ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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また、一話だけ投稿します。




第35話 “男”

ルフィ達が華琳の屋敷に招待された、その日の夜―――

 

「らからおめーらくーだよ!くー!(だからお前らこうだよ!こう!)」

 

歓迎の宴が開かれ、ルフィはその真ん中でざるを持ち、鼻に棒を入れ踊っていた。

 

「くーなのだ!」

 

「くーか⁉」

 

「くーっすか⁉」

 

鈴々、春蘭、華侖も一緒になって踊っている。

 

「り、鈴々ちゃん…ぷぷぷっ!」

 

「ね、姉さん…ぷっ!は、はしたな…ぷくくっ!」

 

「お兄ちゃん面白~い!」

 

「あの…申し訳ありません…ルフィ殿が変なことを…」

 

「…本人達が楽しそうですから、別にいいですわ…」

 

「ああ。姉者達も楽しそうだし、私もこういうのは嫌いではないぞ」

 

「相変わらず楽しい男ね」

 

「あっはっはっは!あの春蘭が!鼻の穴に木の棒を!あっはっはっは!」

 

華琳をはじめ、曹軍の武官や文官達も大勢交え、宴はとても盛り上がっていた。

 

 

 

 

 

 

~???~

 

〈宛城で曹操と一緒に逃げた男が?〉

 

「はい。話を聞いてみたところ、間違いないかと」

 

〈それでその男が、王植が言っていた天の御使いだというのか?〉

 

「容姿、服装の情報は一致しており、同行者も同じです。例の伸びる身体については、まだ確認できていませんが」

 

〈ふむ…一波乱起こして、探りを入れてみるか〉

 

「よろしいのですか?」

 

〈情報は少しでも正確な方がいいからな。

それに曹操は遅かれ早かれ、我々の邪魔になる存在だ。定期的に痛めつけておいた方が良い〉

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

「わ~こんなに本が⁉」

 

「すごい!」

 

「当然よ!」

 

朱里と香風は、桂花に書庫を案内してもらっていた。

 

(空の飛び方が書いてあるのもあるかな?)

 

「戦はもちろん、医学や土木作業、料理や芸能にかかわる物もあるわ。中には華琳様が自分で書いた物もあるのよ」

 

「私も曹操さんが書いた“孟徳新書(もうとくしんしょ)”の噂は聞いたことがあります!一度読んでみたいと思っていたんです!」

 

「ぜひ読んでみるといいわ。華琳様の素晴らしがとてもよくわかるわよ。

ああ、本当に…強くて聡明で…気高く美しく…!

褒められても叱責されても、美しさのあまり思わず悶えてしまう…!

ともに閨で過ごしたときなんかそれはもう…!ああ~♡華琳様~♡」

 

妄想の世界に入り、身体をくねらせる桂花。

 

「…………」

 

「荀彧さ~ん」

 

「はっ!んんっ!…何、徐晃殿?」

 

「この本は何?」

 

そう言って香風が持ってきた本は…

 

「“歓乳好奮編(かんちちこうふんへん)~おっぱい好きたちの歓びの歌~”…?」

 

タイトルから察するに、いわゆるエロ本、この時代で言う艶本、官能小説のようである。

何故、このような本が書庫にあるのか?

 

「華琳様に仕えるのであれば、必ず読まなければならない本よ」

 

「「…………」」

 

何となく2人は曹操軍の雰囲気を理解したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、愛紗は秋蘭に兵の訓練場に案内してもらっていた。

 

「それでは曹操殿は、元々は夏侯淵殿達の?」

 

「ああ。華琳様の父である“夏侯嵩(かこうすう)”殿が、宦官の“曹騰(そうとう)”殿の養子になり、“曹嵩(そうすう)”と名を改めたのだ」

 

「成程」

 

「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」

 

「!」

 

そんな話をしていると、もの凄い咆哮が聞こえてきた。

 

「着いたぞ。ここが訓練場だ」

 

「これは…」

 

筋肉隆々で身長も2メートル近くある男達が訓練をしていた。

その迫力はすさまじいもので、だいぶ距離が離れている愛紗にも熱気が伝わってくる。

 

「今、訓練を行っているのは“虎豹騎(こひょうき)”といって、華琳様の身辺警護を司る精鋭部隊だ。

そして、この隊の指揮をしているのが…」

 

