ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

40 / 179
アニメ第九席編、投稿します。




第40話 “温泉”

~ある日の夜―――冀州渤海郡、袁紹の館~

 

「ん~っ…やっぱりお風呂は最高ですわ」

 

麗羽は風呂に入っていた。

 

「こうして一人、広い湯船にゆっくり浸かっていると、一日の疲れが癒えますわ」

 

一応、太守としての仕事はちゃんとやっているので、『この人、疲れるほど働いているの?』などと思ってはいけない。

 

バタン!

 

「麗羽様!大変です!」

 

「きゃああ⁉」

 

いきなり大声をあげ、浴室に入って来た猪々子に驚き、麗羽は湯船の中でひっくり返り、溺れそうになる。

 

「いきなりどうしたんですの猪々子⁉もしかして敵襲⁉」

 

「いえ、そうじゃなくて、見て欲しいものがあるんです!」

 

「?見て欲しいもの?」

 

「とにかく、早く来てください!」

 

「きゃあ⁉」

 

そう言って、麗羽を湯船の中から引っ張り出す猪々子。

 

「ちょっと、私裸のままなんですのよ⁉」

 

「良いじゃないですか!見られたって減るわけじゃないですし!」

 

「きゃあ⁉ちょっと!」

 

そして浴室、脱衣所から、生まれたままの姿の麗羽を引っ張って行く猪々子。

 

その結果…

 

「いいかげんにしなさい!」

 

ガン!

 

「あだっ⁉」

 

鉄拳制裁をくらうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~麗羽の私室~

 

「…で、私の憩いの時間を邪魔してまで、見せたいものというのは何ですの?」

 

明らかに不機嫌そうな顔をした麗羽はイスに座り、斗詩、真直、そして頭に大きなこぶができた猪々子から、話を聞いていた。

 

「はい。昼間、蔵の片づけをしていた時に、これを見つけまして…」

 

そう言う斗詩の手には、一枚の古い地図が握られていた。

 

「何ですのその汚い地図は?色あせていますし、虫食いだらけじゃない」

 

「それはそうですけど、ココを見て下さい!」

 

そう言って真直は地図の隅っこを指さす。

そこには…

 

「『地図に記せし場所に我らの生涯をかけて貯えし宝有り』…ですって⁉それではこの地図は…!」

 

「はい!宝の地図です!」

 

「地図の場所を掘れば、きっと金銀財宝がザックザク!」

 

「これがあれば、麗羽様の無駄使いで火の車になっている、袁家の台所も…」

 

「誰の無駄遣いが原因ですって…?」

 

「あ、いえ…その…」

 

麗羽に睨まれ、縮こまる猪々子。

 

(麗羽様の無駄遣いで困っているのは、ホントだけどね…)

 

密かにため息をつく真直。

 

「まーまー、お金はあって困るものではないですし…」

 

「ま、確かに斗詩さんの言う通りですわね」

 

「それじゃあ…」

 

「ええ。明日の明朝、宝探しに出発しますわよ!」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日―――とある山中~

 

華琳、春蘭、桂花、華侖、柳琳、栄華、香風の7人が馬に乗って進んでいた。

 

「しかし、よろしいのでしょうか?こんな時に私達だけで、温泉に慰安旅行など…」

 

「栄華、仕事熱心なのはいいけど、たまには息抜きが必要よ。もし誰かが過労で倒れでもしたら、それこそ大変だもの」

 

「華琳様の言う通りよ。しっかり働き、しっかり休む。何事も緩急をつけるのは大事だもの」

 

「そういうこと」

 

「シャン、温泉すごく楽しみ」

 

「ええ。(つう)しか知らない本物の穴場で、お湯には美肌効果があるとか…」

 

「ゆっくり浸かって、玉のお肌をスベスベに磨き上げて…その後は華琳様と…♡」

 

「ふふふ…」

 

「香風さん、私が身体を丁寧に、隅々まで洗って差し上げますわね♡」

 

「ひっ…!」

 

華琳、桂花、栄華、香風がそんな会話をする中…

 

