ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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今回の話はだいぶ盛りました。




第68話 “名乗り”

宝剣争奪戦第二試合、ウナギの摑み取り対決は、顔良対劉備で行われることになり…

 

『それでは、試合開始!』

 

ジャーン!

 

合図の銅鑼と共に、両者は生簀の中に入りウナギを捕まえにかかる。

 

「きゃっ!待ちなさい!」

 

「このっ!えいっ!」

 

「きゃっ⁉そ、そこはっ⁉動かないで~!」

 

「あっ!ダメェ!太すぎる~!」

 

誤解されそうな声を響かせながら2人は奮闘する。

 

一方控え席では…

 

「いけーっ!劉備ーっ!頑張れーっ!」

 

「ぐー…」

 

(……この二人、目の前の光景の価値がわかっていないのか?)

 

普通に応援するルフィと昼寝をしているゾロを見て、複雑そうな顔をする星だった。

 

そして試合が終了し…

 

『結果は十一匹対十三匹で、劉備選手の勝ちです』

 

「やったー!」

 

桃香は思わず両手をあげて喜ぶ。

 

「りゅ、劉備殿!見えています!」

 

今更のような気もする。

 

「残念だったな斗詩」

 

「文ちゃん…」

 

「腹の肉で挟む競技だったら圧勝できたのにな…」

 

「そんなわけないでしょ~!」

 

両手をあげて憤る斗詩。

 

「と、斗詩!丸見えだぞ!」

 

やはり今更だと思う。

 

 

 

 

 

 

『さァドンドン参りましょう!第三試合は大食い対決です!』

 

「よっしゃー!おれ出るぞー!」

 

「ルフィ、任せましたよ!」

 

ようやく自分向きの競技になり、張り切るルフィ。

 

「よーし!それじゃあ今度は、あたいが行くか!」

 

袁紹組からは猪々子が出る。

 

『えー試合内容ですが、お二人には制限時間内に“袁紹様の手料理”をどれだけ食べられるかで競っていただきます!』

 

「「「⁉」」」

 

試合内容を聞き、袁紹組の3人の顔が青ざめる。

 

その間にも準備は進み、2人の前に大皿が用意される。

 

その上には真っ黒な『謎の物体X』が山のように盛られていた。

 

「…えーっと、陳琳さん?これ試合を始めて大丈夫なんでしょうか?」

 

恐々とした様子で猪々子が訊ねる。

 

『一応、厨房には食べられる物しか用意していなかったので、大丈夫だと思いますが…』

 

一方控え席では…

 

「あ、あれって…本当に大丈夫なんでしょうか?」

 

「し、死んだりしないのか?」

 

「ルフィの胃袋は尋常じゃないから大丈夫よ………たぶん」

 

「確かにルフィ殿は色々と異様だが、あの料理も相当異様だぞ?」

 

「あいつでダメなら、他の誰が行っても同じだろ…」

 

「そうですね…ここはルフィを信じましょう」

 

「ルフィさん…本当にごめんなさい…私の宝剣のために…」

 

当然、袁紹組も…

 

「文ちゃん…骨は拾っておいてあげるからね…」

 

「あなたの勇姿は…絶対に忘れないから…」

 

対して…

 

「よーし!頑張るぞー!」

 

「わたくしが心を込めて作った手料理、たくさん召し上がって下さいね!」

 

目の前の物体Xの脅威に気付いていないのか、2人は平然としている。

 

『それでは試合開始!』

 

ジャーン!

 

「んあーーーっ!」

 

『おーっとルフィ選手、合図と同時に皿に盛られていた分を全て、一気に口に流し込みました!』

 

しかし、次の瞬間―――

 

「⁉んっ…ぐっ…⁉」

 

顔が真っ青になり、汗が滝のように流れだす!

 

「ルフィ⁉」

 

「だ、駄目なのか⁉」

 

「もしかして胃袋は平気でも、舌が受け付けなかったんじゃ…⁉」

 

「ルフィ!とにかく飲み込め!飲み込むんだ!」

 

「胃袋に入ってしまえばそれで終わりよ!」

 

「ルフィさーん!」

 

「頑張るのだー!」

 

「ん…んんっ!」

 

ごっくん!

 

そんな声援が届いたのか、ルフィは全てを飲み込み…

 

ドサァ…

 

仰向けに倒れ込んだ。

 

『ルフィ選手!皿一杯分を平らげました!』

 

その隣で猪々子は…

 

(……ルフィとかいったな…あんたすげェな…)

 

「ぶ、文ちゃん?」

 

(あたいもやるぜ…このまま何もしないで棄権するなんて、こいつに失礼だ!)

 

意を決し、猪々子は手にした匙で目の前の物体をすくい…

 

ぱくっ

ドサッ

 

見事に撃沈した。

 

『匙一杯対皿一杯で、この試合ルフィ選手の勝利です!』

 

「ルフィ…」

 

「無茶しやがって…」

 

「私の…宝剣のために…」

 

「みんな…この勝負、絶対に勝つぞ!」

 

「もちろんなのだ!」

 

「ああ!ルフィ殿の弔い合戦だ!」

 

「あの、皆さん…ルフィさんまだ生きてますよ。ギリギリで…」

 

袁紹組はというと…

 

「文ちゃん!文ちゃァァァん!」

 

「誰か!誰か助けてくださァァァい!」

 

(ああ、なんてこと…わたくしの料理が美味過ぎたばかりに…!)

