ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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タイトルでネタバレしていますが、あの人が登場します。




第36話 “華蝶降臨”

~華琳side~

 

(秋蘭の報告にあった敵の会話、どうも気になるわね…)

 

愛紗、春蘭らが黒山賊と交戦している間、華琳は軍の後方で考えごとをしていた。

 

「(我が軍の男…それも名の知れた男…今までの戦で目立った男といえば…?

私が張繍の罠から脱出した時に共闘したルフィぐらいだけど…それを知っているのは張繍だけ…。

張繍…?黒山賊…?…まさか⁉)誰か!」

 

「は!いかがなさいました曹操様⁉」

 

「前方に伝令を!今日中に砦を攻め落とすわよ!」

 

「は、はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~華侖、柳琳、栄華side~

 

「これで兵の配置は完了ね」

 

「あたし達も西門に急ぐっす!」

 

「まだ門が破られたという報告はないけど、気がかりですわね…」

 

そして華侖達3人も武装を済ませ、西門へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~西門、城壁~

 

「皆さん!」

 

「曹純様!曹洪様に曹仁様も!」

 

「戦況はどうなっていますか⁉」

 

「あ…それがその…」

 

「「「?」」」

 

答えに困っている様子の兵士。

不利か有利かの2択で答えるだけなのだが、どうも様子がおかしい。

 

状況的に有利ではないだろうが、追い詰められているという様子でもない。

よく見ると周りの兵士達も、そこまで切羽詰まっている様子ではなく、城壁の下を見て驚愕しているようだ。

 

「はわわ~…」

 

「手が…」

 

朱里と香風も下を見て呆気に取られている。

 

「「「?」」」

 

気になって華侖達3人も下を覗いてみる。

 

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“暴風雨(ストーム)”‼」

 

「「「「「「「「「「ぎやあああああァァァァァ‼」」」」」」」」」」

 

1人の男が無双していた。

城壁に近づく敵兵を次々と吹き飛ばし、時には一度に百人近い人数が吹っ飛ぶ。

 

「な、何なんだアイツは⁉」

 

「知るか!あんなのに構ってないで、さっさと門を開けろ!」

 

そう言って何人かは、かろうじて城壁にたどり着き登りだすが…

 

「逃がすかァ!“ゴムゴムの”…“花火”‼」

 

「「「「「「「「「「ぎやあああああァァァァァ‼」」」」」」」」」」

 

下からの攻撃をくらい、次々と落ちていく。

 

くらわずに残った者は十人足らずであり、それらも城壁にいる兵士達によって仕留められてしまう。

 

「え…えええっ⁉」

 

「な、なんか手が伸びてるように見えるっすよ⁉」

 

「な、何なんですのアレは?」

 

「いやァ…ずっと一人で戦い続けていまして、もう一人で千人以上討ちとっていますよ…」

 

「あの…曹洪さん、曹純さん、曹仁さんも」

 

「!孔明さん」

 

驚愕している3人に、いち早く我に返った朱里が声をかけてきた。

 

「この様子なら、ここの守備はひとまずは大丈夫かと思います。

他の場所の守備か、別の策を考えませんか?」

 

「そ、そうですわね。

華侖さん、柳琳、あなた達は部隊を連れて、城内に待機していて下さい。

私は手勢を連れて、東門から打って出て、敵の背後をつきますわ」

 

「わかったっす!」

 

「気を付けてね、栄華ちゃん」

 

「はい!」

 

そして3人は部隊の準備のため、再び城壁を下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~華琳side~

 

「ひるむなー!突撃だー!」

 

その頃、華琳の率いる遠征部隊は、黒山賊の砦に総攻撃を仕掛けていた。

華琳自身も最前線に出ている。

 

山中に築かれていた砦は未完成ではあるものの、城壁は十分な強固さを持っており、山道の進みにくさもあって、簡単には落とせなかった。

 

「華琳様、やはりこの攻撃は無謀かと思います」

 

攻撃命令を出した華琳を咎める秋蘭。

 

「ええ、わかっているわ。でも万が一、私の考えが正しければ、急がないと最悪の展開になってしまうわ!」

 

