ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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3話目です。


第3話 “関羽雲長”

「今、朝廷は私利私欲に汚れた卑劣な悪漢共の巣窟と化しています」

 

「ふーん」

 

「奴らが自分勝手な政治を行う為、国は衰え統治力を失い、世の中はすっかり乱れてしまいました」

 

「そうなのか」

 

「その結果、至る所で賊がはびこり略奪を働き、罪のない大勢の民が飢え、為す(すべ)なく苦しめられているのです」

 

「そりゃ大変だ」

 

「…………あの…話を理解していますか?」

 

関羽はルフィに自分の国の現状を説明していたが、なんとなくルフィが頭の悪い人間である事を察し、不安そうに訊ねた。

 

「偉い奴がダメなせいで、みんなひどい目に遭ってるって事だろ?」

 

「まあ、だいたいそんな感じではありますが…」

 

一応、根本的なところは理解しているようだった。

 

「それで、“天の御遣い”って何だよ?」

 

「はい、伝説の中に存在する人物で、この世界に平和をもたらす存在だと言われています」

 

「ふーん…」

 

「私もあまり信じてはいませんでしたが、あなたが流星と共にに現れた時、伝説は本当だったのだと確信しました」

 

「おれが?流れ星で?」

 

「はい!よろしければお名前をお聞かせ下さい」

 

「おれはルフィ!海賊王になる男だ‼」

 

「⁉………海賊?貴様……賊なのか?」

 

「ああ」

 

「―――っ!」

 

ブンッ!

 

「うおっ⁉」

 

途端に関羽は表情を変え、ルフィに斬りかかってきた。

 

「わっ!おいっ!やめろっ!」

 

「くっ!このっ!」

 

「―――っ!ヤメロつってんだろ!」

 

「がっ……!」

 

しかしルフィは器用に攻撃を避け、関羽の腹に蹴りをくらわせる。

 

「何なんだよいきなり!」

 

「黙れ!賊が天の御遣いを騙っているのを許せるものか!」

 

「お前が勝手にそう思っただけじゃねェか!おれは変な鏡を拾って、鏡が(ひか)って、気がついたらここにいただけ……」

 

…と、そこでルフィの視線が関羽の後ろにある何かに向く。

 

「何だあれ?」

 

「?」

 

関羽も気になり後ろを向くと、少し離れた所で黒い煙が大量に上っているのが見えた。

 

「あれは…まさか⁉」

 

関羽は煙の方角へと走り出す。

 

「あっ!おい!」

 

ルフィは思わず関羽の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい…何だコレ?」

 

2人は煙が出ている場所を見つけ、立ち尽くしていた。

 

「村が……燃えてるのか?」

 

そこにあったのは、火の海と化した1つの村だった。

 

「…山賊共の仕業だ」

 

「山賊って、さっきの奴らか?」

 

「アイツらとは別の集団だ」

 

「ここってそんなに山賊がいるのか?」

 

「ああ、何十人、何百人もの人数で構成された山賊団がいくつもある。

そしてこのような事が毎日のように至る所で起こり、何百人、何千人という民が苦しめられている」

 

「…………」

 

「これも全て…国の悪政が原因なのだ。このような事態を招き、見て見ぬ振りをする国の重臣共がな…」

 

「…………」

 

「私は…この世界を変えたいと…苦しめられている人々を助けたいと思った…。

そのための手段を探して旅を続けていた…。

たとえそれが御伽話のような伝説でも、少しでも可能性があるのなら…私はそれを信じたかった…」

 

「…………」

 

「そして…それが本当にただの御伽話だったとしても…私は戦う!苦しむ民を救う為に!立ち止まったり、諦めたりはせん!」

 

関羽はそう言うと、村の中へ走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、ルフィも村の中へ入っていった。

 

「…………」

 

一面の火の海、それは彼の幼い頃の記憶を連想させた。

 

―――――うわ!!熱ィ!熱くねェ!

 

―――――ハァ…外はもう火の海だ!!

 

「…………」

 

「うわァァァァァ!」

 

「?」

 

叫び声が聞こえ、ルフィが振り向くと…

 

「へへへ、丁度いい。おれはガキを殺すのが好きなんだよな」

 

「うわァァァァァ!」

 

1人の男の子が賊に襲われていた。

 

「死ねェ!」

 

ドゴォッ!

