ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
もし何かアドバイスがあれば、感想等に書いていただけると、ありがたいです。
「ホントに知らねェのか?“
「ああ、初めて聞いた。何なのだソレは?」
「ふーん、そんな所もあんのか…。
“
すごく危険な海で、そのどこかに『
それを見つけた奴が海賊王になれるんだ。
“悪魔の実”ってのは食うと一生泳げなくなる代わりに、すげェ
「必ず身体が伸びるようになる訳ではないのか?」
「うん。身体がバラバラになったり、動物に変身したり、煙になったり、色々あるんだ」
「何とも不思議な…」
「―――で、これからどうすんだ?」
「そ、そうだな。とりあえずこの子の親を探さねば」
関羽は先程まで人質にされていた女の子を見てそう言った。
▽
幸いにも、近くに村の住民が避難している場所があり、そこに行くとすぐに女の子の両親は見つかった。
「本当にありがとうございます」
「なんとお礼を言っていいか…」
「いえ、礼には及びません」
「そーそー、ついでに助かっただけだって」
「…………(この者、本当に賊なのか?)」
ルフィの横顔を見て関羽は考える。
「放せよ!」
「駄目だ!落ち着け!」
「「?」」
騒ぎ声が聞こえ、2人が振り向くと…
「あ!あいつ…」
「知っているのか?」
「ああ」
先程ルフィが助けた男の子が泣き叫び、大人に羽交い絞めにされていた。
「一体どうしたのだ?」
関羽が周りにいた大人に尋ねた。
「あの子のお姉ちゃんが賊に攫われちまったんだよ」
「「!」」
「可哀想だけどなァ…」
「…ちくしょう……!」
「「?」」
見ると、他の村人も悔しそうに歯を食いしばり、涙を流している。
「一体、どうなさったのですか?」
「おれ達は…役人に売られたんだよ……」
「え?」
「この村は、行商人や旅人が訪れることが多くてね、村人のほとんどが商人同士の仲介や、旅人の宿屋なんかで生計を立てていたのさ…」
「けどある日…この村に目を付けた山賊が、村の役人を買収したんだ…」
「「!」」
「ある程度村に金品が貯まると襲ってきて、何もかも奪っちまう。そして役人に賄賂を渡しているのさ…」
「村から逃げたくても…この村から出るには、必ずあいつらが根城にしている、古城の前を通らなくちゃいけねェんだ…」
「だからみんな…今日は襲われねェか、次は殺されるんじゃねェかって、ビクビクしながら暮らしてるのさ」
「そんな…」
「うわあああああん!」
「……なァ」
「?」
今度はルフィが村人に訊ねた。
「その古城ってどこにあるんだ?」
「…?そこの道を歩いていけば、その内見えてくるけど…」
「そうか、わかった」
ルフィは村人が指し示した道を歩き出した。
「お、おい!何する気だアンタ⁉」
「馬鹿な事考えんじゃねェ!相手は何十人もいるんだぞ!?」
▽
「おい!待て!」
「ん?ああ、お前か」
山道に入ってからしばらくして、ルフィは追いかけてきた関羽に呼び止められた。
「貴様何をする気だ?」
「あいつらをぶっ飛ばす」
「⁉なぜだ?貴様も賊なのだろう⁉︎(コイツ、何を企んでいる?盗品を横取りする気か?山賊団を乗っ取る気か?)」
「ああ、そうだ」
「…………」
「おれは海賊だからな」
「………?」
「だから…誰と戦ったっていいんだ」
「⁉」
「おれは…あいつらが嫌いだ!
(コイツ…あの子供の為に…?)
「だから…あいつらをブッ飛ばす!」
「……なァ」
「?」
「私も一緒に行って良いか?」
「!」
「私も…奴らは嫌いだ!奴らを倒したい!」
「………よし!じゃあ行くか!2人で!」
「ああ!」
▽
しばらくして、山賊が根城にしている古城が見えてきた。
「アレかな?」
「ああ。見張りもいるし、間違いないだろう。しかし、どうしたものか?あの城門は簡単には開きそうにないし、やはり見つからないように城壁を登るしか…」
「なァ」
「?」
「アレって、屋根の上に登れば中に入れんのか?」
「あ、ああ。そうだが…」
「そうか、よし!」
「へ?キャッ⁉」
何かを思いついたのか、ルフィは関羽を背負って腕を伸ばし、近くの木のてっぺんを摑む。
「しっかり掴まってろ!」
「あ、あの…何を…?」
「“ゴムゴムの” ……“ロケット”ォッ!」
そして腕が元に戻るその勢いで飛ぶ!
