ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第34話 “ぽけ~”

ウソップが紫苑、璃々と一緒に旅を始めた頃―――

ルフィ達4人は荒野にいた。

 

「腹減ったな~…」

 

「お腹すいたのだ~…」

 

「しかし、こんな荒野では、茶店などもないだろうな…」

 

「動物とかもいませんしね…」

 

一行は腹を空かせ、休んでいた。

 

「あ、鳥なのだ…」

 

「大きいですね…」

 

「いいよな~空飛べるの…」

 

「確かに空を飛べれば、もう少し移動は楽でしょうな…」

 

「「「「…………」」」」

 

「そうだ!あの鳥食おう!」

 

しばらく黙って空を見ていたが、ルフィが突然立ち上がった。

 

「鳥を?」

 

「でもどうやって捕まえるんですか?」

 

「結構高いのだ」

 

「おれに任せろ!鈴々、槍を地面に突き刺せ!」

 

「?」

 

ルフィに言われ、とりあえず鈴々は蛇矛を地面に少し深めに突き刺す。

 

するとルフィは、腕を伸ばして蛇矛の捕まり…

 

「“ゴムゴムの”…“ロケット”!」

 

鳥めがけて一直線に飛んで行った。

 

「なるほどなのだ!」

 

「ルフィ殿、意外と頭が回るのだな!」

 

「あ、あの~…」

 

愛紗と鈴々が感心する中、朱里が不安そうに声をあげる。

 

「どうしました孔明殿?」

 

「ルフィさん…どうやって戻ってくるつもりなんでしょうか?」

 

「「…………」」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鈴々!孔明殿!急いで追いかけるぞ!」

 

「了解なのだ!」

 

「はわわ~!」

 

3人は全速力で走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方…

 

「待て~~~!肉~~~!」

 

「ピッ⁉」

 

鳥に追いついたルフィは、早速鳥を捕まえようとするが…

 

「ピイ~!」

 

スカッ

 

「あーーーっ⁉」

 

やはり空中での動きは鳥の方が一枚上手であり、避けられてしまう。

 

「ピエ~~~」

 

「チクショ~~~!待て~~~!」

 

鳥は方向を変えて飛び去って行き、ルフィの身体はだんだん落下し始める。

 

「くそ~~~!メシに逃げられた~~~!」

 

悔しがりながら、真っ逆さまに落ちていくルフィ。

 

「ん?」

 

その時、地面に1人の人影が見えた。

丁度、ルフィが落下していく地点に立っており、じっとして動こうとしない。

 

「お~い!そこどけェ~!危ねェぞ~!」

 

「ぽけ~~~…」

 

ルフィは呼びかけるが、人影は動こうとせず…

 

ドゴーーーン!

 

2人は激突した。

 

「おいお前!大丈夫か⁉」

 

すぐに起き上がったルフィは、地面に倒れている先ほど自分とぶつかった少女を、慌ててゆすり起こす。

 

「う~…頭痛い」

 

少女は頭を押さえながら起き上がる。

 

薄い紫色の髪、前髪の一部をドクロの髪飾りで持ち上げまとめており、マフラーを巻いている。

年齢は鈴々と同じくらいだ。

 

「大丈夫みてェだな」

 

「お兄ちゃんは誰?」

 

「おれは“モンキー・D・ルフィ”、海賊王になる男だ」

 

「海賊?じゃあお兄ちゃん悪い人?」

 

「ん~わかんねェ。それはお前が決めてくれ。お前は誰だ?」

 

「シャンは“香風(しゃんふー)”」

 

「ん?それ真名なんじゃねェのか?」

 

「シャンはそういうのよく解らないから…」

 

「そうか」

 

「お兄ちゃん、今空を飛んでいた人?」

 

「ん?ああ、そうだぞ」

 

「どうやって飛んでたの?」

 

「こうやって、棒に捕まって、ビュン!って」

 

身振り手振りで説明するルフィ。

 

「…もしかして、落ちていただけだった?」

 

「ん~、たぶんそうだな」

 

「がっかり…」

 

「どうした?」

 

「空の飛び方、教えて欲しかった…」

 

「お前、空飛びてェのか?」

 

「うん。鳥みたいに、空を飛んでみたい」

 

「…そうか。まーでも空飛んでる奴、けっこう会ったことあるから、頑張れば飛べるんじゃねェか?」

 

「本当⁉頑張れば空を飛べる⁉」

 

「ルフィ殿~!」

 