そう言う秋蘭の視線の先には…

 

「前進!」

 

「「「「「「「「「「はーーーっ!」」」」」」」」」」

 

「突けーーーっ!」

 

「「「「「「「「「「はーーーっ!」」」」」」」」」」

 

「曹純殿?」

 

指示を出す柳琳の姿があった。

 

「ああ。彼女自身の武術は、私や姉者に比べれば劣るが、部隊での戦闘となれば我が軍でも飛びぬけているぞ」

 

「そうなのですか」

 

「今日はここまで!」

 

「「「「「「「「「「はい!曹純様!」」」」」」」」」」

 

「あとは皆さん、よく身体を休めるように!」

 

「「「「「「「「「「はい!曹純様!」」」」」」」」」」

 

「兵士でなくても、人は健康管理が何よりも大事ですからね。気を付けて下さいね」

 

「「「「「「「「「「はい!曹純様!」」」」」」」」」」

 

「……あの、夏侯淵殿」

 

「何だ?」

 

「アレは本当に曹操殿の護衛部隊なのですか?曹純殿の親衛隊ではなくて?」

 

「…言いたいことはわかる。華琳様の親衛隊のハズが、いつの間にかあのようになっていてな…。

新しく入隊した者には、あの空気に付いて行けず辞めていく者も多いのだ…」

 

「秋蘭さん、関羽さんも」

 

訓練を終えた柳琳がやって来た。

 

「ご苦労だったな柳琳」

 

「お疲れさまでした、曹純殿。その…すごいですね、虎豹騎というのは…」

 

「ええ。皆さんとても強くて元気で、頼もしい方達なんですよ」

 

「…………」

 

「彼女はあの雰囲気を何とも思っていないのだ」

 

こっそりと愛紗に耳打ちする秋蘭だった。

 

「お~い!」

 

「「「?」」」

 

…と、どこからか春蘭の声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

「あら、あんた達」

 

「荀彧殿、孔明殿に徐晃殿も」

 

愛紗達が声のする方へ向かうと、途中で朱里達に会った。

 

「お前達もあの声を聴いて?」

 

「ええ」

 

「お~い!」

 

見てみると、春蘭が近くの建物の屋根に向かって呼びかけていた。

 

「姉者、どうしたのだ?」

 

「おお、秋蘭。お前達も」

 

「もしかして、また姉さんが?」

 

「いや、華侖だけではなくてな…」

 

そう言って春蘭が指した屋根の上には…

 

「いい天気だな~」

 

「はにゃ~」

 

「気持ちいいっす~」

 

「姉さん!それにルフィさんと張飛さんまで⁉」

 

「三人ともそんな所で寝ては風邪をひくぞ」

 

「そんなこと言ったって、なんとかと煙は高い所が好きだから仕方ないのだ~」

 

「そーそー、仕方ねェよ」

 

「その通りっす~」

 

「“何とか”って…」

 

「自分で言っていれば世話ないわね…」

 

「全く、自分からそんなことを言うとは…バカが考えることは理解できん…」

 

…と、春蘭。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

「な、なぜみんな黙って私を見るのだ…?」

 

「あなた達、ここにいたの!」

 

そこへ華琳と栄華がやって来た。

2人は何やら険しい表情をしている。

 

「華琳様!どうかしたのですか?」

 

「領内に黒山賊が現れたのです!」

 

「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」

 

「大至急軍議を開くわ!それで…ルフィ、関羽、できればあなた達にも、客将として協力してもらいたいのだけれど…」

 

「おういいぞ」

 

「賊退治とならば、協力は惜しみません!」

 

ルフィと愛紗が承諾し、残りの3人もうなずく。

 

「ありがとう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~大広間~

 

「黒山賊の兵力は総勢一万、現在はこの山の麓に陣を築き、山中で砦を建築しているようです」

 

栄華がテーブルに敷かれた地図を指して説明する。

 

「その砦を拠点に勢力を増し、陳留を占拠するつもりでしょうか?」

 

「何にせよ、この山に堅固な砦を築かれると厄介ね…」

 

「火事も小火(ぼや)程度なら消しやすい物、ここは今すぐ叩くべきかと」

 

「そうね…夏侯惇!夏侯淵!荀彧!」

 

「「「はっ!」」」

 

