ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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今回、戦闘描写があるのですが、上手く書けているか不安です。
もし何かアドバイスがあれば、感想等に書いていただけると、ありがたいです。



第4話 “外史の世界への冒険の夜明け”

「ホントに知らねェのか?“偉大なる航路(グランドライン)”も“悪魔の実”も?」

 

「ああ、初めて聞いた。何なのだソレは?」

 

「ふーん、そんな所もあんのか…。

偉大なる航路(グランドライン)”ってのは海の名前だ。

すごく危険な海で、そのどこかに『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』っていう宝がある。

それを見つけた奴が海賊王になれるんだ。

“悪魔の実”ってのは食うと一生泳げなくなる代わりに、すげェ能力(チカラ)が手に入る果物だ」

 

「必ず身体が伸びるようになる訳ではないのか?」

 

「うん。身体がバラバラになったり、動物に変身したり、煙になったり、色々あるんだ」

 

「何とも不思議な…」

 

「―――で、これからどうすんだ?」

 

「そ、そうだな。とりあえずこの子の親を探さねば」

 

関羽は先程まで人質にされていた女の子を見てそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸いにも、近くに村の住民が避難している場所があり、そこに行くとすぐに女の子の両親は見つかった。

 

「本当にありがとうございます」

 

「なんとお礼を言っていいか…」

 

「いえ、礼には及びません」

 

「そーそー、ついでに助かっただけだって」

 

「…………(この者、本当に賊なのか?)」

 

ルフィの横顔を見て関羽は考える。

 

「放せよ!」

 

「駄目だ!落ち着け!」

 

「「?」」

 

騒ぎ声が聞こえ、2人が振り向くと…

 

「あ!あいつ…」

 

「知っているのか?」

 

「ああ」

 

先程ルフィが助けた男の子が泣き叫び、大人に羽交い絞めにされていた。

 

「一体どうしたのだ?」

 

関羽が周りにいた大人に尋ねた。

 

「あの子のお姉ちゃんが賊に攫われちまったんだよ」

 

「「!」」

 

「可哀想だけどなァ…」

 

「…ちくしょう……!」

 

「「?」」

 

見ると、他の村人も悔しそうに歯を食いしばり、涙を流している。

 

「一体、どうなさったのですか?」

 

「おれ達は…役人に売られたんだよ……」

 

「え?」

 

「この村は、行商人や旅人が訪れることが多くてね、村人のほとんどが商人同士の仲介や、旅人の宿屋なんかで生計を立てていたのさ…」

 

「けどある日…この村に目を付けた山賊が、村の役人を買収したんだ…」

 

「「!」」

 

「ある程度村に金品が貯まると襲ってきて、何もかも奪っちまう。そして役人に賄賂を渡しているのさ…」

 

「村から逃げたくても…この村から出るには、必ずあいつらが根城にしている、古城の前を通らなくちゃいけねェんだ…」

 

「だからみんな…今日は襲われねェか、次は殺されるんじゃねェかって、ビクビクしながら暮らしてるのさ」

 

「そんな…」

 

「うわあああああん!」

 

「……なァ」

 

「?」

 

今度はルフィが村人に訊ねた。

 

「その古城ってどこにあるんだ?」

 

「…?そこの道を歩いていけば、その内見えてくるけど…」

 

「そうか、わかった」

 

ルフィは村人が指し示した道を歩き出した。

 

「お、おい!何する気だアンタ⁉」

 

「馬鹿な事考えんじゃねェ!相手は何十人もいるんだぞ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!待て!」

 

「ん?ああ、お前か」

 

山道に入ってからしばらくして、ルフィは追いかけてきた関羽に呼び止められた。

 

「貴様何をする気だ?」

 

「あいつらをぶっ飛ばす」

 

「⁉なぜだ?貴様も賊なのだろう⁉︎(コイツ、何を企んでいる?盗品を横取りする気か?山賊団を乗っ取る気か?)」

 

「ああ、そうだ」

 

「…………」

 

「おれは海賊だからな」

 

「………?」

 

「だから…誰と戦ったっていいんだ」

 

「⁉」

 

「おれは…あいつらが嫌いだ!()()()()()()()()()()()()()()()な」

 

(コイツ…あの子供の為に…?)

