ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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一期編完結です!




第61話 “花見”

数日後、桃花村。

 

「キレ~だな~!」

 

「これは…!」

 

「鈴々の村のお花見場にも負けていないのだ…!」

 

「こりゃいい景色だ」

 

「桃の花のいい香り〜」

 

「これは良い酒が飲めそうだ」

 

「花見にはもってこいだな!」

 

「オイお前ら!この肉と酒、ほとんどお前らのなんだから自分で持て!」

 

「きれいだねお母さん!」

 

「ええ、そうね」

 

近くの桃の花が咲き誇る丘で、お花見が行われる事になった。

 

ルフィ達はもちろん、張世平や鈴々の友達を始め、村人も大勢参加している。

 

 

 

 

 

 

「よ~し!準備は終わったな!」

 

酒や料理が並べられ宴席の準備が整い、ウソップが乾杯の音頭をとる。

 

「それでは桃花村防衛戦の勝利と、まだ4人ではあるが“麦わらの一味”が再集結を果たしつつある事を祝して―――」

 

「「「「「「「「「「乾パーーーイ!」」」」」」」」」」

 

そして宴が始まった。

 

「うめ~!」

 

「よーし!今日は思いっ切り食うぞー!」

 

ひたすら食べるルフィと翠。

 

「鈴々義勇軍出撃なのだーーー!」

 

「「「「おーっ!」」」」

 

「こら鈴々!あまりはしゃいで皆に迷惑を掛けるなよ!」

 

璃々も一緒になって大はしゃぎする鈴々達と、それをたしなめる愛紗。

 

「ほう!ゾロ殿達はイケる口だな!」

 

「なァにまだ量の内じゃねェよ!」

 

「こんなの水も同然よ!」

 

浴びるように酒を飲むゾロ、ナミ、星。

 

「“射手の御使い”ウソップ!歌います!」

 

「いいぞー!」

 

「歌え~!」

 

村人に交じって盛り上がるウソップ。

 

「こんなに賑やかなの…久しぶりだわ…」

 

「私もです…」

 

静かに楽しむ朱里と紫苑。

 

「しかし…」

 

「ん?どうした愛紗?」

 

「いえ、こうして桃の花を見ると…三人で盃を交わした事が思い出されますな…」

 

「そっか…そうだな…」

 

「時が経つのは早いものですな…」

 

「華琳とか蓮華とか…サンジ達とかどうしてるかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陳留、とある野原。

 

「香風~一緒に踊るっす~!」

 

「華侖様~…ぽかぽかして…シャン眠たくなってきた…」

 

「香風さん!でしたらどうぞ!わたくしの膝枕で!」

 

「華侖様~!一緒に踊ろ~!」

 

逃げるように華侖の所へ走る香風。

 

「……柳琳…お酒貰えます?」

 

「の、飲み過ぎない様にね…栄華ちゃん…」

 

「華琳様~あ~ん…♡」

 

「あ~ん♡」

 

(姉者…拗ねていないといいが…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陳留の城。

 

「『春蘭、あなたももっとこっちに来なさい』

 

『はい!直ちに!』

 

……はァ…華琳様達、早く帰ってこないかな~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉郡、城のバルコニー。

 

「こうやって二人で飲むのも久しぶりね、冥琳」

 

「そうだな雪蓮。……梨妟、お主も隠れていないで一緒に飲んだらどうだ?」

 

「あはっ♪バレてた?せっかくの二人っきりを、邪魔しちゃ悪いと思ったんだけど…」

 

「あなたとだって、もうそれくらいの仲よ。ねェ冥琳?」

 

「ああ」

 

「それじゃあ遠慮なく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉郡、城の廊下。

 

「何やっとるかお主は~!」

 

「ひゃわわ~⁉わかりました!わかりましたってば~!」

 

「雷火様も大変ですね~包ちゃんみたいな子を押し付けられて~」

 

「そうかしら?私はそこまで嫌がっている様には見えないけど」

 

「うむ。手間のかかる弟子ができて、喜んでおる様にも見えるのう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉郡、城の中庭。

 

怒った様子の大喬と小喬が走り回っていた。

 

「小蓮様~!」

 

「待ちなさ~い!」

 

