ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
~ある日の夜―――冀州渤海郡、袁紹の館~
「ん~っ…やっぱりお風呂は最高ですわ」
麗羽は風呂に入っていた。
「こうして一人、広い湯船にゆっくり浸かっていると、一日の疲れが癒えますわ」
一応、太守としての仕事はちゃんとやっているので、『この人、疲れるほど働いているの?』などと思ってはいけない。
バタン!
「麗羽様!大変です!」
「きゃああ⁉」
いきなり大声をあげ、浴室に入って来た猪々子に驚き、麗羽は湯船の中でひっくり返り、溺れそうになる。
「いきなりどうしたんですの猪々子⁉もしかして敵襲⁉」
「いえ、そうじゃなくて、見て欲しいものがあるんです!」
「?見て欲しいもの?」
「とにかく、早く来てください!」
「きゃあ⁉」
そう言って、麗羽を湯船の中から引っ張り出す猪々子。
「ちょっと、私裸のままなんですのよ⁉」
「良いじゃないですか!見られたって減るわけじゃないですし!」
「きゃあ⁉ちょっと!」
そして浴室、脱衣所から、生まれたままの姿の麗羽を引っ張って行く猪々子。
その結果…
「いいかげんにしなさい!」
ガン!
「あだっ⁉」
鉄拳制裁をくらうのだった。
▽
~麗羽の私室~
「…で、私の憩いの時間を邪魔してまで、見せたいものというのは何ですの?」
明らかに不機嫌そうな顔をした麗羽はイスに座り、斗詩、真直、そして頭に大きなこぶができた猪々子から、話を聞いていた。
「はい。昼間、蔵の片づけをしていた時に、これを見つけまして…」
そう言う斗詩の手には、一枚の古い地図が握られていた。
「何ですのその汚い地図は?色あせていますし、虫食いだらけじゃない」
「それはそうですけど、ココを見て下さい!」
そう言って真直は地図の隅っこを指さす。
そこには…
「『地図に記せし場所に我らの生涯をかけて貯えし宝有り』…ですって⁉それではこの地図は…!」
「はい!宝の地図です!」
「地図の場所を掘れば、きっと金銀財宝がザックザク!」
「これがあれば、麗羽様の無駄使いで火の車になっている、袁家の台所も…」
「誰の無駄遣いが原因ですって…?」
「あ、いえ…その…」
麗羽に睨まれ、縮こまる猪々子。
(麗羽様の無駄遣いで困っているのは、ホントだけどね…)
密かにため息をつく真直。
「まーまー、お金はあって困るものではないですし…」
「ま、確かに斗詩さんの言う通りですわね」
「それじゃあ…」
「ええ。明日の明朝、宝探しに出発しますわよ!」
「「「はい!」」」
▽
~翌日―――とある山中~
華琳、春蘭、桂花、華侖、柳琳、栄華、香風の7人が馬に乗って進んでいた。
「しかし、よろしいのでしょうか?こんな時に私達だけで、温泉に慰安旅行など…」
「栄華、仕事熱心なのはいいけど、たまには息抜きが必要よ。もし誰かが過労で倒れでもしたら、それこそ大変だもの」
「華琳様の言う通りよ。しっかり働き、しっかり休む。何事も緩急をつけるのは大事だもの」
「そういうこと」
「シャン、温泉すごく楽しみ」
「ええ。
「ゆっくり浸かって、玉のお肌をスベスベに磨き上げて…その後は華琳様と…♡」
「ふふふ…」
「香風さん、私が身体を丁寧に、隅々まで洗って差し上げますわね♡」
「ひっ…!」
華琳、桂花、栄華、香風がそんな会話をする中…
「う~…」
「あの…姉さん?なんだか元気がないようだけど…具合でも悪いの?」
暗い表情をしている華侖に柳琳が話しかける。
「ねー柳琳、あたし達お風呂に行くんすよね?」
「ええ、そうだけど…」
「何で服を脱いで行っちゃダメなんすか?」
「姉さん…服は温泉に着いてから、脱衣所で脱ぐから…」
「脱いでから温泉に行っても、温泉に着いてから脱いでもいっしょじゃないっすか」
「いっしょじゃないから!」
「え~…?」
どうも華侖は早く服を脱ぎたくて仕方ないらしい。
「そういえば、春蘭様も元気ない?」
「いや、その…」
「ひょっとして、秋蘭さんのことを気にしているのですか?」
「ああ…一人だけ留守番だなんて、可哀想だと思って…」
「確かに悪いとは思うわよ。
でも、さすがに我が軍の首脳部が全員が、同時に休暇をとるワケにはいかないでしょ?