「最悪の展開?」

 

「頑張るのだー!降ってくる矢や岩は、気合でなんとかして突き進むのだー!」

 

「うむ!その通りだ張飛よ!気合でなんとかして突き進めー!」

 

「…こういう時はあの脳筋さが頼もしいわね…」

 

「…その通りですな…」

 

愛紗と桂花がそう呟いた、その時…

 

「ぎゃー!」

 

「ぐあっ!」

 

「な、何だァ⁉」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

急に賊軍の動きが乱れ始めた。

 

「おいどうした⁉」

 

「突然後方から、何者かが斬りこんできたようです!」

 

「何⁉新手の敵か⁉裏切りか⁉」

 

「よ、よく解りませんが…」

 

突然の事態に賊は混乱し、裏切りという声に惑わされ、一部では同士討ちが始まる。

当然、曹操軍を防いでいた防衛戦も乱れ…

 

「よくわからないが、好機だ!」

 

「この機を逃すな!全軍突撃―!」

 

「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~栄華side~

 

「皆さん!行きますわよ!」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

その頃、栄華は部隊を整え、東門から出撃したところだった。

 

「このままの行軍速度で一気に敵の背後をつきますわ!遅れないように!」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

そのまま疾風のごとく突き進む部隊!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし…

 

ドスッ!

 

「ぐあっ⁉」

 

「…え?」

 

突如、矢が刺さる音と兵士の悲鳴が聞こえ、思わず周囲を見渡す。

 

すると…

 

「まさかここで曹の一門と出くわすとは思わなかったぞ。標的は変更だ!コイツらを叩け!」

 

「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」

 

「なっ⁉」

 

5千人近い敵兵が突っ込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「曹仁様!曹純様!一大事です!」

 

「「⁉」」

 

部隊を整え、待機していた華侖と柳琳のもとへ、兵士が1人走ってきた。

 

「何があったの⁉」

 

「先ほど曹洪様が部隊を連れて、東門から出撃したのですが、突如現れた敵の別動隊に包囲されてしまいました!

その数はおよそ五千!」

 

「ええっ⁉どういう事っすか⁉何で東に敵がいるんすか⁉」

 

「もしかして、敵は初めから東門を破るつもりだった⁉

東門が修理中だったのを知っていたから⁉

だから西門に守備を集中させて、東門を手薄にしようとしていた!

そして東門を攻めようとしていた敵部隊と、栄華ちゃんが鉢合わせしてしまったんだわ!」

 

「ええっ⁉どうするっすか柳琳⁉」

 

「そうね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~華琳side~

 

「…ようやく片付いたわね」

 

焼け崩れていく賊軍の砦と、累々たる屍を見て華琳は呟いた。

 

あの後、乱れた黒山賊は曹操軍の猛攻を受け、壊滅したのだった。

 

「それにしても、敵が突然あそこまで乱れるとは…」

 

「敵の様子から察するに、後方から何者かが斬りかかったようですが…」

 

「うむ…同士討ちをしている死体や、我が軍の方を向いているにもかかわらず、背後から斬られている者がいる点から見ても、間違いないだろうな…」

 

「我が軍の者ではないことだけは確かだな…」

 

「誰が鈴々達の味方をしてくれたのだ?」

 

「別にお前達の味方をしたわけではない、ただ邪悪な賊どもに天誅をくらわせただけだ」

 

「「「「「「⁉」」」」」」

 

当然何者かの声が聞こえ、愛紗達は身を寄せ合い、周囲を見渡す。

 

「華琳様!あそこに!」

 

春蘭に言われ、一同が目を向けると、近くの木の枝に何者かが立っていた。

 

「キサマ、何者だ⁉」

 

「ある時は酒とメンマを愛する美人武芸者…またある時は男どもの心に癒しを与える謎の美女…。

しかしてその実態は、乱世に舞い降りた一匹の蝶、美と正義の使者―――」

 

「変態仮面なのだ!」

 

「華蝶仮面だーーーっ!」

 

「…ねえ関羽、アレって…」

 

「言わないでください」

 

「…さっさと合流すればいいものを…何故わざわざ…」

 

