ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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真・恋姫無双編は、今まで以上に話の分割、入れ替え、省略が頻繁になると思います。
ご了承ください。




第63話 “まだ見ぬ群雄”

ある朝。

 

「何だおっさん、話って?」

 

ルフィ達は張世平に呼ばれ、屋敷の大広間に集まっていた。

 

「実は、皆さまにお伝えしたい事がありまして…」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

「村を出て行く⁉」

 

「どうしてまたそんな事を⁉」

 

「はい。昨夜も申しました通り、皆様のおかげでこの辺りの賊は一掃され治安が戻りました。

ですから、私も再び商業を始めるため、行商人として近くの村や街を回ろうと思ったのです。

物流が豊かになれば、それはきっと皆さまのお役にも立つと思います。

こちらには定期的に戻る予定です。

無論、私が出て行った後も、この屋敷は自由に使っていただいて構いません」

 

「成程…」

 

「そういうことなら、止める理由はありませぬ」

 

「ご理解いただけたのなら何よりです」

 

「しかし、賊があらかた退治されたとはいえ、油断はできぬもの。何人か義勇兵をお供として連れて行った方がよろしいでしょう」

 

「成程、わかりました」

 

こうして、張世平は村を離れることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後―――

 

「では、行ってまいります」

 

「おう、元気でな」

 

「旅の安全と商業の成功を祈っております」

 

廖化(りょうか)よ。張世平殿を頼むぞ」

 

「はっ!」

 

ルフィ達に見送られ、数人のお供を連れて張世平は村を出発した。

 

「行ってしまったな…」

 

「さみしいなー…」

 

「しかし、それはこの辺りが平和になった証拠。喜ばしいことだ」

 

「そーそー、見送ってやろうぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

張世平達が出発したその日の夜、ルフィ達はいつも通り、大広間で夕食をとっていた。

 

「…なーんかおっさん達がいなくなって、急にがらんとしたな…」

 

肉をかじりながらルフィが呟く。

 

「張世平殿がいなくなったのもそうだが、供として連れて行った兵も、皆この屋敷に寝泊まりしていた者ばかりでしたからな…」

 

「元々村の住民だった奴らには別に家があるし、今この屋敷で寝泊まりしているのは、ここにいるおれ達だけからな…」

 

愛紗とウソップも呟く。

 

「やむを得ん。村に家がある者は、あまり村から離れたくないだろうからな」

 

「この間みてェな事もあるかもしれねェからな」

 

「やはり気がかりなんでしょうね…」

 

星、ゾロ、紫苑が言う。

 

「やっぱりちょっとさみしいのだ…」

 

「今朝も言っただろ?これはあたし達の活躍で、この辺りに平和が戻った証拠なんだって!喜ぼうぜ!」

 

鈴々の言葉にそう返し、翠は大皿に残っていた最後のシュウマイに箸を伸ばす。

 

「あ!」

 

同時に鈴々もシュウマイに箸を伸ばした。

 

「ぬぬぬぬぬっ!」

 

「にゃにゃにゃにゃにゃっ!」

 

両者はしばらく箸を振りかざし合い、そして…

 

「とったどー!」

 

「あーっ⁉」

 

翠がシュウマイを勝ち取ったのだった。

 

「鈴々の焼売~!」

 

「へっへ~ん!あたしの勝ちだな~!」

 

「もう!二人ともお行儀が悪いですよ!璃々ちゃんも見ているのに…」

 

「う…わ、悪かったよ…」

 

「でも朱里、もっとお行儀が悪い奴がいるのだ」

 

そう言って鈴々が指した先には…

 

「んぐ…んぐ…」

 

大皿を半分ほど口の中に入れ、盛られた麻婆豆腐をのどに流し込むルフィの姿があった。

 

()()は…その、何といいますか…」

 

「一周回って注意する気にもならんな…」

 

「あれ?鈴々ちゃん、ほっぺに何かついてますよ」

 

そう言うと朱里は手拭いで鈴々の頬を拭く。

 

「あう…よすのだ朱里~…!自分でできるのだ~…!」

 

()()お姉ちゃんこどもみたい!」

 