 

「だから…あいつらをブッ飛ばす!」

 

「……なァ」

 

「?」

 

「私も一緒に行って良いか?」

 

「!」

 

「私も…奴らは嫌いだ!奴らを倒したい!」

 

「………よし!じゃあ行くか!2人で!」

 

「ああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、山賊が根城にしている古城が見えてきた。

 

「アレかな?」

 

「ああ。見張りもいるし、間違いないだろう。しかし、どうしたものか?あの城門は簡単には開きそうにないし、やはり見つからないように城壁を登るしか…」

 

「なァ」

 

「?」

 

「アレって、屋根の上に登れば中に入れんのか?」

 

「あ、ああ。そうだが…」

 

「そうか、よし!」

 

「へ?キャッ⁉」

 

何かを思いついたのか、ルフィは関羽を背負って腕を伸ばし、近くの木のてっぺんを摑む。

 

「しっかり掴まってろ!」

 

「あ、あの…何を…?」

 

「“ゴムゴムの” ……“ロケット”ォッ!」

 

そして腕が元に戻るその勢いで飛ぶ!

 

「なあああああァッ⁉」

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

古城の城壁で見張りをしていた賊の一人が、何かに気づいた。

 

「おい、どうした?」

 

「ほら、あそこ…何か飛んでくるぞ?」

 

「鳥じゃねェか?」

 

「いや…人みたいなんだが…?」

 

「…は?…人⁉」

 

「―――――オォォォォォッ!」

 

「―――――アァァァァァッ⁉」

 

「「何だァ!?」」

 

ドッゴオオオォォォォォン!

 

「「ギャーーーーーッ⁉」」

 

「ついたーーーーー!」

 

「ふざけるなァ!死ぬかと思ったぞ!」

 

「な、何だコイツら!?どうやって!?」

 

「と、とにかくみんなに知らせろ!侵入者だ!」

 

「何者だお前ら!?」

 

「おれはルフィ!海賊王になる男だ!」

 

「我が名は関羽!乱世に乗じて弱き者を苦しめる悪党ども!貴様らの地獄への旅立ち、手伝ってやろう!」

 

「生意気な…やっちまえ!」

 

「「「「「「「「「「オオオオオッ!」」」」」」」」」」

 

そして乱闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがてルフィと関羽は、城壁にいた見張りの兵を全て倒し、城内へと侵入した。

 

「このォッ!」

 

賊の一人がルフィに斧を振り下ろすが―――

 

「フンッ!」

 

「がッ⁉」

 

ルフィはそれよりも早く相手を殴り飛ばす!

 

「隙あり!」

 

次は背後から1人が槍で突き刺すが―――

 

「んっ!」

 

「ハァッ!」

 

「ぐあっ⁉」

 

ルフィはしゃがんで槍を躱し、隣にいた関羽が敵を薙ぎ払う!

 

「もらったァ!」

 

今度は関羽を狙った敵が、剣を手に跳びかかる!

 

「っ!」

 

すると関羽は頭を下げる。

次の瞬間―――

 

「ガハッ⁉」

 

関羽の背後からルフィの腕が飛び出し、敵を吹き飛ばす!