「う~…」

 

「あの…姉さん?なんだか元気がないようだけど…具合でも悪いの?」

 

暗い表情をしている華侖に柳琳が話しかける。

 

「ねー柳琳、あたし達お風呂に行くんすよね?」

 

「ええ、そうだけど…」

 

「何で服を脱いで行っちゃダメなんすか?」

 

「姉さん…服は温泉に着いてから、脱衣所で脱ぐから…」

 

「脱いでから温泉に行っても、温泉に着いてから脱いでもいっしょじゃないっすか」

 

「いっしょじゃないから!」

 

「え~…?」

 

どうも華侖は早く服を脱ぎたくて仕方ないらしい。

 

「そういえば、春蘭様も元気ない?」

 

「いや、その…」

 

「ひょっとして、秋蘭さんのことを気にしているのですか?」

 

「ああ…一人だけ留守番だなんて、可哀想だと思って…」

 

「確かに悪いとは思うわよ。

でも、さすがに我が軍の首脳部が全員が、同時に休暇をとるワケにはいかないでしょ?

誰か一人くらいは残っていないと…」

 

「その通りですが…(秋蘭、拗ねたりしていないといいが…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~その頃―――陳留~

 

「『あ~温泉は気持ちいな~』

 

『ええ、気持ちがゆったりするわね』

 

『本当に来てよかったですね』

 

『あったかくって気持ちいいっす~』

 

『日々の疲れがとれていきますわね』

 

『ぽかぽか~』

 

『心も体もサッパリしますね』

 

『ほら秋蘭、あなたもそんな所に一人でいないで、こっちにいらっしゃい』

 

『はい、直ちに』」

 

秋蘭?は元気よく返事をすると、華琳?の隣にいた桂花?を押し退け、華琳?に身体を密着させて温泉に浸かる。

邪魔された桂花?は、秋蘭?を嫉妬に満ちた目で見る。

 

「……ハァ」

 

…と、そこで秋蘭は華琳達の指人形を外し、机に向かう。

 

「……仕事するか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらにその頃―――

 

ナミとシャオの2人が、山道を歩いていた。

 

「ん?」

 

突如、ナミがくんくんと臭いを嗅ぎだす。

 

「どうしたのよナミ?」

 

「何か匂うわ…」

 

「えっ⁉しゃ、シャオじゃないわよ⁉」

 

「?」

 

顔を赤らめ、尻を抑えるシャオ。

 

「た、確かにさっき食べた焼き芋で、お腹が張っているような気はしていたけど…!ぜ、絶対違うからね!」

 

「ああ、違うわよシャオ。硫黄の匂いがするな~って話よ」

 

「“いおう”?」

 

「ええ。きっと近くに温泉があるんじゃないかしら?」

 

「温泉⁉シャオ行きたい!」

 

「そうね~私も久しぶりにお風呂に入りたいし…行きましょうか!」

 

「やった~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、温泉街に着いた2人は早速公用の浴場に向かった。

 

「おっ風呂~おっ風呂~♪」

 

「シャオ!お風呂場で走ると危ないわよ!」

 

「それ~っ!」

 

ナミの言葉に全く耳を貸さず、浴槽に飛び込むシャオ。

 

次の瞬間…

 

ドッス~ン!

 

「いった~!」

 

「シャオ⁉」

 

浴槽に飛び込んだ音とは思えない音が響き、ナミが急いで中を覗いてみると…

 

「何これ⁉お湯がないじゃない⁉」

 

「どうなってんのよも~!」

 

浴槽の中は空っぽだった。

 

「お風呂っす~♪」

 

「お風呂~♪」

 

…と、そこへさらに何者かが2人現れ、同じように浴槽に飛び込み…

 

ドスス~ン!