その様子を見て璃々が笑いながら言う。

 

「これ璃々!」

 

「?」

 

「いくら親しい相手でも、相手から許しも得ずに真名を呼んではいけません!ちゃんと“張飛お姉ちゃん”と呼びなさい!」

 

母親らしく注意する紫苑。

 

「え~…鈴々お姉ちゃん、いつもじぶんのこと“鈴々”ってよんでるよ?」

 

「それでもです!許しも得ずに真名を呼んだら、どんなにひどい事をされても、文句は言えないのですよ!」

 

「別に構わないのだ!」

 

「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」

 

「璃々はもう家族みたいなものだから、真名で“鈴々”って呼んでもいいのだ!」

 

「鈴々ちゃん…」

 

「ふふっ…良かったわね璃々」

 

「うん!鈴々お姉ちゃん大好き♪」

 

喜ぶ璃々を見て、皆も嬉しそうにする。

 

「あ!真名っていえばさ…」

 

「どうしたのだナミ?」

 

「張飛ちゃん、どうして急に孔明ちゃんのこと真名で呼ぶようになったの?」

 

「はにゃっ⁉」

 

「確かに…前の遠征の後からか?」

 

「あ…でも孔明はずっと鈴々のこと真名で呼んでいるよな?」

 

「はい。私が真名で呼びたいって言ったら、呼んでいいって言ってくれたんです。

でも、その時は『私の事を真名で読んだりはしない』って言ってたんですけど…」

 

「あ…!」

 

「そうなのか?」

 

「そ、それは…確かにそう言ったけど…よく考えたら、朱里だけ鈴々を真名で呼ぶのは…ずるいと思ったから…」

 

「そんなこと言って~…本当はずっと真名で呼びたかったけど、キッカケがなくて困っていたんじゃないの〜?」

 

「っ!」

 

ナミの言葉に真っ赤になる鈴々。

 

「ち、違うのだ!図星だけど、ゼッタイゼッタイ違うのだ~!」

 

「「「「「「「「「「はははははっ!」」」」」」」」」」

 

全員で大笑いする中…

 

「……そういえばよォ…」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

ルフィが静かな口調で喋りだした。

 

「おれも孔明や馬超達のこと、真名で呼びてェんだけどダメかな?もう仲間みたいなもんだし…」

 

「私は別に良いですよ」

 

「あたしもいいぜ!ゾロに真名預けてるし」

 

「私も構いません」

 

考える様子もなく承諾する3人。

 

「ねェ、だったらさァ!」

 

今度はナミが声をあげる。

 

「私も張飛ちゃんのこと、真名で呼んでいい?うっかり呼びそうになるし…」

 

「構わないのだ!もちろんゾロも馬超も、みんな鈴々のことは、真名で呼んで構わないのだ!」

 

「ありがとう!“鈴々”ちゃん!」

 

「じゃあおれ達も“鈴々”って呼ばせてもらうぜ」

 

「あのう!でしたらこれを機に、私達全員で互いの真名を預け合いませんか?」

 

朱里の提案を聞き、全員の顔が明るくなる。

 

「おー!良いなそれ!」

 

「私は構わないぞ」

 

「賛成なのだ!」

 

「おれ達は真名がねェから、お前らが良いならいいが…」

 

「反対なんてするワケないだろ!」

 

「私も異論はない」

 

「ま、こういう好意は素直に受け取るべきよね!」

 

「いいですわね」

 

「璃々も璃々もー!」

 

「へへっ!そうしもらえるとなんか嬉しいな!」

 

「しかし、あまりに年上の方を気安く真名で呼ぶのは、少々気が引けるな…」

 

「関羽さん、何が言いたいのかしら?」

 

「い、いえっ!何でもありません!」

 

「お、落ち着け紫苑…落ち着くんだ…!」

 

「こほん!……では私から…」

 

愛紗は気を取り直し…

 

「我が名は“関羽”、字は“雲長”、真名は“愛紗”!この真名、ここにいる皆に預けよう!」

 

「鈴々は“張飛”、字は“翼徳”、真名はもちろん“鈴々”なのだ!この真名、皆に預けるのだ!」

 