 

「やるじゃねェか!」

 

「お主もな!(不思議だ…コイツに背中を預けていると―――負ける気がしない!)」

 

「おいテメェら‼」

 

「「⁉」」

 

「お、お頭!」

 

「随分と暴れてくれたようだな!」

 

「頭領か…ルフィ殿!コイツは私がやる!お主は他の奴らを頼む!」

 

「わかった!」

 

そう言うと関羽は、山賊の頭領と一対一で向き合う。

 

「ほう、姉ちゃん一人で俺を倒すだと?しかも、残りの連中をあいつ一人で相手にするのか?」

 

「その通りだ」

 

「舐めたこと言うじゃねェか!いくぜ!」

 

そう言うと山賊の頭領は鉄の大槌を関羽に向かって振り下ろす!

 

が…

 

「何⁉」

 

「…中々の力だな」

 

関羽は青龍偃月刀で軽々とその一撃を受け止める!

 

「な、舐めるなァァァァァ!」

 

逆上した頭領は大槌を滅茶苦茶に振り回し、関羽に襲い掛かる!

 

「…しかし技量はこの程度か…ハァッ!」

 

―――が、関羽は全ての攻撃を受け切り、そして―――

 

「“青龍(せいりゅう)”……“逆鱗(げきりん)太刀(たち)”‼」

 

ドシュッ!

 

「がっ…!」

 

必殺技を決め、頭領を倒した。

 

「倒したのか」

 

「ああ」

 

背後からルフィに声を掛けられ、振り返るとルフィの後ろには、気絶した山賊が大量に倒れていた。

 

「お主も終わったようだな」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、先程の村―――

 

「…あの二人、どうなったのかな?」

 

「…さァな」

 

「……⁉……おい、あれ……!」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

山道の方を見ていた村人が上げた声に反応して、他の村人達も山道の方を見る。

 

すると攫われたはずの娘たちが走ってくるのが見えた。

 

たちまち村は歓喜に包まれた。

村人達は皆、涙を流し抱き合って喜んだ。

 

「お姉ちゃん!」

 

「本当に…本当に良かった!」

 

「でも…どうして…?」

 

「それは…あっ!あの人達が助けてくれたの!」

 

そう言われて再び山道の方を見ると…

 

「お~い!盗られたのってどれだ~?わかんねェから全部持ってきた!」

 

山の様に金品、食料を積んだ荷車を引くルフィと関羽の姿が見えた。

 

村がさらなる歓喜に包まれようとした、その時だった。

 

「待ちたまえ!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

突如、声が響き振り向くと…

 

「役人!…様……」

 

いつの間にか30人程の役人が立っていた。

 

「あー、いいかね?これは山賊達の盗品なのだろ?ならばこれらは我々が押収するのが筋というものだ」

 

「何だと!」

 

「ぬけぬけと…!」

 

「ん?我々の処置に不満があるのかね?役人への反逆は村の治安を乱しかねない、よって重罪となるぞ」

 

「治安だと…?」

 

「どの口が…」

 

「反逆するのか?」

 

「ぐっ…」

 

「よろしい!では諸君、この金や食料を運……ぶへェ⁉」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

次の瞬間、その役人はルフィによって殴り飛ばされた。

 

「き、貴様!これは反逆行為!重罪だぞ!犯罪者になるのだぞ!それで良いのか⁉」

 

「ああいいぞ。おれは海賊だからな」

 

 

 

 

 

 

そして…

 

「いいか!アレは全部コイツらの金とメシだ!お前らのモンじゃねェ!」

 

「あ…あい(はい)…わはりまひた(わかりました)……」

 

役人達は1人残らずルフィにボコボコにされ、盗品に手を付けない事を約束させられたのだった。

 

さらに村人の1人が、事の一部始終をより偉い役人に訴えたため、山賊達は牢屋にぶち込まれ、数日後には役人達も処罰されたのであった。

 

 

 

 

 

 

その後、村人達は取り返した盗品を分け合っていた。

 

「しかしすごい量だな…」

 

「今まで盗られた分が、全部まとめて帰ってきからね」

 

「あの二人にも少し、お礼として持って行って貰いたかったけどな…」

 

「『持ちきれない』だの『重い』だの言って、結局一つも受け取らなかったね…」

 