「おめェらうるせェぞ!鯉が逃げちまっただろうが!もう少しだったてのに…」

 

「だって炎蓮様~!」

 

「小蓮様が私の顔にこんな落書きを~!」

 

「んなの、される方が間抜けなんだよ!」

 

「そうよそうよ!母様の言う通りよ!」

 

「あ!小蓮様!」

 

「待ちなさ~い!」

 

「捕まらないもんね~だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉郡、とある私室。

 

「蓮華様」

 

「今、お時間宜しいでしょうか?」

 

「思春?それに明命?良いわよ、入って来て」

 

「失礼しま……れ、蓮華様⁉」

 

「そ、その髪は⁉」

 

「コレ?思い切って切る事にしたのよ」

 

「ず、随分バッサリと切りましたね…」

 

「ええ。私は元々短い方が好きだったし…。

今までは母様や姉様のマネをして伸ばしていたけど、私は私、二人とは違うって…そうわかったから…」

 

「そ、そうだったのですか…」

 

「……変かしら?」

 

「そんな事ないです。とってもお似合いですよ」

 

「はい。きっとルフィ殿もお褒めになるかと…」

 

「⁉だ、誰もあの男の話なんてしていないでしょう!」

 

「「し、失礼しました!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

江夏郡の城。

 

「黄祖様~孫堅様からまた手紙が届いていますが」

 

「そうか…見せてみろ。……花見の誘いか」

 

「…孫堅様、暇なのでしょうか?」

 

「まァ…退屈しているのかもしれんな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涼州、武威郡、とある庭園。

 

「どうだこの踊り⁉いいだろ⁉」

 

月達の宴席で、チョッパーは鼻に箸を入れザルを持って踊っていた。

 

「ふふふ…チョッパー面白い!私もやってみようかな?」

 

「ぷっ!ははは!や、やめてよ月!」

 

「おい!恋!またセキトが私に吠えてくるのだが⁉」

 

「セキト、めっ!」

 

「クゥ~ン…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涼州、隴西郡。

 

「『だ、だからゾロが望むなら…あたしの事…好きにして…』

 

『……本当に良いんだな?』」

 

「キャ~お姉様ってば大た~ん!」

 

「ねェ⁉良いでしょ⁉萌えるでしょ⁉」

 

「蒼!蒲公英!少しはお弁当作り手伝ってよ!お花見行きたいって言ったの二人でしょ⁉」

 

「え~でも私達じゃ手伝いにならないし~…」

 

「むしろ足を引っ張っちゃうと思うし~…」

 

(ひ、否定できない…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渤海郡、とある山。

 

「真直さん…お宝はまだですの?」

 

「もう少しです!間違いなくこの辺りなんです!」

 

「それにしても、何だか霧が出てきたね…」

 

「れ、麗羽様…斗詩に真直も…」

 

「どうしました猪々子?」

 

「あ、あれ…」

 

「「「?」」」

 

3人が、青ざめた猪々子が指した方を見ると…

 

 

 

 

 

「ビンクスの酒を~…♪届けに行くよ~…♪」

 

「「ガイコツ~⁉」」

 

「化物~⁉」

 

「皆さん!お宝は諦めて逃げますわよ~!」

 

「「「りょ、了解です~!」」」

 

 

 

 

 

「……あれ?今どこからか女性の悲鳴が聞こえたような?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある飲食店。

 

「ほんでウチはそいつに完敗して、もっと誇れる武人になろうって決めた訳や!」

 

「へ~そうだったんだ!」

 

「偃月刀に素手で勝つなんて、強いお兄さんだね~!」

 

「世の中には、まだまだお強い方がいるのですね」

 

「けど、糜竺ちゃん達が会った、その天の御遣い様も相当強いんやろ?手合わせしてみたいわ~」

 

「ねェ、あなた達」

 

「ん?」

 

雷々、電々、美花、霞が話していると、隣の席にいた女が声を掛けてきた。

 

「誰やアンタ?」

 

(わ~綺麗なお姉さん。それに綺麗な黒髪)

 

(関羽さんの髪とどっちが綺麗かな?)