誰か一人くらいは残っていないと…」
「その通りですが…(秋蘭、拗ねたりしていないといいが…)」
▽
~その頃―――陳留~
「『あ~温泉は気持ちいな~』
『ええ、気持ちがゆったりするわね』
『本当に来てよかったですね』
『あったかくって気持ちいいっす~』
『日々の疲れがとれていきますわね』
『ぽかぽか~』
『心も体もサッパリしますね』
『ほら秋蘭、あなたもそんな所に一人でいないで、こっちにいらっしゃい』
『はい、直ちに』」
秋蘭?は元気よく返事をすると、華琳?の隣にいた桂花?を押し退け、華琳?に身体を密着させて温泉に浸かる。
邪魔された桂花?は、秋蘭?を嫉妬に満ちた目で見る。
「……ハァ」
…と、そこで秋蘭は華琳達の指人形を外し、机に向かう。
「……仕事するか…」
▽
さらにその頃―――
ナミとシャオの2人が、山道を歩いていた。
「ん?」
突如、ナミがくんくんと臭いを嗅ぎだす。
「どうしたのよナミ?」
「何か匂うわ…」
「えっ⁉しゃ、シャオじゃないわよ⁉」
「?」
顔を赤らめ、尻を抑えるシャオ。
「た、確かにさっき食べた焼き芋で、お腹が張っているような気はしていたけど…!ぜ、絶対違うからね!」
「ああ、違うわよシャオ。硫黄の匂いがするな~って話よ」
「“いおう”?」
「ええ。きっと近くに温泉があるんじゃないかしら?」
「温泉⁉シャオ行きたい!」
「そうね~私も久しぶりにお風呂に入りたいし…行きましょうか!」
「やった~!」
▽
しばらくして、温泉街に着いた2人は早速公用の浴場に向かった。
「おっ風呂~おっ風呂~♪」
「シャオ!お風呂場で走ると危ないわよ!」
「それ~っ!」
ナミの言葉に全く耳を貸さず、浴槽に飛び込むシャオ。
次の瞬間…
ドッス~ン!
「いった~!」
「シャオ⁉」
浴槽に飛び込んだ音とは思えない音が響き、ナミが急いで中を覗いてみると…
「何これ⁉お湯がないじゃない⁉」
「どうなってんのよも~!」
浴槽の中は空っぽだった。
「お風呂っす~♪」
「お風呂~♪」
…と、そこへさらに何者かが2人現れ、同じように浴槽に飛び込み…
ドスス~ン!
「「痛~っ!」」
尻もちをついた。
「姉さん!はしたないわよ!」
「香風さん!浴場で走ってはいけません!」
さらに5人の女性が入ってくる。
「華琳様~!たいへ~ん!」
「お湯がないっす~!」
「「「「「えェっ⁉」」」」」
▽
ナミ達2人と華琳達7人は、一緒に近くの休憩所でお茶を飲んでいた。
「どういう事よ!温泉にお湯がないって⁉」
「お尻に痣が出来ちゃったっす…」
「まだちょっと痛い…」
「香風さん、大丈夫ですの?」
「さっき地元の人に訊いてみたら、半月前の大きな地震の後、お湯が出なくなったらしいわ」
「せっかくの慰安旅行が台無しね…」
「そうだな~せっかく休みを取って遠出してきたのに…」
「ホント…残念だわ」
「あの~皆さん、でしたら新しい温泉を探してみませんか?」
「「「「「「「「え?」」」」」」」」
柳琳の提案に全員が目を丸くする。
「柳琳、それって温泉がありそうな場所を探して掘るってことっすか?」
「そうよ、確実に見つかるとは限らないけど、やってみる価値あると思うの」
「桂花はどう思う?」
「私も可能性はあると思います」
「確かに…地震で水路が塞がっただけなら、源泉は無事かもしれないし…」
桂花とナミもうなずく。
「よーし!じゃあ早速温泉探しに行くっす!」
…と、張り切って華侖が立ち上がるが…
「ちょォっと待ったァ!」
「「「「「「「?」」」」」」」
「どうしたのよシャオ?」
「せっかくだし、シャオ達とあんた達、どっちが先に温泉を見つけるか勝負しない?」
「勝負?」
「ちょっとシャオ、あんた何を企んでいるの?」
「面白そうね」
「お姉様⁉」
「言っとくけど、これは遊びじゃないわよ。シャオ達が勝ったら、あんた達はこの孫尚香様の家来になるの!」
「ええっ⁉」
「キサマァ!」
「ちょっとシャオ⁉」
「いいわよ」
「ええっ⁉」
「華琳様⁉」
「孫尚香とやら、あなた達が勝ったら私達はあなたの家来になる。
逆に私達が勝ったら、あなた達が私の家来になる。そういう事でいいのね?」
「ええそうよ」
「ちょっとシャオ!あんた勝手に…」
「そうと決まれば早速出陣よ!」
「は、はい…」
「華琳様…」
「またお姉様の悪い癖が…」
(どうしてこう、ルフィみたいに勝手な奴ばかりなのよ…)
そんなこんなで、温泉探し勝負が始まったのであった。
▽
~華琳チームside~