「「!」」

 

そんな会話をしていると、愛紗達がやって来た。

 

「やっと追いつきましたぞ…そちらの方は?」

 

「シャンは香風」

 

「あの…できれば真名ではなく名乗って欲しいのですが…」

 

「わかった。シャン…じゃなくて、わたくしは“徐晃(じょこう)”、字は“公明(こうめい)”」

 

「“徐晃”殿ですか。私は“関羽雲長”」

 

「鈴々は“張飛翼徳”」

 

「私は“諸葛亮孔明”といいます」

 

「よろしく」

 

「あの…それで徐晃殿はどうしてルフィ殿と一緒に?」

 

「ん~とね…空を見てたら、鳥が飛んでいて、鳥に何かが近づいて来て…。

『何だろう?』って思って見てたら、落ちてきてぶつかった」

 

「は、はァ…」

 

香風の説明に、わかったようなわからないような顔をする愛紗。

 

その時…

 

「ん?何だあれ?」

 

「「「「?」」」」

 

遠くの方から、砂煙が上がっているのが見えた。

どうやら騎馬隊のようで、少しずつこちらに近づいて来ている。

 

しばらくすると旗印が見えるようになり…

 

「あの旗印は…“曹”…」

 

「曹操殿の⁉」

 

「華琳のか!」

 

またしばらくすると、行軍している人物がはっきりと見えるようになり…

 

「ルフィ!関羽!やっぱりあなた達だったのね!」

 

「曹操殿!」

 

「華琳!久しぶりだな~!」

 

先頭を進んでいた華琳が声をかけてきた、後ろには春蘭と秋蘭もいる。

 

 

 

 

 

 

「…それで、都の方に呼ばれて帰る途中で、見覚えのある風貌が見えたから、もしかしたらと思って来たのよ」

 

「そうだったのですか」

 

「ところで、趙雲の姿が見えないようだけれど?それに、見慣れない顔が二人いるわね…」

 

「あ、はい。趙雲とは、数日前に逸れてしまいまして。こちらの方は、入れ替わりに仲間になった…」

 

「“諸葛亮孔明”と言います」

 

「こちらの方は、ついさっきルフィ殿が知り合った…」

 

「“徐晃公明”」

 

「“徐晃”?…もしや、長安(ちょうあん)の方で役人を務めていた、徐晃殿か?

確か、山賊退治で名をあげたという…」

 

「うん。それシャンのこと」

 

秋蘭の質問に頷く香風。

 

「そのような人物が、どういった経緯でルフィと知り合いになったの?」

 

「頭がぶつかった」

 

「頭をごつーんした」

 

「……まァ、こんな所で立ち話も何だし、よかったら一緒に来ない?いつかのお礼もしたいしね」

 

「でしたら、お言葉に甘えて…」

 

こうして、ルフィ達は香風、再会した華琳達と一緒に、華琳の治める街へ向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことがあったんですか…」

 

「それがきかっけで、私はルフィに真名を預けたのよ。着いたわよ」

 

しばらく行くと、一行は立派な城門に囲まれた大きな街にたどり着いた。

 

城門が開き、何人かの家来が出迎えにきた。

 

「お姉様!お帰りなさいませ!」

 

その先頭にいた女の子が声をかけてきた。

 

華琳と同じ金髪で、左右で大きく渦を巻いたツインテールになっており、ウサギのぬいぐるみを抱えている。

お姉さまと呼ぶところを見ると、華琳の姉妹か親類のようだ。

 

「わざわざ出迎えありがとう“栄華(えいか)”。それで、伝令で伝えておいた通り、急に客人ができたのだけれど…」

 

「構いませんわ。それで、どのような方達ですの?」

 

「ええ、紹介するわ」

 

華琳はルフィ達5人を示す。

 

「あらまあ!」

 

その瞬間、栄華の目が輝きだした。

そのまま鈴々、朱里、香風の3人に熱い視線を向ける栄華。

 

「可愛らしい方達ですわね!お名前は何て言いますの?」

 

「鈴々は“張飛”、字は“翼徳”なのだ」

 

「張飛さんですね!お部屋を用意しておりますわ!お風呂も準備させますので、ゆっくりしていってくださいね!」

 

「ありがとうなのだ!」

 

「私は“諸葛亮”、字は“孔明”といいます。しばらくお世話になりましゅ…はわわ、噛んじゃいました」

 

「気にしなくていいですわ!孔明さんにもお部屋とお風呂を用意しますから、ゆっくりしていって下さいまし!」

 

「ありがとうございます」

 

「シャンは“徐晃”、字は“公明”」

 

「徐晃さんですわね!お部屋とお風呂を用意いたしますわ!ゆっくりしていってくださいね!」

 

「わ~い!」

 

鈴々達3人が挨拶を終え、続いて愛紗も挨拶する。

 

「お初にお目にかかります。我が名は“関羽”、字を“雲長”と申します。お世話になります」

 

「はい、部屋をご用意いたしますわ」

 

(………ん?)

