ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
~華琳side~
(秋蘭の報告にあった敵の会話、どうも気になるわね…)
愛紗、春蘭らが黒山賊と交戦している間、華琳は軍の後方で考えごとをしていた。
「(我が軍の男…それも名の知れた男…今までの戦で目立った男といえば…?
私が張繍の罠から脱出した時に共闘したルフィぐらいだけど…それを知っているのは張繍だけ…。
張繍…?黒山賊…?…まさか⁉)誰か!」
「は!いかがなさいました曹操様⁉」
「前方に伝令を!今日中に砦を攻め落とすわよ!」
「は、はいっ!」
▽
~華侖、柳琳、栄華side~
「これで兵の配置は完了ね」
「あたし達も西門に急ぐっす!」
「まだ門が破られたという報告はないけど、気がかりですわね…」
そして華侖達3人も武装を済ませ、西門へ向かう。
▽
~西門、城壁~
「皆さん!」
「曹純様!曹洪様に曹仁様も!」
「戦況はどうなっていますか⁉」
「あ…それがその…」
「「「?」」」
答えに困っている様子の兵士。
不利か有利かの2択で答えるだけなのだが、どうも様子がおかしい。
状況的に有利ではないだろうが、追い詰められているという様子でもない。
よく見ると周りの兵士達も、そこまで切羽詰まっている様子ではなく、城壁の下を見て驚愕しているようだ。
「はわわ~…」
「手が…」
朱里と香風も下を見て呆気に取られている。
「「「?」」」
気になって華侖達3人も下を覗いてみる。
すると…
「“
「「「「「「「「「「ぎやあああああァァァァァ‼」」」」」」」」」」
1人の男が無双していた。
城壁に近づく敵兵を次々と吹き飛ばし、時には一度に百人近い人数が吹っ飛ぶ。
「な、何なんだアイツは⁉」
「知るか!あんなのに構ってないで、さっさと門を開けろ!」
そう言って何人かは、かろうじて城壁にたどり着き登りだすが…
「逃がすかァ!“ゴムゴムの”…“花火”‼」
「「「「「「「「「「ぎやあああああァァァァァ‼」」」」」」」」」」
下からの攻撃をくらい、次々と落ちていく。
くらわずに残った者は十人足らずであり、それらも城壁にいる兵士達によって仕留められてしまう。
「え…えええっ⁉」
「な、なんか手が伸びてるように見えるっすよ⁉」
「な、何なんですのアレは?」
「いやァ…ずっと一人で戦い続けていまして、もう一人で千人以上討ちとっていますよ…」
「あの…曹洪さん、曹純さん、曹仁さんも」
「!孔明さん」
驚愕している3人に、いち早く我に返った朱里が声をかけてきた。
「この様子なら、ここの守備はひとまずは大丈夫かと思います。
他の場所の守備か、別の策を考えませんか?」
「そ、そうですわね。
華侖さん、柳琳、あなた達は部隊を連れて、城内に待機していて下さい。
私は手勢を連れて、東門から打って出て、敵の背後をつきますわ」
「わかったっす!」
「気を付けてね、栄華ちゃん」
「はい!」
そして3人は部隊の準備のため、再び城壁を下りて行った。
▽
~華琳side~
「ひるむなー!突撃だー!」
その頃、華琳の率いる遠征部隊は、黒山賊の砦に総攻撃を仕掛けていた。
華琳自身も最前線に出ている。
山中に築かれていた砦は未完成ではあるものの、城壁は十分な強固さを持っており、山道の進みにくさもあって、簡単には落とせなかった。
「華琳様、やはりこの攻撃は無謀かと思います」
攻撃命令を出した華琳を咎める秋蘭。
「ええ、わかっているわ。でも万が一、私の考えが正しければ、急がないと最悪の展開になってしまうわ!」
「最悪の展開?」
「頑張るのだー!降ってくる矢や岩は、気合でなんとかして突き進むのだー!」
「うむ!その通りだ張飛よ!気合でなんとかして突き進めー!」
「…こういう時はあの脳筋さが頼もしいわね…」
「…その通りですな…」
愛紗と桂花がそう呟いた、その時…
「ぎゃー!」
「ぐあっ!」
「な、何だァ⁉」
「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」
急に賊軍の動きが乱れ始めた。
「おいどうした⁉」
「突然後方から、何者かが斬りこんできたようです!」
「何⁉新手の敵か⁉裏切りか⁉」
「よ、よく解りませんが…」
突然の事態に賊は混乱し、裏切りという声に惑わされ、一部では同士討ちが始まる。
当然、曹操軍を防いでいた防衛戦も乱れ…
「よくわからないが、好機だ!」
「この機を逃すな!全軍突撃―!」
「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」
▽
~栄華side~
「皆さん!行きますわよ!」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
その頃、栄華は部隊を整え、東門から出撃したところだった。
「このままの行軍速度で一気に敵の背後をつきますわ!遅れないように!」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
そのまま疾風のごとく突き進む部隊!
しかし…
ドスッ!