「なあああああァッ⁉」
▽
「ん?」
古城の城壁で見張りをしていた賊の一人が、何かに気づいた。
「おい、どうした?」
「ほら、あそこ…何か飛んでくるぞ?」
「鳥じゃねェか?」
「いや…人みたいなんだが…?」
「…は?…人⁉」
「―――――オォォォォォッ!」
「―――――アァァァァァッ⁉」
「「何だァ!?」」
ドッゴオオオォォォォォン!
「「ギャーーーーーッ⁉」」
「ついたーーーーー!」
「ふざけるなァ!死ぬかと思ったぞ!」
「な、何だコイツら!?どうやって!?」
「と、とにかくみんなに知らせろ!侵入者だ!」
「何者だお前ら!?」
「おれはルフィ!海賊王になる男だ!」
「我が名は関羽!乱世に乗じて弱き者を苦しめる悪党ども!貴様らの地獄への旅立ち、手伝ってやろう!」
「生意気な…やっちまえ!」
「「「「「「「「「「オオオオオッ!」」」」」」」」」」
そして乱闘が始まった。
▽
やがてルフィと関羽は、城壁にいた見張りの兵を全て倒し、城内へと侵入した。
「このォッ!」
賊の一人がルフィに斧を振り下ろすが―――
「フンッ!」
「がッ⁉」
ルフィはそれよりも早く相手を殴り飛ばす!
「隙あり!」
次は背後から1人が槍で突き刺すが―――
「んっ!」
「ハァッ!」
「ぐあっ⁉」
ルフィはしゃがんで槍を躱し、隣にいた関羽が敵を薙ぎ払う!
「もらったァ!」
今度は関羽を狙った敵が、剣を手に跳びかかる!
「っ!」
すると関羽は頭を下げる。
次の瞬間―――
「ガハッ⁉」
関羽の背後からルフィの腕が飛び出し、敵を吹き飛ばす!
「やるじゃねェか!」
「お主もな!(不思議だ…コイツに背中を預けていると―――負ける気がしない!)」
「おいテメェら‼」
「「⁉」」
「お、お頭!」
「随分と暴れてくれたようだな!」
「頭領か…ルフィ殿!コイツは私がやる!お主は他の奴らを頼む!」
「わかった!」
そう言うと関羽は、山賊の頭領と一対一で向き合う。
「ほう、姉ちゃん一人で俺を倒すだと?しかも、残りの連中をあいつ一人で相手にするのか?」
「その通りだ」
「舐めたこと言うじゃねェか!いくぜ!」
そう言うと山賊の頭領は鉄の大槌を関羽に向かって振り下ろす!
が…
「何⁉」
「…中々の力だな」
関羽は青龍偃月刀で軽々とその一撃を受け止める!
「な、舐めるなァァァァァ!」
逆上した頭領は大槌を滅茶苦茶に振り回し、関羽に襲い掛かる!
「…しかし技量はこの程度か…ハァッ!」
―――が、関羽は全ての攻撃を受け切り、そして―――
「“
ドシュッ!
「がっ…!」
必殺技を決め、頭領を倒した。
「倒したのか」
「ああ」
背後からルフィに声を掛けられ、振り返るとルフィの後ろには、気絶した山賊が大量に倒れていた。
「お主も終わったようだな」
「ああ」
▽
数分後、先程の村―――
「…あの二人、どうなったのかな?」
「…さァな」
「……⁉……おい、あれ……!」
「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」
山道の方を見ていた村人が上げた声に反応して、他の村人達も山道の方を見る。
すると攫われたはずの娘たちが走ってくるのが見えた。
たちまち村は歓喜に包まれた。
村人達は皆、涙を流し抱き合って喜んだ。
「お姉ちゃん!」
「本当に…本当に良かった!」
「でも…どうして…?」
「それは…あっ!あの人達が助けてくれたの!」
そう言われて再び山道の方を見ると…
「お~い!盗られたのってどれだ~?わかんねェから全部持ってきた!」
山の様に金品、食料を積んだ荷車を引くルフィと関羽の姿が見えた。
村がさらなる歓喜に包まれようとした、その時だった。
「待ちたまえ!」
「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」
突如、声が響き振り向くと…
「役人!…様……」
いつの間にか30人程の役人が立っていた。
「あー、いいかね?これは山賊達の盗品なのだろ?ならばこれらは我々が押収するのが筋というものだ」
「何だと!」
「ぬけぬけと…!」
「ん?我々の処置に不満があるのかね?役人への反逆は村の治安を乱しかねない、よって重罪となるぞ」
「治安だと…?」
「どの口が…」
「反逆するのか?」
「ぐっ…」
「よろしい!では諸君、この金や食料を運……ぶへェ⁉」