 

栄華に挨拶をした愛紗は、なぜか違和感を覚えた。

 

「…あの、あなたは?」

 

「あ、失礼いたしました。私はお姉様、曹操様の従妹で“曹洪(そうこう)”、字を“子廉(しれん)”と申します」

 

「よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

(………???)

 

やはり何か違和感がある。

 

(何というか…鈴々達に比べて素気ないような?)

 

絶対に気のせいなどではないが、愛紗はとりあえず黙っていることにした。

 

そして…

 

「おれは“モンキー・D・ルフィ”。よろしく」

 

最後にルフィが挨拶する。

 

「…………」

 

すると栄華はまるで汚い物を見るような表情をし、明らかに視線を逸らす。

やがてしぶしぶ口を開き…

 

「…馬小屋の隅に藁を用意しておきますから、好きに使って下さいまし。

使った藁は他の物と混ざらないよう、分けておいて下さいね」

 

「わかった」

 

「「わかるな!」」

 

明らかに客人に対するモノではない栄華の扱いを、あっさり承諾するルフィに、愛紗と華琳がツッコんだ。

 

「栄華?」

 

「で、ですがお姉様!こんなどこの馬の骨ともわからないような、ましてや男に…!」

 

「言っとくけど、ルフィは私の恩人で、この中で一番大事な客人なの!」

 

「え、ええっ⁉」

 

「間違っても他の四人より粗末な扱いをしないように!いいわね⁉」

 

「わ、わかりましたわ…。部屋を用意します…。それとお風呂も…」

 

「あ、あの曹操殿…曹洪殿は…?」

 

失礼な気もしたが、愛紗はどうしても気になり華琳に訊ねた。

 

「ええ。かなりの男嫌いで女性と、特に小さい女の子と親しむのが好きなの」

 

「それで鈴々達を…」

 

「ええ、そうとう嬉しかったようね」

 

「当たり前です!ああ…三人とも可愛らしくて、その方向性も全然違いますわ♡

張飛さんは今までの服とは違う新しい感じで…孔明さんにはアレを…徐晃さんはこの間注文したのが似合いそうですわ…♡」

 

「…………」

 

妄想の世界に入り、イッちゃった顔になる栄華。

 

「…栄華」

 

「はっ!申し訳ありません!つい、いつもの癖で!さ、張飛さん達!お風呂にご案内しますわ!」

 

そう言って手招きするが…

 

「お、お兄ちゃん…」

 

「はわわ~…」

 

「なのだ~…」

 

先ほどの栄華の様子を見て萎縮してしまい、ルフィの後ろに隠れて出てこようとしない3人。

 

「大丈夫だって。な?」

 

「ええ。栄華も無理やり手を出したりはしないから、安心しなさい」

 

「う、うん…」

 

「はい…」

 

「わかったのだ…」

 

ルフィと華琳に言われ、3人はルフィの後ろから出てきた。

 

「それじゃあ行きましょう。改めて歓迎するわ」

 

「おう!ありがとうな()()!」

 

「⁉ちょっとあなた‼」

 

いきなり栄華がルフィの正面に立ちふさがり、正面から睨みつけた。

 

「何だ?」

 

「『何だ』じゃありません‼どうしてあなたのような下賤な輩が、お姉様の真名を呼んでいるんですの⁉

あなたのせいでお姉様の大切な真名が、汚れてしまったではないですか‼

この汚れは、あなたの口を切り裂いて、その血で清めさせていただきますわよ‼」

 

「呼んでいいって言われたぞ?」

 

「よくもまあそんな嘘をおめおめと‼お姉様があなたのような下賤な輩に、大切な真名を…」

 

「預けたわよ」

 

「…………っ!」

 

「はわわっ⁉私絶句した人って初めて見ました!」

 

「ああ…これほど絶句という表現が似合う状態は、中々ないだろうな…」

 

朱里と愛紗がそう言ってしばらくした後、栄華が我に返るのを待って、一行は街へと入ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陳留郡のとある大きな屋敷の一室、そこで桂花は拳を構えていた。

彼女の前には、どことなくルフィに似た人形がある。

 

「あああああーーーーーっ!」

 

ドン!