「すぐに出陣の支度を整えてちょうだい!」

 

「「「はっ!」」」

 

「それから、関羽と張飛も来てもらえるかしら?」

 

「わかりました」

 

「曹洪、曹仁、曹純、それにルフィに、孔明殿、徐晃殿は私達が留守の間、ここを守って」

 

「「「「「「はい!/わかったっす!/わかった!」」」」」」

 

そして、愛紗、華琳達は7千の兵を引き連れ、出陣したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗、華琳達が出陣してから数日後―――

 

~陳留、華琳の城~

 

「ふう…」

 

1つの竹簡を見ながら、栄華が渡り廊下を歩いていた。

 

「栄華ちゃん」

 

「柳琳」

 

「何を見ていたの?」

 

「東門の修繕の見積書です。これはかなりの金額ですわ」

 

「どれどれ…これはかなりの出費ね…」

 

「ええ。でも仕方ありませんわ。門の修繕は最優先事項。お金を惜しんで、修繕を怠ったら、敵は入り放題…」

 

「うお~⁉」

 

「あ~れ~⁉」

 

「「⁉」」

 

不意に外、それも上の方から悲鳴のようなものが聞こえ、2人が見てみると…

 

「「きゃあああああ⁉」」

 

ルフィとルフィの腰にしがみついた状態の香風が空から降ってきた。

 

ドガッシャーン!

 

「うげー⁉」

 

「あたっ⁉」

 

「ルフィさんに⁉徐晃さん⁉」

 

「一体何をしていたんですの⁉」

 

「はわわ~⁉大丈夫ですか~⁉」

 

そこへ朱里も走ってきた。

 

「孔明さん!一体何があったの⁉」

 

「話せば長くなるんですけど、徐晃ちゃんは空を飛んでみたいらしいんです」

 

「空を?」

 

「それで、話を聞いたルフィさんが“たけとんぼ”という玩具のことを思い出して…」

 

「“たけとんぼ”?」

 

「竹で作った板に竹串を刺した玩具で、こう…回転させて、飛ばして遊ぶ玩具だそうです」

 

身振り手振りを交えて説明する朱里。

 

「それでその動きをマネして、腕を勢いよく回せば飛べるんじゃないかってルフィさんが…」

 

「それで徐晃さんがしがみついた状態で、ルフィさんがやってみて失敗したと…」

 

「いえ、空を飛ぶことはできたんですけど…」

 

「できたんですの⁉」

 

「着地のことを全く考えていなくて、回転が遅くなった途端、落ちてしまったんです…」

 

「そう言う事だったんですね…」

 

「でも、ちょっとだけ飛べた!お兄ちゃんさっきの…え~と…」

 

「“ゴムゴムの竹とんぼ”だ」

 

「うん!それまたやって!」

 

「おう!良いぞ!」

 

「やめて下さい!徐晃さんが怪我でもしたらどうするんですか⁉これだから男は…!

ああ…お姉様もどうせなら、この汚らわしい男を連れて行って討ち死にさせ、張飛さんを残してくだされば良かったのに…」

 

「あの…ルフィさん、栄華ちゃんが本当にごめんなさい…」

 

「いいよ。嫌われるの慣れてるから」

 

「…さらりと悲しいことを言いますね…」

 

…と、そんなことを話していると…

 

「あ~!栄華!柳琳!やっと見つけたっす~!」

 

「姉さん!」

 

「華侖さん!」

 

「華侖!」

 

「あ!ルフィっち達も!」

 

「あの…姉さん」

 

「何すか?」

 

「今、ルフィさんが姉さんのこと真名で呼んでいたけど…許したの?」

 

「華琳姉ェが真名預けたみたいだから、良いかな~って」

 

「そう」

 

「ところで華侖さん、私達に何か用ですか?」

 

「あ!そうだったっす!大変っすよ!」

 

「どうしたの?」

 

「さっき城壁に登ったら、たくさんの兵隊が見えたっす!華琳姉ェの兵じゃないっす!」

 

「「「「「!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~西門、城壁~

 

華侖の話を聞いた、ルフィ、朱里、柳琳、栄華、香風は様子を見てみることにした。

 

「あれか?」

 

「西門に向かって突っ込んで来る…」

 

「はわわっ!五千人はいますよ!」

 

「あの旗印は“滎陽(けいよう)太守”の“徐栄(じょえい)”ですわね…」

 