「ぐあっ⁉」
「…え?」
突如、矢が刺さる音と兵士の悲鳴が聞こえ、思わず周囲を見渡す。
すると…
「まさかここで曹の一門と出くわすとは思わなかったぞ。標的は変更だ!コイツらを叩け!」
「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」
「なっ⁉」
5千人近い敵兵が突っ込んできた。
▽
「曹仁様!曹純様!一大事です!」
「「⁉」」
部隊を整え、待機していた華侖と柳琳のもとへ、兵士が1人走ってきた。
「何があったの⁉」
「先ほど曹洪様が部隊を連れて、東門から出撃したのですが、突如現れた敵の別動隊に包囲されてしまいました!
その数はおよそ五千!」
「ええっ⁉どういう事っすか⁉何で東に敵がいるんすか⁉」
「もしかして、敵は初めから東門を破るつもりだった⁉
東門が修理中だったのを知っていたから⁉
だから西門に守備を集中させて、東門を手薄にしようとしていた!
そして東門を攻めようとしていた敵部隊と、栄華ちゃんが鉢合わせしてしまったんだわ!」
「ええっ⁉どうするっすか柳琳⁉」
「そうね……」
▽
~華琳side~
「…ようやく片付いたわね」
焼け崩れていく賊軍の砦と、累々たる屍を見て華琳は呟いた。
あの後、乱れた黒山賊は曹操軍の猛攻を受け、壊滅したのだった。
「それにしても、敵が突然あそこまで乱れるとは…」
「敵の様子から察するに、後方から何者かが斬りかかったようですが…」
「うむ…同士討ちをしている死体や、我が軍の方を向いているにもかかわらず、背後から斬られている者がいる点から見ても、間違いないだろうな…」
「我が軍の者ではないことだけは確かだな…」
「誰が鈴々達の味方をしてくれたのだ?」
「別にお前達の味方をしたわけではない、ただ邪悪な賊どもに天誅をくらわせただけだ」
「「「「「「⁉」」」」」」
当然何者かの声が聞こえ、愛紗達は身を寄せ合い、周囲を見渡す。
「華琳様!あそこに!」
春蘭に言われ、一同が目を向けると、近くの木の枝に何者かが立っていた。
「キサマ、何者だ⁉」
「ある時は酒とメンマを愛する美人武芸者…またある時は男どもの心に癒しを与える謎の美女…。
しかしてその実態は、乱世に舞い降りた一匹の蝶、美と正義の使者―――」
「変態仮面なのだ!」
「華蝶仮面だーーーっ!」
「…ねえ関羽、アレって…」
「言わないでください」
「…さっさと合流すればいいものを…何故わざわざ…」
「言わないでください!」
「…何がしたいのよアイツ…?」
「だから言わないでください!」
「華琳様…?秋蘭に桂花も…アイツを知っているのか?」
「…………」
「春蘭…」
「姉者…」
「…ま、アンタの筋肉しかない脳みそじゃ、わかるワケないわよね…」
「何だとォ⁉」
「コホン!…それで華蝶仮面とやら、この賊の成敗に手を貸してくれたのはアナタなのね?」
気を取り直してせ…ではなく華蝶仮面と会話を始める華琳。
「そういうことになるな」
「そう。結果として我が軍に助太刀してくれたのだから、お礼は言わせてもらうわ。ありがとう」
「構わん。正義の使者として当然のことをしたまでだ」
「もしよろしければ、我が軍に帰順しない?」
「華琳様!あんな悪趣味な仮面をつけるような輩など、召し抱えてはなりません!
華琳様の評判に傷が付きます!」
「何を言う桂花。強いならば仮面がヘンテコリンだろうと関係ないだろう?」
「姉者の言う通りだ。変な仮面であろうと、才があるものならば迎え入れるべきだ」
「ええ。多少の悪趣味さは妥協しましょう」
「…………」
(ああ…また機嫌が悪くなっているな…)
「諸君…さらばだ!」
せ…華蝶仮面は去って行った。
「行ってしまいましたな…」
「まァいいわ。それより急いで引き返すわよ!」
「はっ!しかし華琳様、何故そこまで急ぐのですか?」
「私の予想が正しければ…ルフィ達の身に危険が迫っているわ!」
「「「「「⁉」」」」」
▽
~栄華side~
(くっ…なんてこと…!)
栄華は敵軍に包囲されていた。
栄華もそれなりの人数を連れていたが…
「はっはっは!どうだ我が軍の新兵器“
「一度に十の矢を放つ
「もう一度、撃てーっ!」
ザーッ!