 

「(この佇まい…只者ではなさそうですね…)何か御用でしょうか?」

 

「今あなた達が話していた、その2人の男の人の話、詳しく聞かせて貰えないかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある街。

 

『決まりました!今、大食い大会!優勝は、準優勝者に圧倒的な差をつけて許緒選手です!』

 

「へっへ~ん!やった~!」

 

「くそ~…今週のスーパーなおれがスーパーな実力差で負けた~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徐州。

 

「うん。耕起はこんな感じで良いね」

 

「喜雨~!」

 

「あ!母さん!」

 

「お弁当持って来たんだけど、少し休憩しない?」

 

「うん!丁度いい時間だし、みんなも良い?」

 

「はい、勿論です」

 

「それじゃあ!母さ~ん!」

 

喜雨は燈の傍へ駆けて行った。

 

「……陳登様と陳珪様、なんか雰囲気変わったよな」

 

「前よりも仲良くなられた様な気がするのう」

 

「何か、良い事でもあったのかね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽州、北平郡

 

「『我こそは白馬将軍!公孫瓚!』

 

『何⁉あれが噂の⁉』

 

『幽州でその名を知らぬ者はいないという⁉』

 

『如何にも!』

 

 

 

 

 

暴虐な賊共~…我が領地に踏み入った事を後悔するがい~…むにゃむにゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある山中。

 

「ハァ…ハァ……撒いたか?」

 

拝啓、ナミさん、ロビンちゃん、二人ともどこかでご無事ですか?―――――

 

ガサッ

 

「見ィ~つけた♡」

 

「くっ⁉」

 

おれは今―――――

 

「ちょっと待ってってばお兄さ~ん!少しお話しするだけだから~ん!無理やりする趣味はないわよ~!」

 

「うおォォォォォ〜〜〜〜〜!」

 

おれは今、筋肉隆々のオカマから逃げ続ける日々を送っています―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荊州、水鏡先生の庵。

 

「そう…朱里…」

 

朱里からの手紙を読み、涙ぐむ水鏡。

 

(もっと強く、大きくなりなさい朱里…。皆さん、朱里の事お願いしますよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、桃花村。

 

食べ物も酒も大方無くなり、愛紗は一本の木に寄り掛かって座っている。

その膝の上で鈴々は昼寝をし、愛紗の隣ではルフィが同じ木に寄り掛かって昼寝をしている。

 

そしてその様子を、仲間達が微笑ましそうに見守っている。

 

「…ルフィ…愛紗……これからも…ずっと…ずっと一緒なのだ…」

 

「鈴々…」

 

「何だか関羽さん達って、義兄妹にも見えるけど、親子にも見えるわね」

 

「こ、黄忠殿!何を言いますか!私は鈴々のような娘がいるような年では…」

 

「わかっているわよ。雰囲気の話」

 

「雰囲気って…」

 

落ち着いた愛紗は鈴々の頭をそっと撫でる。

 

(親子か…)

 

そして愛紗は、隣で寝ているルフィの横顔を見る。

 

(私とルフィが…夫婦(めおと)か…)

 

その時愛紗は、自分の頬がほんのりと桃色に染まっていた事に、全く気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の鏡に導かれ、見知らぬ世界へと誘われた、海賊“麦わらの一味”―――――

その船長“麦わらのルフィ”と固い兄妹の絆で結ばれた“関羽”、“張飛”―――――

彼女らを始め、不思議な縁に結ばれて海賊たちと出会いを重ねる無双の姫君たち―――――

 

 

 

 

 

「“龐統(ほうとう)”!もたもたしてないで早く!」

 

「は、はい!あわわ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“桔梗(ききょう)”様、少々飲み過ぎでは…」

 

「何を言う⁉宴の席で飲まんでいつ飲むというのじゃ⁉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“典韋(てんい)”ちゃん、その肉の仕込みお願い!」

 

「あ、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~…今日はここで野宿かいな~」

 

「そろそろ身体を洗いたいの~…汗でべとべとなの~…」

 

「我儘を言うな!もう路銀はほとんどないのだから、仕方あるまい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“(りん)”ちゃ~ん、鼻血は止まりましたか~?」

 

「は、はい…申し訳ありません“(ふう)”…すぐに出発…」

 

「今日はもう日が傾いてきていますから、ここで野宿しましょう。無理に起き上がらなくて良いですよ~」

 