「言わないでください!」

 

「…何がしたいのよアイツ…?」

 

「だから言わないでください!」

 

「華琳様…?秋蘭に桂花も…アイツを知っているのか?」

 

「…………」

 

「春蘭…」

 

「姉者…」

 

「…ま、アンタの筋肉しかない脳みそじゃ、わかるワケないわよね…」

 

「何だとォ⁉」

 

「コホン!…それで華蝶仮面とやら、この賊の成敗に手を貸してくれたのはアナタなのね?」

 

気を取り直してせ…ではなく華蝶仮面と会話を始める華琳。

 

「そういうことになるな」

 

「そう。結果として我が軍に助太刀してくれたのだから、お礼は言わせてもらうわ。ありがとう」

 

「構わん。正義の使者として当然のことをしたまでだ」

 

「もしよろしければ、我が軍に帰順しない?」

 

「華琳様!あんな悪趣味な仮面をつけるような輩など、召し抱えてはなりません!

華琳様の評判に傷が付きます!」

 

「何を言う桂花。強いならば仮面がヘンテコリンだろうと関係ないだろう?」

 

「姉者の言う通りだ。変な仮面であろうと、才があるものならば迎え入れるべきだ」

 

「ええ。多少の悪趣味さは妥協しましょう」

 

「…………」

 

(ああ…また機嫌が悪くなっているな…)

 

「諸君…さらばだ!」

 

せ…華蝶仮面は去って行った。

 

「行ってしまいましたな…」

 

「まァいいわ。それより急いで引き返すわよ!」

 

「はっ!しかし華琳様、何故そこまで急ぐのですか?」

 

「私の予想が正しければ…ルフィ達の身に危険が迫っているわ!」

 

「「「「「⁉」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~栄華side~

 

(くっ…なんてこと…!)

 

栄華は敵軍に包囲されていた。

栄華もそれなりの人数を連れていたが…

 

「はっはっは!どうだ我が軍の新兵器“連弩(れんど)”の威力は!」

 

「一度に十の矢を放つ(いしゆみ)が五台!五十の矢を一度に放たれては、ひとたまりもあるまい!」

 

「もう一度、撃てーっ!」

 

ザーッ!

 

「「「「「「「「「「ぐあァっ!」」」」」」」」」」

 

強力な敵の兵器の前に、部隊はほぼ全滅。

それに対し、敵の部隊はほぼ無傷だった。

 

「ううっ…!」

 

「これだけやれば充分だろ!曹洪を生け捕りにしろ!」

 

「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」

 

四方から一斉に押し寄せる敵軍。

 

「曹洪様!お逃げ下さい!…ぐあっ!」

 

「お早く…がっ!」

 

残った者達は必死に抵抗するが、多勢に無勢で次々と討たれてしまい、とうとう栄華以外全滅してしまった。

 

「捕えろォーーー!」

 

「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」

 

(ここまでですのっ…⁉)

 

そう思い目を閉じる栄華。

 

その時…

 

「“ゴムゴムの”ォ…」

 

「⁉」

 

何者かの声が聞こえ目を開けると…

 

「“銃乱打(ガトリング)”~‼」

 

「「「「「「「「「「ギャアアア~~~!」」」」」」」」」」

 

一人の男が敵を蹴散らすのが目に入った。

 

「あなた!」

 

「おい!お前!大丈夫か⁉」

 

「何だあの男⁉」

 

「この大群の中、どうやって⁉」

 

「そんな話は後だ!さっさとアイツを仕留めろ!連弩だ!」

 

「はっ!撃てーっ!」

 

ザーッ!

 

「危ねェ!」

 

「キャッ⁉」

 

とっさに栄華を抱えて飛び退くルフィ。

 

「何だあれ⁉」

 

「わかりませんけど、アレを何とかしないと退くことも、簡単には…」

 

「そうか。よし!捕まってろ!」

 

「へっ⁉」

 

そう言うとルフィは栄華を背負い、連弩を構える敵部隊に突っ込んでいく。

 

「ええっ⁉ちょっとあなた⁉何を…⁉」

 

「心配すんな!お前にケガはさせねェから!」

 

「何だアイツ⁉真っ直ぐこっちに突っ込んで来るぞ⁉」

 

「馬鹿め!格好の的だ!撃てーっ!」

 

ザーッ!