 

麗羽は思いっきり勘違いをしていた。

 

 

 

 

 

 

その後も、試合は延々と続き…

 

 

『第四試合!熱々拉麺早食い対決!』

 

顔良VS趙雲

 

「ふーふー…ずるるる~」

 

(な、何故だ⁉何故この拉麺にはメンマが入っていない⁉み、認めぬ!認めぬぞ!メンマのない拉麺など、私は断じて認めぬぞー!)

 

趙雲が一口も食べなかったため、顔良勝利!

 

ちなみにこの勝負が終わった後、ルフィと猪々子は目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

『第九試合!腕相撲!』

 

文醜VS張飛

 

「ぐぐぐ…」

 

「ううう…うおりゃー!」

 

「ぐああ⁉」

 

張飛勝利!

 

 

 

 

 

 

『第十一試合!ハリセンと防災頭巾による叩いて被ってじゃんけんぽん!』

 

田豊VS諸葛亮

 

「「じゃんけんぽん!―――あ!」」

 

朱里がグー、真直がパーを出した。

 

「はわわわわわっ⁉」

 

「…………」

 

「はわわわわわっ⁉」

 

「…………」

 

「はわわわわわっ⁉」

 

「…………(た、叩けない…)」

 

田豊、全く手が出ず諸葛亮勝利!

 

 

 

 

 

 

『第十七試合!早口言葉!』

 

顔良VSルフィ

 

「隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ!隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ!隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ!」

 

「隣のえんじゅちっ!いでェー舌噛んだー!」

 

顔良勝利!

 

 

 

 

 

 

『第二十四試合!重量上げ!』

 

顔良VSゾロ

 

円盤状の重りを両手で持ち上げる2人。

 

「オラァ!もう二、三十個持ってこい!」

 

「もう無理です~!」

 

ゾロ勝利!

 

 

 

 

 

 

『第三十九試合!ものまね!』

 

文醜VSルフィ

 

「『愛紗、出番だな』『…ってさも当然のように私に振るな!』『おっぱい勝ち組の力、見せてやるのだ~!』」

 

先ほどの、愛紗達3人のやりとりをまねるルフィ。

ほどよく似ているため、観客にも大ウケしている。

 

「袁紹様のマネ。『おーほっほっほ!斗詩、あなた最近ちょっと太って来たんじゃありませんこと?』」

 

ぐしゃっ!

 

文醜が満身創痍となったためルフィ勝利!

 

 

 

 

 

 

『第四十八試合!だるま落とし』

 

顔良VSナミ

 

「ていっ!」

 

スコーン!

 

「たァっ!」

 

スコーン!

 

「それっ!」

 

ガシャッ!

 

「あああっ⁉」

 

顔良勝利!

 

 

 

 

 

 

『第五十一試合!目利き対決!』

 

田豊VSナミ

 

『この大量の宝石の中から、一番高価な物を探してください!』

 

(これは形が歪ね…こっちはちょっと色が…)

 

「これ」

 

「早っ⁉」

 

「正解です!」

 

ナミ勝利!

 

 

 

 

 

 

『第五十六試合!箱の中身は何でしょう?』

 

田豊VS劉備

 

「きゃ~⁉動いた!何かぬるっとしてた!」

 

「ひれがあった…鰻にしては太かったから、(ナマズ)!」

 

『正解!』

 

田豊勝利!

 

 

 

 

 

 

『第七十八試合!玉乗り対決!』

 

文醜VS張飛

 

「よっ…ほっ…はっ…!」

 

「ううう~…わああ~⁉」

 

文醜勝利!

 

 

 

 

 

 

『第九十二試合!料理対決!』

 

顔良VS関羽

 

「できました」

 

斗詩が出した皿には美味しそうな餃子が置かれている。

 

「私の特性炒飯です!」

 

愛紗が出した皿には謎の物体Xが盛られている。

 

顔良勝利!

 

 

 

 

 

 

『第百一試合!にらめっこ!』

 

文醜VS趙雲

 

「「あっぷっぷ~!」」

 

「……ひィィィっ!」

 

星のとっておきの顔を見て青ざめる猪々子。

 

趙雲勝利!

 

……それにしても本当にどんな顔をしていたのだろう?

 

 

 

 

 

 

『第百十三試合!歌唱力対決!』

 

田豊VS関羽

 

「たとえ♪どんなさ~だ~め~が♪待ち受け~て~いても…♪」

 

中々うまい愛紗。

 

「ボエ~~~♪」

 

某ガキ大将並みの真直。

 

関羽勝利!

