ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊 作:HAY
今回の話はだいぶ盛りました。
宝剣争奪戦第二試合、ウナギの摑み取り対決は、顔良対劉備で行われることになり…
『それでは、試合開始!』
ジャーン!
合図の銅鑼と共に、両者は生簀の中に入りウナギを捕まえにかかる。
「きゃっ!待ちなさい!」
「このっ!えいっ!」
「きゃっ⁉そ、そこはっ⁉動かないで~!」
「あっ!ダメェ!太すぎる~!」
誤解されそうな声を響かせながら2人は奮闘する。
一方控え席では…
「いけーっ!劉備ーっ!頑張れーっ!」
「ぐー…」
(……この二人、目の前の光景の価値がわかっていないのか?)
普通に応援するルフィと昼寝をしているゾロを見て、複雑そうな顔をする星だった。
そして試合が終了し…
『結果は十一匹対十三匹で、劉備選手の勝ちです』
「やったー!」
桃香は思わず両手をあげて喜ぶ。
「りゅ、劉備殿!見えています!」
今更のような気もする。
「残念だったな斗詩」
「文ちゃん…」
「腹の肉で挟む競技だったら圧勝できたのにな…」
「そんなわけないでしょ~!」
両手をあげて憤る斗詩。
「と、斗詩!丸見えだぞ!」
やはり今更だと思う。
▽
『さァドンドン参りましょう!第三試合は大食い対決です!』
「よっしゃー!おれ出るぞー!」
「ルフィ、任せましたよ!」
ようやく自分向きの競技になり、張り切るルフィ。
「よーし!それじゃあ今度は、あたいが行くか!」
袁紹組からは猪々子が出る。
『えー試合内容ですが、お二人には制限時間内に“袁紹様の手料理”をどれだけ食べられるかで競っていただきます!』
「「「⁉」」」
試合内容を聞き、袁紹組の3人の顔が青ざめる。
その間にも準備は進み、2人の前に大皿が用意される。
その上には真っ黒な『謎の物体X』が山のように盛られていた。
「…えーっと、陳琳さん?これ試合を始めて大丈夫なんでしょうか?」
恐々とした様子で猪々子が訊ねる。
『一応、厨房には食べられる物しか用意していなかったので、大丈夫だと思いますが…』
一方控え席では…
「あ、あれって…本当に大丈夫なんでしょうか?」
「し、死んだりしないのか?」
「ルフィの胃袋は尋常じゃないから大丈夫よ………たぶん」
「確かにルフィ殿は色々と異様だが、あの料理も相当異様だぞ?」
「あいつでダメなら、他の誰が行っても同じだろ…」
「そうですね…ここはルフィを信じましょう」
「ルフィさん…本当にごめんなさい…私の宝剣のために…」
当然、袁紹組も…
「文ちゃん…骨は拾っておいてあげるからね…」
「あなたの勇姿は…絶対に忘れないから…」
対して…
「よーし!頑張るぞー!」
「わたくしが心を込めて作った手料理、たくさん召し上がって下さいね!」
目の前の物体Xの脅威に気付いていないのか、2人は平然としている。
『それでは試合開始!』
ジャーン!
「んあーーーっ!」
『おーっとルフィ選手、合図と同時に皿に盛られていた分を全て、一気に口に流し込みました!』
しかし、次の瞬間―――
「⁉んっ…ぐっ…⁉」
顔が真っ青になり、汗が滝のように流れだす!
「ルフィ⁉」
「だ、駄目なのか⁉」
「もしかして胃袋は平気でも、舌が受け付けなかったんじゃ…⁉」
「ルフィ!とにかく飲み込め!飲み込むんだ!」
「胃袋に入ってしまえばそれで終わりよ!」
「ルフィさーん!」
「頑張るのだー!」
「ん…んんっ!」
ごっくん!
そんな声援が届いたのか、ルフィは全てを飲み込み…
ドサァ…
仰向けに倒れ込んだ。
『ルフィ選手!皿一杯分を平らげました!』
その隣で猪々子は…
(……ルフィとかいったな…あんたすげェな…)
「ぶ、文ちゃん?」
(あたいもやるぜ…このまま何もしないで棄権するなんて、こいつに失礼だ!)