 

桂花は雄叫びをあげると、その人形の顔面に右ストレートを叩き込む!

 

「憎い!」

 

続いて左ストレート!

 

「あの猿がァ!」

 

そのままパンチの連打!

 

「憎いィ!」

 

顎に右アッパー!

 

「男のォ!」

 

脳天チョップ!

 

「くせにィ!」

 

左わき腹への回し蹴り!

 

「猿のォ!」

 

かかと落とし!

 

「くせにィ!」

 

肘鉄!

 

「華琳様にィ!」

 

ドロップキック!

 

「真名をォ!」

 

バックドロップ!

 

「許されるなんてェ!」

 

一本背負い!

 

「ああ!憎い憎い憎いィ!見てなさいよ!

今度会ったら絶対に泣いて許しを請うような、ひっどい目に遭わせてやるんだからァ!」

 

そのままチョークスリーパーで人形の首を絞める桂花。

華琳がルフィに真名を預けて以来、桂花はほぼ毎日のようにコレを行っていた。

 

ちなみに今の一連の技については、桂花はその動きをしているだけで、技名は知らない。

 

「ふー…ふー…ふー…」

 

しばらくして技を解くと、桂花は般若のような顔をして呼吸を整える。

 

「荀彧様」

 

部屋の外から文官が呼びかけた。

桂花が男嫌いであるため、無論声の主は女性である。

 

「何?」

 

「曹操様がお戻りになられました」

 

「!分かったわ!すぐ迎えに行くわ!」

 

桂花はたちまち上機嫌になり、華琳を迎えに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すげ~」

 

「大きいお屋敷なのだ~」

 

「ふふん!そうだろう!そうだろう!」

 

「…どうして夏侯惇さんが偉そうにしているのでしょう?」

 

「訊かないでくれ…」

 

ルフィ達一行は華琳の屋敷に着いた。

同行していた兵士達は皆兵舎や家に戻り、今はルフィ、愛紗、鈴々、朱里、華琳、春蘭、秋蘭、栄華、香風の9人だけである。

 

「華琳様!お帰りなさいませ!」

 

…と、そこへ桂花がやって来た。

 

「ただいま桂花。私の留守中、変わりはなかった?」

 

「もちろんでございます!」

 

「そう。ところで、今夜は急遽酒宴を開くことになったのだけれど、あなたも出席するわよね?」

 

「もちろんでございます!私は常に華琳様のおそばにおりますゆえ!

それにしても酒宴とは…客人でも参られたのですか?」

 

「ええ、彼らよ」

 

そう言って華琳が示したのは…

 

「っ!」

 

桂花が憎くてたまらない男と、その仲間達だった。

 

ちなみに桂花は、華琳を誑かした(と、桂花は思い込んでいる)愛紗のことも、ルフィ程ではないが憎んでいる。

 

「お~!久しぶりだな~猫耳~!」

 

ルフィ達も桂花に気付き、声をかける。

 

「こ、これは荀彧殿…」

 

愛紗は、以前桂花に凄まれたことがあるため、少々気まずそうに声をかける。

 

「あ、あんた達…」

 

「この前のお礼とお詫びがしたかったから、招待したのよ」

 

「…確かに世話にはなりましたね、迷惑もかけてしまいましたし…。

歓迎はするからゆっくりしていきなさい…」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

やや敵意のこもった挨拶をして、桂花は去って行った。

 

「…何だか、悪かったわね」

 

「い、いえ。お気になさらず…」

 

「そーそー、気にすんなって」

 

本当に気にしていない様子で、返すルフィ。

 

「お姉様!お帰りなさいなさいませ!」

 

…と、そこへ別の女の子が声をかけてきた。

 

金髪で長い髪を後ろの方でまとめ、先端を縦ロールにしている

 

「ただいま“柳琳(るーりん)”」

 

「伝令の方からお話は伺いました。そちらの方々が?」

 

「ええそうよ。自己紹介なさい」

 

「はい」

 

華琳に言われ、柳琳と呼ばれた少女は愛紗達の前に来る。

 

「お初にお目にかかります。私は“曹純(そうじゅん)”、字を“子和(しわ)”と申します」

 