 

「「痛~っ!」」

 

尻もちをついた。

 

「姉さん!はしたないわよ!」

 

「香風さん!浴場で走ってはいけません!」

 

さらに5人の女性が入ってくる。

 

「華琳様~!たいへ~ん!」

 

「お湯がないっす~!」

 

「「「「「えェっ⁉」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナミ達2人と華琳達7人は、一緒に近くの休憩所でお茶を飲んでいた。

 

「どういう事よ!温泉にお湯がないって⁉」

 

「お尻に痣が出来ちゃったっす…」

 

「まだちょっと痛い…」

 

「香風さん、大丈夫ですの?」

 

「さっき地元の人に訊いてみたら、半月前の大きな地震の後、お湯が出なくなったらしいわ」

 

「せっかくの慰安旅行が台無しね…」

 

「そうだな~せっかく休みを取って遠出してきたのに…」

 

「ホント…残念だわ」

 

「あの~皆さん、でしたら新しい温泉を探してみませんか?」

 

「「「「「「「「え?」」」」」」」」

 

柳琳の提案に全員が目を丸くする。

 

「柳琳、それって温泉がありそうな場所を探して掘るってことっすか?」

 

「そうよ、確実に見つかるとは限らないけど、やってみる価値あると思うの」

 

「桂花はどう思う?」

 

「私も可能性はあると思います」

 

「確かに…地震で水路が塞がっただけなら、源泉は無事かもしれないし…」

 

桂花とナミもうなずく。

 

「よーし!じゃあ早速温泉探しに行くっす!」

 

…と、張り切って華侖が立ち上がるが…

 

「ちょォっと待ったァ!」

 

「「「「「「「?」」」」」」」

 

「どうしたのよシャオ?」

 

「せっかくだし、シャオ達とあんた達、どっちが先に温泉を見つけるか勝負しない?」

 

「勝負?」

 

「ちょっとシャオ、あんた何を企んでいるの?」

 

「面白そうね」

 

「お姉様⁉」

 

「言っとくけど、これは遊びじゃないわよ。シャオ達が勝ったら、あんた達はこの孫尚香様の家来になるの!」

 

「ええっ⁉」

 

「キサマァ!」

 

「ちょっとシャオ⁉」

 

「いいわよ」

 

「ええっ⁉」

 

「華琳様⁉」

 

「孫尚香とやら、あなた達が勝ったら私達はあなたの家来になる。

逆に私達が勝ったら、あなた達が私の家来になる。そういう事でいいのね?」

 

「ええそうよ」

 

「ちょっとシャオ!あんた勝手に…」

 

「そうと決まれば早速出陣よ!」

 

「は、はい…」

 

「華琳様…」

 

「またお姉様の悪い癖が…」

 

(どうしてこう、ルフィみたいに勝手な奴ばかりなのよ…)

 

そんなこんなで、温泉探し勝負が始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~華琳チームside~

 

2本の直角に曲がった金属棒を手にした桂花を先頭に、華侖、柳琳、栄華、華琳、そして温泉街で購入したシャベルやツルハシを担いだ春蘭、香風の順で並び、一行は山道を進んでいた。

 

「ね~桂花、それ何すか?」

 

「これは疑似科学の粋を集めた秘密兵器よ」

 

桂花が行っているのは、いわゆる“ダウジング”というやつである。

 

「本当にそれで温泉が見つかるんですの?」

 

「もちろんよ。この方法なら温泉はもちろん、土中に埋まった土管だって見つけられるわ」

 

「それにしても華琳様、よろしいのですか?負けたらあんな素性の知れない輩の家臣になるなど…」

 

不満そうに訊ねる春蘭。

 

「私達が勝てば問題ないでしょう?」

 

「それはそうですが…」

 

「そんなに勝つ自信がないの?」

 

「そ、そんなことは…!」

 

「ひょっとして…ヤキモチ?」

 

「⁉」

 

「心配しなくてもいいわよ。あの二人が家来になっても、あなたのことはこれまでと同様に可愛がってあげるわ」

 

「か、華琳様…♡」

 

「でもお姉様…あの条件じゃあまりにも、私達に利がないんじゃ…」

 

「あら柳琳、私が何の益もない勝負を受けたと思っているの?」

 

「といいますと?」

 

華琳の言葉に思わず全員が足を止め、華琳の方を向く。

 

「孫尚香と一緒にいたあの女、どことなくルフィや、いつかの三刀流の剣士と似た感じがしなかった?」

 

「!そ、そう言えば…」

 

「それではあの人も…」

 

「ええ、天の御使いである可能性が高いわ」

 

「なるほど、もしそうなら虎穴に入る価値がありますな!」

 

「ええ。それにもし違っていたとしても、孫尚香さんが手に入るのならば…!