2本の直角に曲がった金属棒を手にした桂花を先頭に、華侖、柳琳、栄華、華琳、そして温泉街で購入したシャベルやツルハシを担いだ春蘭、香風の順で並び、一行は山道を進んでいた。
「ね~桂花、それ何すか?」
「これは疑似科学の粋を集めた秘密兵器よ」
桂花が行っているのは、いわゆる“ダウジング”というやつである。
「本当にそれで温泉が見つかるんですの?」
「もちろんよ。この方法なら温泉はもちろん、土中に埋まった土管だって見つけられるわ」
「それにしても華琳様、よろしいのですか?負けたらあんな素性の知れない輩の家臣になるなど…」
不満そうに訊ねる春蘭。
「私達が勝てば問題ないでしょう?」
「それはそうですが…」
「そんなに勝つ自信がないの?」
「そ、そんなことは…!」
「ひょっとして…ヤキモチ?」
「⁉」
「心配しなくてもいいわよ。あの二人が家来になっても、あなたのことはこれまでと同様に可愛がってあげるわ」
「か、華琳様…♡」
「でもお姉様…あの条件じゃあまりにも、私達に利がないんじゃ…」
「あら柳琳、私が何の益もない勝負を受けたと思っているの?」
「といいますと?」
華琳の言葉に思わず全員が足を止め、華琳の方を向く。
「孫尚香と一緒にいたあの女、どことなくルフィや、いつかの三刀流の剣士と似た感じがしなかった?」
「!そ、そう言えば…」
「それではあの人も…」
「ええ、天の御使いである可能性が高いわ」
「なるほど、もしそうなら虎穴に入る価値がありますな!」
「ええ。それにもし違っていたとしても、孫尚香さんが手に入るのならば…!
ああ…どんな服を着せて可愛がってあげましょうかしら?」
(シャン達…わざと負けた方がいいかな…?)
目を輝かせる栄華を見て、シャオの身を案じる香風だった。
▽
一方その頃―――
「⁉」
「どうしたのよシャオ?」
「な、何か分からないけど寒気がした…」
「?さっき裸でいたせいかしら?」
▽
さらにその頃―――
「…真直さん。さっきからずっと同じ所を歩いているような気がするんですけど…まさか道に迷ったりしていませんわよね?」
麗羽達はお宝探しに来ていた。
地図を持った真直が先頭を歩き、その後にツルハシとシャベルを持った、猪々子と斗詩、最後にすでにだいぶ疲弊し猫背になった麗羽が歩いている。
「迷ってはいない…ハズですけど…。この地図、虫に食われているところが多すぎて、道がよくわからないところがあって…」
「ちょっと真直ちゃん!それじゃあ宝の場所に行けないんじゃ⁉」
「でも、地形から考えて、この辺なのは間違いないはずだから…」
「あ!麗羽様アレ!」
「どうしました猪々子さん?」
一行が、猪々子が指した方を見ると…
「げっ⁉華琳さん⁉」
少し離れた崖沿いの道を、華琳達が歩いているのが見えた。
そう、麗羽達が宝探しに来た場所は、華琳達、ナミ達が来ていた温泉街の近くだったのだ。
「どうしてあの金髪クルクル小娘がここに⁉」
「あの~麗羽様…」
「何ですの猪々子さん?」
「麗羽様、曹操の悪口を言う時、よく“金髪クルクル”っていいますけど、それ麗羽様も同じなんじゃ…?」
「私と被っているから余計腹が立つのですわ!」
「そーゆーことですか…」
(確かに袁家も曹家も多いわね…金髪クルクル…)
前方にいる華琳とその親戚を見て、さらにこの場にいない袁家の親族を思い出し、そう考える真直だった。
「あ、麗羽様!後ろにいる夏侯惇達が持っている物を見て下さい!」
猪々子の言葉に、春蘭と香風の持ち物を見ると…
「!
「まさか、曹操さん達も宝を探しに⁉」
「あの金髪クルクル小娘ェ~っ!またしても私の邪魔を~っ!」
「麗羽様落ち着いて下さい!これは好機ですよ!」
真直は何か思いついたらしい。
「何が好機なのですか?」
「曹操さん達が宝を見つけたら、それを横取りするんです。
そうすれば宝が手に入りますし、ついでに曹操さんに一矢報いることができるじゃないですか!」
「成程!それはいい考えですわね!」
「すごいな真直!普段あんまり活躍してないけど、やっぱり軍師だな!」
「…普段活躍できないのは、アンタと麗羽様が私の話を全然聞かないからでしょうが…!」
「…ごめんね、真直ちゃん…」
「そうと決まれば、早速尾行を開始しましょう!」
「ええ!あの金髪クルクル小娘の泣き顔を拝むために、ついでに宝も手に入れてやりますわ!」
「…そっちがついでなんですか?」
思わず呆れる3人。
この人、そこまで華琳が気に食わないのか…?
ともかく、麗羽達は華琳達の尾行を開始するのだった。
アニメの内容に沿った話を投稿するの、久しぶりですね。