「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」
次の瞬間、その役人はルフィによって殴り飛ばされた。
「き、貴様!これは反逆行為!重罪だぞ!犯罪者になるのだぞ!それで良いのか⁉」
「ああいいぞ。おれは海賊だからな」
▽
そして…
「いいか!アレは全部コイツらの金とメシだ!お前らのモンじゃねェ!」
「あ…あい(はい)…わはりまひた(わかりました)……」
役人達は1人残らずルフィにボコボコにされ、盗品に手を付けない事を約束させられたのだった。
さらに村人の1人が、事の一部始終をより偉い役人に訴えたため、山賊達は牢屋にぶち込まれ、数日後には役人達も処罰されたのであった。
▽
その後、村人達は取り返した盗品を分け合っていた。
「しかしすごい量だな…」
「今まで盗られた分が、全部まとめて帰ってきからね」
「あの二人にも少し、お礼として持って行って貰いたかったけどな…」
「『持ちきれない』だの『重い』だの言って、結局一つも受け取らなかったね…」
「それにしても、あの二人って一体誰だったんだ?」
「確かに…何十人もの賊を二人で退治するなんて、ただ者じゃないよな」
「もしかして、女の方は噂の“黒髪の山賊狩り”なんじゃないか?」
「そういえば綺麗な黒髪だったね」
「じゃあ男の方は?」
「わかんねェな…」
「そういえばあの人『自分も賊だ』みたいな事を言ってたけど…」
「ああいう賊だったら、むしろ大歓迎だけどね…」
「悪徳な役人より、よっぽどいて欲しいぜ…」
▽
その頃、村を後にしたルフィはというと…
「さ~て、とにかくあいつら探さねェと……」
「あの!」
「ん?ああ、お前か」
背後から声を掛けられ振り向くと、関羽がいた。
「その…先程は本当に済まなかった!」
「ん?」
「お主の事をよく知らず…賊というだけで悪党と決めつけ…殺そうとした…。心から詫びを申し上げる!」
そう言って深々と頭を下げる関羽。
「いいよ、死んでねェし。悪者扱いされるの慣れてるから」
「いや…今の世の中では、職や家を失いやむを得ず賊となった者や、先程の村のように賊と大差ない役人や官軍も多い。
頭ではわかっていた筈なのに私は…本当に申し訳なかった!」
「……そうか」
「ところで…少し訊きたい事があるのだが、良いか?」
「何だ?」
「お主の世界にある海は、青くて広いのか?」
「ああ、そうだぞ」
「陸地より海の方が広いのか?」
「ああ、たぶん海の方が何倍も大きいぞ」
「そうか…やはり、そういう事なのか?」
「どうした?」
「天の御遣いの話を覚えているか?」
「ああ」
「実は天の御遣いの伝説の中に『蒼天を下に敷く天の国』という一文があるのだが、もしその言葉が『空のように青い海が広がっている』という意味だとしたら、やはりお主がいた世界は“天の国”だと考えられる」
「ん?」
「えっと、つまりだな…ここはお主がいた世界とは違う世界“異世界”という訳で…」
「異世界⁉ここ異世界なのか⁉」
「は、はい、おそらくは…。その…こんな事を言われては困惑するでしょうが…」
「スゲーーーーーッ!」
「⁉」
「すげェ!異世界に来たのかおれ!“
「…………」
予想と違い、目を輝かせ大喜びするルフィに困惑する関羽だった。
「と、ところでお主はこれからどうするつもりだ?」
「とりあえず逸れた仲間を探す。たぶんみんな、こっちに来てる筈だ」
「あの…宜しければ、私も同行させて貰えないか?」
「え?一緒に来んのか?」
「ああ。私はやはりお主が天の御遣いだと思う。
もしそうならば、お主と共に行動する事で、この世界を変える為の何かが手に入るかもしれない。
それに…許して貰えたとはいえ、命を奪おうとした詫びもしたいからな…。良いだろうか?」
「おう、いいぞ!おれ1人だとダメな事多いから助かるよ!」
「では改めて自己紹介を…我が名は“関羽”字を“雲長”と申す。これからは“関羽”と呼んで下され」
「おれは“モンキー・D・ルフィ”!“ルフィ”って呼んでくれ!」
「では、よろしくお願いします。“ルフィ”殿」
「おう!よろしくな“関羽”!」
かくして、“後に海賊王となる男”と “後世で英雄と呼ばれる女”が ―――本来、出会う筈のない2人が出会い、新たな外史の物語が幕を開けたのだった。
次回から、アニメ恋姫無双 1話に入ります。