ああ…どんな服を着せて可愛がってあげましょうかしら?」

 

(シャン達…わざと負けた方がいいかな…?)

 

目を輝かせる栄華を見て、シャオの身を案じる香風だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃―――

 

「⁉」

 

「どうしたのよシャオ?」

 

「な、何か分からないけど寒気がした…」

 

「?さっき裸でいたせいかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらにその頃―――

 

「…真直さん。さっきからずっと同じ所を歩いているような気がするんですけど…まさか道に迷ったりしていませんわよね?」

 

麗羽達はお宝探しに来ていた。

 

地図を持った真直が先頭を歩き、その後にツルハシとシャベルを持った、猪々子と斗詩、最後にすでにだいぶ疲弊し猫背になった麗羽が歩いている。

 

「迷ってはいない…ハズですけど…。この地図、虫に食われているところが多すぎて、道がよくわからないところがあって…」

 

「ちょっと真直ちゃん!それじゃあ宝の場所に行けないんじゃ⁉」

 

「でも、地形から考えて、この辺なのは間違いないはずだから…」

 

「あ!麗羽様アレ!」

 

「どうしました猪々子さん?」

 

一行が、猪々子が指した方を見ると…

 

「げっ⁉華琳さん⁉」

 

少し離れた崖沿いの道を、華琳達が歩いているのが見えた。

 

そう、麗羽達が宝探しに来た場所は、華琳達、ナミ達が来ていた温泉街の近くだったのだ。

 

「どうしてあの金髪クルクル小娘がここに⁉」

 

「あの~麗羽様…」

 

「何ですの猪々子さん?」

 

「麗羽様、曹操の悪口を言う時、よく“金髪クルクル”っていいますけど、それ麗羽様も同じなんじゃ…?」

 

「私と被っているから余計腹が立つのですわ!」

 

「そーゆーことですか…」

 

(確かに袁家も曹家も多いわね…金髪クルクル…)

 

前方にいる華琳とその親戚を見て、さらにこの場にいない袁家の親族を思い出し、そう考える真直だった。

 

「あ、麗羽様!後ろにいる夏侯惇達が持っている物を見て下さい!」

 

猪々子の言葉に、春蘭と香風の持ち物を見ると…

 

「!鶴嘴(ツルハシ)踏み鋤(ふみすき)⁉」

 

「まさか、曹操さん達も宝を探しに⁉」

 

「あの金髪クルクル小娘ェ~っ!またしても私の邪魔を~っ!」

 

「麗羽様落ち着いて下さい!これは好機ですよ!」

 

真直は何か思いついたらしい。

 

「何が好機なのですか?」

 

「曹操さん達が宝を見つけたら、それを横取りするんです。

そうすれば宝が手に入りますし、ついでに曹操さんに一矢報いることができるじゃないですか!」

 

「成程!それはいい考えですわね!」

 

「すごいな真直!普段あんまり活躍してないけど、やっぱり軍師だな!」

 

「…普段活躍できないのは、アンタと麗羽様が私の話を全然聞かないからでしょうが…!」

 

「…ごめんね、真直ちゃん…」

 

「そうと決まれば、早速尾行を開始しましょう!」

 

「ええ!あの金髪クルクル小娘の泣き顔を拝むために、ついでに宝も手に入れてやりますわ!」

 

「…そっちがついでなんですか?」

 

思わず呆れる3人。

 

この人、そこまで華琳が気に食わないのか…?

 

ともかく、麗羽達は華琳達の尾行を開始するのだった。

 

 




アニメの内容に沿った話を投稿するの、久しぶりですね。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。