「どうしてわざわざこんな所に攻撃を?」

 

「そんなことより、どうするっすか⁉」

 

「そうね…こちらの兵力は三千…。けど、全ての兵士を西門に回すわけにはいかないですし…」

 

「とにかく急いで兵の招集を!ルフィさんと孔明さんと徐晃さんは、兵士と一緒にここを守ってください!」

 

「よし!任せろ!」

 

ルフィの返事を聞くと華侖達3人は城壁を下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、華琳達は黒山賊を相手に、有利に戦いを進めていた。

 

~曹操軍の陣、華琳の天幕~

 

「しかし、この山はまさに天然の要害。一筋縄ではいきませんね」

 

「はい。もしここに砦を築かれれば、さらに攻めにくくなります」

 

「ええ。時間はかかるでしょうけど、今回の出陣で確実に攻め落とすわよ」

 

「そう言えば曹操様」

 

「どうしたの秋蘭?」

 

「実は今日の出陣の途中、賊軍が妙な会話をしているのを聞きまして」

 

「妙な会話?」

 

「はい。『今日もあの男はいないか?』『ああ、やはり来ていないようだ』と」

 

「“あの男”?」

 

「少々気になったもので、一応報告しておこうかと…」

 

「う~む…我が軍にそこまで名が知れている男はいないと思うが…」

 

「敵の間者か、増援の話でしょうか?」

 

「…とりあえず、頭の隅には置いておきましょう。軍議を続けるわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~華侖、柳琳、栄華side~

 

「よりによって春蘭さんも秋蘭さんもいないときに…」

 

「急いでお姉様に連絡を!守備に徹すれば、十日は持ちこたえられるはずですわ!」

 

「そうね。幸いにも徐晃さんがいてくれたし、孔明さんも頑張ってくれそうですし…」

 

「あの男は全く期待できませんどね…」

 

「え、栄華ちゃん…ルフィさんだってやる気はあるみたいだったし、きっと頑張って…」

 

「努力はしてくれても、結果が伴わなくては意味がありませんわ!」

 

「…………」

 

「あれ?でもそう言えば華琳姉ェ、出陣前に…

 

 

 

 

 

『お姉様、今回の出陣にあの二人を連れて行って、大丈夫なのですか?』

 

『ええ。部隊指揮はともかく、個人の武ならあの二人は私や春蘭に匹敵するらしいわ。

いい機会だし、その腕を直接見ておきたいもの』

 

『へーっ!そんなに強いんすか、あの二人⁉』

 

『共闘した春蘭達がそう言うんだから、間違いないわ』

 

『お姉様がいつも言っているように、野に埋もれた人材はまだまだいるのですね』

 

『そうね。特にルフィを見たときは驚いたわ』

 

『あの男が?』

 

『ええ、彼は私や春蘭より断然強いもの。おそらく我が軍の主将全員と、虎豹騎でかかっても勝てないでしょうね』

 

『『『え?』』』

 

 

 

 

 

…って言ってなかったすか?」

 

「た、確かに…」

 

「…お姉様を疑うワケではありませんけど、あの男がお姉様より強いなんて…にわかには信じがたいですわね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ルフィ、朱里、香風side~

 

「はわわ~もうすぐ敵が城門に着きますよ~!」

 

「シャン、頑張る…!」

 

そう言って自身の武器である大斧、“開山大斧(かいざんたいふ)”を構える香風。

 

「よし、お前らはここにいろ」

 

「え?」

 

そう言ってルフィは1人城壁から下り、城門の前に立つ。

 

 

 

 

 

 

「よーし!一斉に掛かれーっ!」

 

「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」

 

一方、徐栄軍は怒涛の勢いで、西門に向けて進軍していた。

 

「将軍!門前に男が一人立っております!」

 

「ん⁉」

 

兵士の言う通り、帽子を被った男がたった1人で、門の真ん前に立っている。

 

「はっ!気にすることはない!一気に踏みつぶしてしまえ!」

 

「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」

 

そのまま勢いよく向かってくる、徐栄軍に対し…

 

「よォし…来い!」

 

男は静かに拳を構えた。

 

 




“ゴムゴムの竹とんぼ”:“ゴムゴムのUFO”の回転部分を、足ではなく腕にしたバージョンの技

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