「わかりました…お言葉に…甘えさせて頂きます…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、これより親衛隊の訓練、組手を行う!一人ずつ前に出て、名前を言え!まずはお前!」

 

「はっ!“呂蒙(りょもう)”です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さァ主上(しゅじょう)様、お花見に出発しますよ」

 

「ええ、行きましょう」

 

「うう…」

 

「あら?“白湯(ぱいたん)”はお花見が嫌なの?」

 

「あの…お姉様…」

 

「白湯様、道中の安全なら大丈夫ですよ。ね?姉様」

 

「無論。この大将軍自らの護衛、お二人の身の安全は保障しましょう!」

 

「それなら大丈夫ね」

 

「あう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では“卑弥呼(ひみこ)”殿、今回の交易はこの様な形で」

 

「うむ、今後も宜しく頼むぞ“盧植(ろしょく)”殿」

 

「盧植さんちょっと…来客中でしたか」

 

「いえ、私の要件はもう終わりました故、どうぞ」

 

「そう、ありがとうございます」

 

「“皇甫嵩(こうほすう)”さん、どうかなさったの?」

 

「朱儁さんから反乱を鎮圧した報告があったわ。兵糧攻めにして降伏を促したそうよ」

 

「そう……また“何進(かしん)”将軍の機嫌が悪くなるわね…」

 

「何故だ?乱を鎮圧したのなら、問題は解決したのであろう?」

 

「何進将軍は、朝廷の軍が小細工を弄する事をよく思っていないのよ。真正面から力で叩き伏せ、威信を示すべきだと言ってね」

 

「ふむ……その様な現場の実態がわかっていない者が上位に君臨しているとは…この国はまだまだ荒れそうですな…」

 

「そうですね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「廃墟になったお寺の様ですね…“張々(ちょうちょう)”、今夜はあそこで寝るのです」

 

「わふっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“七乃(ななの)”ー!妾の新しい別荘を建てる話はどうなったのじゃ?」

 

「はーい“美羽(みう)”様ー!もう計画書はできていますから、あとはそこにある御堂を壊して建てるだけですよー!」

 

「そうかそうか!待ち遠しいのー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大王しゃまー!なんかへんなほしがひかっているにょー!」

 

「にゃにゃ⁉」

 

「すっごくびかびかしているにゃ…」

 

「ぶきみにゃん…」

 

「むむむ…なんだかよくないことがいっぱいおこりそうにゃ…ものども!きをつけるにゃ!」

 

「「「にゃー!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~…今日も全然お金貰えなかった…」

 

「大丈夫!きっと明日は沢山貰えるよ!」

 

「そうだと良いけど…さすがにそろそろ厳しくなってきたわね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、これで大丈夫だろう」

 

「ありがとうございます」

 

「なァに礼には及ばん。医者が怪我人を助けるのは当然の事だ」

 

「それにしても…早く戦のない世の中になって欲しいな…」

 

「戦がなければ、毎日ここまで怪我で困る事もないだろうに…」

 

「…全くだな…嘆かわしい事だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“ 左慈(さじ)”よ…これがそうなのですね!」

 

「ああそうだ。これでおれ達も、ようやく本格的に動けるというものだ!」

 

「それにしても…」

 

「どうかしたか“于吉(うきつ)”?」

 

「一緒に見つかったこれらも、中々面白そうですね」

 

「使い勝手は悪そうだが…別に使いたいなら持ち出して構わんぞ」

 

「では…少しお借りするとしましょう…」

 

 

 

 

 

いまだに行方の知れぬ彼らの仲間や、まだ見ぬ姫君たち、そして大陸に巣くう悪意を巻き込み―――――

 

 

 

 

 

「今日のぶん、ここに置いておきますね」

 

「はい、いつもご苦労さん。ああ、そうだ!“()()”ちゃん」

 

「何ですか?」

 

「州境で、あんたと同じ名前の人が義勇軍を率いているって噂、知ってるかい?」

 

「え?」

 

物語は、新たな段階へ進もうとしていた。

 

 




しばらく更新を休止して、書き溜めに余裕が出来たら真・恋姫無双編の投稿を開始したいと思います。


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