意を決し、猪々子は手にした匙で目の前の物体をすくい…
ぱくっ
ドサッ
見事に撃沈した。
『匙一杯対皿一杯で、この試合ルフィ選手の勝利です!』
「ルフィ…」
「無茶しやがって…」
「私の…宝剣のために…」
「みんな…この勝負、絶対に勝つぞ!」
「もちろんなのだ!」
「ああ!ルフィ殿の弔い合戦だ!」
「あの、皆さん…ルフィさんまだ生きてますよ。ギリギリで…」
袁紹組はというと…
「文ちゃん!文ちゃァァァん!」
「誰か!誰か助けてくださァァァい!」
(ああ、なんてこと…わたくしの料理が美味過ぎたばかりに…!)
麗羽は思いっきり勘違いをしていた。
▽
その後も、試合は延々と続き…
『第四試合!熱々拉麺早食い対決!』
顔良VS趙雲
「ふーふー…ずるるる~」
(な、何故だ⁉何故この拉麺にはメンマが入っていない⁉み、認めぬ!認めぬぞ!メンマのない拉麺など、私は断じて認めぬぞー!)
趙雲が一口も食べなかったため、顔良勝利!
ちなみにこの勝負が終わった後、ルフィと猪々子は目を覚ました。
▽
『第九試合!腕相撲!』
文醜VS張飛
「ぐぐぐ…」
「ううう…うおりゃー!」
「ぐああ⁉」
張飛勝利!
▽
『第十一試合!ハリセンと防災頭巾による叩いて被ってじゃんけんぽん!』
田豊VS諸葛亮
「「じゃんけんぽん!―――あ!」」
朱里がグー、真直がパーを出した。
「はわわわわわっ⁉」
「…………」
「はわわわわわっ⁉」
「…………」
「はわわわわわっ⁉」
「…………(た、叩けない…)」
田豊、全く手が出ず諸葛亮勝利!
▽
『第十七試合!早口言葉!』
顔良VSルフィ
「隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ!隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ!隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ!」
「隣のえんじゅちっ!いでェー舌噛んだー!」
顔良勝利!
▽
『第二十四試合!重量上げ!』
顔良VSゾロ
円盤状の重りを両手で持ち上げる2人。
「オラァ!もう二、三十個持ってこい!」
「もう無理です~!」
ゾロ勝利!
▽
『第三十九試合!ものまね!』
文醜VSルフィ
「『愛紗、出番だな』『…ってさも当然のように私に振るな!』『おっぱい勝ち組の力、見せてやるのだ~!』」
先ほどの、愛紗達3人のやりとりをまねるルフィ。
ほどよく似ているため、観客にも大ウケしている。
「袁紹様のマネ。『おーほっほっほ!斗詩、あなた最近ちょっと太って来たんじゃありませんこと?』」
ぐしゃっ!
文醜が満身創痍となったためルフィ勝利!
▽
『第四十八試合!だるま落とし』
顔良VSナミ
「ていっ!」
スコーン!
「たァっ!」
スコーン!
「それっ!」
ガシャッ!
「あああっ⁉」
顔良勝利!
▽
『第五十一試合!目利き対決!』
田豊VSナミ
『この大量の宝石の中から、一番高価な物を探してください!』
(これは形が歪ね…こっちはちょっと色が…)
「これ」
「早っ⁉」
「正解です!」
ナミ勝利!
▽
『第五十六試合!箱の中身は何でしょう?』
田豊VS劉備
「きゃ~⁉動いた!何かぬるっとしてた!」
「ひれがあった…鰻にしては太かったから、
『正解!』
田豊勝利!
▽
『第七十八試合!玉乗り対決!』
文醜VS張飛
「よっ…ほっ…はっ…!」
「ううう~…わああ~⁉」
文醜勝利!
▽
『第九十二試合!料理対決!』
顔良VS関羽
「できました」
斗詩が出した皿には美味しそうな餃子が置かれている。
「私の特性炒飯です!」
愛紗が出した皿には謎の物体Xが盛られている。
顔良勝利!
▽
『第百一試合!にらめっこ!』
文醜VS趙雲
「「あっぷっぷ~!」」
「……ひィィィっ!」
星のとっておきの顔を見て青ざめる猪々子。
趙雲勝利!
……それにしても本当にどんな顔をしていたのだろう?
▽
『第百十三試合!歌唱力対決!』
田豊VS関羽
「たとえ♪どんなさ~だ~め~が♪待ち受け~て~いても…♪」
中々うまい愛紗。
「ボエ~~~♪」
某ガキ大将並みの真直。
関羽勝利!
▽
『第百三十試合!小豆運び!』
顔良VSゾロ
「八つ…九つ…十…」
箸で器用に小豆を小皿から小皿へ運ぶ斗詩。
「ぐぐぐ…七……八……」
ゾロも奮闘するが、中々運べない。
顔良勝利!