「それにしても、あの二人って一体誰だったんだ?」

 

「確かに…何十人もの賊を二人で退治するなんて、ただ者じゃないよな」

 

「もしかして、女の方は噂の“黒髪の山賊狩り”なんじゃないか?」

 

「そういえば綺麗な黒髪だったね」

 

「じゃあ男の方は?」

 

「わかんねェな…」

 

「そういえばあの人『自分も賊だ』みたいな事を言ってたけど…」

 

「ああいう賊だったら、むしろ大歓迎だけどね…」

 

「悪徳な役人より、よっぽどいて欲しいぜ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、村を後にしたルフィはというと…

 

「さ~て、とにかくあいつら探さねェと……」

 

「あの!」

 

「ん?ああ、お前か」

 

背後から声を掛けられ振り向くと、関羽がいた。

 

「その…先程は本当に済まなかった!」

 

「ん?」

 

「お主の事をよく知らず…賊というだけで悪党と決めつけ…殺そうとした…。心から詫びを申し上げる!」

 

そう言って深々と頭を下げる関羽。

 

「いいよ、死んでねェし。悪者扱いされるの慣れてるから」

 

「いや…今の世の中では、職や家を失いやむを得ず賊となった者や、先程の村のように賊と大差ない役人や官軍も多い。

頭ではわかっていた筈なのに私は…本当に申し訳なかった!」

 

「……そうか」

 

「ところで…少し訊きたい事があるのだが、良いか?」

 

「何だ?」

 

「お主の世界にある海は、青くて広いのか?」

 

「ああ、そうだぞ」

 

「陸地より海の方が広いのか?」

 

「ああ、たぶん海の方が何倍も大きいぞ」

 

「そうか…やはり、そういう事なのか?」

 

「どうした?」

 

「天の御遣いの話を覚えているか?」

 

「ああ」

 

「実は天の御遣いの伝説の中に『蒼天を下に敷く天の国』という一文があるのだが、もしその言葉が『空のように青い海が広がっている』という意味だとしたら、やはりお主がいた世界は“天の国”だと考えられる」

 

「ん?」

 

「えっと、つまりだな…ここはお主がいた世界とは違う世界“異世界”という訳で…」

 

「異世界⁉ここ異世界なのか⁉」

 

「は、はい、おそらくは…。その…こんな事を言われては困惑するでしょうが…」

 

「スゲーーーーーッ!」

 

「⁉」

 

「すげェ!異世界に来たのかおれ!“偉大なる航路(グランドライン)”よりすげェ冒険じゃねェか!」

 

「…………」

 

予想と違い、目を輝かせ大喜びするルフィに困惑する関羽だった。

 

「と、ところでお主はこれからどうするつもりだ?」

 

「とりあえず逸れた仲間を探す。たぶんみんな、こっちに来てる筈だ」

 

「あの…宜しければ、私も同行させて貰えないか?」

 

「え?一緒に来んのか?」

 

「ああ。私はやはりお主が天の御遣いだと思う。

もしそうならば、お主と共に行動する事で、この世界を変える為の何かが手に入るかもしれない。

それに…許して貰えたとはいえ、命を奪おうとした詫びもしたいからな…。良いだろうか?」

 

「おう、いいぞ!おれ1人だとダメな事多いから助かるよ!」

 

「では改めて自己紹介を…我が名は“関羽”字を“雲長”と申す。これからは“関羽”と呼んで下され」

 

「おれは“モンキー・D・ルフィ”!“ルフィ”って呼んでくれ!」

 

「では、よろしくお願いします。“ルフィ”殿」

 

「おう!よろしくな“関羽”!」

 

かくして、“後に海賊王となる男”と “後世で英雄と呼ばれる女”が ―――本来、出会う筈のない2人が出会い、新たな外史の物語が幕を開けたのだった。

 

 

 




次回から、アニメ恋姫無双 1話に入ります。

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