 

「⁉」

 

「……か…は………」

 

賊が得物を振り上げた瞬間、ルフィは距離を詰め、賊の腹に拳を叩き込み気絶させた。

 

「…あ、ありがと……」

 

「早く逃げろ」

 

「う、うん……」

 

男の子が走り去るのを見届けて、ルフィはその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァァッ!」

 

「ギャアッ!」

 

「グアァッ!」

 

その頃、関羽は村の一角で数人の山賊と戦っていた。

 

「くっ!こいつ強ェ!」

 

「当然だ!貴様らのような外道に負ける筋合いはない!」

 

「確かに強いな…だが―――」

 

「うわあああああん!」

 

「なッ⁉」

 

山賊の1人が小さい女の子を捕らえ人質にしてきた。

 

「おっと、動くんじゃねえぞ。動いたら…」

 

「くっ!卑怯な…」

 

「へッ!俺たちは自分らが良い思いできりゃそれでいいんだよ!」

 

「そうだそうだ!」

 

「「「「「「「「「「ハハハハハハハッ!」」」」」」」」」」

 

(クソッ!)

 

「おい!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

不意に第三者の声が聞こえ、全員が声の方を見る。

 

「お前は……」

 

「そいつを放せ!」

 

そこにいたのはルフィだった。

 

「何だお前?誰だか知らねえが、それ以上近付くんじゃねェぞ!近付いたら…」

 

「わあああああん!」

 

「コイツがどうなるかわかるよな?」

 

「……わかった」

 

「…?」

 

()()()()()

 

「おお、物わかりがいいじゃ…」

 

ドゴォォォォォンッ!

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

一瞬、関羽も山賊達も人質にされていた女の子も、何が起きたのかわからなかった。

なぜならルフィは、その場から動かずに()()()()()()、女の子を捕まえていた山賊を殴り飛ばしたからである。

 

「…近づいてねェぞ」

 

そして伸ばした腕で女の子を摑み、自分のもとへと引き寄せる。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん…」

 

「な、なんだ今の⁉」

 

「う、腕が伸びたぞ⁉」

 

「よ、妖術使いかコイツ⁉」

 

「ば、化物だ!」

 

「び、ビビってんじゃねェ!化物だとしても、どうせ腕を伸ばすことしかできねェんだろ⁉」

 

「うん、そう」

 

「言うな!」

 

思わずツッコむ関羽。

 

「ほら見ろ!大した事ねェ!やっちまえ!」

 

「「「「「「「「「「オオオオオッ!」」」」」」」」」」

 

そして山賊達は一斉にルフィに襲い掛かる!

 

「“ゴムゴムの” ……」

 

それに対してルフィは慌てる様子もなく―――

 

「“鞭”ィ!」

 

「「「「「「「「「「ギャアアアアア!」」」」」」」」」」

 

今度は足を伸ばし、全員を一撃で吹っ飛ばした。

 

「でもちゃんと鍛えてあんだぞ、にししし!」

 

「お、お主は一体…?」

 

関羽はルフィに訊ねた。

 

「おれはルフィ。海賊で…“ゴムゴムの実”を食った“ゴム人間”だ」

 

「……“ごむ”?」

 

ルフィの言葉に今度は関羽が首をかしげた。

 

 




ここで、少々解説を。

三国志の登場人物の名前についてですが、三国志の登場人物の名前は、“姓”、“名”、“字”の3つがあります。
関羽で例えると、“姓”が関、“名”が羽、“字”が雲長、となります。

三国志の時代の中国では、“名”を呼ぶのは親や上司だけであり、気安く呼ぶのは失礼なことでした。
恋姫の世界で言う真名のようなものだったのです。

ですから自ら名乗るときも、敵などに対しては“名”を省略して“関雲長”、上司や主に当たる人物に対しては“関羽雲長”、といった風に使い分けていました。

また他者の名を呼ぶときは、姓に官職をつけて“関将軍”などと呼んでいたそうです。

今作では、真名という恋姫ならではの名前があるので、基本的に“名”を省略することはなしにします。
作者が雰囲気的に、『“名”がない方があってるかな』と思った時だけ省略する方針で行きます。

どうでもいいことかもしれませんが、一応お伝えしておきます。

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