 

目の前に迫る矢の雨に対し、ルフィは臆することなく突っ込み…

 

「よっ!」

 

飛び上がって矢を避ける。

 

ルフィの背後にいる栄華に矢が当たることはなかったが、ルフィは避けきることができず、足や腰に数本突き刺さる。

 

「“ゴムゴムの”~…」

 

しかしルフィはひるむことなく…

 

「“スタンプ銃乱打(ガトリング)”~‼」

 

ドガガガガガァン!

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

連弩を5台全て破壊する!

 

「よし!これで大丈夫か⁉」

 

「え、ええ…まァ、少しは…」

 

「よし!じゃあ逃げるぞ!」

 

栄華を背負ったまま、走り出すルフィ。

 

「逃がすなァ!連弩を失ったとはいえ、我々の有利に変わりはない!」

 

「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」

 

「どけェーーーっ!」

 

ドガァン!

 

「「「「「「「「「「ギャーーーッ!」」」」」」」」」」

 

襲い掛かる敵兵を足だけでブッ飛ばしながら、突き進むルフィ!

 

「ちょ、ちょっとあなた怪我は…⁉」

 

「ん⁉どっかやられたのかお前⁉」

 

「いえ、私ではなくてあなたの…!」

 

「おれは大丈夫だ!お前が無事ならとりあえずいいから、早く逃げるぞ!」

 

「…っ!…わかりましたわ…。で、でも逃げるって言ったって…」

 

「栄華ちゃーん!ルフィさーん!」

 

「あーっ!無事だったすねー!」

 

「!華侖さん⁉柳琳⁉」

 

前方から華侖と柳琳が部隊を引き連れ、敵の包囲を破って現れた。

 

「栄華ちゃん、良かった…!」

 

「どうしてお二人がここに⁉」

 

「栄華ちゃんが敵に包囲されたって情報が入ったから、まず急いで西門を守っていたルフィさんを呼び戻したの。

それから、ルフィさんには単独で敵の包囲の中に入って、栄華ちゃんを保護するようにお願いして、私と姉さんは虎豹騎を引き連れて、二人の逃げ道を確保していたの」

 

「ところで…助かったのって、栄華だけっすか?」

 

「ええ…恥ずかしながら、私の隊は全滅してしまいましたわ…」

 

「そうっすか…悲しいっす…」

 

「でも、栄華ちゃんだけでも無事でよかったわ。早く引き上げましょう!皆さん!お願いします!」

 

「「「「「「「「「「お任せ下さい!曹純様!」」」」」」」」」」

 

「よーし!もうひと頑張り行くっすよー!」

 

そう言って華侖と柳琳もそれぞれ“青釭剣(せいこうけん)”、“倚天剣(いてんけん)”を構える。

 

「よし!行くぞォ!」

 

その後、ルフィ達は敵の包囲網を抜け、なんとか城まで戻った。

戻った後は、あらかじめ柳琳が東門に待機させておいた香風や兵士達と協力し、守備に入った。

 

徐栄軍はしばらく攻め続けたが、やがて引き揚げて行った。

 

 




オマケ

その他の魏・呉ルートのキャラを作者のイメージで、華蝶仮面の正体に気付きそうな人と、気付かなそうな人に分けてみました。

気付く人

季衣、流琉、凪、真桜、香風、炎蓮、雪蓮、小蓮、粋怜、祭、明命、梨妟、傾、霞、七乃、地和(どっちかというと頭がいい、少なくともバカではないと思うから)
華侖(カンが鋭そうだから)
栄華、風、稟、蓮華、冥琳、穏、亜莎、包、瑞姫、燈、喜雨、黄祖、人和(頭がいいから)
沙和(オシャレにうるさいので、身に着けているもので誰か分からなくなることは、ないと思うから)


気付かない人

柳琳、天和(どこか抜けてそうだから)
雷火、思春(頭が固くて、逆に気付かなそうだから)
華雄、美羽(バカだから)

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