「あたしは“馬超”、字は“孟起”、真名は“翠”ってんだ!みんなに預けるぜ!」

 

「我が名は“趙雲”、字は“子龍”、真名は“星”。この真名、皆に預けよう」

 

「私は“諸葛亮”、字は“孔明”、真名は“朱里”です。この真名、皆さんにお預けしましゅ…!はわわ!噛んじゃいました…!」

 

「私は“黄忠”、字は“漢升”、真名は“紫苑”といいます。この真名、皆さんにお預けしましょう」

 

「璃々は“璃々”でーす!」

 

「じゃあ、おれ達も改めて自己紹介を…おれは“ウソップ”勇敢な海の戦士になる男だ!」

 

「私は“ナミ”!改めてよろしくね!」

 

「“ロロノア・ゾロ”だ。まァ、しばらくはともに戦う仲だ。よろしく頼む」

 

「おれは“モンキー・D・ルフィ”!海賊王になる男だ!」

 

「ではみんな!これからもよろしく頼むぞ!」

 

「「「「「「「「「「おおーーーっ!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日―――

 

「ん?」

 

「…………」

 

ルフィが2階の庭に面した廊下を歩いていると、空を見上げている愛紗に出くわした。

その表情は、何やら考え事をしている様子である。

 

「おーい、愛紗~」

 

「!ルフィ」

 

「どうかしたのか?」

 

「いや…少しな…」

 

「?」

 

「張世平殿や翠が言った通り、確かにこの辺りは平和になった。

だが、この国にはまだまだ苦しんでいる人々がいる…。それを考えると、いつまでもここに居ていいものか…」

 

「……そうだな。おれ達もサンジ達の事、探さねェといけねェし…」

 

「では、また旅に出るか?」

 

「「!」」

 

背後からの声に2人が振り向くと、星を先頭にゾロ、ナミ、ウソップ、鈴々、朱里、翠、璃々を抱きかかえた紫苑が立っていた。

 

「いつの間に…」

 

「知らぬ間にな」

 

「―――で、どうする?旅に出んのか?」

 

「そうだな……それもいいかもしれん」

 

「でも、心配ですね…」

 

「どうしたのだ朱里?」

 

「この間みたいに、私達がいなくなった時を狙って、賊が襲ってくるかもしれませんし…」

 

「可能性は否定できんな…」

 

「それに…おれみたいに天の御使いの噂を聞いて、おれ達の仲間が村に来るかもしれねェし…」

 

「その時に皆さんが村を去っていたら、すれ違いになってしまいますね…」

 

「だったらここを拠点にして、定期的に旅に出て戻って来る、ってのを繰り返せばいいんじゃねェか?」

 

「……ゾロって、そういう事を考えることはできるんだな(実行はできないけど)」

 

驚きを隠せない翠であった。

 

「義勇軍も五百人以上にまで増えてきているし、我々の中からニ、三人残っていれば、村の警備は十分だろう」

 

「…そうだな。では何人か留守番を残して、また旅に出るとしよう!」

 

「わかっているとは思うが、その時は私も同行させてもらうぞ」

 

「……また急にいなくなったりするなよ?」

 

「おれも行くぞー!」

 

「もちろん!鈴々も一緒なのだ!」

 

「おれも行くぜ。留守番は性に合わねェからな」

 

「できればゾロは、村どころか屋敷からも出したくないけどな…」

 

「お、おれは留守番でも別にいいぞ!」

 

「私も可愛いから、まず留守番で」

 

「そう言うと思っていました…」

 

「璃々はお母さんと一緒にお留守番していましょうね」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同刻―――

 

「すいません」

 

「はい、何でしょう?」

 

(むしろ)を乗せた背負い梯子を背にした桃色の髪の少女が、一件の茶店を訪れていた。

 

「“桃花村”への道をお尋ねしたいのですが…」

 

ルフィ達の新たなる旅立ちの時は迫りつつあった―――――

 

 




…というワケで、いきなりですが一話目の鈴々と翠の下りは省略しました。
ゾロが翠の事を真名で呼んでいますし、鈴々と翠がそこまで親しいワケではないので。

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