「「「「「「「「「「ぐあァっ!」」」」」」」」」」
強力な敵の兵器の前に、部隊はほぼ全滅。
それに対し、敵の部隊はほぼ無傷だった。
「ううっ…!」
「これだけやれば充分だろ!曹洪を生け捕りにしろ!」
「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」
四方から一斉に押し寄せる敵軍。
「曹洪様!お逃げ下さい!…ぐあっ!」
「お早く…がっ!」
残った者達は必死に抵抗するが、多勢に無勢で次々と討たれてしまい、とうとう栄華以外全滅してしまった。
「捕えろォーーー!」
「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」
(ここまでですのっ…⁉)
そう思い目を閉じる栄華。
その時…
「“ゴムゴムの”ォ…」
「⁉」
何者かの声が聞こえ目を開けると…
「“
「「「「「「「「「「ギャアアア~~~!」」」」」」」」」」
一人の男が敵を蹴散らすのが目に入った。
「あなた!」
「おい!お前!大丈夫か⁉」
「何だあの男⁉」
「この大群の中、どうやって⁉」
「そんな話は後だ!さっさとアイツを仕留めろ!連弩だ!」
「はっ!撃てーっ!」
ザーッ!
「危ねェ!」
「キャッ⁉」
とっさに栄華を抱えて飛び退くルフィ。
「何だあれ⁉」
「わかりませんけど、アレを何とかしないと退くことも、簡単には…」
「そうか。よし!捕まってろ!」
「へっ⁉」
そう言うとルフィは栄華を背負い、連弩を構える敵部隊に突っ込んでいく。
「ええっ⁉ちょっとあなた⁉何を…⁉」
「心配すんな!お前にケガはさせねェから!」
「何だアイツ⁉真っ直ぐこっちに突っ込んで来るぞ⁉」
「馬鹿め!格好の的だ!撃てーっ!」
ザーッ!
目の前に迫る矢の雨に対し、ルフィは臆することなく突っ込み…
「よっ!」
飛び上がって矢を避ける。
ルフィの背後にいる栄華に矢が当たることはなかったが、ルフィは避けきることができず、足や腰に数本突き刺さる。
「“ゴムゴムの”~…」
しかしルフィはひるむことなく…
「“スタンプ
ドガガガガガァン!
「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」
連弩を5台全て破壊する!
「よし!これで大丈夫か⁉」
「え、ええ…まァ、少しは…」
「よし!じゃあ逃げるぞ!」
栄華を背負ったまま、走り出すルフィ。
「逃がすなァ!連弩を失ったとはいえ、我々の有利に変わりはない!」
「「「「「「「「「「おーーーっ!」」」」」」」」」」
「どけェーーーっ!」
ドガァン!
「「「「「「「「「「ギャーーーッ!」」」」」」」」」」
襲い掛かる敵兵を足だけでブッ飛ばしながら、突き進むルフィ!
「ちょ、ちょっとあなた怪我は…⁉」
「ん⁉どっかやられたのかお前⁉」
「いえ、私ではなくてあなたの…!」
「おれは大丈夫だ!お前が無事ならとりあえずいいから、早く逃げるぞ!」
「…っ!…わかりましたわ…。で、でも逃げるって言ったって…」
「栄華ちゃーん!ルフィさーん!」
「あーっ!無事だったすねー!」
「!華侖さん⁉柳琳⁉」
前方から華侖と柳琳が部隊を引き連れ、敵の包囲を破って現れた。
「栄華ちゃん、良かった…!」
「どうしてお二人がここに⁉」
「栄華ちゃんが敵に包囲されたって情報が入ったから、まず急いで西門を守っていたルフィさんを呼び戻したの。
それから、ルフィさんには単独で敵の包囲の中に入って、栄華ちゃんを保護するようにお願いして、私と姉さんは虎豹騎を引き連れて、二人の逃げ道を確保していたの」
「ところで…助かったのって、栄華だけっすか?」
「ええ…恥ずかしながら、私の隊は全滅してしまいましたわ…」
「そうっすか…悲しいっす…」
「でも、栄華ちゃんだけでも無事でよかったわ。早く引き上げましょう!皆さん!お願いします!」
「「「「「「「「「「お任せ下さい!曹純様!」」」」」」」」」」
「よーし!もうひと頑張り行くっすよー!」
そう言って華侖と柳琳もそれぞれ“
「よし!行くぞォ!」
その後、ルフィ達は敵の包囲網を抜け、なんとか城まで戻った。
戻った後は、あらかじめ柳琳が東門に待機させておいた香風や兵士達と協力し、守備に入った。
徐栄軍はしばらく攻め続けたが、やがて引き揚げて行った。
オマケ
その他の魏・呉ルートのキャラを作者のイメージで、華蝶仮面の正体に気付きそうな人と、気付かなそうな人に分けてみました。
気付く人
季衣、流琉、凪、真桜、香風、炎蓮、雪蓮、小蓮、粋怜、祭、明命、梨妟、傾、霞、七乃、地和(どっちかというと頭がいい、少なくともバカではないと思うから)
華侖(カンが鋭そうだから)
栄華、風、稟、蓮華、冥琳、穏、亜莎、包、瑞姫、燈、喜雨、黄祖、人和(頭がいいから)
沙和(オシャレにうるさいので、身に着けているもので誰か分からなくなることは、ないと思うから)
気付かない人
柳琳、天和(どこか抜けてそうだから)
雷火、思春(頭が固くて、逆に気付かなそうだから)
華雄、美羽(バカだから)