「初めまして。“関羽雲長”と申します。

こちらが私の義兄妹で兄にあたる“ルフィ”、妹の“張飛”、旅の同行者の“孔明”殿、“徐晃”殿でございます」

 

「よろしくお願いします。あの…」

 

「ん?」

 

突然、柳琳は申し訳なさそうな顔をして、ルフィ、鈴々、朱里、香風の顔を見る。

 

「先ほど、城門の方で…きっと栄華ちゃんが、ご無礼をしてしまったと思うのですが…。

栄華ちゃん、根はいい子なのでどうか気を悪くしないでくださいね…」

 

「ああ、いいよ。気にすんな」

 

「ちょっと、びっくりしただけなのだ…」

 

「悪気がないことはわかっていますから…」

 

「歓迎してくれたのはうれしかった…」

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

「…………」

 

「?関羽さん?私の顔に何かついていますか?」

 

「い、いえ!何でもありませぬ!」

 

華琳をはじめ、今までの曹軍の人物は強烈な者ばかりだったため、大人しく優しそうな柳琳に驚きを隠せない愛紗だった。

 

「ところで柳琳、“華侖(かろん)”は一緒じゃないの?」

 

「それが…姉さんはまたどこかへ行ってしまって…」

 

「はァ…あの子は相変わらずね…」

 

「全く…華侖さんには困ったものですわ…」

 

「曹純にはお姉ちゃんがいるのか?」

 

姉という言葉を聞いて興味が湧いたのか、鈴々が訊ねる。

 

「ええ。“曹仁子孝(そうじんしこう)”といって、私の従妹で柳琳の姉よ」

 

「曹仁殿とは、どういった方なのですか?」

 

「そうね…」

 

「「「「…………」」」」

 

愛紗に訊かれ、考え込む華琳。

春蘭や秋蘭、栄華と柳琳も考え込んでいる

 

「……変わっているとしか言いようがないわね」

 

「は?」

 

華琳の返答に、愛紗が何となく嫌な予感を覚えたとき…

 

「あー!華琳姉ェ、お帰りっすー!」

 

「「「「「⁉」」」」」

 

どこからか声が聞こえた。

ルフィ達は周囲を見渡すが、誰の姿も見えない。

 

「…噂をすれば何とやらね。上よ」

 

「上?」

 

華琳に言われ、ルフィ達が上を見ると…

 

「華琳姉ェ~!その人達誰っすか~?」

 

近くの建物の屋根の上に、金髪を縦ロールのサイドテールにした女の子がいた。

活発そうな印象があり、服装はほとんど裸同然である。

 

「あの~あなたが曹仁殿ですか~?」

 

愛紗も声を張り上げて訊ねる。

 

「そうっすよ~!」

 

「曹仁殿はそこでなにを?」

 

「日向ぼっこっす~!」

 

そう返事をすると、華侖は自分の服に手をかけ…

 

「そ、曹仁殿⁉」

 

「ふえ?」

 

「い、今何をしようとしたのですか⁉」

 

「脱ごうとしたっすよ?」

 

愛紗の問いに平然と答える華侖。

 

「何故脱ぐのです⁉」

 

「脱いだ方が、お日様がいっぱい体に当たって、暖かそうだからっす!」

 

「暖かそうって…」

 

「姉さん!」

 

愛紗の声を柳琳の声が遮った。

 

「もう!またそんな所に登って!危ないから早く降りてきて!」

 

「え~⁉今、登ったばっかりっすよ~?」

 

「華侖!客人が来ているの、降りてきて挨拶しなさい」

 

「うう…わかったっす…」

 

華琳に言われ、華侖はしぶしぶ返事をすると立ち上がり…

 

「…って曹仁殿⁉」

 

「何すか?」

 

「今、そこから飛び降りようとしませんでしたか⁉」

 

「だって降りろって言われたっすよ?」

 

「飛び下りるのはいくら何でも危ないでしょう⁉」

 

「平気っすよ~」

 

「華侖!その近くに窓があるでしょうから、そこから降りてきなさい!」

 

「は~い…」

 

華琳に言われ、華侖は屋内に姿を消した。

 

「…中々、個性的な方ですな」

 

「まあね」

 

濃すぎる曹一族の女性達を見て、華琳、秋蘭、柳琳の苦労を知った愛紗だった。

 

 




オリジナルストーリー、曹一門と香風の話でした。
香風、魏ルートで一番好きなキャラです。

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