります。
関羽で例えると、“姓”が関、“名”が羽、“字”が雲長、となります。
三国志の時代の中国では、“名”を呼ぶのは親や上司だけであり、気安く呼ぶのは失礼なことでした。
恋姫の世界で言う真名のようなものだったのです。
ですから自ら名乗るときも、敵などに対しては“名”を省略して“関雲長”、上司や主に当たる人物に対しては“関羽雲長”、といった風に使い分けていました。
また他者の名を呼ぶときは、姓に官職をつけて“関将軍”などと呼んでいたそうです。
今作では、真名という恋姫ならではの名前があるので、基本的に“名”を省略することはなしにします。
作者が雰囲気的に、『“名”がない方があってるかな』と思った時だけ省略する方針で行きます。
どうでもいいことかもしれませんが、一応お伝えしておきます。