▽
『第百五十七試合!針穴糸通し!』
田豊VS劉備
「十一…十二…」
莚や草鞋を編んできたためか、手先が器用な桃香は次々と針の穴に糸を通していく。
「…七……八……」
真直も頑張るが、桃香のようにスムーズにはいかない。
劉備勝利!
▽
『第百六十六試合!速読!』
田豊VS諸葛亮
「『女はそれ以上抵抗するのをあきらめ、されるがままに…』…はわうっ⁉」
本の内容との相性が悪く、頭がショートする朱里。
「『ナリマセヌ、私ハアナタノ義弟デスゾ…』」
真直はひたすら無心になって朗読した。
田豊勝利!
▽
『続いて第百七十一試合は、貝合わせです!』
「かっ⁉」
競技内容を聞き、朱里は顔を赤らめる。
「何だ?貝合わせって?」
「え、ええっと…」
「大量の二枚貝をバラバラにして、その中からもとは一つだった物を探す遊戯だ」
「へ?」
星の説明を聞き、面食らう朱里。
「別にイヤらしいものではないぞ」
「わ、私は別にそのっ…!」
朱里は一体何を想像したのだろうか?
ちなみにこの試合は、真直とナミの対決となり、僅差で真直が勝利した。
▽
『第二百二十八試合!仮装対決!』
ステージ上に、さらに垂れ幕がついた小ステージが用意された。
『個人でも団体でも構いません。衣裳部屋に用意された物で仮装し、準備が出来たら披露。観客の投票により勝敗を決定します』
そして、両チームは衣裳部屋で準備を始めるのだった。
▽
公孫瓚組―――
「面白い服がいっぱいあるのだ!」
「わーこれ可愛いかも!」
「あまりこういうのは得意ではないのだが…」
「さて…どうしたものか…」
「あー!」
衣裳部屋の奥で何かを見つけたルフィが大声をあげる。
「「「「「「「?」」」」」」」
「これだ!これにしよう!」
▽
袁紹組―――
「ぶ、文ちゃん…本当にこれでいくの?」
「まァ、仮装っていうは、こういうのが一番ウケが良いとは思うけど…」
「そうだぞ斗詩。一か八かだ!覚悟を決めろ!」
▽
『それではまずは袁紹組から!どうぞ!』
「「「あはっ♪」」」
「「「「「「「「「「おおーっ!」」」」」」」」」」
幕が上がると当時に、それぞれピンク、水色、黄色のスカート型バトルスーツを着た猪々子、斗詩、真直が現れる。
『それでは続いて公孫瓚組、どうぞ!』
幕が上がり…
「メシは一日五食!肉と冒険が大好物!特技は寝ながらメシを食う!ルフィレ~ッド!」
「三度の飯より一度の酒!三度の酒より一度のメンマ!メンマを語らせれば大陸一!趙雲ぶる~!」
「今日も明日もはわわわわ…。天才軍師と大人な恋愛目指して日々精進…。けっこうひどい事言うぞ…。孔明いえろ~…」
「ZZZ…お、朝か?旅に出たら生まれた村に帰れなくなった!ほとんど昼寝!一生迷子!ゾログリ~ン!」
「むしろ編み続けて十数年!母に蟠桃河に投げ込まれる日々から脱すべく、宝剣求めて三千里!劉備ぴんく!」
「5人そろって…」
「「「「「義勇戦隊麦わら
それぞれ赤、青、黄、緑、ピンクのヒーロー戦隊物のバトルスーツを着たルフィ、星、朱里、ゾロ、桃香が登場し、セリフを述べる。
朱里以外はわりとノリノリでやっている。
ちなみに名乗りのセリフはルフィと星が考え、レッドやブルーといった単語を意味が通じるものに変える案も出たが、『感じが出ない』とのことで没になった。
観客は皆大笑いしている。
そして、投票が行われ…
『仮装対決の結果を発表します。開票の結果、公孫瓚組の勝利です!』
「やったー!」
『ちなみに投票した理由ですが、『名乗りの台詞が面白かった』というのが圧倒的に多いですね』
「うう…負けた…」
「色々捨てて頑張ったのに…」
「面白さは…盲点だったわ…」
こうして両者一歩も譲らず、接戦が続いたのだった。
作者は萌えやエロよりも、ギャグや特撮ヒーローの方が好きなタイプです。