 

 

 

 

 

 

『第百三十試合!小豆運び!』

 

顔良VSゾロ

 

「八つ…九つ…十…」

 

箸で器用に小豆を小皿から小皿へ運ぶ斗詩。

 

「ぐぐぐ…七……八……」

 

ゾロも奮闘するが、中々運べない。

 

顔良勝利!

 

 

 

 

 

 

『第百五十七試合!針穴糸通し!』

 

田豊VS劉備

 

「十一…十二…」

 

莚や草鞋を編んできたためか、手先が器用な桃香は次々と針の穴に糸を通していく。

 

「…七……八……」

 

真直も頑張るが、桃香のようにスムーズにはいかない。

 

劉備勝利!

 

 

 

 

 

 

『第百六十六試合!速読!』

 

田豊VS諸葛亮

 

「『女はそれ以上抵抗するのをあきらめ、されるがままに…』…はわうっ⁉」

 

本の内容との相性が悪く、頭がショートする朱里。

 

「『ナリマセヌ、私ハアナタノ義弟デスゾ…』」

 

真直はひたすら無心になって朗読した。

 

田豊勝利!

 

 

 

 

 

 

『続いて第百七十一試合は、貝合わせです!』

 

「かっ⁉」

 

競技内容を聞き、朱里は顔を赤らめる。

 

「何だ?貝合わせって?」

 

「え、ええっと…」

 

「大量の二枚貝をバラバラにして、その中からもとは一つだった物を探す遊戯だ」

 

「へ?」

 

星の説明を聞き、面食らう朱里。

 

「別にイヤらしいものではないぞ」

 

「わ、私は別にそのっ…!」

 

朱里は一体何を想像したのだろうか?

 

ちなみにこの試合は、真直とナミの対決となり、僅差で真直が勝利した。

 

 

 

 

 

 

『第二百二十八試合!仮装対決!』

 

ステージ上に、さらに垂れ幕がついた小ステージが用意された。

 

『個人でも団体でも構いません。衣裳部屋に用意された物で仮装し、準備が出来たら披露。観客の投票により勝敗を決定します』

 

そして、両チームは衣裳部屋で準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

公孫瓚組―――

 

「面白い服がいっぱいあるのだ!」

 

「わーこれ可愛いかも!」

 

「あまりこういうのは得意ではないのだが…」

 

「さて…どうしたものか…」

 

「あー!」

 

衣裳部屋の奥で何かを見つけたルフィが大声をあげる。

 

「「「「「「「?」」」」」」」

 

「これだ!これにしよう!」

 

 

 

 

 

 

袁紹組―――

 

「ぶ、文ちゃん…本当にこれでいくの?」

 

「まァ、仮装っていうは、こういうのが一番ウケが良いとは思うけど…」

 

「そうだぞ斗詩。一か八かだ!覚悟を決めろ!」

 

 

 

 

 

 

『それではまずは袁紹組から!どうぞ!』

 

「「「あはっ♪」」」

 

「「「「「「「「「「おおーっ!」」」」」」」」」」

 

幕が上がると当時に、それぞれピンク、水色、黄色のスカート型バトルスーツを着た猪々子、斗詩、真直が現れる。

 

『それでは続いて公孫瓚組、どうぞ!』

 

幕が上がり…

 

「メシは一日五食!肉と冒険が大好物!特技は寝ながらメシを食う!ルフィレ~ッド!」

 

「三度の飯より一度の酒!三度の酒より一度のメンマ!メンマを語らせれば大陸一!趙雲ぶる~!」

 

「今日も明日もはわわわわ…。天才軍師と大人な恋愛目指して日々精進…。けっこうひどい事言うぞ…。孔明いえろ~…」

 

「ZZZ…お、朝か?旅に出たら生まれた村に帰れなくなった!ほとんど昼寝!一生迷子!ゾログリ~ン!」

 

「むしろ編み続けて十数年!母に蟠桃河に投げ込まれる日々から脱すべく、宝剣求めて三千里!劉備ぴんく!」

 

「5人そろって…」

 

「「「「「義勇戦隊麦わら連者(レンジャー)(…)‼」」」」」

 

それぞれ赤、青、黄、緑、ピンクのヒーロー戦隊物のバトルスーツを着たルフィ、星、朱里、ゾロ、桃香が登場し、セリフを述べる。

朱里以外はわりとノリノリでやっている。

 

ちなみに名乗りのセリフはルフィと星が考え、レッドやブルーといった単語を意味が通じるものに変える案も出たが、『感じが出ない』とのことで没になった。

 

観客は皆大笑いしている。

 

そして、投票が行われ…

 

『仮装対決の結果を発表します。開票の結果、公孫瓚組の勝利です!』

 

「やったー!」

 

『ちなみに投票した理由ですが、『名乗りの台詞が面白かった』というのが圧倒的に多いですね』

 

「うう…負けた…」

 

「色々捨てて頑張ったのに…」

 

「面白さは…盲点だったわ…」

 

 

 

こうして両者一歩も譲らず、接戦が続いたのだった。

 

 




作者は萌えやエロよりも、ギャグや特撮ヒーローの方が好きなタイプです。


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